マルコの家(改訂版)20コメント

1 透子 id:qT136.k/

2012-07-30(月) 14:39:01 [削除依頼]

 鏡に映るマルコは、マルコではなかった。
 それは白い儚さで、マルコをあどけない瞳で見つめていたが、不意に目を細めると、口元を緩めてふっと微笑んだ。

(『月の家』より)
  • 2 透子 id:qT136.k/

    2012-07-30(月) 14:49:53 [削除依頼]
    ・はじめに

     殆どの方ははじめましてとなるかと存じます。透子(とうこ)と申します、よろしくお願いします。
     元々は「きらら-kirara*-」名義で色々書かせていただいておりました。「透子」名義の作品も初めてというわけではないのですが、これは特に思い入れがある作品のひとつですので、張り切って執筆していきたいと存じております。
     コメント、アドバイスなど喜んで拝見いたしますので、どうかお気軽に書き込んでいただければ幸いです。
     拙い点もあるかと存じますが、どうか生暖かい目で見届けてやってくださいませ。
  • 3 透子 id:g6rsN5m.

    2012-07-31(火) 00:10:30 [削除依頼]
     マルコは捨て子だった。
     マルコは産みの親の顔を知らない。親の名前も、どんな親だったかも、分からない。自力で這うことを覚えた頃には、既にマルコは親たちから捨てられていて、初めて二本の足で立ち上がった時には、今マルコが寝食を共にしている家のところに拾われた後だったのである。更に言えば、マルコという名前は拾われた後につけられた名前で、そもそもの名前ではない。そしてマルコは、自分の本当の名前を――否、捨てられる前の自分に名前があったのかどうかすらも、分からないのだった。
     マルコを拾った人物は、実に有り触れた家で静かに暮らす夫婦で、マルコのことを実の子供のように可愛がっていたが、マルコは彼らと打ち解けることができなかった。何か話しかけられても、目を泳がせながら当たり障りのない言葉を返すだけだったし、美味しいものや玩具を与えられても、か細い声で「ありがとう」というだけだった。
     ある時は、育ての母親に、彼らがマルコを拾ったときの話を聞かされもした。

    「本当に寒かったのよ。冬だったもの。しかも夜の、日が変わるか変わらないかくらいの時でね、街頭の下で薄い毛布に包まれてたマルコを見つけた時は、あたしもお父さんもそりゃあ吃驚したわ。雪が降ってなかったからまだよかったけど、手なんかはもう真っ赤で、弱弱しい声で泣いてたから、どうしようかと思ったね。……しっかりと憶えてるわよ。神様が、あたし達とマルコを出会わせてくれた日だったんだもの。正直なところ、マルコをどうするか、ちょっとだけ迷ったけど。すぐにマルコを連れて帰るって決めたわ。だって、放っておくわけにはいかないじゃないの、ねえ?」

     飾り気のない一人掛けのソファに座り、マルコを膝の上に乗せてそう語った母は、空中の一点を見つめて愛おしそうに目を細めていたが、それでもマルコは母の愛情を素直に受け入れることができなかった。彼女が母であると認識するのは、マルコにとっては困難なことだった。彼女の赤毛の髪はマルコの柔らかな金髪には程遠かったし、瞳もマルコの青の瞳ほど深い色合いをしてはいなかったのである。
     
     時々、マルコは思う。
     自分をこの世界に産み落とした親は、どんな人物だったのかと。
     自分はどんな子供であって、何が理由で捨てられてしまったのかと。
     自分が生きていくべき場所は、どこにあるのかと。
     そんなことを、産まれて十と数年しか生きていない体で、考える。そして、いつだってその答えは出ぬまま、マルコ自身を苦しめる結果となってしまうのであった。
  • 4 虎辻 凪 id:udeoMcX0

    2012-07-31(火) 14:32:03 [削除依頼]
    透子ってきららなの!?

    あ、ごめんなさいこんにちは。元 凪 です。覚えてますかね?汗
    タメだった気がするので、まあタメでいきます。

    相変わらず読みやすくて惹き込まれる文章、羨ましい。
    元々の作品を読んでない私は、どんなおはなしか凄く気になるw

    更新頑張ってね、応援してます^^
  • 5 透子 id:g6rsN5m.

