屍山血河50コメント

1 浦島心太郎 id:UxMdtsy.

2012-11-15(木) 19:29:52 [削除依頼]
 抑えがたい欲求に襲われ、目の覚めるような赤に酔いしれる。剥き出しの肌に目が釘つけになる。衝動に誘われぴくりと手が動く。それを合図に口内に溜まった生唾を飲み込んだ。
 雪の山に散らかされた肢体は、餌にしか見えない。 白い世界を滲ますそれは、どうも輝いて見える。
 だから――――

 
  • 31 浦島心太郎 id:z8N0Azh.

    2012-12-09(日) 19:46:51 [削除依頼]
     
     そこで1は終わっていた。瑠花は呆然と読み終えたばかりの文章を見返す。日本語で書かれている筈なのに、どこか遠い異国の言葉であるかのように理解に苦しむ。
     質の悪いいたずらに過ぎないと自分に言い聞かせる反面、文面からうっすらと狂気のようなものを感じておののいてしまう。瑠花は半開きになった口に気付くことなく、秀やディーンの表情を確かめた。
     ディーンは瑠花の視線に気付いて笑いかけてくるものの、秀は食い入るように紙面を見詰め、流れるように黒目を動かしている。強く噛み締めた唇は白くなっていた。
     瑠花も自分の手元に目を戻し、次の見出しを眺める。『暁島マップ』。表紙の写真とは違い、図案化された物で現在瑠花らがいる時計台は、赤い三角印で指されている。少し離れた所には、行きしな瑠花が目にしたジャングルがあった。上部に位地し、それはやはり東西に細長く伸びている。
     島全体はひょうたんのような形になっているらしく、所々にある山も小規模で緩やかな山ばかりで、比較的土地は低く平らならしい。その他瑠花の注意を引いたのは、西から北西にかけての白い地と、点々と存在する青い三角印――異常に多い時計台の数。西の土、それはおそらくディーンが言っていた雪野原のことだろうと察しがつく。瑠花達とディーン、そのどちらも島のかなり北部、または北西部を歩いて来たようだ。
     しかし、そう仮定すれば島はそれほど広くはない筈なのに、時計台はここを含め7つもある。しかも、他の時計台が瑠花がいる時計台と同じような物であるなら、外にいた時に別の時計台を見掛けてもおかしくない。現に、秀と瑠花が初めにいたと思われる場所の近くにも、青い三角印に指されている箇所はあった。
  • 32 浦島心太郎 id:VjH2F590

    2012-12-12(水) 21:17:32 [削除依頼]
     瑠花は盛大な溜め息を1つ漏らすと、またページを捲る。 『暁島は』の後半。大半は文章だけで構成され、ポイントと思われる単語は大きく太字になっている。丁寧に振り仮名をふられているその様は、教科書のようだった。

    2.暁島は
     暁島は、我が社の個人所有の島です! 
     面積約500平方キロメートルで、長さ約30キロメートル、幅約15キロメートルとなっております。
     島では豊かな植物がいきいきと成長しており、数多くのパワフルな動物が見られます。それらは実に多種多様で、珍しい環境下にある暁島ならではの、希少価値の高いものばかりです。
     また、透明度の高い川も暁島の特徴と言えます。澄みきったそれの流れは緩やかで、島の中央で構える暁山の中腹辺りから至る所で涌き出ています。活気溢れる魚達が悠々と泳ぐ様子は、ついつい見入ってしまいますよ。
     さて、先程述べた暁山ですが、標高80メートルとそう険しいことはありません。しかしながら、辺りを広く見渡せる所は暁山のみです。一度は足を運んでみては、いかがでしょう。
     最後に、暁島最大の個性と言いましょうか、一風変わった気候について触れておきます。もしかすると、既に心当たりがあるかも知れませんね。……ずばり、暁島は島の中での気候に大きな違いがあり、極狭い範囲ながら四季を味わえてしまいます。どうしてかと不思議なことと思いますが、理由は敢えて言わないでおきますね。
     詳しいことは後々嫌という程体験できることですので、それも内緒にしておきましょうか。
     どうぞ、暁島の魅力を心ゆくまで堪能してください!
  • 33 浦島心太郎 id:yaKy9TV.

