哀れな傀儡と、死霊傀儡師-ネクロマンサー-14コメント

1 初音 id:COUZk/C/

2012-06-15(金) 09:18:22 [削除依頼]


血と臭気と包帯に塗れ、少女は朽ちていく
  • 2 初音 id:COUZk/C/

    2012-06-15(金) 09:46:30 [削除依頼]

    彼女には、「感情」というものが存在していなかった。
    それが何でかはわからない。でも、「つまりはそういうことなのだろう」。本来、人間が感じる五感という神経を刺激されても彼女にとっては全て他人事の様に思え、感情が確実に欠落していたのだ。でも、だからといって感情が全て欠落しているようではない、と彼女の父は後後に気付くことになる。
    それの最初のキッカケとなったのが彼女の誕生日だった。何をあげても喜ぶ、という表現を一切しないから彼は当てずっぽうで街中で人気なブランドの大きなテディベアーを買って、彼女にプレゼントした。こんなことをしても無駄だろうか、と思っていた父の前で彼女はその縫いぐるみをぎゅ、と握り締める仕草を見せた。その後も手をブラブラさせたり、その縫いぐるみと以前に買い与えた女の子ものの人形でお人形遊びを始めている様子から、彼女が「無感情ではない」ということを知った彼は色々な作戦を練り、彼女に実行した。
  • 3 初音 id:COUZk/C/

    2012-06-15(金) 09:47:31 [削除依頼]
    すると、どの努力があってか、彼女に「喜」という感情が生まれたのだ。
    いや、もしかしたら元々持ち合わせていたのかも知れない、それが「目覚めた」と言った方が正しいのだろうか。そして、人間として必要な感情・「喜・怒・哀・楽」を全て手に入れた彼女は、以前とは見違える程の明るい、人懐っこい少女へと変貌を遂げた。
    そうなると、「以前の彼女のあの無気力な感じは何だったのだろうか」と父親が不思議に思うのは、変ではない。
    それがあまりにも気になって仕方が無かった父親は、彼女に尋ねた。「何故お前は、以前まで空っぽのような状態だったんだい?」すると、少女は答える。「それは、『私』という感情を『彼ら』に分け与えていたからよ」
    そんな彼女の返答に、首を傾げた。『彼ら』とは、一体何なのだろうか。そして、『分け与える』とは、一体どういうことなのだろうか。その状況を詳しく見せてくれないか、と尋ねた父親の頼みを彼女はすんなりと受け入れ、自分の部屋へと招き入れた。実は、父親はあまり娘の部屋に立ち入りしたことがない。母親がいないから詳しいことはわからないが、父親が娘の部屋に容易に入るのもイカンだろう、と判断していた彼は入ることを戸惑っていたのだ。
    そのことを彼女に話すと、「そんなこと、気にしなくて良いのに」と苦笑を漏らす少女。

    そして、解き放たれた扉の向こう側に広がる景色を前にし、父親は驚きを隠せざるを得ないのだった……。


    Episode1   謎の美少女


    新入生は、謎多き美少女。
    そう話を聞かされていた浅葱 紺(あさぎ こん)はそんな彼女の登校を待ち遠しにしていた。別に美少女だからとか、そういう部分が気になるのではなくて、その「謎」の部分が気になっていたのだ。
    元々、探究心に掛けている彼はこの学園内で一番の情報通とも言われており、それで裏では稼いでいる……という噂もあるみたいだが、信憑性は微妙なところのようだ。

    「よぉ、紺っ!」
    「うおっ! ……な、何だ。奈緒(なお)か。驚かんなよなーっ」
    「悪い悪い、はっはっは!」

    明らかに反省の色無しの対応で、カッカッカッという笑いと共に紺の背中を乱暴に叩く奈緒。
  • 4 初音 id:COUZk/C/

    2012-06-15(金) 10:06:06 [削除依頼]

    「悪い、トイレ行ってくる」
    「え、もうそろそろ授業始まるぜ?」
    「数秒で済ませれば良い話だろ。それに、今日は転校生が来る日だ。HRが長くなっている、ということだから多少遅れても何の問題もないだろ」
    「まぁ、でも早く帰るようになーっ」
    「ああ」

    友人の奈緒に断りを入れ、その場から立ち去る紺。
    すると、その拍子に誰かとぶつかったのか、その場で何者かと衝突してしまう。「きゃあ!」という甲高い声からして、恐らくは女の子だろう。尻餅付いた尻を撫でつつ、顔を見上げると――――そこには、外国人形並みに綺麗な顔立ちをした、金髪碧眼の少女が座り込んでいた。
    あまりにも整った顔立ちの為、紺は「綺麗」と思うよりも前に、その美少女に「恐怖」を感じていた。まるで人間とは掛け離れた、別次元のような人間の感覚を。


