籠鳥恋雲 14コメント

1 鬼灯 id:CQPpjTn/

2012-06-30(土) 00:16:43 [削除依頼]
 
 Aneliti brevi di foglie
 di fiori di flutti da 'I bosco
 esalano a 'I mare: non canto,
 non grido, non suono
 pe 'I vasto silenzio va.
  • 2 鬼灯 id:Zh5mLeF.

    2012-06-30(土) 22:39:19 [削除依頼]

     
     霊峰ウォセより吹き降ろす季節風は、晩秋のホロ王国に冬の訪れを告げる。
     一陣の強風に煽られた《緋雪花》の薄紅の花弁が、青い空へと舞い上がる。
     幾千の花が遙か高みへと誘(いざな)われ、陽光に晒され、煌めいた。
     霊峰の気が花弁の表面に結晶し、硝子に似た光沢を生み出しているのである。
     きらきらとした、幼子の見る夢のような空間が、そこにはあった。
    「待って、兄さま」
     自然な静寂を守っていた花畑に、子供らしい高い声が響く。
     穏やかな追い風に柔い髪を遊ばれながら、急いた面もちの子は懸命に小道を駆けた。
     一本道の先を行く兄の背中が遠かった。少年は未発達な足で、小さな背を追い続けた。
     目を離そうものなら、その間(ま)に消えてしまいそうで、恐ろしかった。
    「兄さま!」
     ごう、と一際強く吹いた風に巻き起こるは、花吹雪。
     薄紅に埋め尽くされ、兄の姿が視界から消え失せる。
     
     待って。
     おいていかないで。
     
     少年の叫びは風にかき消され、遂に兄が戻ることはなかった。
     
     
     
     
     其れは、まだ無垢であった時分の、暖かだった日々の夢。
     
     
     
  • 3 鬼灯 id:Zh5mLeF.

    2012-06-30(土) 23:01:20 [削除依頼]

     
     滴が頬を伝う感触に、現への帰還を果たす。
     ホロ王国王太子・カイは手の甲で目元を拭い、またか、とシーツにそれを擦り付けた。
     夢を見て泣くなんて、女児のやることだ。王位継承第一位の男児が、情けない。
     自己嫌.悪に陥りかけながら、寝台の上で上体を起こす。目覚めは最悪だった。
     己が涙が朝告鳥の代わりとなったのは何も今日に限った話ではない。
     もう幾日も、そんな朝が続いているのだ。
     毎晩毎晩繰り返し視た夢は、はっきりと脳に焼き付いている。
     夢の中で己が兄と呼び、追う存在が不明瞭であることも、不快感の一因となっていた。
     カイは現王の第一子である。兄弟の頭数に庶子を含めたとしても、それは変わらない。
     兄などいはしないのだ。
  • 4 鬼灯 id:rexI4uk1

    2012-07-01(日) 19:23:50 [削除依頼]
     存在しないものに心揺さぶられるなど、精神が虚弱である証だとカイは考えていた。
     夢の中の話であっても、関係ない。己の精神を制せられていないことに変わりはないのだ。
     強くならなければ。カイは握った手のひらに、少しばかりの力を込めた。
     王太子としての責任と、生来の気質から、カイは思い詰めていた。
     現王が臥すようなことがあれば、次に冠を戴くのはカイだ。
     いつその時が訪れるか分からない以上、早く、王にふさわしい器にならなければ。
     カイは国を、民を愛していた。彼らを守る力を得るために、カイは努力を惜しまなかった。
     臣はそんなカイを誉め称え、民も現王に次ぐ善政を期待していた。
     誰一人、カイの内面の弱さには気が付かない。カイはいつだっておびえていた。
     まだ見ぬ未来に、背負うべき立場に、課せられる期待に、己の未熟さに。
     強くならなければいけない。弱くてはいけないのだ。
     カイは寝台から降り、寝衣を脱ぎ捨て、身なりを整えた。
     ふと窓の外を見やれば、ちょうど東の山の縁が白んできたところだった。
     カイは部屋の扉を開く。夜番の兵に見送られながら、自室を後にした。
  • 5 鬼灯 id:rexI4uk1

