@言ノ葉理論39コメント

1 @ id:JRHKMt/0

2012-08-03(金) 11:37:48 [削除依頼]

「世の中、人を人と思っている人間なんてほとんどいないんですよ。だから平気な顔をして人を傷つけて、平気な顔をして人を裏切るんです。貴女もそうでしょう? 傷つけて傷つけられて裏切って裏切られて、人を踏み台にして幸せを掴むんです。貴女も、僕も。もちろん、全世界の人間全ての幸せは、そうやって約束されているんですよ」
  • 20 @ id:89q5rbT0

    2012-08-27(月) 09:58:56 [削除依頼]

     眼が、合ったように思う。
     その顔にはよく見覚えがあった。特に、最近はその顔を見ない日はないまでに。彼は、私の周りでよく見かけるようになったあの童顔の少年───少年といっても彼も高校生なのだが、彼の童顔が素直に「青年」と呼ばせはしない───だったのだ。そのとき、私は驚くより「あぁ……」という納得の感情の方が先回りをしていた。
     そして、その眼は遠くからでもはっきりと見える、とても静かな眼だった。でも静か、というにはまだ物足りないような。冷たい、と言った方がまだしっくりくるものだった。
     でもそんな瞳は私が眼を瞬いている間に何処かへ消え失せ、代わりにその顔には人懐っこそうな笑顔が張り付けられていた。
     彼はそんな嘘くさい笑顔を携えて、私に向かって小走りで近寄ってきた。たっ、たっ、たっ、という小刻みにリズムのとれた足音がどんどん近づいてくる。
  • 21 @ id:89q5rbT0

    2012-08-27(月) 10:15:25 [削除依頼]

    「えっと、華堂先輩……ですよね? 去年のミスコンで優勝していた……」

     彼は私の元へ辿り着くと、挨拶も何もぶっとばしてほんの少し早い口調で私に質問を投げかけた。当たり前かもしれないが彼に疲れた様子はない。
     ちなみに゙華堂゙というのは私の苗字だ。また、私の通っている教育機関は、中等部(いわゆる中学校に値する過程)からエスカレーター式でその教育を終えていく。つまり私立の中高一貫校なのだ。名前をクレール学園といい、意味はフランス語で゙透明゙らしい。何故そんな名前なのかは誰にもわからないことだが、響きが良かっただけという噂もある。

    「……えぇ、そうですけど。貴方は……?」

     少し言葉の中に疑念を含んでいただろうか。

    「あ、すみません。僕、篠原蒼志っていうんですけど……。……知って、いますか?」

     彼の口調も、私に負けず劣らず探りを入れるような口調だった。たぶん、私の周りに付き纏っていたことを言っているのだろうとピンときた。彼が私の周りをうろちょろしていることに、「私自身が気付いているか」。彼は言葉の中にそういった意味を詰め込んだのだろう。
  • 22 @ id:89q5rbT0

    2012-08-27(月) 10:17:38 [削除依頼]
    まとめ。 >1+3+4+9+10+15+16+20+21 @言ノ葉理論
  • 23 @ id:USEHog31

    2012-09-01(土) 11:39:24 [削除依頼]

     さて、私は鎌を吹っかけられている。そしてまた、私は「鎌をかけられていることに気が付いている」。その時点で篠原君の鎌をかける行為は「失敗している」ということになった。つまり、私は正確にいえば「鎌をかけられていない」のだ。失敗しているのだから、彼の「知っていますか?」というのはただの質問と化した。「私が鎌をかけられているのを知っていること」を、つまり「鎌をかけるのは失敗していること」を篠原君自身が知っているとしても。
     少しややこしくなったが、つまり彼が普通を模した質問の中にどんな意味を孕ませようとも、今となっては本当に普通の質問でしかなくなったということだ。私は、普通に質問の答えを口にすればいい。

    「……えぇ、知っていますよ。なんだか最近、貴方の顔をよく校舎内で見かけるので」

     私は極めて冷静にそう答えた。何も間違ってはいない。
     篠原君は特に表情を変えることなく、おどけた表情のまま「あーすみません」と軽い謝罪をしてみせた。

    「華堂先輩、ミスコンで優勝したでしょう? 僕、ミスコンが開催されてるとき仕事で開催場所に行けなかったんですよ……。僕ほんっとーにミスコン見たかったんです! だから悔しくって!! だから優勝者の顔だけでも…っ、って。すみません、気味悪かったですよね」

