幸せを、キミと…。33コメント

1 來華☆” id:nbE4IRH/

2012-06-19(火) 13:36:03 [削除依頼]

夜が明けたら
目が覚めたら

…またキミが、笑ってくれてる
…またキミが、隣に居てくれてる

そんな気がして
手を伸ばした…ーーーー。

でも、キミは、もういない。

幼かった、あの頃は幸せだった

いつも一緒で、いつも笑顔で…

永遠を信じ、愛を誓ってた。


キミがいない未来に
……あたしの笑顔は無い。

いくら手を伸ばし
涙を流したとしても

キミの手を握ることはできなくて

あたしはまた、星に願うの。


あの日、キミと見つけた輝く一番星

あたしは今日も一番星を見上げ…
…キミを想うよ。

人生をかけて、あたしたちは
恋に溺れたーーー。


※この作品は現在、他サイトでも公開していますが、來華本人のオリジナル作品です!
  • 14 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:02:18 [削除依頼]



    「あれー?今日蒼空きてないんじゃねぇ?」


    菜子ちゃんの後ろから姿を現した男の子。


    「あ……そうみたい、です」


    どうやら、蒼空を探してるみたい。
    違うクラスだから、名前わからないけど……


    蒼空、友達多いもんなぁ。
    優しいし、明るいから人気者。


    「じゃあさ、蒼空来たら伝えてくんない?」

    「は、はぁ……」

    「“了解”って。必ず伝えてな」


    それだけ言い残し、男の子は帰って行った。


    “了解”

    蒼空、なにかお願いしてたのかな。


    もしかして、昨日蒼空が言おうとしてたことに関係ある、とか…。
    ちょっと考えすぎ?

    でもまぁ、蒼空が来たら伝えればいいんだよね。


    ……思いもしなかっただろう。


    あたしも

    菜子ちゃんも

    あたしに伝言を頼んだ男の子も

    この学校で、誰1人…予想しなかった


    思いたくもない
    考えてくもない


    あたしが、“了解”

    たった1言の伝言も伝えられないなんて…_________。
  • 15 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:03:40 [削除依頼]



    教室のドアが開き、あたしたちの担任が入ってくる。

    いつもの光景なのに、疑問を覚えた。
    今日は、怒鳴らないの……?


    いつもなら、先生は、席についてない人たちがいたら、すごい形相で怒鳴るでしょ?


    そんな些細なことが、あたしには不安で仕方がなかった。

    重たそうに顔を伏せ、先生は小さく吐く。


    「……席に着きなさい」

    みんな、異変や疑問を浮かべたのか、素直に席についた。
    あたしも、フラフラしながら自席に座る。


    こんなの、思い違いかもしれない
    あたしの、考えすぎかもしれない

    蒼空にもう
    会えないかもしれない、なんて……。

    確信なんて
    そんなの持ててない。

    だけど確実に
    あたしの心の中にはモヤがあって

    不安がある。


    先生が暗いのも

    蒼空が今日来てないのも

    あたしの嫌な予感も

    今日見た可笑しな夢も


    ……ただの偶然かもしれない。


    でも、偶然や、運命などの1言2言じゃ、とてもじゃないけど現しちゃいけない気がした。


    パズルのピースが嫌な音をたてて、ピッタリはまった音がした。


    「非常に残念な知らせがある」


    暗いトーンの先生の声。不安は募る一方で、あたしの心臓は得体のしれないなにかではち切れてしまいそうだった。


    イヤ…

    なんでかわからない。
    でも、聞きたくないと思ってしまう…。
  • 16 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:04:13 [削除依頼]



    「このクラスの一ノ瀬蒼空が、昨日亡くなった……」
  • 17 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:05:43 [削除依頼]



    ねぇ…神様
    あたしを苦しめて
    楽しいですか…_______?


    目の前が真っ暗になった


    なにも見えなくて

    ざわつく教室の空気なんて気にならなくて

    近くで聞こえる菜子ちゃんの声にも反応できずにいて


    …なのに、考えだけはちゃんとついて行って
    心だけがおいてけぼり。


    蒼空が死んだ……?


