帰り道の二人言10コメント

1 そるべ id:gxpPU5G1

2012-08-07(火) 23:26:58 [削除依頼]
「何なんだお前は。いつもいつも暑苦しいんだよ。」

めんどくさそうに吐き出す君。
こっち向いてもくれないのが、なんだか悔しい。

「そんなにあたしのこときらいですか…」

そう呟いてみるけど、返事はほしくない。

あたしは、隣をトボトボ歩く君の
足元を見つめながら歩いた。

「ああ、嫌いだな。お前うるさいしひつこいし、
おまけにチビ。俺は色気ある姉ちゃんが好きなんだよ。」


…あたしをそうやって見下しやがって。


         帰り道の二人言。
  • 2 そるべ id:gxpPU5G1

    2012-08-07(火) 23:28:42 [削除依頼]
    えっと、更新させていただきまーす!

    のろのろ更新当たり前。

    では、始めますぜ!
  • 3 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 00:13:32 [削除依頼]
    「それで、またフラレたんだ。」

    サンドウィッチを口にほおばっていると、
    率直な結論が返ってきた。

    「そういうことストレートに言わないで!」

    食べていたサンドウィッチを牛乳とともに流し込んで、
    あたしは呆れたようにため息をついた。

    「だって事実じゃん。ホント夏目って惚れっぽいよね。」

    「うるさいなあ。しょーがないでしょ。」

    「一目惚れした衝動でコクってフラれんのが?」

    さっきから茜は痛いとこばかりついてくる。
    失恋の傷は結構深いんだからな。

    茜はさんざん嫌味たらしくしゃべると、
    今度は自分の彼氏の話を持ち出してきた。

    なんでも彼氏とうまくいってないとか。

    「そんなん知るかー。」

    空になった牛乳をたたみながら、
    あたしはポツリとつぶやいた。

    茜は彼氏の愚痴をあたしに漏らす。
    そんなあたしは上の空。

    …だって失恋したばっかの少女にそんな話…

    あたしは確かに惚れっぽい、と思う。
    そんなん自分でもわかってるんだけどね。

    今までの恋で、
    一目ぼれで始まったのが8回。

    昨日の放課後にコクってフラれたのも、
    あたしの一目惚れからだった。

    結局、
    ”俺、榎片はタイプじゃねえからごめんな。”

    …あ、そうっすか、ってあっさりしたフラレ方。

    悔しいぜこんにゃろう。
    タイプなんて関係あるのかい!?

    「おーい夏目?聞いてる?」

    我に返った時には茜があたしの顔を覗き込んでいた。
    ビックリして声がうわずる。

    「はあい!?聞いてますよ?」

    「ったく…あんたはまたすぐ次の恋できるじゃん!
    元気出して!応援するからさ」

    うん?茜が励ましてる…??

    まじまじと茜を見つめると
    ふいっと目を逸らされてしまった。

    じわじわとうれしさで心が満たされていく。
    ああ…茜〜

    「茜ちゃぁぁぁぁん!!大好き〜」

    大声で愛を叫ぶと、周りの冷たい視線が刺さってきた。
    …何よ。オトモダチに愛を叫んで何が悪い?

    「うっさい!夏目のばか!」

    そしたら茜からもそんな冷淡な言葉が返ってきた。
    でも、目が泳いでる。
    ゲヘヘ…うそつき茜。

    「もう。照れ屋さん!」

    「……」

    こうしてあたしの5回目の失恋は、
    何事もなかったかのように終わった。
  • 4 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 00:29:57 [削除依頼]
    改札口を華麗にすり抜けて、
    あたしはいつもの席に腰を下ろした。

    今は夕方5時。


    さっき茜と別れてから
    まだ10分も経ってなかった。


    電車の中から見える風景は、
    嫌いじゃない。


    あたしがいつも座るのは、
    3車両目の隅っこの隅っこ。

    意外と落ち着くし、
    まずここしか空いていないというのも現状。


    よく意外だね、なんていわれるけど
    あたしは電車通学なわけで。

    けっこうめんどくさいのよ、電車も。


    5時ならまだすいてるけど、
    あ1時間遅かったら、もうすし詰め状態。

    時刻を携帯で確認すると、
    あたしはそれをポケットにしまいこんだ。


    その時、スチーム音とともにドアが閉まり、
    緩やかに窓の外の景色が流れ出す。

    動き出した電車につり革が規則正しく揺れる。

    この瞬間、…たまらんな。


    あたしは電車の揺れに酔いながら、
    静かに窓の外へと目を向けた。


    きれいな夕日。
    電線にとまるカラスがちらほら。


    …新しい恋かあ。
  • 5 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 01:41:08 [削除依頼]
    ぼけーっと夕日を眺めていると、
    揺れる車内にアナウンスが流れ出した。

    …ってあたしが降りる駅じゃん!

