遠距離 カタオモイ97コメント

1 葵美(*・ω・) id:mILz.vm.

2012-07-29(日) 18:07:04 [削除依頼]



―五年前。


ポタポタ、と空から降ってきた雨が雫となって
葉から零れ落ちる。空を見上げると、真っ黒な
雲が広がっていた。当分、止みそうにない。
最近、買ってもらったばかりのお気に入りの
淡い水色の傘を持ちながらただただ待っていた。
時折、肩にかけている茶色の鞄から手鏡を取り
出しては前髪を整えたり、笑う練習をした。


遅いなあ…と何度も時計とにらめっこをする。
秒針とともに私の鼓動も徐々に大きくなる。
自然に…自然に…と意識する度不安がつのる。
どうか失敗しませんように、そう願うしかなかった。


パシャパシャ…―


『遅くなってごめんな』
『ううん…こっちこそ急に呼び出したりして
 ごめんね。何か用事があったりしたんでしょ?』


彼は笑いもせず、何にもなかったよ、と言った。
彼の顔の半分は、青い色の傘で隠れていた。
彼の傘から落ちる雫を見つめ、私は気持ちを静めた。
そして一瞬、雨の音が不思議と聞こえなくなって、
私は口に出してしまった。


『好き…です……』


あんなに笑顔の練習もしたのに。
あんなに髪を整えたのに。
あんなに彼を待ったのに。


全てが雨で台無しになってしまった―
  • 78 のんのん id:rVXN111/

    2012-08-15(水) 16:56:35 [削除依頼]
    あみー!!
    めちゃおもしろいじゃん♪
    期待してきて正解だった☆
    もぉ…次期待しないでなんて言ったら
    こちょばしの刑だぞっ!!←できないけど…
  • 79 葵美(*’U`*) id:fm/LUVA/

    2012-08-15(水) 16:59:21 [削除依頼]



    「何か注文しよーぜ」
    「おい、歌えよ、文也」
    「俺下手くそだから無理だわ、はい蒼乃」
    「よっしゃあ、歌ってやる」


    和香は結局、蒼乃にのせられてきてしまった。
    今、和香たちがいるのは駅前のカラオケ店だ。
    今月出費が少なかった和香は、お金が結構あった。
    たぶん、カラオケ代は出せるだろう。


    「こなあーゆきいーねえ こーこぉろまでしぃーろくぅー
     そーめらあーれたあーなら」


    マイクを持ち、堂々と歌声を披露する蒼乃。
    …うまい。こんなに蒼乃は歌が上手だとは思って
    なかった。和香は、聞きほれたように手拍子を
    し始めた。
  • 80 のんのん id:rVXN111/

    2012-08-15(水) 17:00:09 [削除依頼]
    最初の方しか読んでないから
    これから全部読むね!!
  • 81 葵美(*’U`*) id:zpXO3mS0

    2012-08-16(木) 07:21:45 [削除依頼]



    のんのん⇔


    来ていただけて光栄です!本当にありがとう。
    是非読んでね!お願いしまーすヾ(‘ω’)ノ
  • 82 葵美(*’U`*) id:zpXO3mS0

    2012-08-16(木) 07:40:47 [削除依頼]



    歌いはしゃぐ男子。歌っているのは、長谷川蒼乃。その蒼乃
    の横でエアギターをしているのが、一瀬文也。文也の横で
    これまたエアドラムをしているのが、斉藤裕也。この中で、
    一番楽しそうに、男子3人の周りをタンバリンを叩きながら、
    走ってるのは、小林大智。神崎はというと―


    「和香、お前も何か歌えよ」
    「…歌ド下手だもん。…歌いたくないっ」


    和香の隣で、和香と同じく、はしゃぐ男子を見ている。
    そのとき和香の肩に、神崎の体が触れた。ちょっと近すぎる、
    と和香は心で思った。でも、避ける気にはならなかった。
    こんなに椅子が長いのに、神崎はわざわざ和香の隣に座る
    必要があるのだろうか。疑問だけれど、短い時間でも、
    隣にいられることができて嬉しい。その気持ちは、和香
    自身もわかっていた。