    2012-07-31(火) 17:18:03 [削除依頼]
    >>4 そうです、きららです。久しぶり! 憶えてる憶えてる。 小説書いてない間もキャスには顔出してたから、凪のこともしばしば見かけてたよ。 読みやすい……のか? 凪にそう言われると凄く嬉しくなる。 有難う。実は凪の作品も、暇を見つけて読みにいってる、とカミングアウト一つ。 有難う、励みになります。 コメントありがとね!
  • 6 透子 id:F0DI0s1.

    2012-08-02(木) 19:20:33 [削除依頼]
     マルコの朝は、午前五時、夏でない限りはまだ日も出ていないような時間に始まる。
     顔を洗い、服を着替え、朝食をつくる。更に時間に余裕があれば、まだ眠っている筈の二人の分の朝食も作ってから、玄関に置いてある青い絨毯と蓋のない木箱、それから細々とした道具が入った黒塗りの箱に、低い踏み台を持って家を出る。
     四つの荷物を一人で抱えながら向かう先は、日中などはそれなりに人も行き来する煉瓦通りである。その通りのどこかに場所を定めて――それは大抵通りに入って数分くらいのところにある壊れた街灯の近くになるのだが――、絨毯を敷き、左に黒塗りの箱を、右に蓋のない木箱を設置して、マルコは中央に陣取り、自分の目の前に踏み台を置く。それから黒塗りの箱を開け、中に詰め込まれたクリームやブラシ、スプレーといったものを一つ一つ出し、箱の周りに置いていく。
     それらは全て靴磨きの道具であった。マルコは、ささやかながらにも家を支えられるようにと、数年前から靴磨きの仕事をしてチップを稼いでいた。
     マルコが靴磨きをするのは、日が昇ってから昼飯時になるまでの間だった。正午きっかりに時計台より響く荘厳な鐘の音を合図に仕事を終わらせ、仕事道具――靴磨きの用具と木箱、踏み台、そして絨毯――を抱えて家へと戻り、午後からは読書などをして時間を潰す。それまでは、あくまでも靴磨きの仕事に専念する。それは、どうしても心を開けない義理の家族に対するマルコなりの手助けでもあれば、仕事に打ち込み心を無にする、気を紛らわす為の手段でもあった。
     仕事の準備を終わらせて、空を仰ぐ。青く果てしない空に聳える時計台に飾られた大きな時計は、短針は“?”のところを、長針は“?”のところを、それぞれ指し示していた。午前六時十五分。まだ、通りを歩いてくる人影は見当たらない。マルコが午前中を仕事時間として選んでいる理由の一つには、朝は比較的人通りが少ないから、というのもある。人が多すぎると落ち着かない。
     
     未だ人の気配の感じられない煉瓦通りで、手持無沙汰に小型のブラシを弄りながら目を瞑り、鳥の柔らかいさえずりに耳をすます。心地よい鳴き声が、耳の中で響く。道路のここかしこに紙屑や食べ物の残骸が見られる、あまり清潔とは呼べないような煉瓦通りでも、視界を消せば鳥のさえずりだけが頭の中を巡る、幻想的な空間が出来た。
     そうして一人きりの静かなひと時に微睡み始めた、その時だった。
     人が来た。
     コツン、コツンとわざとらしいほどに靴の底と地面が擦れる音を響かせて歩いてくるそれに、はっと意識を覚醒させ、視界に再び光を入れる。すると、視界の目の前に立つ黒服の人間が見られて、マルコは思わず短い悲鳴をあげた。

    「靴磨きを頼む」

     黒服の人間は、マルコの悲鳴に気づいたのか気づいていないのか、ひどく落ち着いた、低い男の声で告げた。たじろぎつつも、おずおずといった様子で頷く。男は、何も言わずにマルコの目の前の踏み台に右足を乗せた。今日初めての客である。マルコは、まだ落ち着かない心臓の鼓動を感じながら、小型のブラシを元あった場所に置き直し、大型のブラシを手に取った。
  • 7 透子 id:MiLxoQZ.