    ねぇ、いつ?
    ねぇ、……なんで?

    そんなの、可笑しいよね……。

    だって蒼空は昨日、言ったんだよ?

    “また明日”って……。

    確かに言ってたじゃんか。


    学校に来れば、会えるって
    蒼空がそういうから、あたしは信じて
    手を離したのに…_______。


    お願い、今からでもいいよ。
    怒らないから…
    絶対、絶対怒らない。

    約束もするよ……。


    だからお願いよ、蒼空


    冗談だって

    騙されたって……

    無邪気な笑顔を見せてよ

    “おはよ”って、手を振ってよ


    女の子に囲まれてても嫉妬しないから

    もう、我がまま言わないから


    隣に居てよ……。


    ガシャンッ…、ドサッ


    「綾花っ!!」


    蒼空、あたし、信じられない。

    これは夢?
    悪夢なの?


    夢なら……早く冷めて

    あたしが起きたらまた、お願い、笑顔を見せて……。


    あたしは、涙を流しながら意識を手放した。
  • 18 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:06:56 [削除依頼]



    目が覚めると、見なれたクリーム色の空。


    ……違う、空じゃない。
    ここは、そう


    「起きたわね」

    「綾花、大丈夫!?」


    保健室の硬いベットの上だった。


    夢から、覚めたかな……あたし。
    もう、悪夢は見たくないよ。


    「…菜子ちゃん、蒼空は……?」


    お願い、いるよって

    授業受けてるよって


    ……言って。


    あたしの願いもむなしく、菜子ちゃんは首を静かに横に振った。
    ……夢じゃなかった。


    さっき起きたことも
    蒼空が死んだということも


    「……ホントなんだ」

    「綾花……」


    夢なんかじゃない……
    これは、夢じゃない。


    だってその証拠に、ほら…心が空っぽなの。

    穴が開いたみたいに
    この穴の正体は、蒼空…きっとあなたね……。


    __蒼空は死んだんだ__


    だけど、夢であってほしかった。


    あたしは、未来を、信じてた
    蒼空と過ごす、明るく、輝く未来を……


    でも、でも…
    …今は、信じることさえもできない。


    蒼空……あなたが、いないから。

    顔をおおった指の間を、大粒の冷たい涙が流れた。


    「あのね、明後日、蒼空くんのお通夜なんだって……。綾花も行く、よね?」


    菜子ちゃんはあたしの顔色を伺っているようだった。
    いつもなら、少しくらい哀しくたって笑顔で返せる。


    でも今は、そんな余裕も、無いくらいに哀しみに充ち溢れている。
    泣いてる感覚なんて無い。

    ただ、知らぬ間に、ひたすら頬に涙が走ってる。
  • 19 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:08:20 [削除依頼]



    蒼空の……お通夜……?


    ホントは行きたくない
    ……怖いから。


    冷たく、目を覚まさない蒼空を見たらあたしはきっと、立ち直れなくなりそうだから。
    だけど、行かなきゃいけない。


    蒼空が
    好きだから……

    まだ、
    理解しきれてないから……


    この目で

    この手で

    直接確かめなきゃ……納得いかないの。


    だって、信じられないでしょう?


    つい昨日まで、愛し合って、愛を囁き合って

    “明日“という最も近い未来を約束してたんだから。

    なんで急にいなくなったの?


    ねぇっ…蒼空…
    どうしてなの…_______?


    お願い
    声を、優しい声を、


    聞かせてよーーー。
  • 20 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:09:31 [削除依頼]



    「……そう。残念ね……」

    「うん……」

    「気をつけてね、行ってらっしゃい」


    日曜日…、あたしは制服を身にまとい、家を出た。


    足が重い

    鼓動がやけに早い

    でも、涙はでない……


    なんで…
    …どうしてあたしは、制服を着ているんだろう


    なんで…
    …どうしてあたしは、学校と逆の方向へ歩くんだろう


    ねぇ、蒼空…今日は日曜日
    デートの日だよ…?