    「…………」

     彼は饒舌にそう語った。いま目の当たりにした彼の性格からして、彼の饒舌は当たり前のものなのかもしれないが……。
     でも、本当にそれだけなのだろうか。何かが違う気がしなくも……ない。
  • 24 @ id:USEHog31

    2012-09-01(土) 16:54:55 [削除依頼]

     彼が口にした理由は、こうなることを考慮しての用意された言い訳に私には聞こえた。
     でも、今の私にそれを問いただす権利は無い。むしろ、今の状況、関係性では問いたださない義務があると言ってもいい。なんせ、私が彼のことを少し不信に思っていたとしても、私と彼は他人なのだから。

    「……いえ、別に。特に気にしていませんよ」

     結局、私は当たり障りないようにそう答えた。
  • 25 アシベ 新!停滞し日々回転す id:jNqj4or0

    2012-09-02(日) 07:39:25 [削除依頼]
    篠原君、可愛いけど何か怖いですね・・・。
    ストーカーではない、、、ですよね(聞くなし


    更新お疲れ様です!

    ではのすい
  • 26 @ id:5SfqEKa1

    2012-09-02(日) 12:10:53 [削除依頼]

     すると、篠原君はいかにも安心したというように「良かったです」と笑顔で胸を撫で下ろした。そんな彼に返答する言葉が見つからず、困った目のやり場の行き先は自分の腕時計だった。針は、学校を出たときに見てからいつの間にか二十五分後を指している。公園に足を踏み入れていなければあと五分で家に着く時間だ。
     辺りはもうオレンジ色の空が暗闇にほとんど呑まれていて、その暮れの速さに冬の到来を感じた。

    「すみません、私はそろそろ家に帰らなきゃいけないので……」

     私が柔らかく自分の意志を伝えると、彼は張り付けた笑顔のまま「わかりました!」と微塵の嫌味も感じさせず言った。

    「時間取らせちゃってすみません! では、また明日!」
    「……え!? え、えぇ……」

     彼は笑顔で言ったけど、私はそのとき正直、彼と次の日に会うつもりはなかった。だけど彼はそう言い放ったまま私より先に走って公園を出て行ってしまった為、私はそのままポカンと立ち尽くすばかりだった。
     まあ、あれは彼なりの社交辞令にも似たそれなのだろうと後に自己完結し、公園を出て私も再び帰路についた。

     明日とはいかなかったけど、その後彼と再び会うとは───いや、それどころか彼の秘密を知ることになるとは、そのときは露も知らずに。
  • 27 @ id:5SfqEKa1

    2012-09-02(日) 12:13:05 [削除依頼]
    明日から学校なので更新が亀更新になると思います。週1ですね…。毎週土曜日更新を目指します。 >25 アシベさん ストーカーっぽく見えてれば幸いです^^ コメありがとうございます、励みになってます!!
  • 28 @ id:OpAc1tA.

    2012-09-15(土) 13:47:44 [削除依頼]

     そして今、篠原君と知り合ってから数日が経っている。知り合ってから、などというものの、それから自分の生活のなにかが変わるでもなく、私はいつも通りでそれなりの毎日を送っていた。ただひとつ、強いて変わったことを言うのなら……。……「彼を知ったこと」だろうか。一度聞いただけじゃ自分でも屁理屈にしか聞こえないけど、それはそういうことじゃない。それをもっと詳しく分かり易く正確に言うなら「彼のことをふとした瞬間に考える事が多くなった」、ということだ。だけど思い出すのは彼との会話ではなく、彼の一瞬だけ垣間見せたあの冷たい眼のことだった。あれはなんだったんだろう、と、なんでもない瞬間にその疑問符が浮かぶことがよくある。だからといって私の生活に何かがあるわけでもないから、「強いて言うなら」どまりだけど。
     何かが、引っ掛かった。
  • 29 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:37:35 [削除依頼]
    ではこれから小説の復旧作業開始です!
  • 30 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:37:59 [削除依頼]

    「次、華堂。問三の問題だ」
    「………え?」

     そんな授業に何の関係も無いことをぼんやり考えていると、突然自分の名を呼前ぶ声にはっとする。ぽかんとする私の態度に、「聞いてなかったのか?」という先生の怪訝な声が返ってきた。