    「大丈夫ですか?」

    しなやかな動きで立ち上がり、地べたに腰を付いている紺へと手を差し出す金髪の美少女。
    一瞬、その差し出された手を振り払おうとも思ったものの、好意を断るのも失礼だな、と察知した紺は素直にその申し出を受け取ることにした。そして、華奢な見た目とは反した筋肉力。紺が立ち上がろうとするよりも前に、その美少女は紺の腕を力一杯引き上げた。
    そんなギャップとの差に紺が呆然としていると、ふと、何を思い付いたのか、ふ、と眼を細める美少女。

    「廊下は、前を見て歩くものですよ?」

    長い髪を後ろに掻き分け、微笑んで言う美少女。

    「あ、ああ……すまない」
    「とはいえ、ぼーっとしていたのは私の方もなんですけどね。転入初日ということもあり、緊張していたんですよ」
    「……転入?」

    呟いた後、ハッと思い出す紺。――――例の転校生とは、コイツのことだったのか。確かに美人ではある……が、何でだろうか。得体の知れないものを見ているような、この感覚は。
    だが、そんな態度を表面上に出しては相手に失礼、ということを予め了承していた紺は笑顔を取り繕い、「ああ」とわざとらしく相槌を打つ。

    「担任が言っていた、転校生ってアンタのことか?」
    「あ、やっぱり耳にされておりましたか。ということは、貴方様は私と同じクラスメイトになられる方……という解釈で宜しいでしょうか?」
    「ああ、宜しいと思うぜ」
    「でしたら、誠にお手数かと思われますが、教室へと私を案内して頂いてはくれないでしょうか? 本当に、お手数で無ければ……ですが」
    「ああ、それぐらいならお安い御用だぜ。どうせ俺もトイレ行った後に教室戻る予定だし、数秒だけで良い。俺のこと、待っていてくれないか?」
    「承知しました」
  • 5 初音 id:COUZk/C/

    2012-06-15(金) 20:35:26 [削除依頼]

    「おらおら、お前ら席に付け」

    黒板の前を駆け回り、担当教師の前を阻んだ生徒を足蹴にする担任。
    そんな彼の登場で授業が始まる、ということを今更察したらしい生徒達は颯爽とした足取りで自分の席へと着席していく。その流れに身を任せるかのように何ともない表情で自分の席へと着席する紺。そんな紺の目の先には金髪の美少女が微笑んでおり、静静とした様子でぺこり、と一例してみせる。
    ―――可愛いことには可愛いんだが……あまりにも「完璧」過ぎて、気持ち悪いんだよなぁ……。

    ドアの向こう側で自分が呼ばれるのを心待ちにしている美少女を尻目に、そんなことをぼぉっと考える紺。

    「なぁなぁ、転校生ってどんな子だと思う? 紺」
    「……俺、さっきまでその噂の転校生とやらと一緒にいたぞ」
    「マジでっ……!」
    「安西、五月蝿いぞ。授業を邪魔すんのであればテメエをそのまま校庭の池へと叩き落とすが良いか?」
    「それだけはご勘弁下さい。マジでお願いします」
    「えーっ、お前ら静かにしろぉ」

    パンパン、と大げさに手を叩く担当教師。

    「今日は昨日、予告した通り転校生を紹介する。以前までは都心の方で暮らしていたようだが、ある諸事情の為、こっちの方へと越してくることになったそうだ。こんな乾き切ったおっちゃんでも『可愛い』と思うぐらいだから、可愛いんじゃねえの? ……はいはい、次から喋ったヤツ、校長室でお説教、一時間の刑な。あの人はどうでも良いことを語り出すからなー、精神的にキツい、なんてもんじゃねえぜ? ま、そんな冗談はさておき、だ。お前らのお待ちかねの転校生を紹介することにする。……入れ」
    「失礼します」

    今にも朽ちてしまいそうな、透明感のある声音。
    そんな声が呟かれると同時にドアは静かに開かれ、綺麗な長髪を軽やかに揺らし、微笑む少女が静静と入る。すると、しん……という静寂が辺りを支配した。今までのどよめきは一体、何とやら。目の前に現れた少女があまりにも綺麗な人物だった為、周りの人間たちはどよめくよりも前に支配されていた。彼女の、存在感というものに。ジロジロ見られるのが照れくさいのか、ハミカミ笑いを浮かべる少女の姿は一般女子のような印象を感じられた。でも、その当たり前の仕草さえも紺によっては「違和感」にしか感じ取れなかったのだが。