    2012-12-13(木) 21:04:02 [削除依頼]
     瑠花はもう文字を視線でなぞることしかできず、到底理解なんてできなかった。全部が全部、余りに常識からかけ離れている。
     不透明な島の形は、瑠花の頭の中で姿を変え続け、定まることはなかった。どうしてこんなことになっているのだろう、その自問に悶々と頭を捻らせながら、瑠花は明朝体の隊列を睨み付けるのだった。

    3.ところで
     ところで、旗取りゲームのルールを説明していませんでしたね。しかしルールは至極単純ですので、心配には及びません。
     旗取りゲームは、チーム戦になります。ご多分に漏れず、協力が鍵になっていくでしょう。
     ここで、よくある質問!
     Q.チームって?
     A.あなたがいる時計台に集まったメンバーのことです。各チーム5人から7人程になるはずですよ。現時点でメンバーを見分ける方法は、右腕の刻印しかありません。確かめてみてください。手首から肘の丁度中間ぐらいに、三桁の数字が並んでいるでしょう? あなたの場合、上から二桁が[07]の人達が仲間ですね。
     Q.嫌なら協力しなくても……?
     A.もちろん構いません。ご自由にどうぞ。
     はい、ではルールを説明しますね。
    ?各チームに1つ旗があります。
     旗は島の中のどこかにありますので、まずはそれを探すことから始めるといいでしょう。ちなみに、あなたのチームの旗は青色ですよ。
    ?他のチームの旗を奪いましょう。
     旗は1メートル程度のものなので、簡単に持ち運びできると思います。出来るだけ多くの旗を狙いましょう。
    ?チームの旗を守りましょう。
     けれども旗を隠す、移動させるのは禁止ですよ。
     ゲーム終了後、旗の数から得点があげられます。他チームの旗は1本で1点なのに対し、自チームの旗は3点と高得点が得られます。
     ここで注意! ゲーム終了時点で他チームの旗を1本も所持していない場合、それは禁じ手です。自チームの旗ばかり守るだけでは、面白くないのです。得点に関わらずそのチームの敗北になるので、くれぐれも気を付けてください。
    ?ビリ以外は優勝です!
     最下位にならなければいいのです。7チーム中6チームが勝ち残ります。ですが、もしも負けてしまうと、残念なことにペナルティを受けてもらわなければいけません。がんばってくださいね。
     ルールはこれくらいです。ゲームの開始には花火が打ち上がりますので、それまでに準備を万全にしておくといいでしょう。
     わくわくどきどきの旗取りゲーム、ご武運を祈ります!
  • 34 希罪 id:/kT74i71

    2012-12-18(火) 21:41:47 [削除依頼]
    ちょっと覗いたら
    「あーらまた成長してるじゃないかい」

    面白いです(●`・v・)
    パンフレット内の異様なテンションがやけに気になります。
    楽しそうで……怖いw

    執筆頑張ってください。
  • 35 虎 id:1nQeTwg1

    2012-12-18(火) 22:28:41 [削除依頼]
    依頼、ありがとうございます。
    それでは早速評価していきますね。

    簡単にまとめると、幼馴染に会いに飛行機に乗ったら、いつの間にか知らない場所に。情報を集めると、何と気味の悪いゲームに強制参加。果たして、これからどうなるの?といったものでしょうか。

    まず最初に、何とも言えません。良くも悪くも、まだ始まったばかりなので。大きな展開も無ければ矛盾もないのです。
    ただ、幼馴染と一緒に飛行機に乗ったら、いつの間にか知らない場所に居て。時計塔を目指して歩いていったら、そこには青年が居た。その青年もゲームの参加者で、どうやらもうゲームの内容は知っている。その程度の進み具合でしかありません。
    しかし、冒頭の新薬とタイトルからして、これから大きな進展を見せていくのでしょうね。
    それを序盤から示唆してる辺りは、結構ストーリー的に良いんじゃないでしょうか。
    少なくとも、現時点では正しい評価は出来ないです。ストーリーに大きな展開が起こったら、また依頼してもらいたいです。
    これからも頑張ってくださいね(^ー^)ノ
  • 36 浦島心太郎 id:9QtCoR00

