来世の来世の来世くらいのお話、119コメント

1 叶奏@かなた id:wA9XQ8C/

2015-10-10(土) 11:20:27 [削除依頼]


`


夢をみたい僕は、いくつもいくつも生きていく。


「 はじめまして、かなたと申します。
  拙い言葉ですが、ふわふわと綴っていきます。 」
  • 100 叶奏 id:Adx6P801

    2016-07-08(金) 21:25:36 [削除依頼]



    とうとう100レス目に達成しましたいえいいえい
    普通に投稿してしらっと通りすぎようかなとも
    思いましたが、いや〜〜ここまで続くと思ってなかったので
    ちょっとうれしくなっちゃってます。
    本当にここまで続くとは予想してなかったから達成感がすごい。
    容量オーバーまで突っ走りたいところあります。
    楽しいからこれからもここに居座ると思います。
    末永く仲良くしてください(;_;)/~~~


    文章をかくのはたのしいです。すっごく。
    口下手だったり絵が壊滅的にへたくそだったりと
    文に頼るしか自分の気持ちを発信するものが
    なかっただけかもしれないですけど
    何か書いたり、読んだりしているときが今のところ一番たのしくって
    これからも続けていけたらいいなと思ってます。('ω')


    もし、読んでくださってる方がいるのなら
    いつもありがとうござます。
    これからも、ぜひよろしくお願いします!


     
  • 101 そら id:vOu8myk/

    2016-07-09(土) 20:51:23 [削除依頼]



    100レス、おめでとうございます!
    ちょくちょくこそこそ読んでいます(´-`).。oO
    これからも頑張ってください、応援してます。
  • 102 ろの id:af90Zeg0

    2016-07-17(日) 21:26:45 [削除依頼]
    ここにコメントするのが初めてだということに驚くぐらい、日常的に覗かせてもらってました(ストーカーと呼んでくれたってかまわない)
    詩によく似ているけど絶対に詩じゃない、散文かと言われるとそうでもない、浮遊感のある、けれど胸の締め付けられる余韻がどこかにある、歪んでいて時に狂気的な部分も見せるあなたの話がとってもとっても好きです
    終末が特に好きです。すでに日記板でラブレター書かせてもらったな、笑

    100レスおめでとう。ずっと応援してます!
  • 103 叶奏 id:86l/0641

    2016-07-20(水) 14:51:19 [削除依頼]
    >101 そらさん ありがとうございます!! とっても嬉しいです、 ゆっくりと更新していこうと思います、有難うございます(´-`)!
  • 104 叶奏 id:86l/0641

    2016-07-20(水) 14:56:49 [削除依頼]
    >102 びゃくちゃん ウアアうれしいよ 意識していることもあれば、そういう風に受け取ってもらってるのかとびっくら。でも全部わたし自身も好きな感じだったり雰囲気な言葉なのでとっても嬉しい。 わたしもびゃくちゃんのお話し大好きです。 (ラブレタースクショしてるうれしかった(;_;)/~~~) ありがとう! ちびちび更新していくので気が向いたときにでもみてやってください!
  • 105 叶奏 id:ZuvBvv3.

    2016-07-22(金) 23:05:31 [削除依頼]



     夜の隙間に吸い込まれてしまいそうな光。淡い光。蛍光灯が点滅するトンネルで今日も少しずつ世界がゆがんでいくことに人々は気づかないまま朝を迎える。携帯の光は夜になれば攻撃的なものになる。ツイッターのタイムラインを指でなぞって更新する。握りなおしたコンビニのレジ袋の濁った白がカサカサと音を立てて、人気のない道に響かせる。

    「アイス、あんた好きだよね。すぐお腹壊すくせに」

     みどりが立ち止まって、わたしに言った。骨ばった手がわたしの方に差し出されていて、レジ袋を手渡した。そういうところ、いちいちすごいと思う。わたしには真似できない。みどりはわたしのことをいつも見ていてくれる。見ていないふりをしながら、見ていてくれる。

