【コラボ】電柱下億劫少女19コメント

1 七子 id:o8WRx2K.

2012-06-25(月) 19:49:26 [削除依頼]
 
「身が無きゃ身も蓋もない」


≪これは、人間を作るお話≫
  • 2 七子 id:o8WRx2K.

    2012-06-25(月) 19:52:39 [削除依頼]
    文章:遥子
    原作:7秒0

    のやっつけPNでお送りさせていただきます今作。
    ジャンルは現代ファンタジーに当たるのでしょうか。
    ライトノベルと言えばライトノベルですし、よく分かりません(笑)
    基本毎週月曜に更新しますので、お気軽にお目を通して頂ければ幸いです。
  • 3 七子 id:o8WRx2K.

    2012-06-25(月) 19:53:49 [削除依頼]
    1

     仕方の無いことだった、と思う。

     いつもとなんらかわりない帰り道。日本全国世間一般のどこにでもいる高校生は学年が変わったところで、何か特別な変化が訪れる訳ではない。かくいう僕だって、その道を通るまでは……いや彼女を見つけるまでは、全然、それらとかわりなかっただろう。
    僕が歩いているこの通りは何の変哲もない住宅街の一角で、駅前の通りから一本抜けたところに位置する。ほんの少し離れただけだというのに賑やかな駅前とはまるで別世界かのように静かなところだ。午後十時を回れば数少ない電灯がぽつんぽつんと光っているだけで後は真っ暗、どこか不気味ささえ漂う。……いや、まあそれはいい。
  • 4 七子 id:o8WRx2K.

    2012-06-25(月) 19:54:24 [削除依頼]
     今は午後五時半、夕暮れ時が過ぎ去って、夜闇が空を覆うその少し前。不気味というにはまだ明るい。いつもであれば、特に何も考えることもなくそそくさと、足早に立ち去るのだろうが、その日、僕は足を止めた。
     それは、電柱の下で佇む少女を見つけたせいだった。
    どう見ても、日本人とは異なる容姿の少女だ。──まず、髪が、銀色なのだ。しかもそれはまるで光を放っているかのように絢爛に輝いていた。銀世界、というか。……下手すればあのまま髪の毛だけ切って売れるのでは無いだろうか。長さは根元から切れば軽く五十センチは超すだろう。大体いくらくらいになるのか、想像するだけで恐ろしい。高くつくだろう。僕のなけなしの小遣いなんて比べものにならないぐらいには──なんて馬鹿なことを考えていると、少女は僕を一瞥した。目があった瞬間胸が痛いくらいに脈打っていることに気が付いた。ひやりと、首筋に氷を当てられたような感覚が走る。変なことを考えていた所為もあってか非常にきまりが悪いのだ。
     だけども彼女の瞳は僕の心の内など気にする素振りもなく、澄んだガラス玉のようにただただぽっかりと僕を見ているだけだった。ともすれば、このままずっと見つめ続ければ吸い込まれてしまいそうだ。……いや、もちろんそれは所詮僕の妄想でしかなくて、実際はすぐに、そっけなく目は逸らされたのだけれど。
    そして彼女は僕が彼女を見つけた時と同じようにまた、ぼんやりと空を眺めはじめた。その横顔も、一切の感情を映すことは無く、むしろどことなく揺らめいているようにすら感じられる。彼女の輪郭線と空気との境界線が曖昧で、それはだんだんと雑ざりあい、そして溶けていってしまうようなそんな錯覚さえ起こしてしまう。
  • 5 七子 id:o8WRx2K.

    2012-06-25(月) 19:55:05 [削除依頼]
    「あの……」
    気が付けば、僕は咄嗟に声をかけていた。少女の横顔が、何処となく助けを求めている気がしたのかもしれないし、もしくは本当に消えてしまうのではないかと怖くなったのかもしれない。理由は僕自身よく分からないが、無意識に声は放たれていた。
    けれど、だ。
     彼女はそんな僕を、全く無視した。まるでお前には関係ないと言うように、何もない空にやっている視線を一ミリも動かさない。いや、無視したというと語弊があるかもしれない。彼女は僕の声が聞こえていないかのようだった。あるいは、それが彼女自身に向けられたものだと気付いていない、とか。
    「あの、あんた、何してんだ」
    もう一度、僕は彼女に声をかけた。
    なぜ、と問われると、やっぱり理由は分からない。彼女の輝く銀髪とか実は地球上の生物ではないんじゃないかと疑いたくなるほどに白い肌とか、いわゆる一般的な少女とは少し違うことくらいはさすがに僕でもわかる。確実に関わらないほうが無難だろうし、僕はそういう危険をわざわざ望んで冒すタイプでもないのだけど。
    すると彼女はやっと、やけにゆっくりとした動作でこちらを振り返った。相変わらずの無表情だったけど、どことなく信じられないものを見るようなそんな色が感じられるような気がしないこともない。
     なんにせよ僕はようやく反応があったことに少しほっとして、それから思っていたよりも少女の顔立ちが少し幼いことに気が付いて戸惑った。
  • 6 七子 id:o8WRx2K.

