気づけよ、ばか。33コメント

1 はちみつ王子 id:i-sfiNjxB.

2012-06-20(水) 01:05:21 [削除依頼]

「気づけよ、ばか」

「え?」


あたしが欲しいのは、たった一言の「好き」って言葉。


ねえ、気づいてよ――。
  • 14 はちみつ王子 id:i-3DxhK7N.

    2012-06-22(金) 16:12:44 [削除依頼]


    いますぐにでもあの場所に行きたい。
    私はいてもたってもいられず、席を立った。

    「……紗枝?」

    親友は勢いよく立ち上がった私を、グラス片手に不思議そうに見ていた。
    9人の視線に、私は固まってしまった。

    「あ、えっと」

    「ごめんねー! この子こういうの慣れてなくて。お手洗いだよね? そんな急がなくたって」

    「え? や、違っ」

    「あたしに合わせなってば!」

    親友の言ったことを否定しようとすると、私の手首を掴み声を落として、そう言った。

    苦笑を浮かべて謝ると、私は出入り口ではなくお手洗いの方向に足を運んだ。


    なにやってんの、私。


    鏡に映る自分を見つめて、ため息をついた。
    コレはいつまで続くんだろう。
    もうすぐ、夜がやってくる。
    アイツが帰っちゃう――。


    「……っ!」


    頭で考えるより先に、足が動き出していた。
    かばんも取らずに、みんなにも何も言わずに。

    どんだけ好きなんだよ。

    実る保証のない恋愛より、出会いがある合コンに賭けるべきなのに。
    それでもやっぱり、好きだから。
    ばかみたいに、諦めきれないから。
  • 15 はちみつ王子 id:i-3DxhK7N.

    2012-06-22(金) 18:28:38 [削除依頼]


    縺れそうになる足を必死に動かして、全力で走った。
    まだ帰らないで、と願いながら。
    もう空は半分深みを増していた。
    だから余計に心は不安が募る。

    まだ帰ったと決まったわけじゃないのに涙が溢れてきて、視界はぼやけていく。
    汗か涙かわからなくなったそれを何度も拭い、たった数分の距離が長く感じた。


    やっとあの場所が、見えてきた。
    辺りは薄暗くなり始めていて、私は目を懲らしてその先を見た。
    ゆっくりと速度を落としながら、私は徐々に見えてくる姿に目を見開く。

    激しく上下に揺れる肩と、激しく脈打つ心臓の速さ、乱れた呼吸。
    完全に私は足を止めた。


    「……っ、瀬戸」

    アイツの姿をハッキリ確認して、私は驚きと嬉しさに、自然とアイツのことを呼んでいた。

    いつもなら、もう手を振る時間なのに。
    なのにアイツが……居る。
  • 16 はちみつ王子 id:i-3DxhK7N.

    2012-06-22(金) 18:46:23 [削除依頼]


    「……あ、来た」

    ゆっくりゆっくりと、アイツに歩み寄った。
    人の気配に気づいたのかこちらを向いて、私を確認すると一言そう言った。
    アイツの手には、コロッケ。

    「おせーよ」

    固まる私にまた一言足して、コロッケを一口、頬張った。
    うめぇ、と声を漏らして幸せそうに微笑むコイツに、私の心臓は締め付けられる。

    「なんだよ、走ったのか? 」

    「う、うん……っ」

    「青春だな、制服で全力疾走とか」

    ハハと笑って、かばんの上に置いてあったビニール袋から、手の平くらいの小さな紙袋が出てくる。
    それを私に差し出すと、アイツは言った。

    「ほら、食えよ。コロッケ」

    「え……でも」

    「お前ん為に、買ったんだ」

    その言葉に私はもう、どうにもいい表せないくらいの感情が沸き上がってくる。

    なんなの。ばか。
    好きすぎるよ。
    新しい出会いとか、無理だよ。

    本当に……。

    「ばか」

    「ひどっ! せっかく俺の小遣いで買ってやったのにさぁー」

    「べ、別に頼んでないし、食べたいとか言ってないもん……っ」

    「ふんっ、素直じゃねぇ奴」

    「うるさいばか」

    「ばかばか言うなよ、ばか」

    今まで食べたなかで一番美味しくて、温かかった。

    あのね、素直にありがとうって言えないのは、アンタが好きだからだよ。
    恥ずかしいんだよ、素直にすることが。
    もう6年の付き合いなのに、気づかないんだね。

    でも6年の付き合いなだけに、やっぱりこの微妙な位置が苦しかったりするんだ。
    一緒にいる月日なんて、関係ないのかな。

    ねぇ、瀬戸。
    素直にならなきゃ、気づいてくれない――?
  • 17 はちみつ王子 id:i-B3C5KMK.