    2012-08-07(火) 00:29:36 [削除依頼]
     靴磨きの手順は、複雑なように思えて、やり方を覚えてしまえば存外誰でも出来るようなものである。まず大型のブラシを使って靴の

    ほこりを払う。次に汚れ落としのスプレー液を布になじませたものを使って、古いワックスを拭き取り、靴クリームを小型ブラシで靴全

    体に塗り、布で靴を磨いて、ワックスを塗り、再び磨く。あとは保革剤を使って靴底のケアをすれば、作業が終わる。マルコの場合、一

    組の靴にかかる時間も二時間前後と、上手くいけば一日で数人の客をとることも不可能ではない。
     やっと心臓の鼓動を落ち着けたマルコは、男から靴を受け取り、靴磨きの第一段階――ブラシを用いてのほこり落としをしていた。男

    が履いていたそれは、大して珍しくもない黒の革靴で、マルコ自身同じタイプの靴を幾度か磨いていた。靴は比較的新品で、汚れも少な

    く、上手くいけば一時間半ほどで靴磨きも終わるだろう。
     マルコはそう目立たないほこりを落としながら顔を上げ、そこで初めて男の顔を見ることになり――思わず眉をしかめた。男の肌は浅

    黒く、脂肪のついていない顔は微妙に骨ばっていて、何より顔の皮膚には深い皺が無数に刻み込まれていたのである。それは、男という

    よりも老人であった。しかし、先ほどマルコに向けて放った張りのある声も、通りに並ぶ建物を眺める精悍な顔つきも、マルコにとって

    の“老人”という概念からはかけ離れていた。背筋はしっかりと伸ばされており、立ち姿も堂々としている。そこらの健康的な若者と並

    べても違和感を感じないほどであった。だが、皺だらけの骨ばった顔を見る限り、彼はどう考えても老人なのである。思わず首を捻りそ

    うにもなったが、そこでマルコはいつの間にか作業の手がとまっていたことに気づき、視線を靴のほうに下げて作業を再開させた。
     それから数分と経たぬうちに目に見えるほこりを粗方落とし終えたマルコは、ブラシを箱のほうに戻し、白の布とボディの塗料がはげ

    たスプレーを取り出した。古いワックスを拭き取る準備である。ごく普通のハンカチほどの布を四つ折りにしてスプレーを吹きかけてい

    ると、不意に上から声がかかった。一瞬それが誰の声で、誰に向けたものなのか理解できなかった。が、数秒ほどして、合点がいった。

    それは男――否、老人の声であって、自分に向けられたものだったのである。老人は、再びマルコの上から声を吹っかけた。

    「こんな朝っぱらから仕事ってのは偉いな、少年。親がつくった借金の後始末か?」
  • 8 透子 id:MiLxoQZ.

    2012-08-07(火) 00:30:52 [削除依頼]
     靴磨きの手順は、複雑なように思えて、やり方を覚えてしまえば存外誰でも出来るようなものである。まず大型のブラシを使って靴のほこりを払う。次に汚れ落としのスプレー液を布になじませたものを使って、古いワックスを拭き取り、靴クリームを小型ブラシで靴全体に塗り、布で靴を磨いて、ワックスを塗り、再び磨く。あとは保革剤を使って靴底のケアをすれば、作業が終わる。マルコの場合、一組の靴にかかる時間も二時間前後と、上手くいけば一日で数人の客をとることも不可能ではない。
     やっと心臓の鼓動を落ち着けたマルコは、男から靴を受け取り、靴磨きの第一段階――ブラシを用いてのほこり落としをしていた。男が履いていたそれは、大して珍しくもない黒の革靴で、マルコ自身同じタイプの靴を幾度か磨いていた。靴は比較的新品で、汚れも少なく、上手くいけば一時間半ほどで靴磨きも終わるだろう。
     マルコはそう目立たないほこりを落としながら顔を上げ、そこで初めて男の顔を見ることになり――思わず眉をしかめた。男の肌は浅黒く、脂肪のついていない顔は微妙に骨ばっていて、何より顔の皮膚には深い皺が無数に刻み込まれていたのである。それは、男というよりも老人であった。しかし、先ほどマルコに向けて放った張りのある声も、通りに並ぶ建物を眺める精悍な顔つきも、マルコにとっての“老人”という概念からはかけ離れていた。背筋はしっかりと伸ばされており、立ち姿も堂々としている。そこらの健康的な若者と並べても違和感を感じないほどであった。だが、皺だらけの骨ばった顔を見る限り、彼はどう考えても老人なのである。思わず首を捻りそうにもなったが、そこでマルコはいつの間にか作業の手がとまっていたことに気づき、視線を靴のほうに下げて作業を再開させた。
     それから数分と経たぬうちに目に見えるほこりを粗方落とし終えたマルコは、ブラシを箱のほうに戻し、白の布とボディの塗料がはげたスプレーを取り出した。古いワックスを拭き取る準備である。ごく普通のハンカチほどの布を四つ折りにしてスプレーを吹きかけていると、不意に上から声がかかった。一瞬それが誰の声で、誰に向けたものなのか理解できなかった。が、数秒ほどして、合点がいった。それは男――否、老人の声であって、自分に向けられたものだったのである。老人は、再びマルコの上から声を吹っかけた。