    「ちょっとお手洗いに行って来るね」


    神崎にそういい残すと、和香は自分の鞄を肩にかけ、
    部屋を出た。
  • 83 葵美(*’U`*) id:zpXO3mS0

    2012-08-16(木) 07:44:00 [削除依頼]



    (CAST。)


    一瀬 文也  Itinose  Humiya*

    斉藤 裕也  Saitou   Hiroya*

    小林 大智  Kobayashi Daiti*


    ※追加あり。
  • 84 葵美(*’U`*) id:zpXO3mS0

    2012-08-16(木) 15:33:41 [削除依頼]



    \更新/
  • 85 葵美(*’U`*) id:zpXO3mS0

    2012-08-16(木) 15:50:05 [削除依頼]



    ジャー、と水を出すと、和香は手を洗う。ポケットから水色
    のハンカチを取りだし、手を拭いた。目の前にある、鏡に
    映った自分の姿を見て、髪をとかしなおした。鞄にくしを
    しまおうと、鞄を開けたとき、和香は何かが入ってないこと
    に気がついた。…あ、昨日、京介に貰ったチケットだ。
    ない、ない、ない、ない。…まあ、いいか。和香は諦め、
    最初から京介にチケットを貰ってない、と自分に言い聞かせ
    た。お手洗いから出て、少し先のところで、壁に寄りかかる
    男の子が見えた。


    「神崎?こんなとこで何してんの?」
    「…これ、落としただろ」


    無愛想に、神崎は和香に差し出した。神崎の手に握られてい
    たのは、あの映画のチケットだった。部屋で落としたのか。
    そう解釈すると、和香は神崎に手を伸ばした。そのとき、
    神崎が和香に質問した。


    「誰と行くつもりなの?」
    「…えーっと、まだ決まってないけど。まず、これ、
     貰い物だし。行かないかもしれないけれど」


    そこをつかれるとは思っていなかった。和香は、手をそっと
    下ろし、答えた。聞かなくてもいいじゃないか。そんなこと
    神崎には関係ないのだから。神崎はふーん、と何だかつまら
    なさそうに頷くと、ニヤッと口角を上げ、笑った。


    「俺が一緒に行ってやろーか」


    神崎は一体、何を考えているのだろうか。
  • 86 葵美(*’U`*) id:NazZ2aX/

    2012-08-17(金) 11:30:31 [削除依頼]



    「何を言い出すかと思えば…」
    「だって、行く人いないんだったら勿体ないじゃん。
     それに、」


    神崎はチケットを、ひらひら宙に浮かせた。これ、あの
    小説のやつでしょ?、と首を傾げた。俺だって行きたいよ、
    そう言い壁から離れた。神崎は、和香と視線を合わせた
    まま、和香に近づいてくる。


    「…でも、夏姫ちゃんは?」
    「別にいいよ。夏姫は」
    「いいわけないじゃん!彼女でしょ?」


    和香は、自分でもなぜ夏姫の名前を出したのか分からな
    かった。だけど、彼女持ちの男にのこのこついて行くような
    女の子にだけはなりたくない。別にいいじゃん、という神崎
    の無責任な言葉は、いくら神崎のことが好きでも、許せないのだ。
  • 87 葵美(*’U`*) id:ZdloXcB1

    2012-08-18(土) 15:10:03 [削除依頼]



    \更新/(* ゚Д゚)
  • 88 葵美(*’U`*) id:ZdloXcB1

    2012-08-18(土) 15:37:11 [削除依頼]



    「じゃあ、これあげるよ。夏姫ちゃんと一緒に行って来れば?
     私あんまり興味ないし。見たい人が行ったほうがこの
     チケットも喜ぶよ」


    和香は無表情で淡々と告げた。本当は神崎と行きたくて仕方
    ない。一日だけでもいいから一緒にいさせてほしい。でも、
    神崎には夏姫ちゃんという彼女がいる。一日たりとも一緒に
    いることは許されないだろう。和香は、チケットを持ってい
    る神崎の手を折りたたんだ。ぐしゃっ、という音をたてて、
    チケットに折れ目がついた。和香はそれを確認すると、
    蒼乃たちがいる部屋に戻った。


