君と本とわたし。15コメント

1 図書委員 id:uI4tH.k/

2012-06-24(日) 21:48:03 [削除依頼]



薄紫の雲が空を覆い始めるころ。
篠宮雅はまだ校舎に残っていた。
家に帰りたくなかった。

自然と足が向いたのは図書室だった。
1年の学校案内の時以来足を踏み入れていなかった場所。
少し埃っぽくて、紙のにおいがしたのを覚えている。

図書室の扉は、薄く開いていた。

「…あいてる?」

からからから。
乾いた音がしてドアが開く。
「失礼しまーす…」
中を覗き込んでも誰も見えなくて、雅は息を吐いた。

一歩足を踏み入れると、埃と紙の、図書室特有のかおりがした。
  • 2 *.和樺 id:dGekvLJ0

    2012-06-24(日) 21:50:52 [削除依頼]
    何かとても面白そうですね

    私図書委員なので本の香りとかわかるようなわからないような・・・w
    でも新しい本と古い本なら古い本のほうが特有の匂いがして私は好きです。

    まぁそんなことはどうでも良いとして・・・
    頑張ってくださいね*
  • 3 図書委員 id:uI4tH.k/

    2012-06-24(日) 21:56:35 [削除依頼]
    >2 ありがとうございます…! わたしも図書委員なのですが 古い本って独特ですよね、なんか。 ゆっくりですが頑張っていきたいと思います…
  • 4 *.和樺 id:dGekvLJ0

    2012-06-24(日) 22:03:05 [削除依頼]
    そうですよね!!
    古い本私はよく読みます


    特にあまりみんなに読まれてない
    古い本とかを開けた時の音が好きww

    よく「マニアック」って言われます 汗
  • 5 図書委員 id:TeR3/2A.

    2012-06-25(月) 00:05:49 [削除依頼]


    春になって日が長くなったとはいえ、5時を過ぎているからか、部屋は薄暗い。
    かといっても雅は電気のある場所を知らない。
    幸いにして、窓からの光はまだ少し明るいので、雅は諦めて部屋の奥まで足を進めてみることにした。

    「流跡」「空中ブランコ」「鉄道員」「桜の森の満開の下」「雪国」……
    奥へ進むに連れて本は密度を増し、上に積もる埃もうっすらと増しているような気がする。
    これは一体いつの本だろうと思うものもある。

    雅は全くと言って良いほど本を読まない、もしくは触れもしないので、どれが面白いとか面白くないとかは全くわからない。
    だからとりあえず、目についた本の背表紙をなぞってゆく。
  • 6 図書委員 id:NmzWRoW1

    2012-07-01(日) 14:33:53 [削除依頼]


    「たけくらべ」「歯車」「蜘蛛の糸」……

    ここら辺なら知ってる、と雅は手を伸ばす。
    押し込められた本の隙間から背表紙を引っ張り出したとき。

    「君。すまないが、今は一体何時だい?」

    「……え?……え、え?」
    誰もいないはずの暗がりから急に声がした。
    雅は手に持っていた本を取り落としそうになり、焦って鞄の中に押し込んだ。

    カウンターで本を片手に読んでいるのは、一人の男子生徒。
    薄暗い所為で、顔はよく見えない。
    が、その目は手に持っている本だけに注がれている。…のだろう。
  • 7 図書委員 id:NmzWRoW1

    2012-07-01(日) 16:11:38 [削除依頼]


    こんな暗いのによく本を読んでられるなあと感心しつつ、雅は戸惑う。
    なぜなら時計は彼の目の前の壁に掛かっているのだから。
    そんな雅の様子を察したのか、本から目もあげず彼は続ける。

    「…ああ、俺は極度の弱視でね。眼鏡やコンタクトやらをつけろと言われるんだが、どうも好きになれないんだ」
    それなら、と雅は納得する。
    「…あ…、えっと…多分、5時半…くらいかと…」

    雅が応えると、
    「すまないね」
    彼はそう言って、初めて顔をこちらへ向け、微笑んだ。
  • 8 よみ id:xeK1oYB1

    2012-07-02(月) 23:40:41 [削除依頼]
    はじめまして。
    書き出しの一文に惹かれて、吸い寄せられるように読み進めました。
    「埃と紙の、図書室特有のかおり」という表現から、「ああ、本好きな人が書いてるんだなぁ」ということが分かって、嬉しくなりました。私も図書室の匂いが大好きです。
    あと、極度の弱視の彼が気になります(笑)
    まだ数レスしか読んでいませんが、ゆっくりと穏やかな時間が作品世界に流れているように感じました。素敵な作品に出逢えると、幸せな気持ちになりますね。
    続きを楽しみにしています。図書委員さんのペースで書き続けてください。応援してます。
  • 9 図書委員 id:R.m/w.8.

