Promise.4コメント

1 ユウキ id:pEL8z6A0

2012-09-02(日) 15:26:00 [削除依頼]


"ずっと一緒"

嫌、そんなの怖い。
雰囲気に浸って頷けるほど無邪気じゃない。
困ったような顔させて、
シラけた空気圧が重く苦しい。

本当はわかってるつもり。
非現実的な言葉に例えようのない想いを託して。
背中ばかり向ける私を愛してくれようとしてる。
受け止めたくても過去が邪魔するの。
無意識に好意を弾く言うことを聞かない腕。

――みんな、嘘吐き。

心に浸透した身勝手な決め付けを、
ねぇ早く解いてよ。信じさせて。

揺らがない"約束"で縛ってくれたっていいから。


Promise.
  • 2 ユウキ id:pEL8z6A0

    2012-09-02(日) 15:38:12 [削除依頼]


    透明なグラス、光沢あるナイフ、鋭利な言葉。
    手当たり次第に掴んでは投げつけた。
    白で統一したはずの部屋に小さな赤が咲く。

    パリンと弾けたガラスの破片は間接的な復讐を果たす。
    蛍光灯に輝く金属は肌をかすめて赤い線を生んだ。
    混乱する私から発せられた音は彼の顔を歪ませる。

    手にした理想はいとも簡単に音を立てて崩れた。

    「嘘つき嘘つき嘘つき!!」

    壊れたラジオみたいに私の口はそればかり放つ。
    両手は周囲にあるものを手当たり次第に掴んで彼に飛ばす。
    彼は口を動かしていたが、自分の声が邪魔をして聞き取れない。
    私の体が動くたびに彼はどんどん傷ついていく。
    もっともっと、まだまだ足りない。そう思っても。
    赤い血が彼から流れる度に心臓は壊れそうな程強く打つ。

    苦痛苦痛苦痛。

    「痛っ……」

    刺激に感覚を奪われ、ふと手のひらを見る。
    閉じた手の中には7個ほどの画鋲が皮膚を突き刺していた。
    黙って見つめればプクリと膨らんだ血液。
    ガタリという音に顔をあげれば彼はもう逃げだしていた。

    これで世界は無音に戻って、私の記憶は一旦切れる。
  • 3 ユウキ id:pEL8z6A0

    2012-09-02(日) 16:00:36 [削除依頼]


    意識を取り戻したのはだいぶ経ってから。
    はじめに認識したの天井の白さ。
    次に手のひらの激痛にはじめて声を漏らした。
    覚束ない足取りで立ち上がれば何かの破片が脚の裏を指した。
    慣れた部屋の中をゆっくりと歩く。
    散らかりきった部屋を後にし、裸足のまま外に出た。

    世界はまだ無音だった。風の音もない。
    重い頭をあげたところで星など見えるわけでもなく。
    小さな息をひとつこぼして血だらけの手のひらをスカートに拭った。

    ――どうしようかな。

    数時間前とはまるで別の人みたいに、私の心は冷静だった。
    彼は私を警察か何かに訴えただろうか。
    それとも私のほかに愛してた人のところに行ったのだろうか。
    私のほかに?違う、私はもともと愛されてなかった。

    理解したくないことを頭は勝手に理解する。
    悲しいから涙は出るし、涙が出れば泣き声も出る。
    静寂の中に自分の醜い泣き声だけが聞こえて気持ち悪かった。
    誰からも愛されない自分の価値なんて確かめたくない。

    散々泣いたところで残ったのは惨めさだけ。
    真夜中を彷徨って静まり返った街に辿りつく。
    明りを灯すのは怪しく、卑しい店だけだった。

    「君ひとり?」

    耳障りな声が後方から聞こえて振り返る。
    煙草の匂いが鼻につく。不潔そうな髭を生やした男。

    「可愛いね。遊ぼうよ」

    無視してやり過ごそうとしたら肩を掴まれる。

    「無視すんなって!行こうぜ」

    苛立ちが募る。人の心境なんてまるで無視。
    荒く肩に置かれた手を払ったら首元を掴まれた。

    「餓鬼が調子乗んなよ」

    ぎりぎりと首元が締められる。呼吸が苦しくなって喘いだ。
    そんな私を見て男は楽しそうに笑っている。
    意識を手放しそうになった途端、視界が変わった。

    体制を崩す男。私は拘束から逃れられた。
    床に倒れ込んだ男の前に立つ誰か。

    「おじさん、通報しますよ?」

    黒い長そでの先では携帯電話が揺れている。
    男は盛大な舌打ちをついて悪態をつきながら何処かに行ってしまった。
  • 4 ユウキ id:pEL8z6A0

    2012-09-02(日) 16:27:59 [削除依頼]

    まだ落ち着かない心臓に手を当てて、呼吸を整える。
    脚が震えて立ち上がれなかった。煙草の匂いがまだ残っている。

    「怪我したのか?」

    え、と見上げれば助けてくれた誰かが目の前に居た。
    夜と同じ漆黒の目と髪。対照的に白い肌の少年。
    黒い長そでのパーカーを着ていたが、細身であることはわかった。

    怪我?

    視線を下げれば、胸元は真っ赤に染まっていた。
    画鋲を刺した手のひらで抑えていたせいだろう。
    声を出すことはまだ困難で、私は首を横に振った。

    「立てるか?ここに居たら目立つぞ」

    細い腕が私の手くびを掴んで引き上げる。
    掴んだ手の冷たさに動揺したが私はしたがって立ちあがった。
    私が経ちあがると手は離れる。
    そのまま前に進んだ背中に私はついていった。

    数分歩いて、辿りついたのは街はずれの広場だった。
    昼間は子供たちで賑わう場所も、この時間帯はひっそりとしている。

    「座ってろ」

    言われたとおり、私はベンチに腰を下ろした。
    少年は近くの自動販売機からペットボトルをふたつ買ってきた。
    何も言わずに差し出されたお茶を私は受け取る。
    もうひとつはただの水で、少年はふたを開けると私の手を取った。
    血で真っ赤になった手のひらを水流していく。
    痛みに小さく顔をしかめたが、皮膚は次第に本来の色を取り戻した。

    水がなくなると、手は離れる。
    私は買ってもらったお茶に口をつけた。
    そう言えばだいぶ喉が渇いていた。喉が潤されるのに小さな心地よさを感じた。
    一息ついて、少年の様子を窺ったら目があった。
    パーカーのポケットに手を突っ込んで無表情で私を見ていた。
    そう言えば、お礼を言っていない。

    「あの……ありがとうございます」
    「自業自得」

    棘を感じる言葉を少年は放つ。

    「こんな時間に街歩いてたら絡まれるってことくらいわかんだろ」

    無表情のまま。思ってたより声が低い。
    確かに少年の言うとおりだ。返す言葉もなく私は俯いた。

    「家は?」

    その問いかけに俯いたまま首を振る。
    帰ったらまた思い出す。もう何も考えたくなかった。
    かと言って、このままでいたらこの人に迷惑をかけてしまう。

    沈黙の後、少年が隣に座る気配を感じた。
    驚いてそちらを見たが今度は私を見ていなかった。

    「そんな格好の奴ひとりにしとけねーだろ」

    改めて自分の格好を見る。
    裸足、血だらけの服。確かに異常だ。

    もう一度ありがとうと呟いたら、小さく頷いてくれた。
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