    「あ…すみません…」
    「お前、最近ぼーっとし過ぎだぞ。ちゃんとしろ」

     教師の呆れた声と叱咤が耳に痛かった。最近こういった注意を教師から受けることが増え、それはつまり授業が耳に入らないことが増えたということだ。理由は今述べた通り。

     私はクラスという箱の中で、よくある「目立たない優等生」というポジションでいる(と思っている)。授業中に手を挙げたりは滅多にしないけど、教師に注意を受けたことは今までほとんどないし、提出物も落としたことがない。試験の点数も、一応誰が見ても満足するしかない数字を出している。それを誰に言うでもないから目立ってはいない…はず。だがきっと、クラスでは大人しくしているから(もちろん元の性格ではあるのだけど)、彼ら───クラスメイトからのイメージは「まぁ点数は見たことないけど、きっと出来るんだろう」というところだろう。
     だからこそ、最近の教師からの評価は私にとって───否、彼らにとっては大きな小さな変化だと思う。反抗の多い生徒が善行を行えばより良く見え、優等生が悪行を働けばより悪く見えるとは言ったものだけど、それはつまり「変化」が眼につくだけの話なのだ。それと、反抗する生徒が自分のいう事を聞くようになったら確かに優越感に浸れるだろうし、優等生がいう事を聞かなくなったら途端に反抗する生徒へと早変わり。「善行を行う反抗生徒」と「悪行を働く優等生」では、遥かに差がつくのだ。
     まぁここまで考えて私が気にすることといえば、成績の落下と、クラスから受けているイメージの崩れだけなのだけど。
  • 31 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:38:48 [削除依頼]

     でもまぁ、その二つは意外とダメージが大きい。なんだかな、というもやもやして憤りにも似た感情を抱えながら、結局窓の外をぼーっと見てしまう。これは、私を窓際の席にした運が悪い。
     私たちの教室の窓から見える外は、ただっ広く薄黄土色のグラウンドが広がっている。この学園はエスカレーター式と言えど、中等部からの受け入れなのでもちろん小学生向けの遊具などは見当たらない。かと言って小等部から受け入れている学園を見たことが無いから、実際どうなっているのかは知らないけど。
     それはそうと、この時限は一年生の体育(クレールの指定ジャージは学年ごとによって色が分かれている。今年は一年生が青、二年生は緑、三年生が赤だ)の授業らしかった。今までは体育館での授業だったのか、私がこの席になって一年生の体育を見るのは初めてだった。篠原君のことを頭の片隅に置きながら、その様子を眺める。
     今日は寒い一日になると、朝の天気予報で若いアナウンサーが言っていた。一年生が長袖のジャージにくるまるように腕を組むその姿は、なるほど本当に寒そうに見えた。
  • 32 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:39:36 [削除依頼]

     そのまま彼らを眺めていると、サッカーの準備を始めた。そうか、そういえば一年前の今頃は確か私たちも色々な球技を体験していく、という内容だった。きっと今までは体育館でバスケでもしていたのだろう。今年のプログラムに変更は無いようだ。
     私たちの教室は四階にある為、彼らがアリみたいにちょこまかと準備をしている様子が眼に映る。今にも雨が降りそうな曇天も視界に入れながら、傘無いな、なんて考えていると、ふとグラウンドにいる一年生の小さな群集の中に一人、独りになった生徒を見つけた。準備は既に終わり、それぞれが決められたチームに分かれ始めたとき、スススっと砂の地面から芝生へ移動したのだ。
  • 33 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:40:13 [削除依頼]

    「………」

     他に見るものも特になく、それにその生徒が少しばかり気になった私はその様子を眼で追った。
     学年ごとに分かれていても、男女では分かれていないジャージの為男子か女子かはわからなかったが、よく考えてみればサッカーが必修科目になっているのは男子だけだと気づいた。

     見学だろうか? 緑色と枯れた色、つまり茶色が交ざる芝生に腰をおろすと、他の生徒がサッカーをする様子をただじっと見ている。……紛れもない、見学だ。
     球技なんて体育のプログラムの中じゃ結構楽な方なのに、と自分の主観だけの感想を浮かべそのままその少年を眺め続ける。………すると。
     ────少年が、顔を上げた。
  • 34 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:40:48 [削除依頼]

    (あれは……)