    2012-07-03(火) 22:21:15 [削除依頼]
    >8 わわ、ありがとうございます…! 暇さえあれば図書室に篭ってるリアル図書委員です笑 宇治拾遺物語とか見てテンションあげてたら友達に引かれました… 弱視の彼は……お楽しみに笑← ゆっくり頑張っていきます…!!
  • 10 図書委員 id:nUPK4WO1

    2012-07-05(木) 00:19:23 [削除依頼]



    雅と彼の視線が、一瞬ぶつかる。
    雅が恥ずかしくなって目を逸らそうとしたとき、彼はすいと目線を下げて立ち上がった。

    「さて、そろそろ帰るかな」
    彼はそう言って本を鞄にしまった。

    「君ももう帰りたまえ。生活指導の先生に見つからないように」
    彼が風変わりな喋り方をするので、思わず雅は笑ってしまいそうになった。
    口元をおさえようとした拍子に、カウンターに積んであった本の山に腕がぶつかる。

    「あ」

    ばらばらばらっ。
    滑り落ちた大量の本がカウンターの下に広がった。

    「っ…ごめんなさい‥!」
  • 11 図書委員 id:Kctqyuo.

    2012-07-08(日) 23:59:34 [削除依頼]

    雅が慌てて本を拾っていると、

    ーくすっ。

    「…そんなに怯えなくても。俺は君をとって喰ったりはしないよ」

    そういって彼は、雅がたじろぐほど近距離から顔を覗き込んだ。
    「…成る程。君の顔をまともに見たのは初めてだ」

    「え」


    がらがらがらっ。
    「まだ誰かいるのかー」
    突然、ドアの辺りから生活指導の先生の声がした。

    弾かれたように立ち上がろうとする雅を目で制して、
    「すみません、図書委員です」

    と、彼が立ち上がる。

    「おう、ご苦労さん。早く帰るんだぞ」
    「はい」


    当たり障りのないやり取りのあと、ドアが閉められる音と、遠ざかってゆく足音が聞こえた。
  • 12 図書委員 id:pQhvbUL0

    2012-07-09(月) 00:02:32 [削除依頼]

    ようやく足音が聞こえなくなってから、彼は言う。
    「あとは俺がしておくから、君はもう帰りたまえよ」


    「あ…ごめんなさいっ…」

    そんな雅の声を聞いて、また彼は笑った。

    「だからどうして謝るんだね?ほら、もうすぐ日がくれるだろう」

    彼は窓の外に目をやって、続ける。

    「図書室ならいつでも開いている。…今度はゆっくり来たまえ」

    「すいませ…あ、…ありがとうございました!」
  • 13 図書委員 id:pQhvbUL0

    2012-07-09(月) 00:08:15 [削除依頼]


    ぺこりと頭を下げて、雅は出口へ向かった。このまま居ても、また何かやらかしそうだと思ったからである。

    廊下に出てゆっくり歩いていると、雅の足音だけが響いている。
    少しざわめいていた校舎内も、すっかり静かになっていて、雅は知らず知らずの内に早足になった。

    階段を降りて、靴を履き替えて、校門を出た雅は、ふと空を見上げた。

    空の端だけが真っ赤に染まっていて、雅は、とてもきれいだと思った。
  • 14 よみ id:nl2vS1k.

    2012-09-26(水) 21:36:20 [削除依頼]
    支援あげです。
    ご負担になったらすみません。続きをのんびり楽しみにしています。
  • 15 図書委員 id:ttnRJaR1

    2013-04-21(日) 10:25:53 [削除依頼]

    図書委員、か…。

    『すいません、図書委員です』

    暗い図書室に響いた凛とした声。それが何故か何度も心の中にこだまする。

    「本、読んでみよっかな…」
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