青春シンドローム144コメント

1 羽紘 id:kyLjRAA.

2012-11-27(火) 20:34:02 [削除依頼]
言葉は、うそつきだ。
文字にしたら、ただの線になってしまうだろ?

思いは、薄情だ。
声に出したら、ただの空気になってしまうだろ?

ならどうすれば、キミにこの想いが届くのだろう?
言葉に表しきれないこの思いを

どうしても、伝えたいよ。
  • 125 羽紘 id:rZ0Mqhq1

    2013-03-09(土) 18:07:01 [削除依頼]
    「は? …はぁ?」
    それが、愛しい愛煌の率直な感想だったらしい。
    愛煌は続ける。
    「なにを…貴方、何言っちゃってるんですか!?」
    ころころと変わる表情に俺は戸惑いつつ、しかし素直に返事をする。

    「いや、だって…なんとなく、そうかなって」
    「バカも休み休み言いやがれってんですよ、この沢木さん野郎っ」
    「沢木さん野郎ってそれ罵倒なのか…!?」
    「そんなのどうだっていいでしょう! 重要なのは…友達とか、何突拍子もないこと言ってやがるんですかってことです!」
    「えー…」

    それに対しても素直に、「えー…」だった。
    自分なりに割と真面目に、かつ的確に事を整理できていたと思っていたからだ。
    あと、傷ついていいのかなんなのかよく分からない罵倒に関しても言及は認められないということに俺はショックを隠せないのだ。
    いや、後者にそこまでこだわる必要もないのだけれど。
  • 126 羽紘 id:rZ0Mqhq1

    2013-03-09(土) 18:26:06 [削除依頼]
    「な…なら、なんなんだよ? お前は一体全体、俺に何を言いたいんだ?」
    鎌を掛けることが得意ではない俺は、素直に、というか馬鹿正直に思ったことを聞く。
    すると、
    「あぅ」
    墓穴掘った、みたいな表情をされた。
    これまた「えー…」である。

    なんと理不尽な……今まで気づかなかったことだが、愛煌という少女は感情の起伏がやけに激しいようだ。
    よくも今まで隠してきたものだ、と思うほどに、感情も表情もコロコロと変わる。

    なんて考えていると、
    「…友達になんか、なりたくありませんよ」
    静かな声が耳に届いた。

    これには、「えー…」と言えなかった。
    素直に、ショックだった。
  • 127 羽紘 id:rZ0Mqhq1

    2013-03-09(土) 21:43:52 [削除依頼]
    「だって、さっき言ったこと…嘘、ですから」
    既に。
    思考が上手く働いていなかった。
    でもそれを悟られるのも、なぜか避けたかったのは本音だ。

    だから、
    「嘘、っていうのは」
    さっき言ったこと、というのは。
    なんだ――…そう、虚勢を張った。
    虚勢というか、むしろ空元気…だったのかもしれない。

    それだけショックだったのだろう。
    自分でも驚く程に自分は、彼女に否定されたことにショックを受けていた。
    前はあんなにも―平気ではないにしても―そこまで悲しくもなく、辛くもなかったのに。
    なまじ近づけただけに、傷つきやすくなった…のだろうか。
    それとも。
    近づけたと思っていたのは、そもそも一方的な俺の、希望的観測に過ぎなかったのだろうか。
  • 128 羽紘 id:rZ0Mqhq1

    2013-03-09(土) 22:14:26 [削除依頼]
    「…嫌いじゃないって言ったの、…あれ、嘘です」
    「っ!」

    ショックを受けた。
    と言えば、まだ優しい表現だったのかもしれない。
    正しく言うならば、衝撃を受けた。
    ストレスを感じた…と言っても、過言ではないのかもしれない。
    過言では済まされないのかもしれない。

    それほどに彼女の言葉は、
    俺という人間にとって重みのあるものだったのである。
  • 129 羽紘 id:rZ0Mqhq1

    2013-03-09(土) 22:27:55 [削除依頼]
    完全なる失恋…だったのだろう。
    もちろん恋を初めて経験した俺が、失恋を経験したことがあるはずもなく。
    これが正真正銘、初失恋ということになるー…。

    なんていう風に俺がネガティブになっているとは微塵とも思っていない愛煌は―だからこそなのだろうが―顔を伏せながら言った。
    「嫌いじゃない…じゃないです」
    また言うのは嫌がらせか、なんて思わなかった。
    思えなかった。

    なぜなら、表情こそ見えないものの。
    髪の間から見えた彼女の耳が。
    尋常ではないほどに、真っ赤だったから―だ。
  • 130 羽紘 id:fF/xR8T1

    2013-03-10(日) 11:01:08 [削除依頼]
    「あき…ら?」
    正直、意味がわからなかった。
    と言っても、あまり考えられなかったのが実の正直なところだ。
    このタイミングで赤くなるというのは…
    不謹慎だと思うより先に、不可解だった。

    そして愛煌は。
    俺の想像を遥かに超える事を、言葉に詰まりながらも言うのだった。

    「私は…好き、ですよ…? …だ、だから友達になんか、なりたくな…い、ですっ」

    「え…?」
    あまりにも彼女が顔を赤くするものだから、嘘だと疑うこともできなくて…
    …え? じゃあ何? 俺、いま、告られた…の?


