秘密の夜14コメント

1 X id:uxPc7c..

2012-06-15(金) 23:39:24 [削除依頼]
時は江戸

歓楽街花屋敷に住む、花魁たちが織り成す物語
  • 2 X id:uxPc7c..

    2012-06-15(金) 23:54:58 [削除依頼]
    吉原の花魁、葵(あおい)の一日は、夜に始まる。

    今日も、夕方に馴染みの客のひとり、鷹村と名乗る武士が葵の座敷を訪れた。
    ここ吉原は、日常とかけ離れた空間。
    男たちは素性を明かさぬまま、遊女を抱きに来る。

    鷹村は幕府の高官である。
    徳川が天下を取ってからいまだ数年、幕府には雑務が多く仕事漬けの日々である。
    無論、妻子はいない。
  • 3 X id:SCu.Xdw1

    2012-06-17(日) 17:45:01 [削除依頼]
    葵にとって鷹村は、一風変わった客だった。

    鷹村は、大体夜通しで碁を打ちにやってくる。

    今日もそのつもりらしい。

    座敷に入るなりいそいそと、碁盤を運び出して自分と葵の間に据え置いた。

    「葵どの・・・今宵も共に囲碁を打とうではありませんか」

    高い金子を払わねば、入場を許されない遊郭の座敷に、何故碁を打ちに来るのであろう。

    「お久しゅう、鷹村様・・・」

    いつも通り、一礼。

    「ここのところ、お顔を拝見できず、葵は寂しゅうございました」

    話し相手になること以外、何も求めない鷹村と逢うことは、葵にとっては一種の安らぎともなっていて、実は楽しみにしているのである。

    「最近は徹夜の激務が一週間ほど続いて、いとまがなかったのですよ。まあお陰で、禄を弾んで頂いてここにくることが出来た次第です。」

    「碁の相手など、どこにでもおられるでしょうに・・・わざわざこんな辺境まで来られるとは鷹村様も変わっておられる」」
  • 4 X id:SCu.Xdw1

    2012-06-17(日) 18:00:37 [削除依頼]
    葵の呟きに、鷹村は笑う。

    「いいえ。誰もあなたには勝りません」

    確かに葵は、吉原遊女の中で一番、碁が強い。しかし、幕僚(と鷹村は葵に明言していないが)なら、碁の名人などたくさんいるであろう。
    そんな思いを読んだかのように、鷹村は言葉を続ける。

    「私にとって、碁は道楽なのです。自分と互角の腕か、それより少し上くらいの方と打ち合うのが一番面白い。その点でも、あなたは、私にとって最高の相手なのですよ

    かく言う鷹村、実は大分手加減しているのではないかと葵は踏んでいる。

    「私の碁を買って頂けるのは大変うれしゅうございますが、鷹村様の本当の実力ならば名人と謳われてもよいかと存じますが」

    「別に碁の名声を得たいわけはありませぬので。そんなことより、今宵も話し相手になってくださらぬか、葵どの?」
  • 5 X id:SCu.Xdw1

    2012-06-17(日) 18:55:59 [削除依頼]
    わざわざ変なことを訊く。
    「私はそのためにここにいるのですよ、鷹村様。」

    その言葉に、鷹村は寂しそうな笑みを浮かべた。

    「葵、と呼んでも、いいかな・・・」

    敬語を崩したぎこちない問いに、葵は少しく驚いた。

    「はい、もちろん・・・」

    鷹村の訪問時にはめったにない、暫くの沈黙がその場を支配した。
    しばらくして、鷹村は言う。

    「なんだか、今日は語を打つ気がうせてしまったよ」

    そういいながら、鷹村は片手で白い碁石を弄んだ。

    「葵は私のことを、どれくらい知っているんですか」

    指先で、器用に碁石をいくつも碁盤の上に積み重ねながら、鷹村は尋ねた。

    「・・・唐突に、いかがされましたか、鷹村様」

    「さあ。どうしたんだろう。あなたに、私のことを、知って欲しくなった。」

    「鷹村様がお話くださらないから、あまり存じ上げません。碁が上手で飄々とした幕府のお役人様であるというくらい。」

    ふふ、と鷹村は笑う。

    「そうだね・・・今日が私の誕生日ってことも、言ってなかった」

    「あら・・・御年いくつになられました」

    「うん、二十四になった。・・・老けて見えるかい?」

    「鷹村様の貫禄がそうさせるのです」

    はは、と鷹村は笑声を漏らした

    「鷹村様、ではなくて。名で呼んでほしい」

    「ではどうぞ下のお名前をお明かしくださいな」

    「あれ?お教えしていなかったか。私は、光秀と申します。」
  • 6 X id:dj7fFcD/

    2012-06-18(月) 22:20:45 [削除依頼]
    「では、光秀、様、とお呼びしますよ」

    「うむ」

    嬉しさを隠そうともせず、素朴に鷹村は笑う。

    こういう笑い方は、心の純朴さを失っていない人間特有のものだと、葵は知っていた。こちらの思いを汲もうともせずに着物に手を掛けてくる輩どもは、卑しい笑実しか浮かべられないのだ。
    覚えず、葵は口にしていた。
    「本当に、光秀様は変わっておられる。そういうところ、わたくしは・・・お慕いしておりますのよ」