    「俺こういうストロベリーバニラとかむり。美味しいの?」

     口元を少しだけ緩めて、目が細くなる。穏やかな表情が猫みたいに見えて、首輪をしておきたくなる。どうか逃げないで、と泣いてしまいながら。

    「美味しいよ。あんたは知らないだろうけど」

     そういったとたん、足元からぐわりぐわりと寂しさがこみあげて、体中を巡っていく。夜のトンネルの光は十分に寂しさの条件を満たしていることを思い出した。わたしはいつだって一人だと、こんなにも思い知らされる瞬間。どうしたってこの孤独からは解放されないのだと。許されないのだと。ひとりきりの夜、部屋に入った瞬間の孤独と同じ感じに、呼吸が浅くなっていく。寂しさはいつだって孤独で、わたしはそれを制御できないままの人間だったから。

    「俺にだってわかるよ。あんた美味しそうに食べるから。それ、見てるから」

     だから、帰ろう。またあの表情を浮かべて、今度は頭に手までのっけて。わたしは頷いてとぼとぼと歩く。
     すべて消し去ってしまいたくなるような感情と、すべて留まらせていたくなるような感情が交差して、これからも進んでいけてたらいいねって、そんな風にツイッターでつぶやく。もちろん、すぐに消すけれど。


    / トンネルをぬけて
  • 106 叶奏 id:6SvrO6h0

    2016-08-03(水) 15:43:41 [削除依頼]



     コンクリートの世界が崩壊するゆめをみた。どこまでも一緒だよって笑えるのは、わたしたちまだどこにも行けない二人だからだよ。わたしはそれを口にせず、甘い炭酸水と一緒に体の底に落とした。炭酸の刺激がのどに残ったままだ。ちりちりと柔らかい痛みが、気持ち良いほどこの部屋は優しかった。優しいフリをした、空気ばかりがあつまった。

    「ねえミミ」
     わたしは猫じゃないんだよ。あなたの所有物じゃないんだよ。そんな風に、そんな優しい目をして呼ばないで。

    「あの時どうすればよかったとか、どう言えばよかったとか、そういうの全部無駄だと思わない?」

     彼の口調はどこか遠くのわたしの知らない人に語り掛けているようなそんな気がした。それでも視線はばっちりとわたしの瞳の中を覗いていて、視神経を伝って彼が、彼の存在をわたしは認識してゆく。
     そんな風に、すべてを無駄だと言ってしまう彼が、時々とても可哀想に思ってしまう瞬間がある。きみはどこにいきたいの。どこに、なにになりたいの。ねえもう無理だよ。きみには無/理だよ。きみはなにも変わらない、変われない。後悔を、努力を無駄だといえるきみに、今のきみにどこにも飛んでいける空なんてないよ。ねえ、もう諦めよう。

     炭酸の刺激に心揺らされて、冷房の乾いた空気がのどにまた別の刺激を与えていく。

    「そう、だね」
     わたしが猫だったら、あなたはどうするの。


    / 飛んで、


    (自意識お化けみたいなやつ!!!!!!やだよ!!!!)
  • 107 叶奏 id:MB.8J3W1

    2016-08-14(日) 13:42:33 [削除依頼]



     きみの細い指先がわたしの背中をなぞる。背骨の奥を脊髄を壊されていくような気がするのに、どうしてきみはそんなに優しく耳下で笑うの。ものたりないようなもどかしい寂しさが、はだけたブラウスの隙間から落ちていく。水気のない唇が肌に触れて、頬、首、鎖骨、胸へと移動していく。
     わたしだけが好きなんじゃないでしょきみは。わたし以外にたくさん好きな人がいるんでしょ。だれでもいいなら、わたしを選んで。だれでもいいなら、その中にわたしを入れて。わたしを。わたしを。

