恋だったと信じてる。4コメント

1 名凪 id:ag.nSFl0

2012-08-23(木) 19:06:50 [削除依頼]


例えば、貴方が私を捨てたとしても。
  • 2 名凪 id:/DofiVN0

    2012-08-23(木) 21:54:34 [削除依頼]


    肌寒い暗い個室だったということは覚えてる。
    ここに置かれてもう何度朝と夜を往復したのかな。
    肌寒さも暗さももう当たり前になってしまっていた。
    足枷のついた脚で目いっぱいつま先立ちして、思いっきり手を伸ばしても届かない先に小さな窓。
    もう解放何て期待していない。虚ろな意識を固い床に転がしていた。

    第1話  Human market


    男は動物を扱うように荒い手つきで顎を掴まれた。
    得体のしれないチューブを喉に突っ込まれ、思わず咳き込む。
    透明なチューブの中を半透明の青い液体が駆けあがった。
    知ってる。声帯を麻痺させるクスリ。
    別の男が私に手枷と首枷をつけた。もともとつけられていた足枷にはさらに重りが加えられた。

    逃げられない、叫べない、舌を噛みきって死を選ぶこともできない。
    だるい身体を引きずられるように、私はライトの下に連れ出された。

    「商品No.10! 17歳の若い娘です! 20万円からです!」

    司会者が代わりに私のことを紹介する。
    17歳?もっと若かったような気もする。Noじゃない名前ってなんだったっけ。

    「25万!」
    「27万!」
    「40万!」

    ここは「Human market」。奴隷オークションの会場。
    少しだけ視線をあげれば、客席には肥えた醜い男が躍起となって私に値をつけている。
    17歳の若い娘。なんて、奴隷として働かなければならない仕事なんて目に見えている。

    枯れていたはずの涙が溢れだす様な感覚を感じた。
    いつになく身体も枷も重い。喉も焼けつきそうなくらい。

    嫌だ、嫌だ、嫌だ。
    買われたくなんてない。


    「5000万」


    視界が涙でぼやけ出した頃だった。
    会場が水を打ったように静まり返る。
    静寂を呼んだその声の主に全ての視線が集まった。


    「オーナー、聞こえなかったか? 5000万」
  • 3 名凪 id:/DofiVN0

    2012-08-23(木) 22:14:22 [削除依頼]

    涙なんてとっくに忘れて、私は声の主を見た。
    同い年か、少し上くらいにしか見えない若い男の人。
    太った客の中に細身の彼はやけに目立っていた。
    ステージからでもわかるほどに漆黒な目は真っ直ぐ私を見ていた。

    「……ほ、他には」

    司会者(オーナー)は間抜けた声をマイクに響かせた。
    しばしの沈黙。そして、鳴り響いたベルの音。


    「No.10、5000万円で落札っ!!!」


    私はステージから下ろされる。このまま面会室に行くという。
    歩く足もとが覚束ない。頭の中がグラグラする。
    私に5000万? ただの女に?
    これと言って役立てることも価値もないのに。
    パンフレットにだって書いてたはずでしょう。

    歩くたびに鎖が小さな音を廊下に響かせる。
    頭の中を混乱させていたら、ふと手くびに感じた冷たいぬくもりにはっとした。

    「手続きはここでいい」

    漆黒の目は私の鎖を引く男の顔を射抜くように見ていた。
    男はかすかにたじろぎ、かしこまりましたと呟く。

    幾つかの書類への署名が済むと、やがて鎖は買い手の手に渡った。
    買い手――これからの主人は鎖を受け取るとすぐに私を引いて歩き始めた。
    背後で男が「ご購入ありがとうございました」と言うのが聞こえた。


    歩調を合わせて歩けば鎖は一定の音を刻む。
    迷いなく進んでいく主人と、久しすぎる外の世界のどこを見ていいかわからずに、私は主人のパーカーのフードを遠慮がちに追った。
    主人の左手には私を繋ぐ鎖。
    右手はいまだに私の手くびを握っている。

    どうして?と、聞きたいことはいっぱいあるのにのどの痛みはもう少し引きそうになかった。
  • 4 名凪 id:/DofiVN0

    2012-08-23(木) 22:29:26 [削除依頼]

    買い手は買い手。奴隷販売利用者は皆悪?
    常識外れの主人を知識の乏しい私の頭は理解できない。
    触れる手は冷たいのに伝わる体温は温かくて戸惑う。
    私は奴隷、商品だよ。貴方は何を買ったつもりなのかな。


    第2話  Reason


    ただの女奴隷に5000万円を支払うくらいだ。
    よっぽどの金持なのだろうということは容易い予想。
    以外にも主人が踏み入った建物は街はずれの古びた家だった。

    玄関に入ると、主人は鎖と私の手くびを手放す。
    パーカーのポケットから鍵を取り出し、私の枷をひとつずつ外していく。
    足首、腕、首。呼吸のしやすさに驚いた。
    主人は外した枷と鍵を床に投げ捨て、右手で私の首に触れた。

    「声は?」

    ゆるい麻痺はまだ続いている。
    が、声を出せない程ではなくなっていた。

    「出……せ………ます」

    とぎれとぎれに紡いだ言葉。
    はっきりと言えない声に普通の買い手ならば苛立って暴力すらあったかもしれないのに。
    主人は「そうか」と言ったきり、私を家の中に誘導した。
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