うさぎちゃんは恋を知らない。51コメント

1   id:Z6cMNHF0

2012-12-06(木) 17:01:32 [削除依頼]


Rabbits are died when they are sad.


あたしに恋を、教えてください
  • 32  和奏  id:Dqs7MRL/

    2012-12-09(日) 17:17:30 [削除依頼]


    「……で、このクラスには同じ苗字の
     人はいなかったの?」

    「うん…………。」


    入学式が終わって、帰る用意を
    しながら、あたしは重くためいきを
    吐いた。


    「なになに?
     なんの話してんのー?」


    同じクラスだった翔がななきの隣の
    席から楽しそうに話に割り込んでくる。


    「ほら、翔も知ってるでしょ?
     ヒナの理想の彼氏さん像」

    「あ〜、苗字が同じ人、とかいう
     ふざけた理想だろ?」


    ななきと翔はあたしの理想を随分と
    悪く罵っている。(ののしっている)


    「どっ、どこがふざけた理想なの!?」


    ただでさえあたしは落ち込んでるのに。
    理想まで否定されて、怒りまで
    沸いてくる。


    「…だってさぁ。
     雛乃は結婚しても苗字を変えたく
     ないから、同じ苗字の人がいいんだろ?
     
     すっごいふざけた理想だろ」


    翔の言葉にななきもうんうん、と
    頷いている。

    なにをーっ!
    苗字を変えたくなくてなにが悪いっ!
  • 33  和奏  id:Dqs7MRL/

    2012-12-09(日) 17:23:02 [削除依頼]


    だってあたしは自分の苗字が大好き
    だから。

    "宇佐木"ってめっちゃ可愛いじゃん!


    「でもさぁ、同じクラスに同じ苗字の
     人がいなくてもよくない?
     他のクラスにはいるかもよ」


    あたしが不機嫌になったのを感じたの
    か、ななきが話を何気なく逸らす。


    「ダメだよ。
     
     同じクラスじゃないと接点ないから
     仲良くなれないじゃん」


    あたしが頬を膨らましながらそっぽを
    向いて言うと、ふたりが呆れたように
    ためいきを零した。
  • 34  和奏  id:Dqs7MRL/

    2012-12-09(日) 17:32:06 [削除依頼]


    「……別に同じ苗字じゃなくたって…」


    あたしが拗ねていると、
    ぽつり、と小さく翔がなにかを呟いた。


    「雛乃はなんでそんなに苗字ばっかに
     こだわるんだよっ」

    「え…。」

    翔が急に声を荒げたから、

    あたしやななきはもちろんのこと
    クラスメイトも驚いた様子で翔を
    見つめた。


    「え…と、翔……?」


    あたしは怒ったような翔を初めて見た。

    少し怖くて、声が震えた。
  • 35  和奏  id:Dqs7MRL/

    2012-12-09(日) 17:39:53 [削除依頼]


    翔はあたしが声をかけて我に返った
    ように、口元を抑えた。


    「っ悪い、俺……、」

    「しょーーーうーーーっ帰るぞー!」


    翔がなにか言おうと口を開けたとき、
    翔の友達らしき他のクラスの男子が
    空気を読まず、教室のドアの傍で
    翔に声を掛けた。


    「ほらっ、早く帰らねーと遊ぶ時間
     なくなっちまう!」

    「…お前少しは空気を読んで…」


    これまた珍しく翔が大人びた口調で
    教室に入って来た友達に冷ややかな
    視線を向けている。


    翔はそのままひきずられて教室を
    出て行ってしまった。


    「…翔が、あたしに怒ったのなんて
     初めてだよ……」
  • 36  和奏 id:y3G8xoj1

    2012-12-10(月) 18:03:46 [削除依頼]


    あたしは家に着くまで…、
    正確に言えば家に着いても尚
    眉を寄せて考え込んでいた。


     
    なんであたしは翔を怒らせて
    しまったんだろう、

    あたし、翔を怒らせてしまうような
    ことした?


    思いあたることはないけれど。

    だけど翔が初めてあんなに怒ったん
    だもん。


    きっとあたしが悪かったんだ。


     
    「…あーっ、もうわかんないよ!」

    「なぁにがわかんないのっ?」


    思わずイライラして声を張り上げた
    とき。

    リビングのソファにもたれかかって
    いたあたしの後ろから声がした。


    「ななきっ!」

    「ったく、ヒナ、
     玄関のカギ開いてたわよ。

     ちゃんと閉めとかないと変なヤツ
     が入ってくるかもしれないわよ」


    軽くおどすように言われ、あたしは
    ごめんなさーい、と肩をすくめた。
  • 37  和奏 id:m5lBVaA/

    2012-12-11(火) 17:53:54 [削除依頼]


