たいようのうた9コメント

1 苺 id:Hd3cH0M.

2012-08-11(土) 13:14:52 [削除依頼]
*作者より*
こんにちは
「たいようのうた」作者の苺と申します。
私は現在中学生で合唱部です。
合唱部というのは、ほかの部活よりあまり知られていなく、地味で、ダサくて、カッコ悪いというイメージがあるのではないでしょうか。
でも実際はほかの部活に負けないくらい、毎日一生懸命、練習しているんですよ。
時には笑い、時には怒り、時には泣き・・。
喜怒哀楽がある、みんな素直であたたかい気持ちになる最高な部活だと、私は思っています。
この物語を読んで、皆さんに「合唱部」を知ってもらえると光栄です。
  • 2 苺 id:Hd3cH0M.

    2012-08-11(土) 13:39:17 [削除依頼]
    大川 梓 様
    あなたは今、何をしているでしょうか。
    あたしは今、中学生です。
    桜沢中学校で合唱部をしています。
    あなたは合唱部を覚えているでしょうか。
    Nコンというコンクール、ご存知ですか。
    あなたに絶対に忘れないで欲しい歌があります。
    Nコンの課題曲。
    一緒に歌った仲間。
    あなたに忘れないで欲しいです。
    この先も、ずっと。
                     大川 梓


    ***
    「よし、できた。」
    あたし、大川 梓は、10年後の自分へ手紙を書いていた。
    主な内容は、合唱部のこと。
    一緒に歌った仲間とか、忘れないで欲しい歌とか、そんなかっこいいこと書いたけど、今の合唱部は全然それどころじゃない。
    でもあえて、そういうことを書いた。
    いつか「一緒に歌った仲間」が本当に大切だと思えるようになりたいから。
    これからどうなるか分からないけど、今おきていることを手紙につづることにしよう。
    10年後のあたしの為に。
    今の、「最悪」な合唱部を変わらせたいから。  
  • 3 苺 id:Hd3cH0M.

    2012-08-11(土) 14:28:04 [削除依頼]
    「ほんと、むかつくんだけど。」
    土曜日、あたしは音楽室で、葉子、未句と喋っていた。
    「私、なんにも悪いことしてないよ?なのに空良、私の陰口ばっかり。」
    葉子はどうやら空良に怒っているらしい。
    「未句も最近、空良に腹たってるんだよね。だって誰でもいいから味方につけてさ、気に食わない人のグチ言ってそうじゃない?」
    「そうそう、わかるー。」
    あたし、全然分かんない。
    「あとさ、若葉先輩の言ってることも理解できなくない?」
    「あ、ねー、最近うるさくない?いちいち注意されなくても分かってるしみたいなねー。」
    「受験とかでピリピリしてんのか知らないけどさ、私たち何も悪くないじゃん?八つ当たりとかほんとやめてほしい。」
    あたしだけ話についていけないで、ぽかんとしていると、
    「ねー、アズは?」
    葉子があたしの顔を覗き込んできた。
    「え?あたし?」
    「アズは、若葉先輩とかにムカついたりしないの?」
    「え、っと、んー、ノーコメントで。」
    あたし、若葉先輩も空良も嫌いじゃないし。
    「もう、アズは人の悪口になると急におとなしくなっちゃうんだから。」
    未句が言った。
    「そうそう、いつもは私たちより何倍も元気なくせに、そういうところ意外だよねー。」
    葉子が大げさに首を縦にふる。
    「だってあたし、そんなの全然分かんないんだもん。情報遅れだし。」
    最近みんなは、情報を仕入れるのが早すぎる。どうやって聞くのか知らないけど、あたしは時々話題についていけない。
    「おはよーございます。」
    イツメンの中に含まれている、芽々が来た。
    「おはよー。」
    「芽々、聞いてよ、あのね・。」
    3人でグチグチ盛り上がってるから、あたしは莉菜子達のところに逃げることにした。
    「何の話してんのー?」
    あたしはわりと、ほかのグループに入ったりすることは簡単にできる。
    「ドラマの話ー。」
    「ねえ、アズはさ、新垣結衣と、綾瀬はるか、どっち派?」
    莉菜子が聞いてきた。
    「あたし綾瀬はるかがすきー。」
    「私も!」
    「えー、カナは新垣結衣がいいー。」
    莉菜子と仲がいい、佳奈が言った。
    「あ、そうだ、ねぇ佳奈、アズにもあのマンガ貸してあげようか?」
    「えー、なになに?どんなマンガ?」
    「恋愛系なんだけどね、すっごく面白いの。まだ今月1巻発売したばっかりでね、新品買っちゃったよ。」
    「見たいみたいっ!貸して!」
    「いいよー、絶対面白いから、明日持ってくるね。」
    そうそう、あたしはただ、こういう話がしたいだけ。人の悪口とか、そんなのどうでもいい。
    莉菜子達のグループに移ろうかな。
    そう思うこともたびたびある。でも、葉子たちと喋ったり遊んだりするのも時によってはすごく楽しい時もある。お腹が痛くなるほど笑う時もある。だから難しい。
    「腹筋したの?」
    部長の若葉先輩たちに、注意されている葉子たちが見えた。
    (腹筋、やってなかったんだ・・。)
    グチ言う前に、やることやったほうがいいんじゃないかな?優先順位、間違ってるよ・・。
    あたしはそう思いながらも莉菜子達と一緒に腹筋をした。
    合唱部では、毎日朝来たら腹筋200回するということになっている。
    合唱する際にいい声を出すにはお腹に力が入ってないと行かないからだ。
    いっぱい息を吸うためにも、それをためておくためにも、お腹の筋肉は重要なのだ。
    莉菜子達は先輩に言われたわけでもないのに、100回増やして、計300回もやっている努力家だ。
    葉子達も、こんなふうになればいのにな。
  • 4 苺 id:Hd3cH0M.

