氷河のチロ17コメント

1 二番機 id:0bjOBii.

2012-11-24(土) 02:10:11 [削除依頼]

  植物や動物を愛する人たち へ


  氷河の子を むかしの のろい から
  救うために 力を 貸してください!

  返事を待っています。


   スイス バーゼル
   ***地区 335

   シドニー・L・クレヴィング
   ローラント・A・クレヴィング
                   』
  • 2 二番機 id:0bjOBii.

    2012-11-24(土) 02:16:33 [削除依頼]
    スイスの少年二人が出会った、ひと夏の小さくて大きな冒険の物語です。
  • 3 二番機 id:0bjOBii.

    2012-11-24(土) 02:54:22 [削除依頼]

    1.スーステン峠

     シドにも、数時間前に下の谷を出発した頃の元気は残っていなかった。遠くに切り立ったアルプの高山が顔を覗かせる峠道の横に、弟のロンと並んで座り込んでいた。草むらには二人の自転車が横倒しになっている。観光バスが騒がしい音をたてて坂道を通り、その後を車が数台、一団となって追っていく。へとへとになったロンは、リュックサックをまくら代わりにして草むらで仰向けになっていた。
    「まだ先は長いの?」
     雲一つない青空を見上げながら、ロンが尋ねた。
     シドも、口には出さなかったけれど、頭の中では同じことを考えていた。何も言わなかったのは、弟を不安にさせたくなかったからだ。
     自転車で上ってきた緑の谷が、ここからはずいぶん下のほうに広がって見えた。
     シドは、父さんたちから14才と12才の自分たち兄弟に、一週間にわたるこの自転車旅行を許してもらうまでの苦労を思い出していた。
     旅行の事は何から何まで、父さんたちに相談しなければならなかった。旅行のルート、宿泊、リュックサック、寝袋とか、本当に何から何まで。最後に父さんは特別に軽いミニテントを買ってくれた。そして一日一回、必ず家に電話をするという約束で、やっと許しが貰えたのだった。
    「兄さん、僕たちが行かなかったら、ユースの人、どうすると思う?」
    「心配ないよ。ふたり分、余裕ができてかえって喜ぶさ」
    「あーあ。計画通りに動いておけば、今頃はゲルサウのユースでのんびりで出来たのになぁ」
     ロンが不満げに呟いた。
     計画通りなら、ふたりは今日、ルツェルンで自転車に乗り換え、湖に沿ってゲルサウへ向けるはずだった。母さんがそこのユースホステルを予約してくれていた。青少年向けの安い宿の事だ。
     立て続けに、バスが三台、峠を登ってゆく。エンジンの音が遠ざかると、シドがぽつんと言った。
    「今日は7月25日、月曜日。今夜は満月だ。初めてのテントの夜が満月だとはね」
    「どうして?」
    「僕の手帳に載ってるからさ、月の満ち欠け」
    「そうじゃなくて」
    「え?」
    「干し草小屋でも見つかるかもしれないよ」
     ロンは小さなテントで寝ることを思うと、あまりいい気持ちがしなかった。
    「何言ってるんだ。氷河のそばに干し草小屋があるわけないじゃないか」
    「本当にシュタイン氷河まで行けると思う?」
    「ああ。あと、ほんの10キロぐらいだよ――――」
    「でも、ずっと上り道でしょ?」
     ロンはため息をついた。
  • 4 希罪 id:XcJkBSO/

    2012-11-24(土) 08:35:54 [削除依頼]
    絡むのははじめまして……でしょうか?
    いや、久しぶりです?
    前から存じていました。
    何やら面白そうな香りがプンプンしているので
    読者にならせていただきますw
  • 5 二番機 id:6sh3QGc.

    2012-11-26(月) 00:30:44 [削除依頼]
    >>4 そんなに匂いますかねぇ… お風呂には毎日入ってるつもりですが(笑) ありがとうございます。励みになります。
  • 6 二番機 id:6sh3QGc.