    2012-06-23(土) 00:27:51 [削除依頼]


    「珍しいね、こんな時間まで。いつもなら帰っちゃうくせにさ」

    私がそう聞くと、アイツはじっとこちらを見つめて、口を開いた。

    「沢村のこと待ってたんだよ。……コロッケ、あげたくて」

    いつもは“お前”って呼ぶくせに。
    たまにちゃんと呼ばれると、すごくドキドキする。

    「今日来ないかと思ってたから、良かった。お前のぶんまで食ったら胃もたれするしな」

    「おっさんか」

    「ククッ。じゃ、帰るか」

    私のツッコミにアイツは笑って、満足げに顔を綻ばせると、立ち上がった。
    途端に、切なくなる。
    まだコロッケ、一口しか食べてないのに……。

    「じゃあな」

    私の気持ちなんて、届いてないみたい。
    ヤツはかばんを肩にかけて、私に背を向けた。

    「せっ、瀬戸……!」

    「ん?」

    思いきって、引き止めた。
    やっぱりこの想い、届けなきゃ。
    私が待ってたってきっと、振り向いてくれないんだから。
    こんな優しくするくせに、すぐ私を悲しませやがって。
    だったらもう、言ってやる。
    好きだ! って。
    それで、スッキリとした関係になればいいや。

    「あのさ、実はアンタに言いたいことがあるんだよね」

    「……おぉ、なんだよ」

    体をくるりとこちらに向けると、戻ってきた。
    離れていた距離が近づく。

    冷静だったはずなのに、急に鼓動が速くなる。
  • 18 葵美((-ω-))* id:DnVIhge/

    2012-06-23(土) 10:09:46 [削除依頼]



    あ-.!
    すごい紗枝ちゃんに
    共感しますっ
    近いのに気付かれない
    って辛いから…
    続き楽しみにしてます?
  • 19 はちみつ王子 id:i-CbmfyoT.

    2012-06-24(日) 01:10:02 [削除依頼]
    >>18様 分かっていただけますか(´ω`) そういう想いをされたんですね; 自分で書いといてなんだけど、辛いですよね(笑) 地味ではありますが、更新頑張りますので気長にお待ちくださいませ(・ω・`*)
  • 20 はちみつ王子 id:i-CbmfyoT.

    2012-06-24(日) 01:45:16 [削除依頼]


    「沢村?」

    「だから、あの」

    「うん」

    その時だった。
    私の制服のポケットから、電子音が鳴り響く。
    サブディスプレイに親友の名前“美和”の文字が映っていた。
    私はアイツの顔を見た。

    「待つから、出ろよ」

    「ご、ごめん。……もしもし?」

    「紗枝? アンタ帰ったでしょ! あんまり長いから心配して見に行ったら、居ないんだもん!」


    なんてタイミングの悪い時に。
    連絡入れるの忘れてたんだ。
    私のバカ。

    「ん、ごめん」

    「荷物も置きっぱなしで、どこ行ってんの? みんな心配してんだよ!」

    「や、その……お母さんから電話があって」

    苦しい言い訳だった。
    アイツが目の前に居るのに、これじゃあ台なしだよ。

    「戻ってくるでしょ? あたし待ってるから、おいで」

    「えっ!? あ、あぁ、うん……わかった」

    電話を切ると、明らかに何かをいいたげにこっちを見ているアイツが居て、バツが悪くなる。
    もう……本当にドジすぎ。
    合コン行ってて、なんてアイツの前で言いづらよ。

    「沢村……どうした?」

    「あ、瀬戸!」

    「ん」

    「あたし……せ、瀬戸が好き!」


    何故このタイミングで言ってしまったんだろう。
    まずは電話のことを、言うべきだろうに。
    私はおかしくなってしまったかな……?

