新人魔王の魔王城経営12コメント

1 琥珀 id:Bmcl6/b0

2012-11-18(日) 01:23:35 [削除依頼]
「ここが人間界です」
上級悪魔のアークデーモンが、その紫色でゴツゴツした図体とは似つかない透き通った声で私に説明を始める。
「ここはベルゼと言う国が所有している無人島です」
確かに人の姿はない。周りに青々と茂る草花がもうすぐ枯れると思うと何か切ない。
「これが魔王城です」
アークデーモンが指を指す先に、とても高い塔が立っている。痛々しい刺が攻撃的だ。触るだけで痛そうである。
「魔王ガラール様。あなたには、ここから指示を出してもらいます。
 この世界の命運を握っているのは、あなたです」
  • 2 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 01:33:20 [削除依頼]
     魔王城の中は意外と整理されている。なぜかインテリアまで置いてある。斜め上に気がきいているぜ。
    「征服……俺はやったことないんだが、具体的になにをするんだ?」
    「ああ、初めての方ですか。ギルドも何を考えているんでしょう、ここは総合価値Aランクの世界なのに」
    彼は大きくため息を付いた。
    「なんかすいません」
    私が萎縮していると、彼がこちらを向いた。説明をしてくれるようだ。
    「魔王の主な仕事は監督、経営、破滅の3つです」
    「最後の奴ちょっと待て」
    「どうしましたか?」
    「破滅? そんなの聞いてないぞ」
    「えっ」
    「えっ」
    「……魔王がやられるのがマンガのテンプレートでしょう?」
    「なにそれこの戦い八百長なのか」
    「はい」
    断言しやがった。
  • 3 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 01:42:19 [削除依頼]
    「まあその辺はおいおい」
    「なんか府に落ちないんだが」
    「給料も出ますから」
    「ギルドのやつら説明不足すぎる」
    「高笑いしながらやられるだけですから現地で聞けば十分なんです」
    「身も蓋もねえなお前」
    エレベーターに乗り込む。現代建築は便利だ。
    「勇者の状態の把握も大事です」
    彼はおもむろに呪文を唱えた。
    「勇者は今はカルナの街でうろついてますね」
    「カルナの街は…地図によるとここから遙か北西だな」
    「あ、カジノに入りました」
    「魔物倒せや!」
    「……出てきませんね」
    「ダメ人間じゃねえか!」
  • 4 こくばん id:s9dXXB//

    2012-11-18(日) 01:58:30 [削除依頼]
    魔王視点から見る、というの、斬新ですね^^

    勇者はギャンブラーですね^^
  • 5 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 07:55:54 [削除依頼]
    >>4 ありがとうございます。勇者はただのギャンブラーです。 そして早速誤字がある…… 府に落ちない→腑に落ちない  です。やっちまった
  • 6 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 08:18:12 [削除依頼]
     2時間が経過した。勇者はまだ出てこない。何してんだよ。エレベーターはとっくに止まって、さらに毒々しい魔王の部屋へ通されている。
    「出てきましたよ」
    「やっとか」
    「大金を手にしたようです」
    「わーいおめでとー」
    「宿屋に入りました」
    「魔物倒しにいけや!なんだよこいつら、全然来ないじゃねえか」
    「気長に待つしかないでしょう」
    「そ、そういうものか」
    「次は経営を説明します」
    「屋台でもやるのか」
    「違います。魔物の繁殖のスピードやキーとなるダンジョンの魔物の配置、各国の王との対談などです」
    「ほっといたら駄目なのか」
    「駄目です」
    また断言された。
  • 7 ポンコロ id:c6cDfhn.