    **


    「楽しかったなー」
    「田中の歌下手くそだったもんな」
    「うるさいなああ。しょーがないじゃん。苦手だもん」
    「でもなー。あの下手さは…くくっ」


    裕也が道の真ん中で腹を抱えて笑っている。歌が下手で何が
    悪い、と和香は頬を膨らませた。全く何なんだこの人達は。
    人のことを楽しそうに馬鹿にして。一方、蒼乃と神崎は、
    和香と文也と裕也と大智の後ろで何やら話をしていた。
    珍しい…と和香は不思議に思いながらも男子三人の話の中に
    打ち解けていた。


    「そういえば…麻衣の噂聞いたか?」
    「え…なんか噂流れてるの?」
    「あー神崎がどーたらこーたらだろ?」
    「でもいいのか。本人ここにいるじゃん」


    と言って三人とも和香の顔を見た。和香は“本人”が
    自分のことだとは気付かなかった。それってどういうこと?
    と文也の服の袖を引っ張って聞くと、案外すんなり教えて
    くれた。


    「麻衣さ、お前のこと敵だって言ってるらしい」
    「わかちゃん気をつけたほうがいいよ」


    “敵”って―――
    何で勝手にそんなことになっているんだろう。
    神崎と和香関連だというときっとそういうことだろう。
    和香は麻衣の恋の邪魔になっているのだ。
    裕也の、気をつけたほうがいいよ、と言って和香に見せた顔
    が、いつもの裕也らしい顔ではなかった。
  • 89 和奏* id:ytzhJgI1

    2012-08-18(土) 22:30:18 [削除依頼]

     あみちゃん、

      和香ちゃんの名前がもういつしか
      わか、になっておりますね( 笑 )
      もうわか、に訂正しちゃえばー?? 
      とか冗談だぉ@
  • 90 葵美(*’U`*) id:oWGTcSM.

    2012-08-19(日) 11:57:50 [削除依頼]



    和奏⇔


    いっそ、裕也にだけ“わか”と
    呼ばれてることにしようかな(笑)
    和香って打ち込むとき、“わか”で
    打ち込んでるから定着してるんだよねー。
    作者失格m(_ _)m
  • 91 葵美(*’U`*) id:oWGTcSM.

    2012-08-19(日) 12:39:06 [削除依頼]
    >88  ( 訂正。 )  ×「わかちゃん気をつけたほうがいいよ」    ○「のどかちゃん気をつけたほうがいいよ」  二度目の失敗。ほんとすいません(←
  • 92 葵美(*’U`*) id:oWGTcSM.

    2012-08-19(日) 13:05:20 [削除依頼]



    「あら和香、おはよう」
    「はよー」


    眠い目を擦りながら、和香は二階から降りてきた。今日は土
    曜日だ。和香は帰宅部だから当然部活がない。休日になると、
    平気で九時まで寝てしまう。和香は、食器棚から自分のコッ
    プを取り出すと冷蔵庫を覗いた。コーラがあるのを見つけ、
    一瞬飲みたいと思ったが、朝からまずいだろうと考え、
    麦茶をついだ。


    ピンポーン―


    家中に玄関のベルの音が響いた。京介出てきて、とお母さん
    が弟に言うと、はいはい、と頭をかきながら二回返事をし、
    玄関に行った。…こんな朝から一体誰だろう、と和香は
    ソファに寝転んだ。少しして京介がリビングに帰ってきた。


    「誰だったの?」
    「お客さん。姉貴に」


    お母さんが京介に尋ねると、和香の知り合いだと言う。
    綾弥かなあ…と体を起こし、口を押さえながら欠伸をした。
    ダルイ体を引きずるように玄関に行くと、そこにはいるはず
    がない人がいた。ピンクのTシャツに黒いズボン。深く被った
    帽子から見える白い顔。和香を見るように、正面を見るその
    目に和香は目を離せなくなった。