    ほら、瀬戸が困ってる。
  • 21 はちみつ王子 id:i-mifM0IB/

    2012-06-25(月) 13:54:40 [削除依頼]


    「ごめっ……、あたし何言って……い、今の忘れて! 冗談だから」

    本当は冗談じゃないし、忘れて欲しくもない。
    けれど、弱気な私にはこの空気に耐えられなくて、アイツからの言葉も聞きたくなかった。
    必死で駆けた。アイツから一秒でも早く逃げたくて。

    合コンを抜け出したときの気持ちとは違う感情で、無我夢中に走る。
    羞恥心と不安感が駆け巡る。

    駅前のファミリーレストランの入り口付近に、親友が見えた。
    出来るだけ元気なそぶりを見せる。


    「美和! ごめんね」

    「お、きたきた。……ったく、何してんのよ」


    呆れたように私を見てから、くしゃりと頭を撫でられた。
    そうして、左肩に掛けていた私のかばんを差し出して、帰ろっか、と笑った。

    帰り道。
    いつもなら気にしない親友との沈黙さえ、今は息苦しい。


    さっきの出来事を口にしたら、きっと泣いてしまう。
    美和を前にすると、私は何も我慢出来ないから。
  • 22 茗 id:EN/iRHM/

    2012-06-25(月) 14:25:35 [削除依頼]
    わ〜 この小説めっちゃ好きです!><
    私、恋愛系ムリなんですけどこの小説
    めっちゃくちゃ好きです!
  • 23 はちみつ王子 id:i-NPsJsgN1

    2012-06-26(火) 17:33:32 [削除依頼]
    >>22様 苦手なんですね; それなのに読んで頂けて しかも好きだなんて、 とても嬉しいです(*^ω^*) ありがとうございます◎
  • 24 はちみつ王子 id:i-NPsJsgN1

    2012-06-26(火) 18:38:48 [削除依頼]


    あんなにアイツへの想いは喋れたくせに。
    告白したことは言えないなんて。

    だって、私の思い描いた告白とは違ったんだもん。


    「紗枝」

    「ん?」

    「瀬戸のとこ、行ってたの?」

    「……え?」

    思わぬ親友の言葉に、私は動きを止めた。

    「泣きそうな顔してるくせに。そんな顔すんの、瀬戸のこと考えてる時だけだし。何があったの?」

    「ふっ……うっ、美和ー!」


    やっぱりなんでもお見通しみたいだ。
    心の中まで見透かされ、あまりにも優しすぎる美和の声に、私は涙を堪えることができなくて、美和の胸に飛び込んだ。

    男の人ほど広くはないかもしれないけれど、美和の胸の中は温かくて、とにかく泣きじゃくった。
    何も言わずに受け止めてくれる。
    気が済むまで、泣かせてくれる。


    「あたしバカだよぉ……っ、う、も、バカすぎる」

    「ほんと、バカだね」


    それは温かくて、ふんわりと私を包み込んでくれた。
  • 25 茗 id:pIHTpZY1

    2012-06-26(火) 22:22:58 [削除依頼]
    >23 いえいえ♪(^ω^) 続き、早く書いて下さい!
  • 26 はちみつ王子 id:i-33/OgmD0

    2012-06-27(水) 13:39:29 [削除依頼]


    私達は家の近くの公園に寄った。
    「ゆっくりでいいから」と、美和はそう言ってブランコに座ると、小さく揺れた。
    私も隣のブランコに座った。

    辺りは既に真っ暗で、近所の家の明かりが窓からこぼれる。
    小さな公園に設けられた外灯は、ほんのりと周辺を照らすぐらいの、明るさ。

    どこからか香ってくる晩御飯の匂いは、きっと煮付け。
    そういえば、アイツに貰ったコロッケ、どこで落としたんだろ。
    せっかく貰ったのに……。
    我を忘れて走りすぎたかな、なんて。