    え。
    「えぇぇぇえええ!?」
    屋上に絶叫が響き渡った瞬間である。
  • 131 羽紘 id:fF/xR8T1

    2013-03-10(日) 11:30:09 [削除依頼]
    頭が上手く回らない。
    どころの話じゃなかった。
    急展開…もとい、超展開である。

    俺の絶叫に驚いたのか「わぁっ」と短く言い、耳を咄嗟に塞ぐ愛煌。
    「な、急に叫んでんじゃねーですよっ!」
    「だ、だって愛煌…お前、さっき、なんて」
    「もっ、もう一度言わせる気ですか!?」
    あたふたと赤面しながら慌てる愛煌は、まさに恋する乙女のそれで…いや、それをリアルで見たことはないからよくは分からないが、少なくとも俺がやるようなゲームのキャラは、こんな表情をしていた気がする。

    まじか。まじかこれ。俺の時代きたのか。
    すぅー…はぁー…。
    「え、と。なんです、hshsしてるんですか?」
    「深呼吸だよ!? 真っ当で健全な深呼吸だよ!?」
    このタイミングでボケてくるとは予想外だった。
    予想の斜め上だった。
  • 132 羽紘 id:fF/xR8T1

    2013-03-10(日) 13:16:41 [削除依頼]
    しかし本人としては半分本気だったのか、?マークを頭上に浮かべていた。
    それこそ意味がわからないが。
    だがまぁ、そのおかげか落ち着くことができた。
    …愛煌が、俺のことを…好き。
    夢みたいだ…まさに、夢物語だ。

    信じられない。喜びより先にそんなことを思った。
    でもきっと、それは本当で…彼女の本心で。
    だから俺は、信じるしかないと思った。
  • 133 羽紘 id:fF/xR8T1

    2013-03-10(日) 13:28:02 [削除依頼]
    「愛煌、あ、ありがとうっ! うれっ、嬉しい…っ」
    噛みまくってしまった。
    沢木理人は意外とテンパりやすい子だったようだ…。
    軽くショックを受けた気がするが、気にしないようにする。

    愛煌は髪をくるくるといじりながら、
    「嬉しい、と言うのは…その、どう言う意味ですか」
    と言った。

    これは、あれか。告白の返事をしろ…ってやつか。
    ま、まさかこの俺がこんな経験をすることになるとは…。
    緊張のせいか、喉の奥が痛いほどの乾いてしまう。
  • 134 羽紘 id:fF/xR8T1

    2013-03-10(日) 13:46:58 [削除依頼]
    「俺も、好きだっ。これからも、ずっとー…っ」
    心からの気持ちだった。
    だから、「大好きだ」そう言った。

    自分も真っ赤になっている自覚があった。
    異常なほどに汗をかいている気がするし、喉の奥は熱いし、沸騰しそうだった。
    それでも、気持ちを伝えた。
    精一杯をやりきった。
    彼女は、今まで見たことのないような、明るく優しい笑顔をしながら、言ったー…。

    「そうですかっ。ところでさっき言ったの嘘ですよっ」

    「え」
    一瞬の沈黙。
    そして…
    「えぇぇええええぇええ!?」
    本日二度目の絶叫である。
    とんだ裏切りだった。
  • 135 羽紘 id:fF/xR8T1

    2013-03-10(日) 13:57:23 [削除依頼]
    「嘘って…嘘だろ!? 何そのどんでん返し!」
    例によって例の如く耳を塞いでしまった愛煌だったが、渋々、といったようすで答えてくれた。
    「だから、嘘ですってば。そのまんまの意味ですー」
    「さ、さっきまでのは演技だったというのかーっ」

    衝撃だった。ある意味では。
    なんだこれ、なんの罰ゲームだ。
    俺だけなんか恥ずかしいじゃないかっ。

    と思っていると、愛煌は悪戯っぽく笑うのだった。
    「ふふっ。…えぇ、嘘です。ホントはー…」
    にこっと、小さな子供のような無邪気な笑みで。
  • 136 羽紘 id:fF/xR8T1

    2013-03-10(日) 14:02:20 [削除依頼]
    愛煌は。

    「好き、じゃなくて、大好き、ですからっ」

    そう、言ったのである。
  • 137 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 17:26:47 [削除依頼]
    後日談というか今回のオチ――と言うと、某物語感が否めないが、今回のオチ。

    屋上での一件があった後、もちろん俺たちは教室に戻った。
    そして二人で謝った。
    クラスメイト全員に。
    まずすべきは、今までの非礼を詫びることだと考えたから、である。

