小さな王11コメント

1 シャウラ id:XItbZ5c0

2012-11-24(土) 17:34:26 [削除依頼]

序章

「どーしてぼくはだめなの、おとーさん。
ぼくもいきたい。
ぼくもいっしょにつれてってよ」

「だめだ、前にも言ったはずだぞ。
お前を連れて行くわけにはいかない。
これは遊びとは違うんだ。
利口なお前ならば、分かるな。

……幸せになれ、レグルス」

「やだ……やだよ。
ぼくにはわかんないよ、おとーさん!
いかないで!
ぼくさみしいよ!
おとーさん、おとーさーん!!」

「……っ」

まだ幼い我が子に背を向け、振り返ることなく歩く男の名は、アルデバラン。
かつて名君と呼ばれ、ある小さな王国に君臨していた王だった男。

その父の背に声を向け、泣きじゃくる小さな男児。
まだ四歳にも満たない、アルデバランの一人息子「レグルス」。
今にも走って父の後を追おうとする小さなレグルスの肩を、かつて父の臣下だった者たちが捕まえる。
彼ら臣下たちは、アルデバランにきつく言われていた。

『決して息子に、私の後を追わせないでくれ。
私のことなど忘れて幸せになるよう、私の代わりにお前たちがレグルスを見守ってやってくれ。
私はもう、あの子の元に戻ることなどできないから。
――すまない』と。

臣下に押さえられ、父が離れてだんだんと見えなくなっていく姿を、レグルスはただ見つめることしかできなかった。
どうして父が自分を置いていくのか、幼い彼には分からなかった。
ただ泣いて父を呼び止めることしかできず、それでも父は止まらず――。

無情な別れから、それでも月日は流れていく。
  • 2 のろ id:Z5kP9R11

    2012-11-24(土) 18:54:29 [削除依頼]
    初めまして♪
    更新、楽しみにしてますっ!
    頑張って下さいねー(>∀<)
  • 3 シャウラ id:XItbZ5c0

    2012-11-24(土) 19:00:26 [削除依頼]

    一章

    「……ス様、レグルス様」

    「んー……」

    肩をゆすられ名前を呼ばれ、色白の少年は夢うつつにうっすらと目を開く。
    まぶたが重いのは、まだ睡魔が抜けていないから。

    いつもと同じ、斑模様が浮かぶ木目の天井が見えると、なぜだが安堵するのと同時に少し寂しかった。
    ここはいつもと同じ場所。
    すすけた天井や雑多な家具がいくつか並ぶ、小さな彼の部屋だ。
    簡素なベッドに寝そべったまま、寝起きのレグルスは辺りを見回す。

    翡翠のようなグリーンの瞳をぱっちりと開くと、黙々とベッドの横を整理している男に視線を向けた。
    まだ少し頭がぼーっとするが、それが誰であるかくらいは彼にも分かった。
    朝一番にレグルスの世話をしに来る男は、いつも決まっている。

    「……おはよう、ベガ」

    「はい。おはようございます、レグルス様」

    柔和で温厚そうな笑みを浮かべて、「ベガ」と呼ばれた若い男は軽く会釈した。
    年の頃は二十三歳。
    レグルスともっとも歳が近く、それでいてもっとも彼のことを理解している臣下である。

    レグルスは、十七歳になっていた。
  • 4 シャウラ id:XItbZ5c0

    2012-11-24(土) 19:01:10 [削除依頼]

    のろ様

    ありがとうございます。
    コメントがとても励みになります!

    頑張りますね。
  • 5 ぽむ(・U・●) id:5wIlFaa0

    2012-11-24(土) 19:01:38 [削除依頼]
    続き楽しみにしてます>>
  • 6 シャウラ id:XItbZ5c0

    2012-11-24(土) 19:10:39 [削除依頼]

    ぽむ(・U・●)様

    ありがとうございます。
    更新遅くて申し訳ないです…

    よろしくお願いします。
  • 7 マイクロ id:CKVbVoW1

    2012-11-24(土) 19:15:15 [削除依頼]
    文の繋ぎ方すげぇうまい、うらやましいわ
    更新楽しみにしてる。
  • 8 ぽむ(・U・●) id:5wIlFaa0

    2012-11-24(土) 19:19:05 [削除依頼]
    いえいえ>>
    無理せず、更新してくださいな∩ω∩
  • 9 のろ id:Z5kP9R11

    2012-11-24(土) 20:14:02 [削除依頼]
    ベガ、登場っ!!
  • 10 シャウラ id:XItbZ5c0

    2012-11-24(土) 20:30:15 [削除依頼]

    コメントをたくさん頂けてとても光栄です。

    まだまだ初心者のシャウラですが
    よろしくお願い致します。
  • 11 シャウラ id:XItbZ5c0

    2012-11-24(土) 20:47:23 [削除依頼]

    「ふあぁ……」

    大きなあくびを一つして、もぞもぞとベッドから這い出る。
    十七歳といえばもう立派な青年だが、元から華奢で色白だったせいか、レグルスは「少年」と呼んでも差し支えないほど幼く見える。
    背は小さく体の線も細い。
    顔立ちにはそれなりに男らしさも出てきたが、グリーンの瞳は昔と変わらず、大きく輝いていて美しかった。
    ベガもよく言ってくれる。
    わたくしはレグルス様のその美しい瞳が好きですよ、と。

    「まだお眠いですか?」

    「ん、ちょっとね……まだ眠いや。
    でも大丈夫、もう起きるよ。
    早起きのみんなに負けてられないしね」

    くすくすと楽しそうに笑うベガに、レグルスはまだとろんとした目で笑って見せる。

    ――ここは、とある王国のとある森にある小さな屋敷。
    ここに住んでいるのは、何もレグルスとベガだけではない。
    十四年前、レグルスの父アルデバランが残していった臣下たちが、幼かったレグルスと共にひっそりと暮らすための屋敷だ。

    屋敷と言ってもそんなに広くはなく、住んでいる者はレグルスとベガを含めてもたった六人しかいない。
    でもだからこそ今日まで他の誰にもここの存在を知られず、ひっそりと平和に暮らしてこれたのである。

    レグルスはまた小さく、あくびをした。
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