    「……言っちゃった。瀬戸に」


    自然と話す気になっていて、私は口を開いた。
    合コンを抜け出しアイツのとこに行ったこと。
    コロッケ貰って嬉しかったこと。
    告白したこと。
    とにかく今いえる全てのことを、美和に告げた。

    「そっか。確かに、タイミングがね」

    天に高く昇る月を眺めながら、美和は言った。
  • 27 はちみつ王子 id:i-33/OgmD0

    2012-06-27(水) 16:10:05 [削除依頼]


    「美和……どうしよう。あたしズルいよね。告白しといて忘れろだの冗談だの。挙げ句、逃げだしちゃって」

    「アンタはそんな奴だから、しょうがないよ」

    私の性格は、しょうがないでまとまってしまうのか。
    なんて、悲しいんだろう。
    なんて、弱虫なんだろう。

    「いいじゃん、それで。紗枝らしい告白だよ」

    「ん……けど」

    「クヨクヨしない! 言っちゃったもんは、しょうがないし。今更後悔したって、しょうがない。結局しょうがないんだからさ」

    あっさりとした答えが、美和らしい。
    アドバイスするわけでもない、慰めるわけでもない。
    同情をしてくれるわけでもない。
    そういうところに救われてきたし、頼りにしてるんだ。

    「むしろ良かったんじゃない? 気持ち伝えただけさ。やっと気づいたかもしれないんだよ? アンタの気持ちに。だからさ、終わった、じゃなくて、こっからさらに頑張るの! わかる?」

    「うん」

    そういう風に考えれば、なんとなく気が楽にはなった気がする。

    まだ希望があるんじゃん。
    私まだ、頑張れるんだよ。
    そうだ。終わりじゃない。
    ここからだ。
    好きだと気づかせたんだもん。
    意識してくれるよね……?

    あんなこと言ったけど、気づいてくれたよね、きっと。
  • 28 Σ(・ω・みぃみσωσ♪) id:m2uIAae1

    2012-06-27(水) 16:58:00 [削除依頼]
    ちょ〜おもしろい!
    ついにであっちゃった〜☆三
    これからも来ます♪ファンですσω−・.・..+-.*.・+
  • 29 はちみつ王子 id:UlFs1VN0

    2012-06-28(木) 16:07:05 [削除依頼]
    >>28様 ありがとうございます。 ファンですかΣ(・ω・) 嬉しい限りです*゜ どうぞまたいらしてください◎
  • 30 はちみつ王子 id:i-oRGOnVF0

    2012-06-28(木) 18:45:37 [削除依頼]


    美和と別れ、私は家に帰った。
    気持ちを切り替えていこう、とモチベーションをあげて。


     ***


    翌日、目覚めて最初に脳裏に浮かんだのは、昨日の出来事。
    寝たら昨日のあの前向きな気持ちは、どこかへ逃げてしまったらしい。
    今は学校へ行くのが、憂鬱でたまらない。
    けれど何も知らない母親は、私がいつまで経ってもリビングに現れないことに痺れを切らして、部屋へ呼びに来る。

    「紗枝! ……あら、起きてるじゃない。早くご飯食べな、遅れるよ」

    私がベッドの上で上半身を起こしているのを見て、驚くわけでもなくそう言い残して、ドアを閉めた。

    渋々ベッドを降りて、やっとのことで準備を始める。

    「いってきまーす」

    女とは思えない速さで支度を済ませて、家を出る。
    なんて清々しすぎる朝なんでしょう。
    私の心とは正反対すぎるじゃないか。

    幸い、クラスが離れているからいいものの、放課後の特別な時間が私にとって憂鬱なのだ。
    ただクラスが離れているからといって、全く会わないということもないわけで――。

    「おす!」

    「はよー。お前元気いいな!」

    「瀬戸には負けるよ」

    「アハハハハ」

    校門をくぐると、私の目と鼻の先で、アイツが笑っているのが見えた。
    途端に、歩く速度を緩める。
  • 31 はちみつ王子 id:i-oRGOnVF0

    2012-06-28(木) 19:04:48 [削除依頼]