    「こんな朝っぱらから仕事ってのは偉いな、少年。親がつくった借金の後始末か?」
  • 9 透子 id:MiLxoQZ.

    2012-08-07(火) 00:31:37 [削除依頼]
    バグが生じたみたいです。 目次 >>1 >>3+6+8
  • 10 透子 id:MiLxoQZ.

    2012-08-07(火) 13:41:11 [削除依頼]
    何をいじったのがいけなかったのか、外観が変わってしまいました。
    タスクバーの透明感が消えてる……くすん。


    ……今日中にばばっと、更新します。
  • 11 透子 id:MiLxoQZ.

    2012-08-07(火) 20:22:57 [削除依頼]
    test
  • 12 透子 id:MiLxoQZ.

    2012-08-07(火) 20:23:27 [削除依頼]
     スプレーを元の場所に戻し、顔をあげた。仰ぎ見る老人は、挑発的なにやにやとした笑みを浮かべていた。楽しげな笑みは“老い”というものを感じさせない顔つきではあったが、だからといって軽薄な笑みにいい印象を抱くことはできない。そればかりか嘲弄されているかのような心地に包まれ、マルコは無意識に手のひらに乗っけていた布を握り締めていた。

    「借金なんてない」

     数秒間の沈黙の後に、口を開く。それはどこか唸るような声音でもあって、言い方も些かぶっきらぼうな調子であった。老人は未だに歯を見せて笑いながら満足げに頷いて、しかし「だが」と否定の言葉と共に口を開いた。

    「お前は朝から靴磨きをする」
    「……そうです」
    「それは何故だ? 欲しい玩具を買うための小.遣い稼.ぎか」

     眉根を寄せ「違います」と返す。老人はそれに対するからかいじみた返答を返す代わりに握り締められた布を一瞥し、「布が皺くちゃになっているぞ」とだけ言い放った。いつの間にやら布を握る手に力を込めていたことに気づいたマルコは、慌てて手を開き、布の四端を軽く引っ張ったりして皺を伸ばした。それから老人に睨み付けるような視線を送ったが、老人がこれ以上は口を開かないであろうことを察すると、がっくりと首を垂れて布で古いワックスを取り去る作業にはいった。
     マルコは黙ったまま黙々と作業を続けている。老人も、何も言わない。蔓延する沈黙。普段ならば心を無にできる、丁度いい沈黙になる筈なのだが、この時のマルコには沈黙が気まずく思えた。
     鳥のさえずりはもう聞こえない。幾つかの建物からは煉瓦通りの住人たちが戸を開け外に出てきていて、また通りに入ってくる人もちらほら見え始めたが、正午の喧騒には程遠い。むず痒い沈黙の中で靴磨きを進める。ワックスを拭き終わり、靴クリームとワックスを塗って磨き、右足の靴磨きが終わっても、二人の間には全く変わらない無言だけが流れ続けていた。

     無言がとけたのは、マルコが左足の靴の作業に取り掛かり、やがて最終過程である靴底のケアにと保革剤を塗ろうとした時であった。通りは大分活気を孕み始めており、マルコと同じように通りで商売をする人達も出てきている。これ以上は一言も言葉を交わさぬまま仕事が終わるのではないかと考えていた矢先、老人がその口を開いたのである。

    「お前は普通の坊主だが、どこにでもいる坊主じゃない」

     作業の手が止まった。老人を仰視する。それは挑発的な笑みには変わりなかったが、老人の闇じみた青の瞳が先ほどよりも深みを増したかのように沈んでいて、マルコは困惑したように瞬いた。それは断定的な言葉に感化されそう見えただけだったのだが、とにかくマルコはいつの間にか老人の瞳に吸い寄せられていたのである。
     そこで、不意に老人が腰をかがめた。露出の少ない黒服の袖口から、顔と同様に浅黒く、骨ばった大きな手が覗く。その手には一枚の紙幣が握られていた。老人は、手に持っていた紙幣を空っぽの木箱にいれた。マルコはそれに気づくと同時に、戸惑いの視線を老人に送った。