    「なに、寂しい顔してんの、ばっかじゃねえの」

     心臓をぎゅうっとつかまれてああもうここじゃないよとまただらしなく開いた口から声が漏れる。まって、まって。この寂しさはきみの体で埋めちゃだめなの。ちゃんとわたしが、わたしがひとりきりで苦しんで、苦しんで後悔しなきゃいけない寂しさなの。お願い、まって、まって。
     生理的にあふれる涙できみの顔がもう見えない。
     きみにわかるわけないよ。わかってもらおうなんて思ってないよ。

     体がはじける。一番いいところ、腰が無意識に浮き上がる。
     寂しさがもう頭の端に追いやられてしまう。だめだよ。ちゃんと、咀嚼して飲み込んで体のなかでいっぱいっぱいに暴れて苦しんで吐いて吐いてもがいて泣いて、それでもずっと付きまとうはずのわたしの寂しさ。きみの体で、愛のないそのキスで、埋めたりしないで。


    (題名なんてないよ)
  • 108 叶奏 id:I.Ev33V.

    2016-09-02(金) 18:03:43 [削除依頼]



     梅雨が明けましたね、雨の日は嫌いです。
     きみの髪、匂い、透いた白のワイシャツ、伏せた時の睫毛、ネクタイを締めるときの仕草、手の平の厚み、すべてをもう一度、あのときのようにはっきりと思い出してしまうから。
     あの公園のシーソーが撤去され、ボール遊びさえ禁止になって、裏路地に住んでいた猫も、少し前トラックにのせられてどこか遠くへ行ってしまいました。コンクリートも塗り替えられて、自転車で下っていてもちっともお尻は痛くなりませんから、またふたりのりしようね。そういえば、冷蔵庫も寿命がきてしまって、新しいのに買い換えました。銀色が目につくこともなく、濁った白が部屋によくなじんでいます。

     どうしてあのとき、わたしを置いて行ってしまったの。一緒にいなくなろうって、あの前の夜ベットの中で約束したのに。わたしのすべてにキスをしたくせに。ブラウスを脱がせたくせに。どうして、いなくなったりしたの。
     ねえきみ、わたしはあの時と同じように、また明日を迎えてきみのいない時間の中で呼吸をします。どうか、どうかもう一度だけきみの胸の中で、眠らせて。


    / いつだって、いつだって連絡待ってるからね


    手紙かきたいなみたいな
  • 109 叶奏 id:hjhfNI7/

    2016-09-03(土) 22:20:00 [削除依頼]



     快楽がそのまま恋に結びついてくれたらいいのになあ、そしたらわかりやすいし少子化だって改善されるんじゃない? 知らんけど。

     外は暑い。だけどそのぶん冷房が稼働して部屋のなかはとても涼しい。そういうことはわたしにとって良いこと。苦しい悲しい寂しいことはきっとこれからもたくさん起こるし、今も起こっているんだろうけど、テレビ一枚挟むだけでとても簡単に無機質な情報一つになってしまうこの世界が、わたしの中では結構好きだし、キテるよ。アイシテルって感じ。
     都会嫌いがなおらないのは否定されたくないからだよってそんな笑顔で言われても困るよ。今更どうしろっていうんだよ。でもわたしはどちらかというと自然は嫌いだよ。写真にさえなれない植物、わたしみたいだ。

     どんな曲聴くのって聴かれたらとりあえずスピッツって答えておこうみたいなソレ。交わらないとわかっているし、交わったところですぐにいなくなってしまうきみ。誰とも共有できないって気持ちを誰かと共有してる矛盾。そういうのさえ全部気持ちいい。きみならわかってくれるよね、大丈夫だよね。わたしたち、生きていけるよね。


    「結局オリコン一位の恋愛ソングとかわらなくね?(笑)」
  • 110 叶奏 id:bwFSSt91

    2016-09-25(日) 20:35:40 [削除依頼]