    2012-08-11(土) 15:11:41 [削除依頼]
    ***
    出席をとりおわって、発声練習も終わった。
    「じゃあ、fight練習するから、楽譜用意してねー。」
    若葉先輩が言った。
    先生が来るのを待っているあいだ、未句と雑談していると、合唱部顧問の向山先生がたくさんの楽譜を持ってきた。
    「今日は練習する前に、いくつか曲を聴いてもらいたいんだ。4種類楽譜あるから、一人ずつ持ってってー。」
    ピアノの上に、4種類の楽譜が並べられた。
    1曲目は、「朝のリレー」。
    谷川俊太郎さん作詞のなかなか有名な曲だ。
    2曲目は、「ヒカリ」。
    作曲者松下耕さん、あの有名な「信じる」を作曲した大物作曲者だ。
    3曲目は「生きる」。
    歌詞がとてもいい歌詞で、朗読などをよくされる作品だ。
    4曲目は「虹の輪の花」。
    あまり聞いたことがないが、合唱部顧問の先生のあいだでは有名な曲らしい。
    どうやらこれから、自由曲を決めるらしい。
    合唱部は毎年、夏休み中に行われるNHK全国学校音楽コンクール、通称「Nコン」というのに参加する。
    最初は地区大会に参加し、金賞をとった学校はブロックコンクールまで進むことができる。そこで金賞をとることができれば全国大会へ進み、東京のNHKホールまで行き、演奏がテレビで放送される。
    演奏する曲は2曲で、課題曲と自由曲だ。課題曲は毎年、このNコンのために新しく書き下ろされる。
    今年の課題曲は、YUI作詞、作曲の「fight」だ。
    自由曲は基本なんでもいいことになっているが、11分間までに演奏を終わらせなければいけない。そうでないと「失格」という扱いになる。
    「この5曲は先生が何日もかけて絞った曲なの。この桜中合唱部にあった曲はなにか考えて選んだ結果です。あとはみんな次第。どの曲にするかはみんなに決めてもらうわ。」
    今年の自由曲の選び方は去年と違う。
    去年は先生が選んだ3曲を同時に最初の部分だけ音取りして先生が決めた。しかも3曲とも全然聞いたことのない、とても高度な曲だった。
    でも今年の候補は誰でも知っているような有名作品ばかりだ。
    「去年は銀賞が取れてすごく嬉しかったよね。みんなは銀賞が取れたんだから金賞だってすぐ取れるって思ってるでしょう?でもそんな簡単にいかないわ。だからこれからずっと練習していく自由曲、真剣に選んでね。」
    向山先生が真面目な顔で言った。
    そう、去年は銀賞が取れたのだ。あの頃は部活が安定していて、争いごともなかった。でも今年はゴタゴタ。本当に大丈夫だろうか。
    こうして5曲の合唱曲を聴き、今年の桜中合唱部の自由曲に選ばれたのが、
    「朝のリレー」だった。
  • 5 苺 id:CxA7l5Z.