    2012-11-26(月) 01:05:54 [削除依頼]
     シドが氷河に寄ろうと思いついたのは、今朝、バーゼルからルツェルンに向かう列車の中での事だった。地図を広げてみると、思った通り、近くに氷河があった。
     スーステン峠の、シュタイン氷河。
     見たところ、登山者でなくても氷河まで行けそうに思えた。
     初めの計画では、サンタゴール峠を超えてティチーノへ出ることになっていた。父さんたちが二週間ほど、ティチーノで休暇を過ごすからだ。遅くとも週末には、父さんたちとティチーノで合流する約束だった。
     どうして、氷河を見たくなったんだろう? 列車の中で、シドはそのことも考えた。
     あれは遠足でルツェルンに行った時の事。氷河博物館で、『氷河に覆われたスイス』という教育映画を観た。大昔の氷河期の話だったけれど、国中が分厚い氷に覆われていたなんて、思ってもみなかった。シドはずっと、そのことを忘れられずにいた。
    「おいロン、寝てるのかい?」
     ロンは伸びをして、体を起こした。
    「氷河が少しずつ小さくなってるって、知ってる?」
     シドが弟に尋ねた。
    「知らないよ、どうだっていいさ。そんなことより、二千メートルもある山の上まで何時間も自転車を押していくなんて、もうこりごりだよ」
     シドには返す言葉がない。自転車を起こしながら、ロンがまた言った。
    「スーステン峠を自転車で越えようなんて、まともな人間の考える事じゃないね」
    「それはそうと、ちょっとお金を使いすぎたな」
     兄は話題を変えようとしたが、ロンは少しも取り合おうとしない。
  • 7 二番機 id:6sh3QGc.

    2012-11-26(月) 01:40:25 [削除依頼]
     ふたりはまた、自転車を押し始めた。出来るだけ道路の端に寄って進みながら、絶えず車のエンジンの音に耳を澄ましていた。道が狭く、急だったので、車が来ると、どの辺で追い越されるか、あるいはすれ違うかの見当を着けなくてはならなかった。
     ふたりは汗だくになり、少しずつ。少しずつ。峠を登ってゆく。ロンは快適な列車の旅を思い返していた。シドの方は、買ってきたものを頭の中でチェックしていた。必要なものが何か欠けているようで、何だか落ち着かない。僕たち二人だけの旅は初めてだからさ、そう、それだけの事さ、と、自分に言い聞かせてみた。
     シドは次の村で少し食べ物を買っておくことにした。峠を登るので、重たくなるといけないから、余計な荷物は持って来なかったのだ。それに早いうちに家に電話を入れて置きたかった。氷河まで行ったら、電話ボックスが見つかるかどうかも分からない。シドは立ち止まると、自転車を腰に持たせ掛け、地図を開いた。峠の上に一つ、氷河の前に一つ、小さな集落の記号がある。たぶん食料品屋が一件ぐらいならあるだろう。
     そのうち、小さな白い教会が見えてきた。幸い、その小さな村には店が一件あった。ふたりは自転車を入り口に停めると、漕ぎ過ぎて棒のようになった足を引きずりながら店に入った。パンとチーズ、それにゆで卵とソーセージを買った。ロンが、棚に置いてあった絵はがきにすっと手を伸ばした。
    「これ、家に出さない?」
    「バカ、ここの消し印で、僕たちの居る所がばれちゃうだろ!」
     弟は残念そうに、絵はがきを元の棚に戻した。
  • 8 二番機 id:6sh3QGc.