    あたしははっとして電子版に目をやると、
    やはり。

    『次は時束駅』と記されてある。

    …おりなきゃ。


    きれいな窓の外の景色から無理矢理目線を外して、
    脱げかけていたローファーを履き直す。

    鞄を手に持った時にはすでに
    駅に到着していたようで。

    静かにドアが開いていた。

    あたし意外にこの駅で降りる人は…


    電車の中を見回してみるが、
    そんな人はいなかった。

    もちろん、乗りこんでくる人もいない。

    あたしオンリーだった。

    「へえ…あたしだけこの駅で降りるとか…
    初めてじゃん…」


    いつもは3、4人はこの駅で席を立つのに。

    あたしは不安に思いながらも、
    ホームを横切り、改札を抜けた。

    ま、別にそんな気にすることじゃないしね。


    疑問を頭から追い払って家へと歩き出した。
  • 6 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 02:09:49 [削除依頼]
    とは言ったものの。

    駅からあたしの家まで約20分だぞ20分。


    あたしは今、踏切に阻まれて立ち止まっている。
    先ほどから歩いて10分。

    大分細い脇道に出た。

    「ああ…まだあの悪魔の道があるではないか…」

    踏切越しから目の前に見える一本の坂道。
    これは…初めて見た人なら度肝を抜くはず。

    あたしはその坂道に視線を向けると、
    ひどくため息をついた。


    この坂道の上にあたしの家がある。
    この坂道の…てっぺん。


    これが、傾斜角度60度という強烈な坂道でなければ
    家に帰るのも楽ちんなんだろうな…


    そんなこと考えているうちに、
    踏切が上がっていた。

    人々がぞろぞろと歩き始める。

    あたしもその流れに乗って、
    あの急角度の坂道へと進んでいった。


    「うっし。今日も無事、家に帰ろう。」

    そびえたつ坂道の前で気合を込める。
    これもまあ、日課だ。

    あたしは坂道をもう一度見上げてから、
    重い足取りで上り始めた。


    てっぺんまで約150mもあるんだよ、これが。
    小さく一歩一歩で踏ん張りながら、
    トボトボ坂道をひたすら上る。


    道の両側にはずらりと家々が立ち並んでいる。
    …が、そんなの知ってるから別に見向きもしない。
    この坂のてっぺんに住んでからもう16年だぞ。


    あたしの家まではあと少しだった。


    …それなのに。


    坂道の終盤、
    道の脇に、見たことない人が座り込んでいた。


    胡坐をかいてドカッと道に腰をおろし、
    地面にジャンプ漫画らしきものを広げている。


    …でもって左手につぶつぶみかんジュース持ってる。

    何こいつ。
    何者?こんなとこでこんなに優雅に漫画読むとか。


    しかもあたしには気づいていないようだった。

    ジャンプに必死すぎて
    気づいてないだけだと思うけど。

    変な人。


    あたしはためらいもせずに、
    その人の前を通り過ぎて行った。


    これが運命の出会いになるとは。
  • 7 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 02:29:04 [削除依頼]
    「ただいま〜」

    家に帰るなり、

    「お帰り〜」

    と元気なママの声が返ってきた。

    あたしはそのまま
    自分の部屋に入ると
    珍しく鍵をかけた。


    何だったんだろう?あの人は。

    あんな人、見たことないし。
    でも、あの坂のあんなとこまで
    登ってきてるなら、絶対にここら辺の住人だよね。


    制服のままベットに倒れこんで、
    ふと考えてみた。


    そういえば顔とかよく見えなかったな…
    イケメンだったら…


    なんて意味もないことが浮かんでは消える。


    ああ、そういえばあたし昨日
    失恋したばっかじゃん。


    「ああ〜〜〜…」

    失恋か…
    振り切ったはずなのに、
    なんかまだ心にとげが刺さってる。


    …胸が痛いな。

    むしゃくしゃする。


    あたしは枕を抱きしめて、
    感情を鎮めようとする。


    大丈夫大丈夫大丈夫


    「次の恋、次の恋…」

    呪文のように唱えるたびに、
    枕を抱きしめる力が強くなっていくのがわかる。


    ようし!こんなブルーな時は!