    2012-08-12(日) 12:20:46 [削除依頼]
    ***
    「今年のNコンの自由曲は、朝のリレーに決まりました。みんなが決めた曲からには、みんなで一致団結して、金賞目指さないとダメよ。」
    向山先生が言った。
    「じゃあまず、課題曲から練習しよかな。合唱体型で並んでー。」
    あたしたちは「fight」の楽譜とペンケース、水筒を持って、合唱体型に並んだ。
    「とりあえず一回通すから。」
    向山先生がピアノを弾いた。

    描く夢が全て
    かなうわけなどないけど
    あなただって分かっているはずよ
    壊れそうな空だって
    あたしは受け入れるから
    大丈夫よ優しい嘘
    大人になりたい
    頑張れ頑張れ
    命燃やして
    続く現実生きてゆく
    頑張れ頑張れ
    限りある日々に
    花を咲かせる

    合唱部みんなの声が揃う。
    3部のパートが重なり合って、美しいハーモニーを生み出す。
    あたしはこうやって歌っている時が何より幸せだ。先生の指揮に合わせてあたしたちが歌う。声を合わせる。
    それはあたしにとって、太陽だった。
    太陽のように光が見える。あたしたちが輝く。
    同じ夢に向かって、同じ歩幅で進んでいく。みんなで。
    歌っているときはこんなに息がピッタリなのに、
    なのにどうして、普段はあんなに心がバラバラなのだろうか。
    そんなことを考えているうちに、「fight」はいつの間にか終わっていた。
  • 6 蒼穹 id:6v8WMcD1

    2012-08-12(日) 15:45:04 [削除依頼]
    更新頑張って!
  • 7 苺 id:CxA7l5Z.

    2012-08-12(日) 18:18:03 [削除依頼]
    Dear 蒼穹さん

    ありがとうございます。更新頑張りますね。

    From 苺
  • 8 苺 id:CxA7l5Z.