    「相変わらずおばさんもおじさんも
     帰ってこないのね」


    しん、と静まり返った家を見回して
    ななきは少し不満気に呟いた。

    あたしは苦笑しながら
    ふたりとも仕事が忙しいから、とだけ
    言った。


     
    あたしの家は両親共働きでふたりとも
    忙しくて、なかなか顔を合わす機会は
    ない。

    あたしが小さい頃からいつもそう。
    だからあたしはよく翔の家で一緒に
    ごはんを食べたりしてたんだ。


    ななきと友達になって、ななきの
    家がお向かいさんだって
    知ってからはななきの家に入り浸る
    ことのほうが多くなったけれど。


     
    「……ねぇ、ななき。」


    しばらく沈黙があたしとななきを
    包んで。

    あたしはふっ、と口を開いた。


    「うさぎはね寂しいと死んじゃうの」
  • 38  和奏 id:m5lBVaA/

    2012-12-11(火) 18:08:37 [削除依頼]


    あたしはひざに乗せていたクッションを
    きゅっ、と強く抱きしめて。

    クッションに顔を埋めた。


     
    「寂しいの
     本当はずっとずっと寂しかったの。

     ママもパパも大っ嫌い!
     なんで二人とも家にいてくれないの?
     あたしが悪いコだから?

     
     ……みんな、あたしのことなんて
     キライになっちゃうんだ…!」


    クッションに埋めた頬に涙が伝う。

    なんで。
    なんで今更こんなこと言い出すの。


    もう諦めていたんじゃん。
    誰にも言うつもりなんてなかったのに。


    「翔のせいだ…っ、
     翔まであたしのことキライに
     なっちゃうから!!」


    そうだよ。
    翔は絶対あたしのこと嫌わないって
    信じてたのに。


    「怒ったってことはキライに
     なっちゃったってことだもん……!」


    もうヤダ。
    小さいコみたいにダダこねちゃって。

    でも言葉が、
    涙が、止まらない。
  • 39 ゆず id:prJ8I.h0

    2012-12-16(日) 15:48:20 [削除依頼]
    続きが気になる〜(>_<)
  • 40 綾那 id:dZRRaMT/

    2012-12-16(日) 19:50:45 [削除依頼]
    和奏ーー♪
    進んでるねっ^^*

    あらまっw
    翔君たら素直になればいいのに←
  • 41  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 16:50:04 [削除依頼]
    >39   続き気になっちゃう!?(   ゆずちゃんいつもコメありがとう♪   続きめちゃ気合入れて今から   すごい勢いで書き進めていくから!w
  • 42  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 16:51:50 [削除依頼]
    >40   ソラちゃん!   頑張ってソラちゃんに   追いつけるように進めるよー! 笑.   ねぇ、   翔君たら素直じゃないんだから…      翔.「すっ、素直じゃなくて     悪かったな!     好きで素直じゃないわけじゃ     ねーもん……」
  • 43  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 16:56:04 [削除依頼]


    あたしがわんわん泣き出すと、
    ななきはあたしの頭をポンポン
    撫でて優しく微笑んだ。


    「ね、ヒナ。
     明日はいつもより早い時間に
     学校行こう?

     ヒナ専用のパワースポットに
     連れてったげる」


    あたし専用の…パワースポット?

    ななきの意味深な発言にあたしは
    首をひねる。


    「じゃあ明日、7時にあたしの
     家の前集合ね。
     もちろん翔にはヒミツだからね」


    ななきは最後に
    カギちゃんと閉めるのよ、って
    言って帰って行ってしまった。


    ひとりわけがわからないまま
    残されたあたしは、また
    浮かんできた涙をはらうようにして

    自分の部屋に駆け上がった。
  • 44  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 16:58:43 [削除依頼]

    自分の部屋の窓を開けると
    お隣さんの翔の部屋が見える。

    明かりは灯っているのにカーテンが
    閉じられたままで。

    いつもはベランダに出て、
    あたしとお喋りしてくれるのに。

    まるで拒絶するかのような
    翔の初めての言動。


    「翔なんてもう知らないからぁ…!
     ……キライになっちゃうもん」


    まだ少し肌寒い春。

    あたしは窓をピシャン、と閉めた。
  • 45  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 17:02:55 [削除依頼]


    次の日になってもあたしの心は
    重く沈んだままだった。


    翔のことがキライになれるはずは
    ないし、夜中ずっと翔からの
    メールが来るのを待ってた。

    そのせいで寝不足だし
    結局メールも電話もなかったから
    更に悲しくなっちゃったし…。


    クマができた目の下をあたしは
    ゴシゴシとこすった。


    「ヒナっ、お待たせ」

    しばらくするとドアが開いて
    可愛い洋館風の一軒家からななきが
    出てきた。


    「ななきぃっ!」

    あたしは今一番頼りになる
    目の前の親友に力いっぱい
    抱き着いた。


    「はいはい、行くよー」

    ななきはあたしをひきずりながら
    いつもより速く歩を進める。


    あたしはその背中を追いかけながら
    隣の家を振り返った。
  • 46  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 17:06:51 [削除依頼]


    着いた先は言うまでもなく学校。


    まだ朝早い時間帯のせいか、校門は
    固く閉じられたまま。


    昨日は華やかだった高校も、今日は
    ウソのように冷たく静か。


    「ね、ななき。
     学校にこんな早い時間にきて
     どうするつもり……」


    あたしがななきに話しかけたとき、
    カシャン、と音がして。


    「なっ、なな、ななき!?」

    軽々と正門を飛び越えるななきの姿。

    わぁっ、さすがスポーツ万能な
    あたしの自慢の親友!