    そしてそれは功を奏した。
    もとからあんなもの、『なんのなく』の塊だったのだから。誰も本気で誰かを傷つけたいわけではなく、なんとなく皆に合わせているだけなのだから。
    もとを絶てば、消えるのなんて当たり前なのだ。
    つまり、愛煌のことを嫌いだった人間なんて、もとよりいなかったのである。
    誠意を表せば、それなりの反応がもらえるのは至極当然なのだ。
  • 138 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 17:43:45 [削除依頼]
    クラスメイト達は少し困った風に苦笑いし、対応に困りながらも、愛煌を迎えいれてくれた。
    こっちこそ今までごめんね、とまで言われていた。
    逆に怖いくらいに、予想以上の順調快調だった。

    それぞれが複雑な思いを抱いつつも、気を遣いながら傷つきながら、それでも親睦を深める。
    それが今の愛煌を取り巻く環境であり、人間関係を如実に表すそれだった。
  • 139 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 17:55:26 [削除依頼]
    愛煌はよく笑うようになった。
    人前でも笑い、完全ではないにしても、素の自分をさらけ出すように努めていた。
    とても喜ばしいことである――と同時に。
    彼女が頑張っているのだから、俺も頑張らねばと思った。

    「別に沢木さんは頑張らなくてもいいですよ。私は勝手に青春しますけどー」とは、ニヤついた彼女談。
    負けてられねー、と思った。
    だから頑張ることにした。
    つーか、彼女が頑張ってるのに彼氏が頑張らないとか、ないなと思ったのだ。
    俺も愛煌に習い、他人とふれあい、関わるよう努めることにした。
  • 140 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 18:07:08 [削除依頼]
    親友は言った。「神田さん、変わったね。リヒトのおかげかな」と、笑顔で。
    幼馴染は言った。「キリは、やっぱり変わらないわね」と、いつもどおりの無表情で。
    俺にしてみれば、なんのこっちゃという感じだった。

    愛煌は確かに笑うようになった。皆に話しかけるようになった。
    でもそれは、もとより彼女が持っていたものだ。
    今まで隠していただけで――それを表に出すことを変わったというのなら、そうなのかもしれないが。

    しかし俺が変えた、というのは、勘違いも甚だしいというものだろう。
    俺は自分のしたいことを、したいようにしただけなのだから。
    確かに俺がキッカケになったかもしれないが、結局は愛煌の意志だったのだから。
  • 141 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 18:15:32 [削除依頼]
    そして。
    俺が変わらない…というのにも、納得ができなかった。
    変わっただろうと。ものすごく変わっただろうと。
    そう苦言を呈したいぜ。

    中学の頃の俺はただのギャルゲーオタ…でもなかったけど、くだらない空っぽな奴だった。
    朝城みたいに客観的に、的確に物事を見ることなんかできないし。
    夕姫みたいに人とは違う、優しくて綺麗な世界を見ることもできない。

    今もできないことは多いけど…。
    それでも、前よりは頑張ろうって思うようになったのだ。
    前へ踏み出し、歩もうと――空っぽなのはもう嫌だと、思うようになったのだ。
    これを変わったと言わずに何と言う、と思うのだ。
  • 142 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 18:25:44 [削除依頼]
    沢木理人に神田愛煌が与えた影響は、膨大だった。

    彼女は恋を、愛を、好きをくれた。教えてくれた。
    こんなにも温かいものをもらったのだ。変わらないはずがないじゃないか。
    彼女が俺を、変えてくれたのである。
  • 143 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 19:34:24 [削除依頼]
    ―…さて、ここからはおそらくの話。
    未来のお話。

    きっとこれからはもっと大変なのだろう。
    頑張ることが多くて、辛くて悲しくて、嫌になることも多いのだろう。

    それでも、彼女が隣にいてくれるのならば。
    俺はきっと、頑張れる。彼女のためになら、きっともっと頑張れる。
    愛煌が好きだから。大切で大事で、かけがえのない存在だから。
    だから頑張れると、俺は思うのだ。

    彼女とともに、何があっても。
    嫌なことがあるなら、嫌じゃなくせるように。
    何があっても助け合って笑い合い、

    これからもずっとずっと、青春を謳歌していくのだろう。

       青春シンドローム
  • 144 羽紘 id:aBIltk81

    2013-03-11(月) 21:31:52 [削除依頼]
    〜あとがき〜
    さてさて、これにて勘違い鈍感バカ正直男のお話は終わりです。
    皆様お楽しみいただけたでしょうか?

    ではここで謝辞を。
    作者の拙い駄文にここまでお付き合いいただき、嬉しく思うとともに感謝しています。
    ここまで読んで下さり、本当にありがとうございましたっ!

    というわけで、ここらで締めさせていただきます。
    それでは皆さんご縁があれば、またいつか。

    ちなみに。今回のオチってことは、
    今回じゃないオチもあるっってことですよん( *`ω´)w
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