ゼロの図書館19コメント

1 メリーハッター id:newnZ181

2012-09-23(日) 00:14:07 [削除依頼]

prologue+


「不思議な夢を見たいなら
街はずれの湖畔へ行くがよろしかろう」

 そう言って微笑んだ穏やかな初老の男は
歳不相応の気丈な手つきで
いい香りのするお茶を入れてくれる。
 ジャスミンの芳しい香りを楽しみながら
私は何気なく彼に尋ねた。

「そこには何があるんです?」

 男はそう聞かれることが
始めから分かっていたかのように笑む。
しかし柔和で気弱そうな笑顔とは裏腹に
全く躊躇ない確かな声で彼は言った。

「――それはゼロに聞くがよろしい」

 私はそれ以上何も言えず
ただ黙ってティーカップを傾けた。
  • 2 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 00:19:25 [削除依頼]

    compliment+


    小説板の皆さまはじめまして。
    新顔のメリーハッターと申します。

    先に申告しておきますがワタクシ
    恐ろしいほどの超初心者でございます。
    しかも脳内腐った変な奴です←

    そんな野郎が書き殴る小説ですが
    ぜひぜひ心のお優しい方
    一度でもお目通しをお願い致しまする。

    声をかけて頂けたら泣きます←

                  メリー
  • 3 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 00:41:58 [削除依頼]

    story1+


    「うわあ……!」

     頬を掠めて吹き抜ける風は冷たかったが
    しかしいくらか夏の香りを含んでいる。
     長く山道を歩いていたせいで
    少し汗をかいてしまった埃臭い肌には
    冷たいくらいの風がちょうど心地よかった。

     ――青々しい草原を抜けたすぐ下は
    まさに断崖絶壁の危険スポットだった。
    たまたま足に当たった小石が
    崖の下へ転げて落ちていくのを見送る。
    石が下に落ちた音はもちろん聞こえない。
    それほどに高い崖なのだろう。

     しかし私は目が眩むほどの高さよりも
    足元に広がる風景の美しさの方へ
    遥かに心奪われた。
    眼下の景色は想像以上のものである。
    それで思わず感嘆の声が漏れたのだ。
  • 4 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 01:02:33 [削除依頼]

    「……どうりで風が冷たいわけだ」

     これだけの高さがあれば
    風が鋭く冷たいのも当然のこと。
    私は深く息を吸い込む。
    涼風はいくらか穏やかになっていた。

     目の前の素晴らしい景色も
    自然が作り出したこの高い崖があればこそ
    見られるものだと思うと心底感心した。
     しかしこの自然豊かな旅路も
    もうすぐ一旦休止となるのだ。

     眼下に広がっているのは
    私が今まさに向かっている街。
    国内でも指折りの商業街コーネリア。
    商人と富民が暮らす豊かな街。
     しかしここから見下ろせば
    その巨大街も小さな玩具の模型に等しい。

     私は再び深く息を吸い込んでから
    擦り切れた旅装の袖で軽く汗を拭い
    旅路へと戻った。
  • 5 常野 id:O3VwNFC/

    2012-09-23(日) 01:02:49 [削除依頼]
    いきなりコメ失礼します。
    まだ始まったなのでばかりでストーリーも分かりませんが、気になります。
    どうしても学園ラブコメなどが流行って、
    書き手の少ないジャンルな予感がしていて期待してます(>_<)
    頑張ってください!
  • 6 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 01:28:21 [削除依頼]

    Dear常野サマ+


    初コメに感謝&感動でございます。
    恋愛系は苦手なジャンルでして…

    ご期待に添えるよう
    全力+120%で書かせて頂きます!

                    メリー
  • 7 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 01:57:59 [削除依頼]

    story2+


     崖を抉るようにして築かれた山道は
    長い螺旋階段のようになっている。
    こればかりは自然の産物ではない。
    それは丁寧に彫られた造作を見れば
    誰にでも一目瞭然である。

     遠い先人たちが苦労して石を削り
    長い年月と労力をかけて
    街行く旅人たちの為に道を拓いてくれた。
     コーネリアへ行く時もしこの山道がなければ
    断崖絶壁を降りることはほぼ不可能。
    そのため山全体をぐるりと一周
    遠回りしなくてはならない。
    正直それはかなりの手間だ。