    2012-06-25(月) 19:55:36 [削除依頼]
    「……わたし……?」
    動きと同じくゆっくりと一言一言囁くような話し方だった。高くもなく低くもない、特に特徴の無い声。そして、驚くほど抑揚がない。僕はどこか薄ら寒さを感じて、何もいうこと無く首を小さく縦に振った。
    「わたし、が……見えるの……?」
    「──は?」
    亀の歩く速度のように遅い口調だった。
     はて、僕はもしかするととんでもない電波に話し掛けたのだろうか。
    「あんた……いや、君、名前は? てか家は? こんなところで何してるの?」
    いささか早口に、そしてマシンガンのような質問劇になってしまったが仕方ない。とりあえず、この少し危ない少女をどうにかしなければという思いが先行した結果だ。
    「本当に……、本当にわたしが見える……?」
    確かめるように、慎重に何故か彼女は繰り返した。
     何を言ってんだよ──そう言おうとして思わず口を閉じた。
     とりあえずふざけてるようには見えない。僕で遊んでいるようには微塵も見えない。しかし、この大分危ないであろう少女はこちらの質問に答える気もないと見える。
    「見えるよ、見えてる。ばっちり見えてる。だから君の名前教えて」
     だから僕は彼女のその気を促すように、またその確かめに対しての反応を過剰にすることで信じさせるためにそのように言った。
    「……山田麻耶」
     すると少女は少し間を開けてぼんやりと呟いた。……相変わらず何を考えているのか全く分からなかった。
  • 7 七子 id:o8WRx2K.

    2012-06-25(月) 19:56:14 [削除依頼]
    「じゃあ麻耶ちゃんはここで何をしてるの?」
    少女──麻耶は僕の顔を見てふるふると首を振った。
     それと、ふるふるというのは決してモンハンのあの、気持ち悪いやつではない。
     ……。
     ちょっとしたジョークだ。
    「名前……」
    そして不健康ではないかと思うほどに細い腕を、人差し指を僕に向ける。これは僕の名前を言えということだろうか。
    「僕は……野一檎、閃」
    どうでもいい話だが、いつもいつも僕は自分の名前を名乗るとき、少し躊躇ってしまう。そう、イチゴとヒラメだなんて、食べ物の名前が二つも入っていていかにも大食いの名前みたいじゃないか。そのせいで実際、幼い頃から色んな人に笑われた記憶が多数ある。それもあってかこの名前が僕はあまり好きでもないし、こんな名前をつけやがった両親に怒りすら感じていた。
     だが、そんな僕の名前にも何のリアクションを示すこともなく麻耶は、そう、と短く返した。
  • 8 七子 id:o8WRx2K.

    2012-06-25(月) 19:56:40 [削除依頼]
    「……で、君は結局何をしているの?」
    「………………」
    改めて麻耶にそう問い掛けると返ってきたのはやはりというかなんというか、まあ沈黙だった。
     何もしないのかと少し肩を落とした矢先、麻耶は俯いて、何か考えるような仕草をした。
     そういえば先ほどからこの質問の答えははぐらかされている気がする。余程言いにくいのだろうか。
    「…………いの」
    「え?」
    聞き取れないほど小さな声で何かを呟く。しかし、麻耶に顔をあげる気はないらしかった。仕方なく、よく聞こえるようにとしゃがみこんだ僕が聞いたのは、ただでは理解しにくい言葉だった。
    「わたしには……体が……無い」
    「は?」
     思わず声を上げたのは、きっと僕がきちんとした、疑うことなき人間だったからだと思う。
     
  • 9 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:37:42 [削除依頼]
     数分、あるいは数秒か――何もかもが静止したような不思議な間があいた。まああんな、酷い中二か、もしくは精神が狂ったかと疑われてしまうような発言をされたのだから仕方がないだろう。
    しかしそんな僕をもっと混乱させるような言葉を麻耶は更に重ねた。