    2012-12-18(火) 22:50:33 [削除依頼]
    >希罪さん
    わわ! めちゃくちゃ驚きました笑
    ふふふ、成長期なんです。なんでも十分な栄養と休養、そして適度な運動も必要なんだそうで((殴

    へへっ、どうなるんでしょうねぃ〜。ってゆうかどうしようか……((
    ああ、希罪さんサバイバル得意そう。銃構えて茂みに隠れてそうです((ヤメロ

    ありがとうございますねー!
    読者いないと思ってたんで、励みになります(*´∀`)
    トースト相乗効果とか人類生存禁止令とか結構隠れ読んでるのです、実は笑
    このうだうだ感がどうにかできたら新しい評価屋さんにもお世話になると思います^^
    というわけで、希罪さんも頑張ってくださーい(*^^*)

    (やたら長文なのは希罪さんのおかげでご機嫌だからです)

    >虎サン
    ありがとうございました。
    またお礼にスレの方伺わせてもらいます。
  • 37 浦島心太郎 id:ruXe5x80

    2012-12-19(水) 17:27:21 [削除依頼]
     
     瑠花は読み終えて数回瞬きをすると、はっと息を飲んだ。
    「刻印……!?」
     大きく目を見開いた瑠花に、ディーンは「これです」と言いながらパーカーの袖を捲る。白い腕の内側に、[073]の文字があった。黒の中での濃淡があり、所々が切れているそれは案外凝られたデザインで、お洒落とも言えないことはない。
     一目見た瑠花も急いで腕を出す。ベージュのトレンチコートと、帽子と同じく白いニットで隠されていた瑠花の細い腕にも、やはりそれはあった。
     [075]――。瑠花は時間を掛けて数字を確認すると、心配そうに秀の名を呼ぶ。
    「うん、ほら……[072]だよ」
     丁度全てに目を通せた所だったのか、ぺちっとパンフレットを閉じて右腕を見せる。安堵の息をついた瑠花はどうにか笑みを作り、3本の指で包まれたパンフレットを投げ出すようにして、机の上に放った。
    「まだ途中なんじゃないですか?」
    「後で読んでおくから、2人の考えを聞かせて」
     片手をひらりと振って読む気がないと意思表示した瑠花は、聞く態勢に入る。壁にもたれて腕を組む、これで完了。
     瑠花の返答を聞いたディーンは、「それなら」とぽんと手を打った。
    「ここは寒いですし、パンフレットを持ってさっきの部屋に戻りましょう! ここは座る場所もありませんしね」
     嬉しそうなディーンの服装は、秀と瑠花に比べると確かに薄い。1階の部屋には暖炉もあったはずだと、部屋の中を思い浮かべながら秀は頷いた。そしてややあって瑠花も渋々と体の重心を足へと移した。
     そう古くはないように見える床板だが、歩くとギシギシと軋む。また部屋の灯りは消え、扉は閉まった。
  • 38 浦島心太郎 id:qSIye0f/

    2012-12-20(木) 17:00:03 [削除依頼]
     
     パチパチと燃え上がる炎。薪を加える度にますます大きく強くなる。揺れる炎の先に見とれる3人は、心ここにあらずといった面持ちだった。
     締め切られた部屋を、温かい空気が循環する。小窓は鎧戸まで下ろされて、完璧に外の世界と遮断しているのだ。時計台だと言うのに、ここに居ては時の流れも感じられない。
     折角下に下りてきた3人だが、憂鬱とも言うべきか、脱力しきっている。それぞれ何度か自分のパンフレットに目を移すことはあるものの、溜め息さえつくことなく逸らしてまう。
     やがて、そうする内に瞬きの回数が減ってきた。伴うようにして、瞼がどんどん重くなる。頭を起こしているのも辛くなり、自然と頭は垂れていた。
     初めに意識が離れたのはディーンで、その後をおいかけるように秀が、そして瑠花が眠りについた。ディーンは兎も角、皆疲れ果てていたのだ。
     電灯の黄色と炎の赤。どちらも暖色である筈なのに、心細い感じが拭えない。
     もう直ぐ、月が昇る。そして空が暗い黒に染まる。暁島は夜を迎えようとしていた。
  • 39 浦島心太郎 id:qSIye0f/