    2012-07-01(日) 19:24:41 [削除依頼]
    まー変なとこあっても気にしないでください。たらー、と妄想を書き下ろしてるだけなんで。
  • 6 ひー id:2kGPmKX/

    2012-07-01(日) 20:20:04 [削除依頼]
    おもしろいですよ!
  • 7 鬼灯 id:rexI4uk1

    2012-07-01(日) 22:17:36 [削除依頼]

     人気のない早朝の鍛錬場で、カイはひとり無心に刀を振り続ける。
     ホロに古来より伝わる剣技『隷』の型を守りながらも、より鋭い動きで流れていく刃。
     見えない敵を屠り、己の弱い精神を断ち切るかのように、風を切る音は繰り返す。
     永遠に続くかと思われた『隷』は第一戒レプンで締られ、舞いを終えた刃先が頭を垂れる。
     荒い息を整えていたカイの耳に、控えめな拍手の音が届いた。
    「……覗き見とは、いい趣味をしているな。レン」
     カイが揶揄うように言えば、覗きじゃねぇよ、と、扉にもたれていた人影が近づいてくる。
    「寧ろ堂々と見ていたさ。カイ、お前が気付かなかっただけでな」
  • 8 鬼灯 id:wdM0w5k0

    2012-07-02(月) 22:33:46 [削除依頼]
     ホロの民によくみられる赤茶の髪に、清流に沈む翡翠の瞳。
     軍の幹部である証、胸に飾られた記章は、彼が衛生隊隊長だということを示していた。
     そしてレンはカイの乳兄弟でもあった。ゆえに、カイとは気心の知れた仲なのである。
     一国の王子へ向けたものとは思えないくだけた態度に、カイは僅かに笑みをこぼした。
    「声を掛けてくれればよかったのに」
    「掛けれるような雰囲気じゃなかったもんでね」
     言いながら、レンは腰の剣に腕を伸ばす。
    「じゃ、待たせられたお詫びに、稽古のお相手でも願おうか」
     レンの申し出にカイは頷き返し、己の剣に手を伸ばす。
     先ほどまで振るっていた腰の刀ではなく、背に背負っていた二振りの半月型の剣である。
    「おれも《朱(あか)》、《碧(あお)》を使う。お前も爺様から貰った方を仕え」
     真赤の刀身のそれらを構え、カイが言う。
     レンは剣の柄から手を放し、驚いたようにカイを見た。
    「……あいつらを?」
    「あぁ」
     カイは何でもないかのように言う。
     やれやれ、と天井を仰ぎ、レンは両袖から、二の腕の長さ程の刀を取り出した。
     カイはそれらを見、満足気に頷く。
    「朱と碧が最近退屈そうだったから、丁度いい」
  • 9 鬼灯 id:wdM0w5k0

    2012-07-02(月) 22:38:20 [削除依頼]
    最近書いてないからなんか納得いかない文だな。
    いや、前もそんな上等なもの書いてなかったけど。
    気が向いたら清書するべ。
  • 10 莉奈 id:nCcs0uY.

    2012-07-02(月) 22:39:57 [削除依頼]
    >1 なんてかいてあるんですか?
  • 11 鬼灯 id:wdM0w5k0

    2012-07-02(月) 23:24:55 [削除依頼]
    >>10 大したことない、オットリーノという昔の詩人の詩の一部ですよ
  • 12 莉奈 id:nCcs0uY.

    2012-07-02(月) 23:26:36 [削除依頼]
    >>11 そうなんですかー おしえていただき ありがとうございましたー
  • 13 鬼灯 id:wdM0w5k0

    2012-07-02(月) 23:27:33 [削除依頼]
    いや、彼の詩は好きなのですが、本編に深く関わらないという意味で「大したこと」ありません
  • 14 鬼灯 id:wdM0w5k0

    2012-07-02(月) 23:28:51 [削除依頼]
    以降あんまし書き込まないでいただけると嬉しいです
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