    「大人になってみて思うけど、やっぱり人生ってどうでもいいなって思うわけよ」

     あの子がそう言って、鼻で薄く笑った。
     金色のショートカットが夜の街に良く似合ってる。小さな光さえも吸収して、自分のものにしている感じ。右手の人差し指と中指の間に挟まったままのたばこの先から、行く当てもなくゆらゆらと煙がたっている。どこかでみたことあるような制服。どこだっけ。偏差値24くらいのところ。胸元で金色のペンダントが光った。

    「まああたしもさ、色々あったしさ、大変だったけど」

     その子の隣にいた男の携帯の青白い光。男の携帯のスピーカーから漏れる音楽は安っぽくて、だけどどこか安心した。どうしたって優しくなれる気がした。聞き取れない歌詞。ぐちゃぐちゃのリズム。わたしの体の中が揺れて、少し重たいべたつく空気さえも柔らかく振動していた。

    「あたしらは子どもだったわけじゃん? まあほら、色々」

     含んだ笑み。ずっと昔にいた近所の女の子の笑顔に似てる。いたずらっこのような、だけどどこにだって、悪意のひとつもみえないような。
     その子の声だけが浮いてるわけじゃない。男のスピーカーからきこえる音、人の声があつまってかたまって、何も聞こえなくなったような音。全部がいっぱいにこの街にあふれてる。その中でわたしの目の前にいるこの子は、大人になったって、笑ってる。子どものころもあったって、笑ってる。

    「やっぱり人生ってどうでもいいよ」

     だめだ、わたし。
     この子に勝てない。どうしたって勝てないんだ。大人になったって、お婆さんになったって。

    「勝てないんだ」
     

    / 街角
  • 111 叶奏 id:Fpr7jLo0

    2016-10-19(水) 20:39:24 [削除依頼]



     白いカーテンは病室みたいで居心地が悪かった。光をわたしたちに跳ね返してくる。目の中に入ってきたその光をわたしはまた受け止めてしまうのだから、体と心は全然一体化してないと思ってる。ねえだから白なんて嫌だって言ったじゃん。わたしは声に出さずにつぶやいた。口の中、喉をぎりぎり通り過ぎたあたりで、言った。

    「どうしたのニナ、アイスでも食べたいの?」

     ちがうよ、全然違うよ。心臓の奥がきゅうっと痛くなるこの感じ。最近、よくあるね。伝わらないってわかっているし、伝える気さえないのに、わたしってどうしてこんなにわがままなんだろう。どうしてこんなに、すべてを望んでるんだろう。
     視線を上げると、その視線に気づいたきみがそっと笑った。目尻のしわが優しくて、下睫毛がながいのが、ちょっとうらやましくて。

    「アイス、買いに行く?」

     ちがう、全然違うよ。

    「ねえはるくん、違う、違うよ」

     わたしは見せつけるように泣いた。きみなんていないほうがよっぽど良かったよ。嘘を吐いてそれが嘘じゃなくなるまでずっと傍にいればいいって思ってる。あたりまえだと思ってる。なにも疑えない、なんにも変わらないって思ってる。ごめんね、ごめんね、わたしこれが本物だって思ってる。


    / 不正解
  • 112 叶奏 id:nDFQ1PuW

    2016-12-03(土) 17:59:37 [削除依頼]
     





     不正解は不正解のままだった。きれいなものしか愛せないってきみは泣いていた。ならわたしは初めからきみに愛されていなかったのかな。汚れてしまった夢ばかり見る。朝、目をさますときに泣いていることに気が付くなんて遅すぎるよ。生理がこなくなってからわたしは何のために生きているのかわからなくなった。命が命を食いつぶしていく。生まれないで、わたしは生きていたい。