    2012-11-26(月) 14:21:18 [削除依頼]
     村を出て、さらに三十分ほど登っていくと、だんだん木がまばらになり、あたりは寂しい岩地へと変わった。
    「あとどのくらい?」
     ロンは何べんも同じことを聞いた。
    「もうそう遠くないよ。2、3キロぐらいさ」
     そうは言ったものの、シドにも、道がいよいよ険しくなってきたように思えてならなかった。山肌は荒く、岩はごつごつ、突き出ている。おまけに峠道には、さっきまで無かったガードレールが付いている。
     ロンは小川を見つけるたびに、立ち止まって休みたかったが、シドは、弟を励まして先を急いだ。地図を読み間違えたのではないかと、不安になってきていたのだ。午後すぐに出発したのに、未だに上り道が続いている。
     やがて木はすべて無くなり、くねくねと蛇みたいにうねる道が細い道が、急な斜面に見え出した。この道の事を、シドは地図で見て知っていた。そこで、弟を元気づけるために言った。
    「もうすぐだよ。あのカーブを過ぎればトンネルがある。それを抜ければすぐに頂上のはずだよ」
    「ホントに?」
    「ああ。着いたら、食堂で少し休もう」
    「で、そのあとは?」
    「シュタイン氷河まで一気に下るだけさ」
     ロンは、足を引きずるようにして坂道を登っていた。いまにも倒れそうだった。シドは、二、三歩進んでは、ロンの方を振り返り、考えた。
    「やっぱり頂上までにして、先に行くのは諦めよう。きっとそこに安く泊まれる所があるさ」
  • 9 かむこ id:rFYrkbF.

    2012-11-26(月) 19:51:37 [削除依頼]
    これ絶対面白いって思ってクリックしたら期待通りでした
    初めてのおつかい的な危なっかしさとかいいですね!
    1レスのお手紙にも惹かれます
    しかも二番機さんなら完結してくれるっていう安心感 迷うことなくブクマしましたb
  • 10 二番機 id:ifoMrrO1

    2012-11-27(火) 20:56:30 [削除依頼]
    >9 おっと、これでもう放棄できなくなりましたね(笑) 冗談です。ありがとうございます。
  • 11 ドナドナ♪ id:LArZGVe.

    2012-11-27(火) 22:17:00 [削除依頼]
    あっ!二番機さん!
    覚えていますでしょうか?
    小説の復元をお願いした事が
    あるものです。
    面白そうですね!
    頑張って下さい(^ ^)
  • 12 はちみつレモン id:YFX1nKD/

    2012-11-28(水) 16:50:01 [削除依頼]
    すごくおもしろいです!
    更新がんばってください!
    この先どうなるのか、とっても楽しみです!
    また来ます(°v°)ノシ
  • 13 二番機 id:DbJ2O78/

    2012-11-29(木) 01:11:57 [削除依頼]
     道の右側に小さな夏スキー用のリフトがあった。ふたりはそこでしばし立ち止まる。リフトは動いていたけれど、スキー客は一人も見当たらない。
    「誰も乗ってないリフトなんてナンセンスだな」とシドが言っても、ロンはへとへとで、返事をする元気もなかった。
    夕方が近づいている。ふたりは再び歩き出し、まもなく頂上に向かうトンネルに差し掛かった。
    「先に行くか?」
     シドは弟に声を掛ける。
     ふたりは、出口から差し込む光を見つめながら、トンネルの壁づたいに進んだ。
     頂上に着いた時には、ロンはふらふらで、立っているのがやっとの状態だった。シドは弟のリュックを自転車から外してやり、自分のリュックを背に、弟のを胸に掛けた。ロンは兄についてよろよろと食堂に入ると、空いていた長いすの上に沈むように座り込んだ。
    「アイスココアを二つ、お願いします。……ロン、それでいいよな?」
     シドが訊ねたとき、ロンはすでに頭をテーブルに載せて眠り込んでいた。
     弟をそのまま寝かせておいて、シドはまわりをぐるっと見回した。いろいろな国の言葉が入ってくるだけでも、ここは随分気晴らしになる。
  • 14 二番機 id:DbJ2O78/

    2012-11-29(木) 03:12:43 [削除依頼]
    すみません。続きは冬が終わってから投稿します
  • 15 二番機 id:lEt8La4.

    2012-12-20(木) 19:42:55 [削除依頼]
    投稿できるかどうかのテストを兼ねて。
    この小説、ノートでは既に完成しています。
  • 16 二番機 id:lEt8La4.

    2012-12-20(木) 19:48:28 [削除依頼]
    投稿エラーは解除されたようです。
    しかし準備板で質問したところ、まとめて投稿した方が嬉しいとのご意見を頂いたので、その路線で行きましょう。
  • 17 二番機 id:XytOqSF0

    2013-01-05(土) 17:12:14 [削除依頼]
    投稿不可の為、新しくスレッドを作りました。
    スレ番は1357372970です
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