    2012-12-20(木) 21:58:57 [削除依頼]

     小さな物音が、静寂を破った。気づいた者は、瑠花1人。暖炉の火は消えたのか、ぼんやりと光る電灯だけが部屋を照らす。
     瑠花は緊張で強張る体を動かそうとはせず、じっと扉を見据えた。じんわりと汗が背中に滲む。瑠花はうるさい心臓を抑えて耳をすました。
     ……聞こえる。これは、多分……扉の、閉まる音。
     音の大きさを考えると、玄関の扉に違いない。恐らくきっと、誰かが入ってきた。
     状況を必死で追う瑠花の耳に、パタパタと乾いた音が届く。これは……足音……。段々と近付いてくるそれを感じ、震えが走った。
     切羽詰まった瑠花は体をひねり、隣で丸くなって寝ている秀を乱暴に揺する。
    「秀……秀! 起きて早くっ」
     声のトーンを落とし耳元で囁くも、反応はない。瑠花の瞳は恐怖のあまり、涙に潤んでいた。
     震える体を自らの腕で抱き、そろりと立ち上がる。しかし足は先に進まず、目だけがドアを凝視している。ディーンも秀と同様、目を覚ます気配はない。
     そして――、足音が途絶えた。そのことに瑠花が気付いた直後、ドアノブが回る。
     ひっと小さな悲鳴をあげて、慌てて口元を手で抑える。ゆっくりと開いた、ドアの隙間から覗く影は思いの外小さい。それは、疑問に思うまでもなく解き明かされた。
     立った場所から微塵も動かずに息を止めていた瑠花が目にしたのは――、ほんの10歳くらいとおぼしき少女だった。
  • 40 浦島心太郎 id:XN9PYjR1

    2012-12-21(金) 22:18:32 [削除依頼]
     少女はまさか人がいるとは思っていなかったようで、瑠花の姿が視界に入ると、数時間前の秀と瑠花そっくりの反応をしてみせる。くるりと上向きにカールした睫毛が被さる瞳はまん丸になって、輝くビー玉を思わせた。
     艶のある黒髪は、後頭部より少し高い位置で結ばれ、首の真ん中辺りではねている。長めの前髪は左目の上で左右に流されていて、右目は隠れるようになっていた。
     方頬を噛んで瑠花を見詰める少女は、体を半分ドアの外に置いたまま、警戒心をもろに顔に出す。
     対する瑠花はと言えば、元々子供が好きなのと、そのままかなりの時間が経過したことで、大分落ち着きを取り戻していた。少なくとも体内で打楽器の演奏会は催されていない。
     互いに居心地の悪い沈黙に耐えられなくなったところで、努めて優しい声音で瑠花が少女に呼び掛けた。
    「こっち、おいでよ」
     暫く身動きしなかったせいで、筋肉が軋んだような気がしたが、構わずそっと歩み寄る。少女はためらいがちに俯いたけれど、ドアを更に押して中に入り、くるりと背を向けると静かに閉めた。
     まだ瑠花と少女の間には、数メートル距離があったが、少女の方からトコトコと近寄ってくる。
    「待ってね、直ぐに暖炉の火を付けるから」
     少女の赤い鼻に目を止めた瑠花は、直ぐ様機転を利かし、急いで暖炉に向かった。
     
  • 41 浦島心太郎 id:XN9PYjR1

    2012-12-21(金) 23:02:06 [削除依頼]
    訂正 >40 8行目 ×元々子供が好きなのと、 ○元々子供が好きなことと、 テスト >2+6+3-5
  • 42 浦島心太郎 id:o8OkXKd/

