キャラクターランクメーカー8コメント

1 絵の具セット id:i-eWxiH531

2012-11-20(火) 18:43:57 [削除依頼]
かつて科学の力を屈し、社会の進歩を途絶えさせることなく支え続けてきた人類。
キッカケの女が生まれ落ちてから数年、科学を要する人間と異能を要する非人間との力量の差が
平和を望む世界と欲望を望む世界との壁をぶ厚く膨張させる結果となってしまった。
そんな現況を打破すべく考案されたのが、科学の力で異能の力を計測し管理する、キャラクターランクメーカーであった。
  • 2 絵の具セット id:i-eWxiH531

    2012-11-20(火) 19:48:14 [削除依頼]
    第一章 TUNAGU

    大通りの交差点に雑踏する人間の防壁をするり抜けて、高層ビルの影に沈んだ街角にバー【TUNAGU】は存在した。
    赤と黒をベースとした煉瓦の壁に、洋風な窓枠は良く栄え、光沢のある木質の扉には眼球の形をした不気味な細工が施されている。
    週末だというのに、窓のカーテンを締めきり、外壁の照明を落とし、客寄せしようという気配は更々感じられない。
    それどころか、なにか近寄りがたい空気を醸し出していた。

    伊月 しの は学校帰りに何度かこのバーの前を"態々"通っている。その度に羨めしそうに指を加えながら、数分バーの前に留まり眺めるの繰り返し。
    扉に手を掛けようにも、その権利が自身無いことを良く承知した上での行動だった。
  • 3 絵の具セット id:i-eWxiH531

    2012-11-20(火) 20:17:46 [削除依頼]
    しのの両親は母も父も一般型、母さんの父親は異能型だったらしいが、まだ幼かったしのがどんなに必死になって聞いても、
    その能力については一切口を割ろうとはしなかった。当然、使うこともなかった。
    しのは両親に異能が遺伝しなかったことに絶望し、16才になった今、
    自身の身に迫るキャラクターランクメーカーの初期検査に対して恐怖を覚えている。
  • 4 絵の具セット id:i-eWxiH531

    2012-11-20(火) 20:36:22 [削除依頼]
    異能を持たない無能な一般庶民に成り下がる恐怖心に煽られ続けるしのが、唯一心の拠り所としていた場所が、この【TUNAGU】だった。
    ここのバーのマスターには幼い頃一度だけ顔を合わせたことがある。その時交わした約束を、しのはずっと忘れられずにいた。
    バーに近いずいたことが両親にばれた時は、頬が真っ赤に晴れ上がるほど繰り返し打たれて、二度とあそこには近寄るなと怒鳴られたこともあったが、
    しのにとって、名前も知らないバーのマスターから聞かされた言葉1つ1つ全てが、
    時間に流されることを知らない脳裏に焼き付くそれだったのだ。
  • 5 絵の具セット id:i-eWxiH531

    2012-11-20(火) 21:05:36 [削除依頼]

    しのは昔風に吹かれながら、久しく訪れることの無かったバーの前で立ち止まった。相も変わらず、無愛想な外見。
    バーに目を奪われながら、着崩した制服のポケットに手を突っ込み、くしゃくしゃに丸まった紙を引っ張り出す。
    そして、紙を開き印刷された横文字をゆっくりと音読した。
  • 6 絵の具セット id:i-eWxiH531

    2012-11-20(火) 21:10:00 [削除依頼]
    「キャラクターランクには第三段階までの科学検査があります。
    初期検査では、本人が一般型(人間)または異能型(異能を持つ人間)のどちらであるのかを検査します。
    中期検査では、異能型であった対象者のみに対して、異能の質や力量などを正確に測定します。
    終期検査では、能力に突飛した危険な異能に制限をかけ、ほぼ使用不可能にします。
    キャラクターランクメーカーの受検権を破棄した場合、異能型人権法に基づき死罪とします。」

    最後の一文まで読み終わると、また紙を小さく丸め直して近くの花壇に投げ入れた。紙は綺麗な弧を描き花に埋もれる。

    「俺は嫌でも初期検査までか」

    空を仰ぎ自嘲気味に吐き出されたしのの声は、人気のない街角の空虚に吸い込まれ、虚しく消えた。
  • 7 絵の具セット id:i-onGdDaj.

    2012-11-23(金) 17:36:20 [削除依頼]
    TUNAGUから我が家へと続く一本の坂道を、だらけた足取りで降りていくうちに、
    日は落ちて、辺り一面が夕張メロンのオレンジの色に染まり始めた。
    しのはふと、背後から何者かの視線を感じた。眼光が形を成して刃物の如く背中を刺しているかのような確かなものだ。
    反射的に体を反転させ、暗闇に伸びる一本の坂道を見上げる。
    しかし、そこに人らしき者の影は無く、足元から頼りなく広がる、しの自身の影の頭上辺りから少し距離のある街灯の下で、
    一匹の小鹿が物言いたげにこちらを見つめているだけであった。
  • 8 絵の具セット id:i-wc0Ohvi/

    2012-11-26(月) 07:27:52 [削除依頼]
    しばらくの間、しのは小鹿の小さく円らな瞳から目を離すことが出来なかった。
    吸い込まれるかのように一匹と一人が互いを見つめ合い続け、その内小鹿の方がクシュッと鼻を鳴らしてから目を逸らした。
    馬鹿らしく思いつつもその小鹿が去ってしまう前に声を掛けておかなければならないと体だけが前のめりに歩を進める。

    「あんた……俺を迎えに来たのか? 」

    小鹿は地面に鼻先を押しつけて、フガフガと荒い呼吸を繰り返した。しのの声に答えているような反応は見て伺えなかった。

    「……そうだよな」

    しのは溜め息混じりに苦笑しながら、小鹿に背を向けて軽く手を振り呟いた。

    「じゃーな、あばよ」
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