    付き合い始めた時、約束したじゃん。
    “毎週日曜日は必ずデートしよう”って……。


    今までこの約束を忘れることなんてなかったじゃん。
    なんで、朝迎えに来てくれなかったの?


    あ……そっか。
    蒼空って朝弱いんだっけ。

    寝坊しちゃってるのかも…、なら、あたしが迎えに行ってあげなきゃ…。


    ピンポーン…ピンポーン…


    「どう…してぇ……?」


    何度チャイムを鳴らしても、蒼空のお母さんは出てきてくれない。


    …やっぱり蒼空は
    お空にいるの…_______?


    何度嘘だと願っても
    夢にはなってくれないの……?


    自分が惨めで
    情けなくて………


    あたしは昨日菜子ちゃんに言われた道を1人で歩いた。
  • 21 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:10:27 [削除依頼]



    菜子ちゃんに「一緒に行く?」そう、聞かれたけど、あたしは1人で行くと答えた。

    きっと菜子ちゃんと行ったら、弱音を吐いて、逃げ出してしまいそうだったから。


    少しは……変わるかもしれない

    蒼空と会えば
    実感が湧くかもしれない


    もう、あなたは、いない……

    あたしは、気づけるかもしれない。


    だから、今だけは、信じさせて
    あなたが、生きていると…______。


    あなたの元へ行くまで、あたしは涙が流せなかった。


    「綾花ちゃん………」

    「お久しぶりです。………蒼空ママ」


    入口で立つあたしを、泣きながら出迎えてくれた。


    蒼空ママ…痩せた。
    っていうより、やつれた……。


    蒼空ママは40代とは思えないくらいキレイで、蒼空はママ似。


    いつも笑顔な蒼空ママの面影はどこにもない。
    ……やつれないほうが、可笑しいか。


    蒼空は、大切な1人息子だもん。
    あたしにとっても、最愛の人。


    蒼空ママ…
    蒼空は、生きてますか……?
  • 22 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:11:56 [削除依頼]



    「綾花ちゃんも蒼空の顔、見てってね。あの子、それが望みだと思うから」


    蒼空ママは切なそうに微笑み、あたしを案内してくれた。


    白と黒に装飾された会場
    祭壇の菊の花々が置かれた真ん中には、微笑む蒼空の遺影。


    優しく、綺麗に、すべてを優しく包み込んでくれるような、あたしが好きになったあなたの笑顔がそこにあった。


    「蒼空……」

    「綾花ちゃん、会ってあげて?」

    「……はい」


    1歩1歩、ゆっくり近づくあたしと蒼空の距離。


    ホントに、蒼空はここにいるの……?

    静かに棺の小さな窓が開く。


    「っ……、蒼空………」


    覗き込むと、真っ白な顔をして目を瞑る、息をしてない、もう目覚めることのない蒼空が眠っていた。


    「久しぶり……蒼空………」


    蒼空と会えなくなって、3日も経っていた。

    たった3日なのに、蒼空の顔が妙に懐かしい。


    「手、握ってあげてくれるかしら……」

    「いいんですか?」

    「えぇ。もちろんよ……。」


    蒼空ママは、蒼空とそっくりの優しい笑顔で、無理に微笑んだ。


    「蒼空……。綾花だよ……」


    今日、デートの日だよ。
    起きて……ねぇ、起きてよ……。


    冷たくなった手を握りしめる。

    どんなに強く力を加えても、あたしがその手を離した瞬間、スルリと抜ける手。


    もう……動かない

    蒼空はもう……
    あたしの名前を呼ばない


    「お願い……っ、蒼空ぁ……もう1度、笑ってよ……っ!」

    「綾花ちゃん……」

    「蒼空のバカ、バカバカバカッ……。また明日って……言ったよね?」

    「もうやめて、綾花ちゃんっ……」


    蒼空ママが泣いてる。


    声が震えてる……
    分かってるのに、やめられない。


    ここに来てやっと


    蒼空がもういないって

    もう会えないって

    もう笑顔が見れないって

    もう抱きしめられないって

    実感させられて、涙が溢れて止まらない。
  • 23 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:13:13 [削除依頼]



    「そうだっ、蒼空の友達がね、了解って言ってたよ。あたし……伝えたからね……?」

    「……」


    蒼空から、返事が返ってくるはずがない。
    なのに、なのに……


    「蒼空……そ…ら…」


    いくら呼びかけても
    話しかけても

    帰ってこないのに。


    話しかけるたび

    蒼空の名前を呼ぶたび

    心が震えるのに……


    止まらない。


    なんで、なんで……
    蒼空は死んだの?