    2012-11-18(日) 08:28:19 [削除依頼]
    面白いです!
    頑張ってください!
  • 8 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 13:54:19 [削除依頼]
    >>7 ポンコロさんに読んでいただけるとは光栄です。頑張ります。
  • 9 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 15:09:00 [削除依頼]
    「では次に、大切な事項の解説をします。耳の穴かっぽじって聞いてください」
    「この世界の話だな」
    「ご名答。この世界は主に『人間』が支配している世界です。
     そのほかに『エルフ』『ノーム』『フェアリー』などの種族が生息しています。
    この世界は数百年前に一度別の魔王に襲撃されています。それを破った勇者の伝説が今も語り継がれ、映画化もしました」
    「一気に商売臭くなったな」
    「その勇者の子孫が彼です」
    「DNA薄まりすぎだ」
    「そしてその魔王の子孫があなた様です」
    「そうか、血縁は関係ないとギルドに言っているのに」
    「その方がドラマチックですから」
    「魔王業も大変だな」
    「そして勇者である彼……ダメ人間の彼です。彼と決死の戦いの末破れてください」
  • 10 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 16:38:50 [削除依頼]
    少しの沈黙の後、アークデーモンがなにやら語り始めた。


     昔々。
    ある国の王様が言いました。
    「隣の国が攻めてくる」
    あわてる王様に、女王は言いました。
    「共通の敵を作りましょう」
    そうして、彼らは『魔族』を作り出しました。
    世界征服をもくろむ、悪の勢力を。


    「つまり、我々は悪ではなく、むしろ世界平和のために存在しているのです。故に我々は、負けなければならない」
    一瞬、アークデーモンの眼が鋭くなったように見えた。
  • 11 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 17:24:23 [削除依頼]
    「仕事はここからです、魔王様。悪とか正義とか哲学は置いといて、勇者を育て上げてください」
    「了解した」
    「一応上層部には顔を出しておいてくださいね」
    そう言い残して、彼は部屋から出ていった。
     ……忘れないうちに上層部とやらに行ってみよう。
     エレベーターで三階ほど下りたところにあるらしく、簡単にいける。防犯とか急な勇者への備えは無い。
     これまた刺々しい扉を開けると、個人個人の部屋がある。
     アークデーモンの部屋の次は『ブラッディアーマー』の部屋のようだ。のっくをして入ると、血塗れの鎧があった。
     それは正しくブラッディアーマー。
     〔はじめまして、見たところによると魔王様ですね? 私は第三位のブラッディアーマーです。以後お見知り置きを〕
    「おまえ口無いよな」
    〔思念授受の術を持ってますので〕
    確かに、聞こえるのはガシャンガシャンという音のみだ。先ほどからの言葉は頭に直接渡しているのだろう。
    「では」
    〔さようなら〕
    不気味な鎧の部屋を後にする。次は『サンダーリリス』の部屋のようだ。
  • 12 琥珀 id:Bmcl6/b0

    2012-11-18(日) 20:16:31 [削除依頼]
    「ひゃっほーい! おぉ? ややや? その顔はあーくんじゃないねっ!?」
    サンダーリリスは扉を開けた瞬間、いきなり話しはじめた。しかし話していると言うよりは、ただ一方的に叫んでいるのに近い。
    「おぉぉ、じゃああなたが魔王様なのかなっ? 4649ゥ!
     あたしはサンダーリリス、第四位さ!」
    人間の子供のような小柄な体。顔立ちは人間のそれに近く、むしろ人を魅了しそうなほど可愛らしい。しかしうるさい。エクスクラメーションマークが標準装備である。
    「それじゃーお仕事がんばりまーす!」
    と、一方的に始まってもいない話を終わらされ、私は部屋を出ようとした。
     しかし、
    「うるせえぞ」
    と野太い声がしたので、私は動きを止めた。
    「やー、第六位のさっくんじゃないですかーっ!」
    緑で丸い顔、大きな一本の角、一つしかない眼、そして巨大な体。
    「第六位……サイクロプス」
    「さっくん、相変わらず静かだねぇ! もっとアゲアゲで行きましょうや!」
    「お前が上がりすぎなんだ」
    体の大きさは数十倍。下手すりゃ踏みつぶしそうで見ているこっちが怖い。
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