    「靴磨き有難う。坊主にしちゃ上出来だったな」
    「え、あの、でも、靴底がまだ」

     マルコの視線に気づいているのか否か、老人は飄々とした様子で片手をあげた。そして、狼狽するマルコを制するように、ぽつりと呟きじみた言葉を漏らした。

    「夜」
    「……え?」

     マルコは思わず立ち上がり、目をぱちくりとさせて老人を凝視した。何がどうなっていて、この話がどこへ向かっているのか、マルコには検討もつかなかった。老人は靴を履いて上半身を起こし、そのままマルコにくるりと背を向けた。去り際にちらりとマルコを見やり、にっ、と口角を上げる。

    「今日の夜、家の前に出てこい。どうするかはお前に任せるがな」

     捨て台詞のような言葉をマルコに投げかけ、老人は何事もなかったかのように無造作な歩みでその場を離れていった。「あの、えっと」と必死で引きとめようとするマルコに構うこともなく、そのまま通りの角を曲がって、見えなくなってしまった。
     朝八時近くの煉瓦通りの一角に、マルコだけが取り残された。
  • 13 虎辻 凪 id:tsbE9jy/

    2012-08-07(火) 23:20:39 [削除依頼]
    何者だ、老人w
    いや、でもいい人だよね。老人いい人だよね(多分←

    ……靴磨きってそんなちゃんとしたやり方あったんですか((え
    靴磨きは何回かやったことあるけど、マルコみたいに丁寧じゃないよ。どうしよ、なんか反省w

    頑張れぇー!
  • 14 透子 id:XlDHNIf1

    2012-08-08(水) 20:31:06 [削除依頼]
    現在長野にいます。
    ホテルのパソコンで接続しているのですが、キーボードが押しにくいので執筆・感想への返信は帰宅後にやらせていただく予定です。
    お待たせしてしまい申し訳ありません。
  • 15 透子 id:gH9Irdz.

    2012-08-12(日) 22:00:36 [削除依頼]
    ただいまです。 >>13 老人はいい人だよ。 ……………………いい人、だと思うよ! 靴磨きやってるだけ偉いじゃないか。 調べて書いたからねえ、私自身はせいぜい時々上靴洗う程度。 マルコは商売だしね! 有難う! 凪も頑張ってくれ。近々コメント持参で参ります。
  • 16 透子 id:COCxh5T.

    2012-11-16(金) 15:34:04 [削除依頼]
    マルコは寝室の小さな窓越しに外の景色を見つめていた。外は薄暗く、闇を溶かしたような空には薄い雲が立ち込めている。時刻は既に夜の二時を回っていた。
     あれから更に一人の客が来た。マルコは黙々と靴を磨いていたが、その間相手はあの老人のように挑発めいた口をきくことはなく、また靴底のケアの前にその場から立ち去ってしまうこともなかった。その後に客が来ることはなく、結局十二時の鐘の音と共に家に帰ってきた。家では本を読んだり絵を描いたりして過ごしたが、頭の隅にはずっと老人の言葉が引っかかっていて、何をしようとろくに集中出来なかった。
     ――お前は普通の坊主だが、どこにでもいる坊主じゃない。
     あの時、老人は確かにそう言った。そして、こうも言ったのだ。
     ――今日の夜、家の前に出てこい。どうするかはお前に任せるがな。
     マルコは迷っていた。老人の言葉を信用していいのか、迷っていたのである。冷静な判断力に基づくならば、名前も分からないような老人の言葉に耳を貸すべきではないだろう。その内容が突飛なものとなれば尚更だ。だが、マルコは老人の言葉を、どうしても切り捨てることが出来なかった。
     マルコは、とにかく何かに縋りたかったのである。それが、怪しげな老人の根拠のない言葉であったとしても。