    …じゃなくって!!


    「ななきっダメだよ危ないよ!?」

    「なにしてるのヒナ、
     ヒナもはやくのぼっておいでよ」


    あああ、あたしもですかぁっ!?
  • 47  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 17:11:47 [削除依頼]


    あたしはななきにおいて行かれる前に
    慌てて正門を乗り越えた。

    半ば落ちるような形で。

    ななきが支えてくれたおかげで、
    かろうじで、幸いにもあたしにケガは
    なかった。


    「さ、行くよ」

    「えぇっ、待って待って!
     今度はどこに行くっていうの〜っ!」


    ななきは今度は校内とは逆の方向へ
    歩いていく。


    「なに言ってるの、
     こんな時間に生徒玄関が開いてる
     わけないでしょう」

    「いっ、いやそうだけどさぁ…」


    正門だって開いてなかったのに
    無理矢理飛び越えたのダレですか。


    そう思ったけど、ななきがいきなり
    足を止めたからあたしはそのまま
    ななきの背中にぶつかって。


    「きゃわっ!!
     …ったぁ、
     ななき急に止まんないでよぅ……」

    「ついたよ」

    「え、どこに」


    あたしがななきの背中から顔だけ
    だしてななきの指差す方を見ると…。


    「うわぁっ!」
  • 48  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 17:25:12 [削除依頼]


    真っ白でふわふわな毛並。
    赤いルビーみたいな瞳。
    ぴょん、と伸びた長い耳。


    「かっわいい〜っっっ!」


    あたしのパワー源と言っても過言ではない、
    その大好きで愛してやまない小動物。


    「うっさぎちゃんだぁっ!」


    あたしはうさぎちゃんが入れられている
    サークルに駆け寄った。
  • 49  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 17:29:36 [削除依頼]


    あたしの声に驚いたのか、
    眠っていたうさぎちゃんたちも薄目を
    開けた。


    あたしがサークルのフェンスの間に
    指をつっこんで凝視していると
    うさぎちゃんたちは怯えたように
    一目散にぴょんぴょん跳ねて、

    あたしと距離をとる。


    だけどそんな姿もなんとも愛くるしい。


    「さっわりたいよぅ〜!」


    あたしが顔をフェンスに押し付けて
    じたばたしていると、
    横からクローバーがにゅっ、と
    伸びてきた。


    「そんなんでうさぎが寄ってくる
     わけないでしょーが。

     このこら、朝ごはんまだもらってない
     みたいだしクローバーあげたら
     近づいてくるんじゃない?」


    実に興味なさげに、ななきは
    クローバーをフェンスの間につっこんで
    見せつけるようにゆらゆら揺らす。


    すると本当にうさぎちゃんたちが
    ぴょこたんクローバーのまわりに
    集まってきた。
  • 50  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 17:32:26 [削除依頼]


    ふんふんと匂いを嗅いだかと思うと、
    我先に、とクローバーにかじりつく。


    「かっわいいよぅ〜!!」


    あたしもクローバーをむしりとって
    フェンス越しにちろちろ揺れしてみる。

    そっ、とサークルのなかにいれると
    数匹のうさぎちゃんたちが寄ってきて
    ぱくん、ぱくん、と食いつく。


    「食べてる食べてる!」


    あたしがキャッキャッ言っていると
    ななきがスカートについた砂を
    はらいながら立ち上がって笑った。


    「やっぱり元気になると思った」


    ななきのその言葉で、あたしはようやく
    さっきまで自分が翔のことで
    落ち込んでいたことを思い出した。
  • 51  和奏 id:vnvoYF8.

    2012-12-17(月) 17:37:52 [削除依頼]


    「ヒナってホントにうさぎ好きよね。

     この学校の理事長も大のうさぎ好き
     らしくてさ。
     この学校のパンフレットにも
     うさぎ飼ってるって書いてあったの」


    志望動機が"幼馴染がいるから"という
    なんとも単純な理由で推薦入学
    してしまったあたしはそんなこと、
    もちろん知らなかった。


    「しかもこの学校にいるうさぎたちは
     全部同じ種類らしいし。
     
     ヒナもこの種類が一番好きじゃ
     なかったけ?」


    ななきの説明にあたしは何度も頷く。


    「ここの理事長もうさぎちゃんを
     溺愛しすぎて、うさぎの世話も
     自分の息子にだけ任せてるんだって」


    ふわふわとした柔らかな毛並。

    こんなに愛されてるうさぎちゃんなら
    あたしにもすぐ懐いてくれるに
    違いない。


    あたしが
    "その息子さんってこの学校の生徒なの?"
    と聞こうとしたところで
    朝のHRも告げるチャイムが鳴った。

    いつの間にかそんな時間になってた
    みたい。


    あたしは名残惜しくも、その場を
    あとにして、また明日来ることを
    宝石色の瞳に誓った。
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