    あたしは思い付いた。

    …ってか失恋したらいつもやってる。


    がばっと勢いをつけて
    ベットから飛び降りると、
    リビングへと向かった。


    モヤモヤした時はこれだ。

    「お母さん!あたし、今ブルー!!」

    バンンっとリビングのドアを開けて叫んだ。

    お母さんがその言葉を聞くなり、

    「また失恋か!」

    と振り返って馬鹿にしてくる。


    …そういうこと言うなっての!


    あたしが目で訴えていると、お母さんは

    「はいはい。作ればいいんでしょ、作れば。」

    と、腕まくりをして
    キッチンへと向かっていく。

    呆れたため息を残して。


    …すいませんね。モテなくて。
  • 8 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 02:41:48 [削除依頼]
    急かすようにリビングのソファーに座り込んで、
    キッチンにいるお母さんを監視する。


    …まだかまだか。


    時計は6時30分。

    夕日がそろそろ闇夜へと変わっていく微妙な時間だ。


    退屈になって、携帯でメールを打っていると、

    「できたよ!」

    という楽しげな声がキッチンから聞こえた。

    「やっとか!」

    悪態をわざとらしくついて、
    あたしはすぐさま携帯をテーブルに
    投げ捨てた。

    キッチンに駆け寄っていくと、
    いつものあれが
    ホクホクと湯気を出していた。

    「でかした!お母さん。」

    あたしが出来上がった料理を見て
    そういうと、

    「じゃあ、明日帰りにタピオカ買ってきてね。」

    と約束をされてしまった。

    無理矢理。

    「わかりましたぁ」

    めんどくさそうに
    笑顔で答えると、
    あたしは皿ごとそれを持って


    …外に出た。
  • 9 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 14:27:24 [削除依頼]
    あたしはエレベーターに
    乗り込むと、最上階のボタンを押した。

    湯気を立てる料理を抱えながら。


    8、9、10…

    11階につくと、
    自動的にドアが開く。


    エレーベーターから
    走り出て、

    屋上へと続く階段を
    駆け上がった。

    最上階のもっと上、屋上。


    誰も邪魔されないし、
    何よりも景色が最高なんだ。


    っていうのも、

    「あった。」

    ポケットの中を
    手探りで探して、
    古びた鍵を取り出す。

    「あたしがココの鍵持ってるから、
    誰も入れるわけないんだな、これが。」

    そのカギをみて、にんまりと笑うと、
    ドアノブに差し込んだ。


    ガタンッ


    鈍い音とともに
    ドアノブが半分回る。


    「よぉし。」

    重たい扉を開けると、
    あたしの大好きな景色が広がっていた。
  • 10 そるべ id:m1zfir9/

    2012-08-08(水) 14:37:47 [削除依頼]
    「やっぱいいね…この景色は。」

    扉の先には、
    ひらけた景色が広がっていた。

    だまってフェンスに近寄る。


    この場所が一番最高なのよ。

    「癒される…」

    フェンスから顔をのぞかせると、
    そこには、あの長い坂道が一直線に下に伸びていた。

    その坂の両脇にポツリポツリと
    街灯が立っている。

    ああ…いい場所だ。

    「あんなめんどい坂道も、
    真上から見下ろしたら、こんなにきれいなんだもんね…」


    納得したようにつぶやいてみる。

    独り言が多いんだよ、あたし。


    一通り、景色を一望した後、
    家からずっと持ってきていた
    餃子に目線を移した。


    …餃子


    女の子がこんなの
    本気で食べてたら引くよなあ…


    あたしのパワーの
    源なのに。

    「おいしいのにな。」


    餃子を素手で一つとると、
    ぱくりと口に放り込んだ。

    「…うま。」


    あたしが落ち込んでいるとき、
    (まあ、ほとんど失恋…)

    ここにきて、景色を見ながら
    餃子を無心で食べるのよ。

    そしたら、気分がスカッとするというか、

    なんかどうでもよくなるんだ。
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