ナオコさん2コメント

1 匿名 id:3xF5DVk.

2012-08-19(日) 05:19:51 [削除依頼]
 その日はどんよりとした夜だった。星一つ見えない濁った空の下、これまた真っ黒な小型車が一台、静寂の山道を走っていた。
 汗の匂いが染み付いたスーツを纏い、煙草をふかしながらアクセルを踏む。助手席には年季の入ったカメラが一台。今の会社に入社した当時、初めての給料で購入した思い出深い品。彼、浅田勇作にとっての愛機。今となっては埃を被ったただのレンズ付きの箱に過ぎないが、特に買い換える気もないのでずっと使い続けている。
 スクープを撮る事を夢見て殴り込んだ報道業界。しかし年を減れば大抵の人間そうである通り、彼もいつの間にか初心の気概を失っていた。今は食いぶちを稼ぐ為の手段に過ぎない。うだつが上がらない事もあり、会社からの期待が無い事も判っていた。そんな彼の下に流れ込んできた仕事がホラー特集だった。
「スクープ! 廃病院の謎に迫れ!」
 思いつき、独り自嘲の笑みを浮かべた。なんてチャチなタイトルだ。業界に入ってもう二、三年だというのに、未だにセンスのなさに脱帽する。上司からも散々いびられてきた。お前には記者としての才がないと。だが、辞めたところで次の働き先の宛てがある訳てもない。会社が置いてくれる以上、それにすがっていくしかない。哀れなものだ。
  • 2 匿名 id:3xF5DVk.

    2012-08-19(日) 06:17:26 [削除依頼]
     窓ガラスに水滴がひっつく。気が付くとフロントガラスが白い靄に包まれていた。霧だろうか。速度を落として慎重に走行する。幸い時間帯が時間帯なので対抗車はなく、事故の心配はない。ガードレールの位置にさえ注意すれぱ死ぬ事はない。
     霧の中を進みつつ、勇作は今回の取材のきっかけとなった手紙について思い返していた。ホラー特集のネタとして採用されたもので、元々今回の企画は一般に向けて募集された中から一つ、選び出された内容について調査するというもので、その結果回ってきたのが「廃病院のナオコさん」だった。
     タイトルから大体の予想はつくが、要は廃病院で亡くなったと噂されるナオコという少女を調べて欲しいとの依頼で、情報提供者とは現地で落ち合う事になっていた。詳細は会った時に話すとの事で、相手が指定した場所がまさにその廃病院で、待ち合わせの時間まではもう少しであった。何でこの時間帯にとは思うが、仕事なので愚痴は許されない。だが本来ならば今日は休日の筈で、取材の予定はなかった。それを思うとどうしても不満が残る。だがそれを口にしたところでどうしようもない。煙草で気を紛らわせながら、次第に目的地へと近付く。やがて霧が少し収まったかと思うと、視界の端に白い建物らしき壁が見えてきた。
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