     私は先人の苦労に無言で感謝しつつ
    螺旋状に抉られた階段を降りていく。
    ?い崖を降りきるのだから
    その山道階段の長さもかなりのものだが
    山を周ることを考えれば気にならない。

     両足がやっと地についた時には
    あの小さな模型に見えていた街はすでに
    私の目の前で賑いと華やかさを誇っていた。
  • 8 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 02:18:59 [削除依頼]

     街から聞こえる賑いに心躍らせながら
    街全体を象徴した豪奢な門をくぐる。
     人の出入りが激しいコーネリアでは
    この門は「出会いと別れの門」と呼ばれ
    街を行き来する商人たちの間では
    神聖なものとされているらしい。
     以前聞いたそんな小話をふと思い出した。

    「ここが商業の街かあ。
    噂に聞いた通りのすごい活気だ」

     私のそんな独り言などかき消されるほど
    街はひどく賑い活気に包まれている。
  • 9 未亜 id:Iq/2NMk0

    2012-09-23(日) 08:11:28 [削除依頼]
    面白いです!
    頑張ってください。
    書くのお上手ですね、見習わなくては。
    私ザックームというのを書いています。
    ぜひ読んでください、
    自分の才能がいかに素晴らしいかが分かります。


    私が下手すぎて…。
  • 10 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 16:17:52 [削除依頼]

    Dear未亜サマ+


    コメに感謝感激でございます。

    ワタクシのような未熟者には
    本当に勿体なさすぎる言葉…
    嬉しすぎて目に涙が。

    お手本にさせて頂きます。
    未亜サマの小説にさっそくGO!←
  • 11 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 17:01:44 [削除依頼]

     左右に均一に並立した店々は
    実にさまざまな種類がある。
    青果店に花屋に武器屋に雑貨店――
    街へ多く立ち寄る旅人や冒険者のためか
    宿屋などもよく目につく。
     きっと旅人たちはどこに泊まるか
    目移りしてしまうくらいだろう。

     傍を忙しなく通り過ぎる人々。
    陽気な声で商品を売り込む商人。
    武器屋に心躍らせる冒険者。
    酒場にたむろするお尋ね者たち。
     それまで葉や虫の音しか聞こえない
    山道を長く歩いていた私にとっては
    どれもが新鮮に見える。

    「さて……」

    ――まずはどこへ行こう。

     長い旅路で減ってきた食糧や水も
    この街で補給していきたい。
    旅装もだいぶ擦り切れているから
    この際新しいものに買い替えようと思う。
    せっかく大きな商業街に来たのだから
    武器や雑貨も覗いてみようか。

     そんなことを考えながら
    華やかな大通りをぶらぶら見て歩くと
    そのうちに街の中心地へと出た。
  • 12 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 17:38:26 [削除依頼]

     コーネリアの観光名所として名高い
    レンガ張りの広場と美しい噴水。
    富民たちの憩いの場となっているここは
    私が一度来てみたかった場所の一つだ。
     街中央に位置しているだけあって
    コーネリア全体のほとんどの通りが
    この広場へと繋がっているようだった。

    「素晴らしいな。
    ……しかしこの噴水は
    何の石材でできているのだろうか?」

     赤茶色の古風な造りをした広場の中で
    純白の巨大な噴水は嫌でも目を引く。
     出会いと別れの門に施されていた彫刻と
    同じような装飾が噴水にもされていた。
    コーネリアの技術はやはり素晴らしいと思う。

     無意識にひとりごとを呟きながら
    透明に澄んだ水をすくったりして暫く戯れる。
     私が興味深く噴水を観察していると

    「お兄さん、旅の人?」

    不意に声をかけられた。
  • 13 未亜 id:Iq/2NMk0

    2012-09-23(日) 18:03:18 [削除依頼]
    メリーハッターさん、
    本当に読んでくださってありがとうございます。
    お恥ずかしいものを見せてしまいました…(涙
    ゼロの図書館
    ずぅ〜と読ませていただきます。
    頑張ってください。
  • 14 常野 id:FSiNt0n/

    2012-09-23(日) 18:23:11 [削除依頼]
    メリーさんの情景描写が分かりやすい‥‥羨ましいです。
    新たな人物の登場、物語が動きだしますか。
    人の読んでると自分も何か書いてみようかと思うけど、躊躇われるなぁ。
  • 15 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 20:46:32 [削除依頼]

    Dear未亜サマ+


    謙遜し過ぎですよ!
    未亜サマの小説は素晴らしい作品だと
    素直に感動致しました。
    ザックーム
    ワタクシもぜひ愛読させて頂きます!