    2012-08-12(日) 18:49:57 [削除依頼]
    ***
    「じゃあ、ちょっと男声まだ音不安なところあるから、女子パート練してて。」
    向山先生はそう言って、男子をピアノのところに集めた。
    パート練は、ソプラノとアルトが分かれて行う。場所は使っていない教室。今日はソプラノが3年1組の教室でアルトが技術室になった。
    「技術室って木臭くてやなんだよねー。」
    ちなみにあたしはアルト。いつメンの3人もみんなアルトだ。
    「はいはい、みんな立ってー。練習するよ!」
    こちらは今葉子たちと仲の悪いらしい若葉先輩。ちょっと厳しい面もあるけど面白くて1,2年生のことをよく考えてくれる、頼もしい先輩だ。
    アルトはソプラノと比べてかなり厳しい。パート練の時は休む時間などほとんどない。先生と練習してる時とほぼ同じような状態だ。
    一方ソプラノはかなりゆるゆる。歌い終わるたびに座りダラダラ雑談したり、飲み物のんだり・・。
    だからたまにソプラノとアルト合わせてパート練するとなると、びっくりする。
    多分葉子たちは、「なんで私たちだけ」って思って腹たってるんだと思うけど、でもNコンで入賞するには自分の力になるようなことをしないといけない。あたしは若葉先輩の行動が正しい気がする。
    「じゃあ、まず目標を立てよう。自分は今日こんなふうに歌いたいっていうことを一人ずつ言っていこう。」
    若葉先輩が言った。
    「じゃあまず1年生から言ってもらおうかな。最初に奈歩子ちゃん、言える?」
    「はい、私は口の開け方がいつも横に開いちゃって、子供っぽくなっちゃうのでそこを直したいです。」
    奈歩子ちゃんが言った。1年生なのにしっかりしてるなーと、いつも感心させられる。きっと将来の部長さんだ。
    「その通りだと思う。奈歩子ちゃんはいい声だから、もったいないよね。次、真里ちゃん。」
    「私は、身体が歌のリズムに合わせて揺らしてしまう癖があるので気をつけます。」
    真里ちゃんは控えめな正確だけど歌の事となったら笑顔で元気になる。本当に歌が大好きな子だ。
    「分かったわ。頑張ってね。次は莉乃ちゃん。」
    「私は、えっと、息漏れっていうのが多いみたいで、自分ではあんまりよくわからないけど、注意されないようにしたいです。」
    「うん、わかった。じゃあ、次は2年生。アズ。」
    「は、はい。私は、強弱が苦手で、どこからどこまで強くするのかなどを楽譜をしっかり見て理解したいです。」
    「オーケー。頑張ってね。次は葉子。」
    「・・・」
    あれ、葉子?葉子は返事をしない。
    「葉子?どうした?」
    若葉先輩が言った。
    「・・・あの、今若葉先輩がやってるのってなんか意味ありますか?」
    葉子がぶっきらぼうに言った。場の空気が一気に凍りついた。
    「・・・何それ?目標を立てるって、大事なことじゃない?」
    「私、若葉先輩がやってること、全部意味わかんないんですけど。」
    葉子、それはないんじゃない?って言おうとしたとき、
    「未句もそう思う。」
    なんで?なんでみんな、そんなこと言うの?そんなことないよ。若葉先輩、頑張ってるじゃん。何がそんなに気に食わないの?
    「わ、若葉先輩、あの・・・」
    私は耐え切られず、慰めようとした」。でも、葉子と未句の視線が刺さる。
    「わかった。もういいよ。みんなにそう思われてたなんて知らなかったから。」
    若葉先輩はそう言って技術室を出た。
    「若葉先輩!」
    私は追いかけようとした。でも、葉子が
    「アズ、あんな人ほっとこうよ。なんでかばうの?」
    と言った。でも私はもう泣きそうで、とにかく若葉先輩を探しに行こうと思った。
    「アズ、待って!私も行く。」
    芽々が一緒に来てくれた。
    こんなんじゃ、入賞なんて無理だよ・・。
  • 9 苺 id:b3yktyE/

    2012-08-13(月) 10:39:50 [削除依頼]
    ***
    「若葉先輩ー!」
    あたしと芽々は、技術室を抜け出し、若葉先輩を探しに行った。
    「若葉先輩?」
    見つけたのは探し始めて10分経った頃だった。
    屋上ー。
    「・・・見つかっちゃった。」
    若葉先輩は泣き疲れたような微笑みを浮かべた。
    「ごめんね、部長のくせに、こんな・・。」
    若葉先輩の言葉をさえぎって、芽々が言った。
    「若葉先輩は悪くありません。悪いのは、私たちですから。」
    「でも、私、部長に向いてないって、最初から思ってた。向山先生に私が部長だって発表されて、凛とかの視線が怖かった。」
    凛、とは、3年生のソプラノの先輩だ。部長候補の一人で、最も部長になりたがっていた先輩だ。
    「だから、私なんかよりも、凛の方が良かったんだよ。」
    諦めたように、でもさみしそうに、悲しそうに若葉先輩はそう付け加えた。
    あっけない一言だけど、あたしは胸の中がじんと熱くなって、次にズキズキと痛くなった。鼻の奥がつんとした。
    あたしは耐え切れなかった。若葉先輩の頑張りを、みんなは何も分かっていない。思ったことをどんどん口にした。
    「あたしは、あたしは、若葉先輩が部長で良かったです。凛先輩よりも、祥子先輩よりも、恵菜先輩よりも。あたしは若葉先輩が一番、部長らしいと思ってます。」
    「アズ・・・」
    「あたし、厳しくても、怖くても、先輩が後輩のことを一番よく考えてくれてるって知ってます。個性豊かなあたしたちを必死でまとめてくれてるって、知ってます。」
    「アズ、わかった、もう、いいから・・・」
    もうどうにも止められなかった。
    「コンクールで賞取れなかったら、あたしたちのせいだから、若葉先輩のせいじゃないから・・。」
    「アズ、」
    「だから・・・」
    「アズ!」
    芽々が叫んだ。
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