    なんでなんで、なん…で……
    蒼空は死ななきゃいけなかったの?


    あの日、意地でも聞いとくんだった…
    蒼空が言いじらした言葉を。


    そうすれば、この後悔も
    …少しは和らいだのかもしれない……。


    了解って、どんな意味が込められているの?


    あの日、もしあたしがあなたの手を離さなければ、あなたは死なずに済んでた?

    今もずっと、あたしの隣で笑ってくれてた……?


    我がままだと思われてもいい
    そばにいるべきだった……


    あたしの悪い予感は
    当たっちゃうんだから……_______。


    あたし、過去に戻りたい。


    もし、戻ることができたならあたしは

    きっと
    ずっとあなたの手を離さないのに……。
  • 24 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:14:20 [削除依頼]



    「綾花ちゃん、ちょっと外でましょう」


    あたしは蒼空ママに腕を引かれ、外に出る


    冬が訪れるこの季節。
    冷たい風が肌を刺激した。


    蒼空ママが重たそうに口を開いた。


    「蒼空はあなたの事がホントに好きだった。あの子、あなたの事、心から愛してたわ………」


    蒼空……

    泣きながら話す蒼空ママを見ることなんてできず、俯いた


    「蒼空はね、交通事故にあったの。この交通事故で蒼空の他に2人の人が亡くなってるの。飲酒運転だったわ……。反対車線を走ってた車が、突っ込んできたそうよ」


    蒼空ママの言葉に、ドクンッと胸が跳ねる。


    交通事故……

    蒼空…あなたは、目の前に迫りくる車に、どんな恐怖を覚えましたか…?

    あなたの最後の想い人は誰でしたか…?


    怖かったよね…

    痛かったよね…

    辛かったよね…


    ごめんなさい…蒼空…


    「あの子、自分の命が尽きる直前まで“綾花…”ってあなたの名前を呼んでたわよ。あの子…蒼空のこと、どうか忘れないであげてね」

    「……忘れられるはず、ありませんよ」


    だって、あなたは


    あたしの初恋の人……

    初めて付き合った人

    初めて手を繋いだ人

    初めてキスした人

    初めてあたしを、愛してくれた人……。


    あたしとあなたじゃ、思い出が多すぎるの。

    だから、忘れるなんて、
    不可能なんだ…_______。
  • 25 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:15:48 [削除依頼]



    あたしは蒼空ママにお辞儀をして、その場から立ち去る。

    もう、限界だった。


    あれ以上、蒼空が目覚めないあの場所にいたら
    あたしが壊れちゃいそうで怖かったんだ。

    どこにも行く当てがない。家になんて帰る気もしない。
    ボーっと意識を飛ばしながら歩いていた。


    「…ここ……」


    フラッと立ち寄ったのは、3日前蒼空と一緒に食べたクレープのお店。


    戻りたい…
    戻りたいよ……

    また、クレープを一緒に買いたい、食べたい。


    涙が零れる
    拭う気力なんて、もはや残ってない。


    まるで抜け殻のように、ドサッとベンチに倒れこむ。


    長い髪が冬の冷たい風になびく。
    乾いた涙の上を、また熱い涙が通る。


    イヤ…
    もう、イヤよ……。


    罪悪感
    劣等感

    限りなく降り注がれる、罪の意識。


    あの日、蒼空の手を離さなければ…


    そんなことばかりが、脳を行ったり来たり。


    「綾花ちゃん、だよね…」


    外が暗くなった頃、あたしは1人の男の人に話しかけられた。


    「あ…」


    それは、あたしに伝言を頼んだ男の人だった。

    なんて言ったらいいのか分からず、あたしはただ頷く。
  • 26 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:18:22 [削除依頼]