     マルコは一向に変化しない外の景色から目をそらし、照明がついていないせいで陰気に見える部屋の内装をぐるりと見渡した。
     マルコが九歳になった時に与えられた、マルコ専用の寝室である。部屋の隅に設置された、ふかふかのシーツと毛布を詰め込むベッドは、この部屋をマルコに与えると同時にわざわざ新調したベッドであった。空いたスペースに置かれた、あまり使われない勉強机、隙間が目につく本棚も、親がわざわざマルコに買い与えたものだ。
     全てが、溢れんばかりの愛で出来ていた。
     マルコは、家具を、小物を、一つ一つ見ていって、最後に廊下と繋がっているドアに目をむけた。マルコの寝室は、二階建ての家の、一階に位置していた。対して、マルコの“両親”は二階の一番奥の部屋を二人の寝室としている。もし彼らが揃って夢の世界に沈んでいるのならば、家から抜け出すのは難しいことではないだろう。
     マルコは、じっとドアを見つめていた。落ち着いたブラウンに塗装されたドアの板と、その向こう側にある廊下を、まるで睨み付けるかのように凝視していた。


     ◆

     木で出来た廊下の床には、実に冷え冷えとした空気が積もっていた。それらは床に蓄積したまま、動きを止めていた。夜遅くの廊下に出ててきて彼らの静止を乱す者は、いない。それらは、床近くで息を潜めて、ただただじっとしていた。
     突如、廊下の壁に設置されたドアの一つが開け放たれ、そこから足が伸びてきて、そっと床を踏みつけた。その一連の動作は、床に積もっていた空気を一瞬にして掻き乱していった。
     マルコは、足を一歩踏み出した体勢のまま顔を廊下に出し、辺りの様子を窺った。誰もいなかった。人の気配を感じない。足音も、聞こえてこない。
     マルコは、躊躇いながらもまだ室内に留まっていた方の足を踏み出した。なるべく物音を起こさないようにと細心の注意を払いながら、ドアをゆっくりと閉める。ドアが完全に閉まる前に、マルコは一瞬だけ自分の寝室を見た。
     寝室が見えなくなってしまうと、マルコは首だけを動かして、二回へと繋がる白塗りの階段を見上げた。上から誰かがやって来る気配はない。数秒間ほど階段の先を眺めていたマルコは、はっと我に返ったように二階から視線を外した。そのまま、正反対の方角――廊下の先に見える、狭い玄関に目を向ける。
     マルコは、身体を玄関の方へと向けた。そして、酷く静かな足取りで、玄関の方へと進んでいった。
  • 17 陽 id:fQk20mF0

    2012-11-16(金) 16:17:49 [削除依頼]
    題名がなんだか可愛いなぁと思って来てみたら、
    透子さんの小説でした!
    今までのを読ませていただきましたo(^o^)o
    とても、惹かれる文章でした!
    詩も小説も素敵なんですね!
    老人の存在がとても気になります(笑)
    思わず書き込んでしまいましたが、
    大丈夫でしょうか。
    失礼しました。
    これからも読ませていただきます!
  • 18 かがみん id:XrtbATV0

    2012-12-19(水) 17:40:37 [削除依頼]
    〔出張!!かがみんの評価屋*+〕

    来させていただきました。

    良い点・・・
    ★書き出しが,ぐっと人をひきつけるような
    感じに工夫されてます。
    ★場面場面一つ一つ,様子が分かりやすくされて
    います。
    悪い点・・・
    ☆私などの人たちには読めない漢字が
    多く,分かりにくくなっていました。
    ☆最初の方,会話分が少し少なくて
    読みにくくなっています。

    以上です。
    この評価が役に立てば幸いです。
    がんばってください!
  • 19 透子 id:p3PgAcJ.

    2012-12-19(水) 17:50:54 [削除依頼]
    >>17 すみません、コメントがあったこと、思い切り気付いてませんでした。← 三年前から書き続けてきて、小説はマシにはなってきましたが、詩なんかはまだまだ、見出せないもんで、手探り状態です。 寧ろ、陽様からコメントいただけて、感無量です。有難うございました。 また、詩板なんかで、お会いしましょう! >>18 批評、有難うございました。 後ほど、準備板にも、参ります。
  • 20 空白スラ id:25VQOmr0

    2012-12-28(金) 20:05:21 [削除依頼]
    ~米屋~

    とうしさん
    >感想の方を準備板の『TAMA@.(black猫) りばーさいど』というスレに置いときました。
     めちゃくちゃ遅れて本当に申し訳ありません。
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