    Dear常野サマ+


    分かりやすいと言って頂けたのは
    初めてで感動しております((
    物語中の“私”がどんな人と出逢っていくのか
    お楽しみ頂ければと思います。

    ぜひ常野サマの小説も
    お目にかかってみたいものです←
  • 16 メリーハッター id:newnZ181

    2012-09-23(日) 21:01:15 [削除依頼]

    「え」

     突然のことに少し面食らう。
    今までたくさんの地を旅してきたが
    いつだって私は一人だった。
    商人などに声をかけられたことはあるが
    それは彼らの仕事だから。

     少なくとも見知らぬ土地で
    見知らぬ少年に“お兄さん”と呼ばれたのは
    これが初めてのことだった。

    「ねえねえ。
    お兄さんは旅の人だよね?」

     再び声をかけられ
    はっとして意識を少年に戻す。
    見たところ歳は十二かそこら。
    まだ幼さの残る顔立ちに茶色の目と髪をした
    活発そうな少年だった。
     おそらくこの街の子なのだろう。

    「え……あ、ああそうだよ」

     動揺していたのが出たのか
    少し上ずった声で慌てて取り繕う。
     しかし少年はそんな私の様子を気にもせず
    ビー玉のような大きな目を輝かせた。
  • 17 メリーハッター id:k6ZZJBz1

    2012-09-24(月) 09:16:42 [削除依頼]

    「あぁやっぱり!
    僕すぐに分かったんだ。
    お姉ちゃんが言ってた通りの人だもん。
    お姉ちゃん喜ぶだろうなあ!」

    「お姉さんが言ってた、って」

     それはどういう意味なのか――。
    そう言おうとしたがしかし
    少年はそんなことを聞く暇も与えず
    その小さな手で私の腕をとり

    「じゃあほら。
    早く行かなきゃお兄さん!」

    「え、ちょっ……」

    突然走り出した。
  • 18 メリーハッター id:k6ZZJBz1

    2012-09-24(月) 09:40:01 [削除依頼]

    story3+


     訳が分からなかった。
    なぜ私はこの小さな少年に
    たった今会ったばかりの子に
    手を引かれているのだろうか、と。

     人や店が多い込み入った街中を
    彼はひょこひょことかわし
    小さな体を上手く利用して
    たまに細い路地などに入る。

     大きな通りばかりに気を取られ
    さっきまでは気にしていなかったが
    路地や小道などが意外に多いことに気付く。
     大きな街だからこそ
    こうした細い通路も多いのかもと
    私は案外のんきにそんなことを考えていた。

     しかし私のような余所者からすれば
    ぱっと見ただけでは分からないような道にも
    彼は躊躇なく飛び込んでいく。
    街の内部を知り尽くしているところを見ても
    やはりコーネリア生まれの子なのだと
    この短いうちに確信した。
  • 19 メリーハッター id:k6ZZJBz1

    2012-09-24(月) 10:32:40 [削除依頼]

    「……あのさ、ボク?」

     街をくねくねと走り曲がり
    もう何度目か分からない路地裏に入った時
    たまらず少年に声をかけると
    街を窺っていた彼は素直に振り向く。
     あどけない表情で見つめられ
    呼んでおいて思わず少し後悔した。

    「なあに?お兄さん。
    僕に聞きたいこと?」

    「えっと、その……うん。
    聞きたいことはたくさんあるんだけどね
    まず……君の名前を聞いてもいいかな。
    ボクって呼ぶのもあれだし」

    「あぁそっか。
    僕まだ自己紹介してなかったっけ」

     ごめんねと言いながら
    自分のミスを楽しそうに笑う少年は
    茶色の目で私を真っ直ぐに見据える。
    それからまた穏やかに表情を綻ばせた。

    「僕はタイム。
    ゼロ館長に雇われてる司書補。
    ノイズお姉ちゃんに言われて
    お兄さんを迎えに来たんだ!」

    ――やはり訳が分からないままだった。
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