    「俺、蒼空の友達なんだけど…“了解”って意味、分かる?」


    男の人はあたしの隣に座ると、話し出した。


    分からない…
    知らないし、今はもう知ることさえできない。


    「……分か…りません」

    「もう少しで記念日だっただろ?」

    「はい…」

    「それで蒼空が綾花ちゃんを驚かせたいって、俺らに頼んでたんだよ。それの意味が“了解”」


    なんとも言えない
    なんにも例えられない、自分への怒り。


    「あいつは、蒼空は……綾花ちゃんを本気で愛してたよ。
    それだけは俺が言える。蒼空は綾花ちゃんが自分を責めることを望んでいないよ。

    あいつは、キミの笑顔が好きだって、何度も言っていた。」

    「……っ」


    唇を噛み締めても

    奥歯をグッと噛んでも

    溢れ出すのは“愛おしい”感情だけ


    後悔だけが、残るんだ…。


    逢いたい
    逢いたい…よぉ……。


    今すぐあなたの温もりに触れたい。


    抱きしめてほしいーーー。
  • 27 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 14:19:17 [削除依頼]



    _____……高校1年生の冬


    あたしは大好きな恋人を失った。


    それはあまりに突然で


    あたしの心は、ついていけたようで
    …全くついて行ってなかった。


    蒼空と会えなくなって、もう、3か月が経つ。


    時の流れは早い。
    ものすごいスピードで進んでく。


    だけど…
    時間は心の傷を癒してなどくれない。


    あたしは蒼空を失ったあの日から
    笑顔を失った…_______。


    そして
    心に傷を負ったまま季節は春へと、移り変わった。
  • 28 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 19:29:48 [削除依頼]
    “陸…side…”


    桜が空に舞い、過ごしやすい季節、春。
    俺は久しぶりに教室の扉に手をかけた。


    「あーー!!やっときた!!!」


    俺が入るなり、クラスは一気にざわめき立つ。

    新しいクラス、知らねぇ顔ばっか……
    っつか、うっせーよ


    学校に久しぶりにいただけでこんな騒がれる俺。


    安西陸
    (あんざい りく)


    学校は気が向けば来て、遅刻早退当たり前。
    喧嘩上等、負けず嫌いな俺は、いわゆる問題児。


    「おま……同じクラスかよ」

    「ひっでー!お前がサボってた時ノート写してやっただろーがっ!」

    「はいはい。ありがとうございました」

    「心がこもってねぇっ!!!」

    「黙れよ、龍」


    冷たく言い放し、金色の髪を揺らしながら適当に席に座った


    「あの、そこ……あたしの席です」


    後ろから聞こえた小さい声


    「あ゛?」


    振り返って驚いた。


    俺に話しかけてきたのは


    無表情で

    茶色の瞳は濁っていて


    こいつ…


    一瞬で
    目を奪われた…______
  • 29 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 19:30:42 [削除依頼]



    こいつ、確か……
    蒼空の女だ


    「どいてくれませんか?」


    冷静で

    冷酷で

    こいつ、死んでる……
    心がもう、死んでる


    蒼空を失った悲しみが
    こいつを、死なせたのか……


    「…あぁ」


    俺が席を立つと、女は頭を少し下げ、席に座った。


    座ってもなお、女は無表情で
    どこか1点だけを、見つめてた。


    誰かと話すわけでもなく

    女はどこか哀しげな瞳で、空の彼方を


    …見つめてた。


    「龍、ちょっと……」


    俺は龍を廊下に呼びだした。
  • 30 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 19:31:34 [削除依頼]



    東野龍
    (ひがしの りゅう)