     きみがいなくなった。不器用な字がきみの心臓だと思った。合鍵がそえられていたメモはカレンダーの裏紙だった。

    二人で暮らすにはこの部屋は少し狭かったね。明日も、明後日も、明々後日も、大の字で寝られるんだと思ったら涙が出た。どうしても止まらなかった。



     自分の体ではないような気がしている。体温が逃げていく音がきちんとするんだ、どうしようもなく。空気が抜けていくようなきみとのキスはホットケーキを焦がしたような味だったね。暗闇に投げ捨てられたわたしだって生きていくこともできるし、死ぬことだってできるよ。きみの涙がかたつむりと同じ速度で頬をつたっていくのをみた夜から、さよならを予感していた。二回折ったスカートのプリーツがゆれる。わたしが振り返ったとき、どうかきみがそこにいませんように。



  • 113 宮村 id:nDFQ1PuW

    2017-01-23(月) 17:58:36 [削除依頼]












     吐息と混じった甘い音が耳をすべって、首筋をくすぐる。朝と夜の間みたいな不健康な時間にわたしときみ、あしたは仕事やすんで朝まで隣にいてねって言いたいのにのどの奥で音にならずに、その代わりにひゅ、と喉が何度も鳴る。わたしきみの指が好きなの。優しい顔をしているのに、その指だけが別の生き物みたいにわたしの体の奥底を探している。目をつむってなんども想像した。きみの指が動くその様が見えないのが、とても哀しかった。



     大人になれ、わたし。



     きみとわたしの生きてきた数をどうかしても埋めなければならない。世界が終わるのを待ちながら気持ちの悪い音楽を聴いて夜を、死んでいった蝉の数を数えて夏を、きみより密度の濃い一年を、一日を、一分を、一秒を。重ねて重なって追いついて追い越して行きたいと思うその気持ちは、小さすぎる手の隙間からぽろぽろとこぼれていく。



    「おねがいします、置いてかないで、どうしても私」



     ひゅ、と喉が幾度も鳴る。

     きみの細い指がわたしの首にかけれて、一番苦しいところを探していく。きみの口角が上がっていくのが涙でぼやけた視界にうつる。きみの存在が、視神経を通っていくことが快感だと心の底から思う。あいしてるの、だいすき。





    / 頭の悪いわたし
  • 114 叶奏 id:1pw6ugcI

    2017-06-28(水) 17:33:11 [削除依頼]
     指を水面でこすりつける。さらさらと音がしている間、あいしてると口をぱくぱくさせる金魚。金魚だって愛を叫ぶのにわたしの口からは何も出ない。第一ボタンできつく閉じられている。なにも、言ってはいけない。たんぽぽと太陽、どちらが空だかわからなくなるときがあるの。それでも世界は回転しているっていうのだから本当に、心が痛い。街にこもった熱をすいとる冷蔵庫がひくく鳴る。お腹がすいたのね、そうなのね、わたしはわたしの身を捧げるような気持ちで制服を脱ぐ。お腹の中から出てきたときのままの白いそれ。それ。愛をしったこどもはもうこどもでいてはいけませんよ。ママがやさしく突き放す。パパが貫く。制服を着る。家を出て、もうきっと帰らない。
     せんせえ。ねえせんせ。チョークを荒々しくあてがって、黒板が白く汚されていく間わたしは口をぽかりとあけながらあなたの言葉をすべて飲み込もうとする。言葉の文節すべてに句読点をいれてあげたくなるとせんせは言っていました。あなたは私の一番大事なものですと言ってあげなければ可哀想だとせんせは言っていました。あなたはそういう風に。
     せんせえ。ねえせんせ。ネクタイがずれているとこをみたことがないのは、わたしがただの生徒だから。図書室の一番奥、生徒立ち入り禁止の本棚であなたは一体何を読んでいるの、なにをその茶色い目で吸収しているの。わたしはあなたが太陽だと思うのです。世界が回転していたとしても。あなたの薬指、一番やさしいところに、わたしのしらないずれたネクタイが映っていたとしても。
  • 115 叶奏 id:1pw6ugcI

    2017-08-15(火) 12:09:47 [削除依頼]