    2012-12-27(木) 23:53:00 [削除依頼]
     レンガの壁に埋め込まれるようにして置かれた暖炉を、よく覗き込むと燃料となる筈の薪が切れかけていることがわかる。それを見て、むうっと少し難しい顔をする瑠花だが、小さな両手を一心に擦り合わせている少女を一目見ると、その顔もあっさりと崩れた。
     側に置かれていたオイルのボトルと、壁の突起した部分にディーンが置いていたマッチ箱を拝借し、その内1本を取り出す。これからは、マッチの1本1本が生きていく為に重要な役割を果たすことになるのかもしれない――。
     既に相当な量を消費したのだろう、異様に少ないマッチの数に、瑠花は様々な不安が一気に押し寄せてきた。燃料、食糧、道具……挙げれば切りがないとも思われるが、後先のことも考えて動かなければならない。
     しかと自分に言い聞かせた瑠花は、誰にも聞こえない程の溜め息を吐き出し、夢の世界に没頭しているディーンの方に目をやった。大方あれが一番の問題点だろう。ひょっとしなくても、例のホットミルクもチームの財産だったことは容易に伺える。
    「ほら、ついたよ」
     1本の薪の先を燃やし、オイルを撒いた薪に火を移すようにする。段々と火が広がると熱風がこちらに送られてきた。瑠花はおいでおいでをするように手を動かし、少女を優しく呼んだ。
    「ありがとう……」
     消え入りそうなか細い声とは反対に、輝かんばかりの笑みを咲かせたその子は、瑠花の隣に座り込む。少女は明々と燃える火に照らされて、ふっと力を抜いたように肩を落とした。
     瑠花はどうしてか、切ないような気持ちになった。それは少女の背負う不幸を物悲しい雰囲気から感じ取ったせいか、またはただ単にこのような状態に陥った自分達を憐れんでいるだけなのか。……どちらでもいい、とにかくこのいたいけな少女だけは守らなければ――。
     瑠花は、誰に言うこともなくひっそりと胸に誓った。
  • 43 浦島心太郎 id:CODqbGT/

    2012-12-28(金) 19:32:02 [削除依頼]
    訂正 >42 下から7行目 ×少女は明々と燃える火に照らされて、 ○少女は明々と燃える炎に照らされて、 大して変わんないのですけどね← 訂正レスの多さ異常だすみません;
  • 44 浦島心太郎 id:l7qV9vL.

    2012-12-29(土) 14:39:06 [削除依頼]
    ごめんなさいテストです
  • 45 浦島心太郎 id:cSC1WCU1

    2012-12-30(日) 13:33:28 [削除依頼]

     暫く、物思いに耽っていた。その為に瑠花は、少女が眠ったことに気がつかなかった。
     立てた膝に頭を埋めたまま体を床に倒したようで、瑠花の方から少女の顔は見えない。だから瑠花は、少女の頬に残る涙の跡にも気付くことはなかった。
     瑠花は華奢な腕を伸ばし、少女の頭を軽く撫でると立ち上がる。そろりと音を立てないようにして向かう先は、この部屋の更に奥にある部屋。冷たい取手を掴んで、横にスライドさせると、冷えきった暗い部屋の中へと足を踏み入れた。
  • 46 浦島心太郎 id:cSC1WCU1

    2012-12-30(日) 17:19:18 [削除依頼]
     暖炉のある部屋からの明かりでスイッチを探しだし、電気を付ける。かさの付いた大きな電球に光が灯った。照らしだされたこの部屋は、倉庫と呼ぶべきか様々な道具がごちゃごちゃと置かれている。
  • 47 浦島心太郎 id:cSC1WCU1

    2012-12-30(日) 17:34:23 [削除依頼]
     当分は困ることなく生活できそうだと、瑠花は口元を綻ばせた。
     調味料、保存食、防寒具、殺虫剤、ティッシュ箱、救急セット、哺乳瓶、動物図鑑、釣竿……ざっと見渡すだけで必需品から、必要性を点で感じない物まで多々見られる。それらはほとんど、ガラスの窓のある棚に押し込まれていたのだが、床にそのまま放置されている物もあった。
     瑠花は他に目ぼしい物はないかと、ぐるりと一周してみたが、隣の部屋から人声が聞こえたことで中断する。部屋の隅の椅子に掛けられた毛布を2枚掴み取ると、さっとその部屋を出た。
  • 48 浦島心太郎 id:cSC1WCU1