    俺のダチで、ヘタレでチキン


    でもまぁ、意外に頼りがいのある、いい奴

    俺が唯一信じてる、存在


    「あいつの名前知ってるか?」

    「あいつって……綾花ちゃんのことか?」

    「俺と話した女だよ」

    「あぁ、それ綾花ちゃん。蒼空の彼女だった」


    高藤綾花


    蒼空の彼女で、昔はよく笑う、素直な性格。
    愛らしい顔立ちとモデル並みのスタイルを持っていて、モテるんだ。


    俺が学校に来ていない間、蒼空が死んだ。
    それと同時に、綾花の心も……死んでしまった。


    あの…小さな体で

    すべての出来事を背負い込んでるのか…。


    「高藤……綾花……」


    笑顔を、取り戻してやりたい。


    あんな無表情で生きていても、辛いだろ。


    蒼空の代わりになりたい

    そんなこと思ってない

    蒼空の代わりになれるとも、思ってない。


    ただ……あいつの笑顔をみたい
    単純にそう、思ったんだ…____。
  • 31 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 19:33:17 [削除依頼]
    “綾花…side…”


    新しいクラス。
    あたしの席に、知らない男の人が座っていた。


    「あの、そこ……あたしの席です」


    ガラの悪い、金髪の人だった。

    怖いものなんて
    ……もうなにもない。


    あの日、冷たい蒼空の手を握った時ほどの恐怖は

    計り知れない。


    あれほどの恐怖や
    不安を超えるものなんてない。


    席について、あたしは空を見つめた。


    蒼空……あなたがこの先にいるんだ。


    周りを見渡したって、意味がない。


    このクラスのどこを見渡しても
    この広い世界のどこを見ても……


    あたしが探してる人は見つからない。

    ついこの間までは、同じクラスがいいねって、笑いあってたのに。


    今ではそんなこと…
    夢のまた夢で。


    その夢さえも、交わすあなたがいない。


    寂しい
    辛い

    哀しい…よ……。
  • 32 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 19:35:18 [削除依頼]



    蒼空…_________


    あたし、まだ抜けられない

    この悪夢から、抜けられない…


    夢も希望も
    好きな人も、失っちゃったよ……


    あなたはあたしの光だった

    生きる希望だった


    あなたと結婚することが

    幸せに生きることが、あたしの夢だった


    あたしが愛する人は
    一緒にいたいと願う人は

    あなただけだった。


    一気に全部失って
    どうやって生きていけって言うの……?


    めんどくさいの

    あなたのいないこの世界で
    あたしはなんで…存在するの?


    あの温もりを

    あの手を

    あたしは離した……


    あなたとの未来を

    あなたの言葉を

    …強く、強く信じて…


    離したくはなかった

    失いたくもなかった


    永遠の別れなど…
    あたしたちには程遠くて…

    考えたこともなかった。


    あたしは生きていけない。


    無理…よ…。
    こんな孤独、考えたこともなかった。


    蒼空……

    あなたがいない、この世界で……
    生きていくことなんてあたしにはできない。
  • 33 來華☆” id:nbE4IRH/

    2012-06-19(火) 19:37:20 [削除依頼]



    蒼空はあたしの酸素
    蒼空はあたしの太陽


    蒼空を失ったら…
    ?あたし?から蒼空をうばわれたら


    …生きていけないの。


    だから……あたしは笑えなくて。
    生きてる心地なんてしない


    ただ、朝を迎えたら起きて
    夜を迎えたら寝て

    ……ただ、生きてる。


    感情なんてない
    表情だって

    あなたがいないのに
    笑う必要なんて、ないでしょう……?


    瞳に映るもの
    明日、失っても可笑しくない。


    今、隣で笑う人
    今日、失っても不思議じゃない。


    あたしは……あまりに突然だった。


    目をそむけたくても

    過去に戻りたい
    もう1度会いたい

    いくら願ったって……
    会えないのに、叶わないのに。


    叶うはずのないことばかり願ってる。


    あたしは弱いね。

    蒼空は交通事故で亡くなった。

    それ以上、聞かなかった
    ……聞けなかった。


    蒼空の最期を、知ることが怖かった。
    蒼空は最期まで、あたしを想っていてくれた。


    それだけで、十分
    たくさん胸が、痛かったから…。


    ねぇ、蒼空…?

    ズルイ……
    あなたは、ズルイ。

    あたしだって、伝えたかった。


    “愛してる…_____”

    たった1言の愛の言葉を……。
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