    「そうですか?・・・睦言はあなたにとっては言いなれたものでしょうが、女人に縁のない私にとっては慣れぬもの。そういうことを仰ると、本気にいたしますよ」

    鷹村は冗談交じりに言うと、葵に返答の隙を与えずに言葉を続けた。

    「ねえ、葵。―今日は、ここで寝ていってもいいですか。徹夜した疲れが、出たようで」

    もう頭を首で支えるのもやっとだ、と呟いた瞬間、鷹村は碁盤に突っ伏した。
  • 7 X id:dj7fFcD/

    2012-06-18(月) 22:28:06 [削除依頼]
    「ちょっと、鷹・・・光秀様!横になってくださいよ!」

    いきなり寝落ちしかけた鷹村に呆れつつ、葵ははたと困った。
    ここは遊郭。
    ちゃんとした布団がない。
    なぜなら、時代は江戸、女の着物が十分に布団の役割を果たしていたからだ。
  • 8 梨乃愛 id:HtZwykd1

    2012-06-18(月) 22:42:33 [削除依頼]
    なにこの糞小説ww
    まぢはくんだけどー
  • 9 X id:pWlrsQp.

    2012-06-23(土) 23:55:28 [削除依頼]
    コメントどうもありがとう
    吐く、くらい漢字変換なさいませ
    書けないにしても、自動変換できるんだから
  • 10 X id:YiuqfCY/

    2012-06-24(日) 00:24:19 [削除依頼]
    揺さ振ると鷹村は簡単に覚醒した。
    「・・・ああ、ここは拙宅ではありませんでした、失礼。ええ、今日は話を聴いてもらいに来たのだった」
    「はあ・・・」
    なにか、話があるらしい。
    「あの。座布団もらえます?腰が痛い」

    不都合なことに、この部屋には何もない。
    畳・障子・囲碁版・碁石・自分たちだけ。

    仕方がないので、葵は立ち上がった。
    「すみません。ちょっと、頼んで運んでもらうよう頼みましょう・・・あったらいいのですが。」
    「・・・?」
    別途料金がかかりますが。
    と葵は心のうちで呟いた。
  • 11 X id:YiuqfCY/

    2012-06-24(日) 01:30:03 [削除依頼]
    「ああ、そのような手間がかかるなら、よいのです。お気になさらず。」
    鷹村は胡坐をかくと、壁に寄りかかった。
    大きく溜息をついて、言いたくなさそうに口にする。

    「実は、私は幕府の高官に・・・迫られているんだ。うまくかわす方法を、一緒に考えてくれ」


    「・・・・・・・・・は?」


    「ほら、私は幕府の政務官だろう? 私に媚びて少しでも多くの金を回してもらおうとする輩が跋扈しているんだよ」

    「そうだったんですか。で?」

    「うん。で、私が無視していたら、私の出世に何役も買ってくださった大臣がね、」
    物憂げに鷹村は溜息をつく。
    「婿入りさせてやる替わりに、息子を登用しろと脅すんだ」

    「婿入り・・・ですか。ご結婚が嫌なら、お断りになられては?」

    突然つげられた話に、葵は動揺した。
    鷹村が結婚するかしないか、それは葵にはどうしようもないこと。
    ただ、彼女は、鷹村が好きだった。だから動揺しているのだった。
  • 12 X id:YiuqfCY/

    2012-06-24(日) 01:41:02 [削除依頼]
    「いや、そうもいかないんだよ。武士というのは全く不都合。縁談を蹴ったら、その家柄を馬鹿にしたと取られる。特に相手が私にとっての崎本様のような恩人だと、いささか問題があるのですよ。」
    少し苦しそうに、鷹村はこぼした。

    「・・・恩知らずだと、叩かれるのですね・・・」

    「うむ。それに加え、崎本様のご子息というのがまた、ちゃらんぽらんで。」

    「して、どのような方なのですか」

    「酒乱のごろつきだが、剣の腕では私と同等。認めたくはないが。剣客崎本涼輔と自ら名のり、城下を牛耳っていると聞く。・・・まあ今は、さすがに父によって制裁を受けているらしい。」
  • 13 青ミント id:COvMMoO1

    2012-06-24(日) 17:12:00 [削除依頼]
    Xさん、おもしろいですね、この小説!!
    これからちょくちょく読みに来ます。
  • 14 深咲 id:/s1wsxT.

    2012-06-24(日) 17:23:16 [削除依頼]
    こ、これ……ハマる、ハマります!

    頑張ってくださ〜い!
    毎日読み続けますぅ〜(*>∀<*)
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