     ぐちゃあ、と音がする。わたしの体の内部の音だそれは。気持ちの問題? そうともいう。寂しさの連鎖を断ち切るとき、わたしは世界で一番寂しい女になるのよってそれをきみに言ったって仕方がないよね。きみに心がないと信じきるみたいに、それは自己防衛に一番近い愛だ。愛されたい、でもそれはきみだけではない。世界中みんなに愛されたい、愛されたい、ぐちゃあと音がする。私の体の内部の音だそれは。
     おまえ、と呼ぶきみの口の形はママのお腹の中に似ている。わたしに名前なんかなかったことを気づかせてくれる。服を脱ぐときわたし思うの、きっとこの寂しさは自分でうめなきゃいけなかったんだ。おねがい、まって、きて、それ、日本語なのか、それともわたしが卵/子と精/子でいたころに使っていた言語なのか、わからなくなってしまう。でもそんなことどうでもいいよね。寂しさが埋まる瞬間の快感は、気持ちの問題なのね? そうともいう。深夜のツイッターでつぶやいてるひとみんな事後なのよ。そうともいう。心の中で寂しさが潰しあっている。抗生物質の味のキス。気持ち悪いって言わないで。十代の夏、一番きれいな夏?

  • 116 叶奏 id:1pw6ugcI

    2017-10-20(金) 22:15:43 [削除依頼]
    これが果たして恋なのかどうなのかわからない、という心の発展の時期は残念ながらもうわたしは過ぎていて、これが恋であるとはっきりと自覚した。楽しいことがあったとき誰よりも先に伝えたいと思うし、可愛い服を買ったときだれよりもさきにみてほしい。かなしいことがあれば話を聞いてほしい、涙をぬぐってほしい、そう心の底から思うことこそが恋なのだとおとなのわたしはもう気づいていた。
     美代ちゃんは18歳の高校生だった。初めて出会ったとき彼女は制服でお酒を飲んでいて、これコスプレなんですよわたし二十歳なんでと軽快にわらう彼女にわたしは一目ぼれしてしまった。彼女はもうすでにビールの美味しさも、日本酒の美味しさも、ウイスキーの飲み方も知っていた。深夜のビールはぬるいほうがよいのですと誰もいない夜の街の隅はじに追いやられた店のなかでわたしに言ってみせた。成人式を6年前にすませたわたしも彼女に負けじと店にあった一通りのお酒を飲んだが、どれも缶酎ハイには劣るような気がしてならなかった。彼女のする話はすべてわたしの知らない世界で、そしてその世界は確実に存在しているのだということをわたしに知らしめた。社会科の先生の悪口、英語科の先生の恋人が教え子であるという話、友達が援助/交際をしていたことを打ち明けてくれた話、バイト先の先輩の性.癖がとんでもないという話、彼女は話をするのがとても上手だった。どのような言葉を使えばいいか、すべてわかっていて、その適した言葉を絶妙にずらすのがそれまた上手で、わたしをいつも笑わせた。

     これが果たして恋なのかどうかわからないと悩む時期はもう過ぎていた。彼女と知り合って、半年がたった。冬服だった彼女が夏服にかわり、その細々とした腕は病的に白く薄暗い店の中でぼんやりと光っているように見えた。彼女の名前は川上美代というのだということ、中高一貫の女子校に通っているということ、ろくでなしの恋人がいること、優しい両親は今も健全だということ、わたしがしっている彼女のことはどんどん膨れ上がっていった。これが果たして恋なのかどうかわからないと悩む時期は過ぎていた。わたしは彼女のことが好きだった。
    「美代ちゃんはさ、高校卒業したらどこいくの」
    何杯目かもう数えるのすら忘れてしまった。わたしのお酒の飲み方は品がなくて質が悪い。この店のお酒はやっぱり一番安いやつが一番おいしい。
    「まあ、大学生になるんじゃないですかね」
    「なれるの」
    「なろうとすればおねえさんでもなれますよ」
    放課後に稼いだお金をほとんどすべてここでお酒に変えてしまう彼女のお酒の飲み方は品があって質が良い。小さなコップに注がれた薄いピンク色をちびちびと飲む。