     他の生徒より低めの身長、遠くからでもわかる黒髪。顔の細部までは(視力的な問題で)見えないとしても、あれは見紛うことのない、正真正銘篠原君だった。

    「しのはら…くん」

     授業中だというのに思わずその一言を漏らしてしまい、ハッとなり周りを見渡す。しかしそれは杞憂で、他の生徒に不自然な動きも、私を不自然そうに見る眼もなかった。
     胸を密かに撫で下ろし、気を取り直して彼を再度見下げてみる。しかも彼はただ顔を上げたわけじゃなくて、ばっちりとこちらに目線を合わせてきているのがわかる。わかってしまった。
     篠原君は私が自分を認識したとわかったのか、にこっと微笑んで見せた。……と思う。先日篠原君と初めて対面した時もそうだったけど、私は眼が良くない。むしろ、悪い。
  • 35 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:41:52 [削除依頼]
    晴嵐(seiran)さんからのコメントも復旧しますw
    せっかく書いて頂きましたので!!
  • 36 @ id:vA8KJzE.

    2012-11-15(木) 20:42:57 [削除依頼]
    晴嵐(seiran)さんより頂いたコメント

    --------

    お久しぶりです!!

    だいぶ読みやすくスマートな文章にまとまりましたね。

    自分の方は劣化がひどいですがOrz

    今度は恋愛ベースで戦争長編を書いています。題名は

    ◆戦争長編〜戦火に消ゆる思ひ出〜◆

    以上宣伝!!

    続き楽しみにしてます。頑張って下さい!!
  • 37 @ id:7KJqr97/

    2012-11-17(土) 13:32:38 [削除依頼]

     だから、それはもちろん私の憶測でしかないのだけれど、憶測でしかない筈なのだけれど。冷や汗と苦笑いが漏れたのは、これを嫌な予感と呼ぶのだろうか。
     篠原君(仮)とはいえば、授業中にも関わらずブンブンと手を大きく振っている。もちろん言うまでもなく振られているのは私だ。
     本当に、失笑が止まらない。

    ***

     そして、遠回しに篠原君との再会を果たした授業が終わったその休憩時間。ガラガラと勢いよく教室の後方のドアが開かれ「せんぱーーい!」とドアの勢いにも負けない元気な声が私の耳に飛び込んできた。おまけに教室中にも響いてしまった。

    「あ、先輩って叫んでもここじゃみんな先輩か! 華堂、せんぱー!」
    「わかりましたから大声で叫ぶのをやめて下さい」

     名指しで呼ばれてしまうのだけは(しかも大声で)避けたかった私は、急いで彼の元に近寄った。
  • 38 @ id:lSMGniq0

    2012-11-20(火) 15:27:41 [削除依頼]

     しかし数瞬遅かったのか、教室がにわかにざわめきだした。「華堂さんに男子生徒が訪ねてきた…!?」という密やかな声が聞こえる。私の耳元に届いてしまったら声を潜めている意味が無いだろうに。

    「はぁ……」
    「あれ、どうしたんですか? ため息なんか吐いちゃって! 幸せ逃げちゃいますよー?」

     頭を抱え大きくため息を吐いた私に、篠原君は無邪気に笑いかけた。

    「そうですね……私の幸せである平穏がどうやら危なそうです……」
    「? そうですかぁ。残念ですね」

     篠原君は「何のことかはよくわからないが、なんだか大変そうだなぁ」といういかにも他人事といった風に首を傾けた。私は誰のせいで……! という憤りをなんとか抑えて、「で、何の用ですか?」と極めて冷静に問いかけた。
  • 39 @ id:V962hwJ0

    2012-11-24(土) 12:20:05 [削除依頼]

    「いえ、久しぶりに華堂先輩をお見かけしたので、なんだか嬉しくなっちゃって!」

     そう話す篠原君の眼は爛々と輝き、頭には犬の耳でも生えているようだった。そこまでキラキラとした笑顔を向けられては、他のクラスメイトのように無下にも出来ない(いや、別に無下にしているわけでもないのだけど、後から自分の彼らに対する対応を顧みてみると、少し冷たかったかな、と少し反省するという、それだけだ)。
     私からすれば少し気になる、というより気にかかる男子生徒とつい先日知り合いになった、という認識でしかない筈なのだけれど。蛇足をつけ足すのなら、今日その知り合いと久しぶりに会った、だ。そこまで何か懐かれるようなことをしただろうか?
     ………………ん、そういば。

    「そういえば、最近は貴方のことをお見かけしませんでしたね。お久しぶりです」

     いや、特に深い意味はない。ただそう思っただけだし、篠原君からしたらミスコン優勝者とこの前直接会えたのだからもう付きまとう理由はない筈なのだから。
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