    助けてほしい。
     と。
     簡単にいってしまえば、そういうことだ。
    助ける──何から? はじめに浮かんだのはそれだった。からかわれているのかとも思った。
     だけども、彼女の顔はどうしても冗談を言っている顔には見えない。見つけたときから微塵も変わらない無表情を貫き通している。それもここまでくるとなんだか薄ら寒い感じさえする。だが今のこの状況下だとそれも妙に緊迫した雰囲気を持たせるのだから不思議だ。
  • 10 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:38:27 [削除依頼]
    「助ける、って言ったって」
    変にかすれた声になってしまった。口の中が乾き切ってしまってうまく喋れない。
     彼女は一歩だけ前に出て訝しがる僕の前に、ゆっくりと自分の腕を突き出してきた。見るたびに思うけど、標準と比べて随分と細い腕である。
    その先──白い指先は段々と僕に近づいて、そしてそれはとうとう僕に触れようというところで一度動きを止めた。
    その意図の読めない行動に僕は疑問符を浮かべたが、つかの間に彼女は勢いよく、僕の方へ更に腕を突き出してきた。
     ……普通に考えれば、だ。威力の増したそれはある種の武器となって僕の鳩に衝撃を与えるはずだ。そして僕の痛覚はそこまで大きくは無いだろうが刺激され、僕は鈍痛と息苦しさに見舞われるだろう。
    しかし、実際の僕の体には一切その感覚は無かった。もっというなら、何かに触れられている感覚すら全くしない。
    「……?」
    反射的に閉じてしまった目をゆっくり開ける。
    「うわっ!?」
    目を開けたときに見たのは信じがたい光景だった。

     ──手が、僕の体に突き刺さっていた。
  • 11 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:38:55 [削除依頼]
     本能的に。
     生理的に。
     ただただ、気持ち悪いと思った。嫌悪とも、恐怖とも違う、拒絶。
     依然として痛みは全く感じない。だけど紛れもなく僕のからだ貫通しているように見える麻耶の腕。
     僕は酷く狼狽えて多分とても情けない顔で麻耶を見つめた。
    麻耶も相変わらず、僕の顔の方に顔を向けていた。目を互いにあわせても、しかし彼女からは何も伝わらない。
    「物、に……触れることができない」
    不意に僕の鼓膜を揺らしたのはその淡々とした声だった。
     出会った時からその喋り方は変わらないはずだけど、なぜかそれは今だけ、事もなげに言っているようにも、感情を無理に押し殺しているようにも感じられた。
  • 12 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:40:59 [削除依頼]
     僕は改めて自分の腹部に視線を落とす。突き刺さっている、とさっきは思ったが、よく見てみると彼女の腕は少し透けていて、僕の体を通り抜けていた。そんなことありえるのかと僕はもう一度それをじっくりと見た。何かのマジックとは思えない。
    「物に触れることができない……?」
    僕が復唱すると、麻耶は小さく頷いた。
     その時初めて僕はその事実を認めると共に、彼女を取り巻いているであろう問題が自分の思っていたものより数段も大きいことにきがついた。透けているなんて、そんなの、人間じゃない。寧ろ、本当に生物なのかすら。
    物に触れない。感情がない。そして身体――実体が無い。
    いたって、先ほどと変わらない単調な口調で麻耶は更にそう告げた。ここまで見せられて、思考をも大分麻痺させられていたようで、それを疑おうなんて気は起こらなかった。
     当たり前に事実として受けとめている自分が若干怖い。
     しかし、だからこそ彼女を助けるということが、具体的なことは一切分からないが、かなり難しそうなことも同時に分かった。
  • 13 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:41:24 [削除依頼]
    「……それって」
    「何故君にわたしがみえるかは……分からない。…………『ふつうの人』だと思う、けど」
    寧ろ違ったら困るよ、と僕は苦笑しつつ、麻耶から視線を外して、空を見る。
     すると気づかぬ内に、空はもう闇を得ていた。
     非現実的すぎることが次々に目の前で明かされて、時間を気にする余裕が無かったようだ。気付けばそれなりの間ここにいたらしい。意識していなかったけど、そういえば足が少し痛い気がする。
     ふと帰りたい、と思った。
     瞬間、急速にその思いだけが頭を占めていく。……いい加減馬鹿らしいような気もした。家にかえれれば他は何もかもどうでもいいような、投げやりな気持ちになる。
     ある種の、防衛本能。
     とうとう僕の脳みそは許容範囲の限界を越えたらしい。
     こんなところでたったまま僕は何をしているんだろう。そんな状態の僕は終わりにしようと口を開こうとする。その時視界の端には助けを僕に求めてきた少女がうつった。悪いが、ここは──
    「あーあのさ。ちょっと──移動しない?」
     僕は、もしかしたら馬鹿なのかもしれない。
  • 14 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:41:55 [削除依頼]