    「おねえさんってよぶのやめて」
    「美咲さん」
    「いい子」

     彼女はだれかに好かれることになれていた。わたしからの愛情ややるせない感情を綺麗にうけとめ、それでいてわたしに優しく押し返す。彼女は愛されることになれていた。わたしはそのたびにかなしくなる。わたしの好きな人が、ろくでなしのバンドマンだったり、変わり者の学者だったり、無口な会社員だったりすればよかったのにと思う。彼女がグラスを傾けるとからり湿った音がなる。ピンク色がどんどん薄くなっていく。喉がうごく。ろくでなしの恋人は彼女のその細い首を絞めるのが趣味らしい。

    「ねえ、ろくでなしの恋人のどこがすきなの」
    「ろくでなし」
    「そう、ろくでなしの恋人のはなし」

    わたしの彼女の会話には、空気が多く存在していた。何も言わないけれどなにかを言っている時間。彼女にはなにもかもわかってしまわれるし、だからこそなにもかもわかってほしいとおもう。マスターが彼女にグラスを差し出した。透明な液体が小さなグラスの中でうごめいていた。
    「わたしは彼に落ちているんです。今もずっと落下しているから」
    その理由はあっけなくわたしの理解の範疇に入った。彼女はわざとわたしにわからない風に、難解に、いやらしく言ったつもりなのだろうけど、今のわたしにはあっさりと理解ができる。
    「ほらまあ、いろいろあるじゃないですか。女の子って」
    わたしは美代ちゃんがこういう、ぞくりとするくらい大人な顔をしたとき、泣きたくなってしまう。美代ちゃんの過去をすべて知り得たいとおもってしまう。暴力的で感情的な愛をうけとめる彼女を想像する。乱れたシーツと美代ちゃんの白い肌は、きっとよく似合う。


    / これは恋だと、わたしは。



  • 117 叶奏 id:CRQ9lqE5

    2017-12-03(日) 01:33:32 [削除依頼]
    ふくりゅうえん。ふくりゅうえんってしってる? あなたは勢いよくその白い息を吐き出すけれど、わたしはいつだってあなたによごされてるんだよ。狭い部屋に充満するにおいと息苦しさは、わたしのさみしさを埋めていく。あなたが申し訳なさそうに笑う。それは紛れもなく、不健全な幸せだった。

    .

    140ssというようなもの twitter
  • 118 叶奏 id:CRQ9lqE5

    2018-03-18(日) 00:54:52 [削除依頼]