    ここまで自分が弱虫だと、気持ちが悪い。

    「紗枝ー!」

    アイツを眺めながら思考を巡らせていると、後ろから肩を叩かれて振り向いた。
    そこには相変わらずの美和が居て、昨日の合コンに来ていた男の子の話をし始めた。

    「あ、そういえばさ、紗枝のこと可愛いって言ってたよ」

    「え? だ、誰が?」

    「皆瀬くんって人。ま、アンタわかんないだろうけどね」

    みなせ……って、誰だ?
    美和の言うとおり、全く顔が浮かばないどころか、どんな人が居たのかも思い出せない。
    私はどれだけアイツのことを、考えて居たんだろう。

    「でもどうせ興味ないでしょ? 例のアイツ一筋だし」

    どこか意味ありげに“例のアイツ”を強調すると、ニヤリと意地悪に口角をあげて笑った。
    私が立ち直って前向きに頑張る、と思い込んでるんだ。
    やっぱり無理な気がするよ。

    「とは言っても、皆瀬くんはアンタのこと気になるみたいだし、アドレス教えといたから。じゃね!」

    「うん、わかっ……えっ!? ちょ、みみ、美和!?」

    美和は驚くべき発言をした後、自分のクラスに逃げるように、そそくさと入っていった。
    追いかけてやろうとした途端、チャイムが鳴ってしまい、私は仕方なく自分の教室に入った。

    なんてことをするんだ。
    覚えておけよ、美和。
  • 32 はちみつ王子 id:i-lRf28Hk/

    2012-07-03(火) 16:04:31 [削除依頼]


    午前の授業はなんとなくやり過ごして、お昼休みを迎えた。
    お弁当を持って美和の教室へ足を運び、彼女が教室から出てくるのを待った。

    「お待たせ! 行こうか」

    「ん」

    私達はいつもの場所、中庭に向かう。
    その途中、今は聞きたくない声が聞こえた。

    「焼きそばパンだろ!」

    「俺クリームパンかな」

    「お前女子かよ!」

    「ギャハハハハ」

    複数の男子の群れに一際笑顔が輝く、いや、輝いてみえるアイツの姿が前方から歩いて来る。
    アイツはまだ私の存在に気づいていない。

    「ねぇ、あれ」

    美和もアイツに気づいたらしく、肘でツンツンと私の腕辺りをついてきた。
    私は、小さく頷いた。

    アイツを見ている限りでは、昨日のことなんか気にしていないような、そんな風に見える。
    無邪気に笑って、友達とじゃれてみたりして。
    きっとこんなにぐるぐる色んな思いを巡らせているのは、私だけなんじゃないかって、そう思う。

    このまま知らんぷりして、通り過ぎたい。
    もしくは、背を向けてどこかへ逃げたかった。

    けれど、このまま逃げたいなんてずっと言うわけにもいかないし。
    どうしたらいいの?
  • 33 はちみつ王子 id:i-4o5cts1/

    2012-07-05(木) 17:01:18 [削除依頼]


    その場に立ち尽くしていたから、アイツに見つかるのも時間の問題だった。
    完全に目が合ってしまったのだ。
    私を見つけて、アイツの顔から笑顔が消える。
    美和の視線を感じていたけれど、アイツから目を逸らせないでいた。


    あぁ、やってしまった。
    話し掛けるべき?
    それとも何も言わずに通り過ぎちゃうか。

    「ねぇ、紗枝」

    「……あ、えっと、うん。どうしよう」

    「は? 何言ってんの! 声掛けなよ」

    思わず心の声がもれてしまい、美和に葛を入れられてしまった。
    ここで話し掛けないなんて、ずるいよね……。

    「おす」

    最初に話し掛けてきたのは、向こうだった。
    胸が跳ね上がる。

    「あ、あ、うん。お、おはよ」

    どんだけ吃っちゃってるの、自分。
    誰から見ても、動揺してんじゃん。

    「じゃあ」

    「……ん」

    アイツは行ってしまった。
    あまりに素っ気なく終わった。
    こんなの会話にもなってない。
    ばかみたい。
    ちょっと期待したんだ。
    少しは態度変わるのかな、って。
    いつものように絡んでくれるんじゃないかって。
    そんな変わるわけないんだね。
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