    2012-12-30(日) 17:36:39 [削除依頼]
    >45-47 エラー回避のため短レスになってしまいました。ご容赦くださいorz
  • 49 浦島心太郎 id:HhrbaMt0

    2012-12-31(月) 08:03:19 [削除依頼]

     秀とディーンは隣り合って話し込んでいた。ソファの背を盾に、眠ったままの少女と対峙している。くしゃっと酷い寝癖のついたディーンの頬は、なぜか赤い手形が付いていた。
    「瑠花! この子誰?」
     毛布を手に戻ってきた瑠花をやっと目にした秀は、困惑気味に問いかける。
     声と眉を潜める秀に、瑠花は平然と「知らない」と答え、毛布を両手に広げた。ふぁさっと少女の体に被せ、しっかり肩まで被ってやる。満足げな笑みを浮かべると、もう1枚は自分が羽織るようにした。
    「いつここに来たんだ?」
    「ついさっきだよー」
     瑠花はのんびり受け答えし、燃え盛る炎に手をかざす。壁に大きな影が現れた。
    「あったかいや」
    「そうですねー」
     いつの間にか瑠花の側に来たディーンが同調し、さりげなく少女の隣にしゃがみ込む。間に割り込まれた瑠花が頬を膨らませるより先に、ディーンは行動を起こした。
     藪から棒に、少女の柔らかな頬を人差し指でつつく。
    「誰ですか? 起きてくださいよ。おーいおーい」
     瑠花はぎょっとした顔で、ディーンの手を抑えた。
    「え。何してんの!」
    「お名前を聞かないと……」
     けろりと返答するディーンに、金髪を弄ぶ手を思わず止める。そして、そのままその手で軽く叩いた。
    「起きてからでいいよね」
     秀の言葉に「それもそうですね」とにっこり賛同したディーンは、少女に向き直ってもう一度口を開いた。
    「ごめんね。ゆっくり眠っててください」
     その声は、やや大きすぎた。ぐっすり眠っていた少女は、瞼をぴくりと動かし身動ぎする。そしてぱちりと茶色い瞳を目一杯開いた。
  • 50 浦島心太郎 50! id:G1NxXZV1

    2013-01-16(水) 23:12:07 [削除依頼]
    「ばかやろー」
     瑠花がディーンを尻目にぼそりと呟く。少女は自分を除きこむ三人に、また緊張で体を強張らせ、足で床を押すようにして後退った。戸惑いと焦りを瞳に表し、おずおずと伸ばした小さな手で、瑠花の袖口を軽く引っ張る。瑠花は「起こしちゃってごめん」と微笑むと、少女に寄り添った。
    「さてと」
     ディーンが明らかに怖がっている少女に構うことなく、再び距離を詰めると、弾む口調で話しかける。
    「僕はディーン。君は?」
     少女はディーンの透き通る青い瞳に見いったように目を上げ、ややあって言葉を返した。どう考えても異様な状況であるが、少しだけ明るくなった場の雰囲気を、離れて眺めていた秀は感じていた。
    「……にな、だよ」
    「そうか。お母さんはいないのですか?」
     思い付いたようにディーンが訊ねると、瑠花も秀も黙って仁菜に顔を向ける。突如として仁菜の表情が硬くなり、瞳が不自然に揺れ動いた。
     秀と瑠花が直感的にまずいと察し、特に瑠花は気遣うように腕を伸ばす。ディーンが不思議そうに首を捻ると、仁菜は俯いたままでこくんと頷いた。
     非難の目を向けようとディーンの方を見た秀が目にした彼は、酷く傷ついたかのように悲しげな瞳を潤ませ、口元をぎゅっと結んでいた。見ているだけでも心が痛む……そんな表情で、小さな驚きを顔に刻んだ秀は、そっと目線を外し肩を竦める。まだ彼のことは何も知らないと、やっと思い出した気分だった。
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