     最後に星を見たのはいつだろう。都会にこそ星は必要なのに。窓についた水滴に、赤いランプが焦点をずらしてぼんやりとうつっている。見慣れた街が雨に濡れていくのをじっとみていた。べったりと粘り気のある雨が、濁った空気を巻き込んで落ちていく。終電を逃がしたい夜。体にわるそうな街の中に、取り残されていたい。
    「はじめてかもしれない」
    美咲さんが液晶に指を滑らせながらぼそりと呟いた。わたしはそれには答えずに、机の上においてあった水を飲む。
    「わたしね、女の子としたのははじめて」
    わたしの方を向いて、言う。いわなくても、わかってるよそんなこと。わたしはそれにはこたえず、美咲さんのとなりに座る。短い髪の毛からのぞく細い首に指を這わした。その細くてやわらかい髪、まっすぐな背筋、曲線を描く腰まわりのシルエット、わたしがほしいものばかりだ。わたしがほしいものばかり、美咲さんは持っている。
     美咲さんはわたしよりずっと大人だった。もちろん、この街のことはわたしのほうがよく知っていた。お酒の飲み方だって、ずっと。それでも美咲さんはわたしよりずっと大人だった。美咲さんのなかに流れる時間にわたしは追いつくことができない。これからも。
     好かれていることには、気づいていた。
     人からの好意には慣れていた。誰かに好きと言ってもらえるたびにわたしは自分のことも好きになれた。好いてもらえるためなら、なんだってした。たとえそのやさしさに裏があると気づいていても、誰かからうけとる好意の気持ちよさをわたしは知ってしまっていた。そんなわたしが、わたし自身から解放される唯一の場所があのバーだった。決してお金があるわけでもない。最初はただ興味本位だった。大人の真似事がしたいだけだった。そこで出会ったのが美咲さんだった。つまらないわたしの人生を、頷きながらきいてくれた。誰かに好かれるためのわたしではないわたしを、好いていてくれた。わたしはそれに気づいていたし、美咲さんもそのことを気づいていた。わたしたちはそれでも何も言わなかったし、言う必要もなかった。
    「美代ちゃんがね、あの、ろくでなしと別れたとき」
    美咲さんがぼうっとしたわたしの頭を撫でて、言った。
    「ほんとうにうれしかったの。ほんとうに」
    口内でなんどもそれをつぶやく。ほんとうに。きっとほんとうに、嬉しかったんだろうなあと思う。わたしのろくでなしの恋人は、どこまでもろくでなしだった。そんなことわかっていた。ずっと昔に。
     わたしは美咲さんの手を頭からおろして、静かに笑った。服を着て、半分にはすこしたりない量のお金をわたして、手を絡めて外へ出た。まだ始発さえ走っていない夜と朝のまんなかだった。どこにもいけないとおもった。どこにも行く必要がなかった。
    「今度おしえて。ろくでなしが、美代ちゃんにしたこと、全部」
    「いいですよ。ちょっとずつなら」
     最後に星を見たのはいつだろう。もう思い出せない。終電を逃した夜、わたしは始発を待っている。やさしい孤独を胸にひそめて。


    / これが恋だと、あなたは。


    続き的なそれ
    わたしも新しいスレッドにしようかなとか思ったり

  • 119 叶奏 id:1pw6ugcI

    2018-11-10(土) 02:24:16 [削除依頼]



     おはよう、おきて、と私はきみのいないきみに何度も叫んだ。ゆっくりゆっくり沈んでいく赤は、ゆうやけににていた。その透明な赤は、きみのなかに何度もすべりこみきみの体温をまもっていた。窓際、わたしもいつかきみみたいに、その赤を、体にうけいれて、吐き出し、それも何度も気付かないうちに、だれも教えてくれない世界に、いってしまうのだと思った。しかしそれは恐怖でなく、寂しさでもなく、ただ茫然としたものであった。長い時間を実感するのには、長い時間がかかる。わたしはきみの、しかしもうきみではない手を握った。恋人のように指を絡めた。微かにきみは、私に応える。視線を上げる。窓際、もう空は青ではない。ゆうやけこやけがとなりのとなりの町からかすかにきこえてきた。窓の隣に白い花瓶が置いてある。きみは百合がすきだった。世話焼きのきみの母親は、もうずっとまえにこの病室から逃げてしまった。夢十夜の一夜の女のようにきみは綺麗だと思うのに、それをきみに伝えてしまえば、もうだめだと思った。きこえていなくても、その聴神経がもう私の声を通さなくても、きみは私以上に、漱石を愛していたから。私は夢ではなく、百年越しの愛を誓うことはできなくて、そのことは文学に心酔しているきみの邪魔になっているような気がした。私はきみの美しい肌に手を滑らせて、その美しい体温と、からっぽになったきみの心臓の音、とろんと落ちる点滴のリズムを心から綺麗だと思った。きみがいまここにいること、くるしいもしあわせもいたいもかなしいも、何もないというように眠るその横顔がに、私は途方もないほど長い時間を費やしてきたのだと思う。私の時間はずっと進んだままだった。とまることをしらず、私は大人になった。そしてあした、きみの時間が動きだす。いままでごめんね、愛していると、私は花瓶に百合を挿した。水が、濁っていた。




    ブランクがありすぎていらいらしちゃうな、自分 練習です


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