    「よお、和香。突然尋ねて悪かったな」
    「…何で何で何で、何でいるのー!?」


    そこにいたのは、今一番会いたくない男ナンバーワンの
    神崎壮だ。和香はこの家から追い出したい気持ちに襲われた。
    ここまで来るなんて何の用だろう、と和香は少し期待して
    しまった。昨日渡した映画のチケット持ってきてくれたの
    かな、って。


    「今日俺、学校に用あって行ってきたんだよ。そしたら、
     先生に和香にこれ渡してくれって頼まれた」


    「…あ、ありがと。それ…だけ?」


    和香はなぜか分からないけれど、ほかに用がないのか聞いて
    しまった。しかし、そんなことだろうと思った。用が二つも
    あるわけがない。この神崎のことだ。何言ってんだよ、と
    笑って和香を馬鹿にするだけだ。


    「それとさ…これ」


    カサカサ、と神崎はポケットの中から何かを取り出した。
    出てきたのは、昨日神崎に渡した、チケットだった。
  • 93 葵美(*’U`*) id:9zOni35/

    2012-08-20(月) 15:35:45 [削除依頼]



    \更新/
  • 94 葵美(*’U`*) id:9zOni35/

    2012-08-20(月) 16:09:21 [削除依頼]



    期待がまさか本当になるとは思わなかった和香の心臓の鼓動
    は一気に早くなる。神崎は、その場でチケットを見つめたま
    ま、何かを見つけたように驚いた顔をした。


    「これ…明日までじゃん…!」
    「そうだよ?知らなかったの?持ってるなら、
     それぐらい知ってて当然じゃん…」


    何だ、チケットをそんなにじろじろ見てないんだ、と
    和香は鼻で息を吐いた。行こうと思わなかったんだ…
    となんだか悲しい気持ちになった。そんな様子じゃ、
    和香を誘うわけないだろう。ただ返しに来ただけだ。


    「……」
    「……」


    しーん、と静まる二人の空気。何を切り出していいか、
    分からない。さっきの言い方冷たかったかな、と和香は
    思った。好きなのにこんな態度をしたら嫌われると分かって
    いる。けれど、これ以上、神崎に関わるのは避けたい。
    夏姫ちゃんっていう彼女がいるのに―


    「和香!いつまで玄関にいるつもりなのよー。あら?
     隣にいる男の子は?」


    「…初めまして。和香さんと同じクラスの神崎壮って
     いいます。急にお邪魔してすみません」


    お母さんが丁度良く、玄関に来てくれた。和香に尋ねたのに
    神崎がてきぱきと挨拶した。お母さんは、神崎の手に握られ
    ているチケットに気付いて、そのチケットはどうしたの?、
    と神崎に尋ねた。


    「お母さん、これはね」
    「……映画の、映画を見ないって、和香さんを誘いに
     きたんです」


    口から出任せか、神崎はそんな風に答えた。横で聞いていた
    和香の口はあんぐり開いていた。お母さんは、そうなの?
    だったら楽しんでらっしゃいね。和香、今日は何時に帰って
    きてもいいからね、と面白がりながらリビングに戻って行っ
    た。お母さんのやろうめ、と和香は、リビングのほうをキッ
    と睨んだ。
  • 95 *玲乃*【mai】  id:1UrhyH6/

    2012-08-20(月) 16:10:41 [削除依頼]

    頑張って☆ww
  • 96 葵美(*’U`*) id:9zOni35/

    2012-08-20(月) 16:13:28 [削除依頼]
    >94  ( 訂正。 )  ×「これ…明日までじゃん…!」  ○「これ…今日までじゃん…!」
  • 97 葵美(*’U`*) id:9zOni35/

    2012-08-20(月) 16:15:04 [削除依頼]



    玲乃⇔久しぶり(ω)
       ありがとう♥
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