    そして──現在時刻、六時三十七分。
    僕は外ではないところ。有体に言えば自宅にいた。
    面倒且つ怠い学校がやっと終わったというのに、僕は緊張の溶けないまま、リビングに置いてある低いテーブルの前に正座していた。
     何を隠そうそれは、麻耶と一瞬にいるせいだ。結局は、そういうことなのだ。
    「ここ……」
    「あーうん、僕の家だけど」
    麻耶は文句をいったりはしなかったけど、これはひどい。移動しようといったきり、行き先も告げず着いた先は高校生の、しかも男子の独り暮らしの部屋。自分でもそう思うし、もしもこれを友人達に知られたりでもしたら僕は精神的にも社会的にも殺されるんじゃないだろうか。
  • 15 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:42:19 [削除依頼]
     ……などと色々と思うところはあるのだけど、それが何か、と僕は首を傾げて見せる。やはり、彼女は何も言わず、無表情で首を前に傾けた。……ここで頬を紅潮させるだとか、なんらかのリアクションがあると助かるのだけど。
     いやでも麻耶が至って普通の少女だったなら、そりゃあまあ、問題は少々、いや下手をすれば多々あるんだろうな、とは思う。しかし、彼女の場合は…………。
    それを求めるのは、酷なんだろう。なんとなく気まずい空気が流れて、僕は立ち上がった。
    「何か飲み物でも」
    少し待ってて、といいつつ台所の方へ向かおうとする。
    その瞬間気が付いた。──麻耶はカップ持てないし、飲み物飲めないんじゃん?
    「あ……」
    更に気まずい空気が……といっても彼女には感情がないのだからそんなもの僕の一方的な感想でしかないのだが。
     実際麻耶は、唐突に、さっきの僕の行動など無かったかのように話を始めた。
  • 16 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:42:43 [削除依頼]
    「……さっきの続き、だけど」
    「え。おう、うん」
    若干戸惑う僕。未だに彼女との距離感が取れていない。
    「わたしだって、もちろん、はじめからこうだったわけじゃ……ない」
    僕は大きく頷いた。
    「普通に……人間だった」
    それもなんだか変な話だなと、苦笑する。彼女は今自分が人間ではないとはっきり言ったのだ。
    「感情も、体も、全部奪われた」
    徐々に不穏な響きが出てきた。奪われた、つまりは彼女を害する存在がいることを示す。彼女の異変の原因は、何かの不幸な事故だとか、そういうことではなく人為的に起こされたものだということだ。
    「誰に?」
    俯いた麻耶に声をかける。彼女はすぐには答えなかった。不思議なことに、頭では解ってはいるのに、僕は何故だか彼女には感情があるのではないかと思ってしまう時が度々ある。些細な体の動きを悲しそうだとか嬉しそうだとかそんな風に自分の経験から勝手に推測してしまうのだろう。今だって所詮は僕の思い込みだろうが、僕には、麻耶がとても緊張しているように思えた。
    「…………『物語』」
    「え?」
     思わず耳を疑った。
  • 17 七子 id:8qSJ6Q50

    2012-07-02(月) 17:45:39 [削除依頼]
    次週は文章の方が文化祭らしく休みだそうな。
    また二週後。
  • 18 ブラック id:T60rzMx/

    2012-07-02(月) 21:19:07 [削除依頼]
    タイトルの付け方が好みだったのでのぞいてみたら、吃驚仰天。
    本格的だぁ……。と尊敬の眼差しバンバン送りたいです。
    読みやすいし、もう展開が気になりまくり、再来週の更新楽しみに待ってます。
    がんばってください。
  • 19 かむこ id:uDiknPA/

    2012-07-30(月) 23:43:52 [削除依頼]

    何がなんだかわかんないよ お話のことじゃなくてね

    原作さんも文章さんも頑張ってくださいノ
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