    「東京都から越してきた、桜坂 のの(さくらざか のの)さんだ。お前ら、仲良くしてやってくれ」
    「皆さん始めまして、桜坂 ののと申します。色々と世間知らずな部分もあるかと思われますが、どうぞ、宜しくお願いします」
    「……ん? 何だ、お前ら。さっきまでの元気は何処に行った? 転校生が来た時ぐらい、騒いでくれたって構わないんだぜ? ああ、まぁ、確かにコイツは息をするのも忘れるくらいに美人だけどな」
    「先生はお世辞がお上手ですね」
    「俺はお世辞が言えるほど器用な人間でもねぇんだが……まぁ、良い。何かこの転校生に質問があるんだったら、休み時間にしてくれや。とりあえず、出席を取る。……あ、桜坂。お前の席はアイツの隣な。わかんねえことは全部アイツに聞いてくれや」
    「え、俺?」

    あまりにも聞き流して耳にしていた為、ぼけっとしていた紺。そんな紺に「そうだ、お前だ」と指差し、「後で校内案内でもしてくれや。俺がやっても構わないんだが……如何せん、俺もそんなに暇なわけでもないんでな。まぁ、適当に頼む」と半ば、自分の意見を言い出すよりも前に言われてしまっては、どうすることも出来ないというものだ。そんな担当教師のお願いに、紺は「は、はぁ……」と内心、面倒な気持ちで受け答えするしか無かったのだった。

    「宜しくお願いしますね、紺さん」
    「え? 何で俺の名前……」
    「先程、教室の前で名前が刻まれたテディベアーのキーホルダーを落とされたようなので……。またお会いした時、返そうと思っていたのですよ。どうぞ」
    「あ、ありがとう……」
  • 6 初音 id:zpLzIn.1

    2012-06-16(土) 06:06:27 [削除依頼]
    「では、僭越ながら教科書の方を拝借しても宜しいでしょうか?」
    「ああ、まだ教科書届いてないん?」
    「ええ。届くのは数日後になられるようですね。お席の方、付けても宜しいでしょうか?」
    「勿論」
    「よし、授業を始めんぞーっ」

    ガガガ、と桜坂が机を紺の席の横にピッタリと付けるのを確認した後、担当教師のパンパンっと叩く音と共に今日も眠りへと誘う授業が始まるのであった……。
    本来ならそんななのだが、今日、紺はそんなにも眠くはなかった。その原因の一つとしては、隣で真面目に授業を受けている桜坂のことが気になって仕方が無かったからだ。別に異性だから意識している訳ではなく、純粋に「気になっていた」。――――得体の知れない生き物。そんなものを見ている気がしてならなかったのだ。逆に良い印象を持っているからこそ、不信を持ってしまうのが紺の悪いクセだ。時々、彼女の方へと紺が視線を配っているとそれに勘づいたらしい桜坂は、ふふ、とはにかみ笑いを浮かべる。

    「私の顔に何か付いておられますか? 紺さん」
    「えっ、」
    「そんなにジロジロ見られたとなっては、流石の私も気になるというものです」
    「いやあ、それも桜坂ちゃんがあまりにも可愛くて仕方がないだからであって」
    「お前は黙ってろ」

    腕を高らかに広げ、下品な笑いを浮かべた友人・奈緒を裏拳で制裁する紺。

    「おぶしっ!」
    「それにしても……」

    含みを持たせるように、間を持つ。

    「高校の授業って難しいものなんですね。私にはサッパリわからないです……」
    「勉強、苦手なん?」
    「ええ、お恥ずかしながら……成績は見せられない程に酷い点数だと思われますよ。元々、家庭教師で勉強をしていた程度ですので、この学校の学力は少し、高いように思えます……」
    「いやあ、そんなにウチの学校は高いもんじゃねぇと思うぜ? なぁ、紺」
    「ああ。マークシート形式で一発合格しているヤツもいるぐらいだからな。てか、寧ろ悪い方だと思う。……意外だったな。アンタがあまり頭が良くないなんて」
    「いえいえ……お恥ずかしい限りです」

    照れくさそうに微笑む桜坂。
    そんな桜坂を慰めるように「どんまいどんまいっ」と、肩をぽんぽん叩いてやる奈緒の額にチョークがクリーンヒットした。その威力は破壊知れないもので、そんな奈緒の額からは煙がもわもわと漂っていた。

    「安西。お前、後で俺の教務室に来い。タップリお仕置きをしてやるよ」
    「止めてーっ! 止めたげてーっ!」
  • 7 初音 id:zpLzIn.1

    2012-06-16(土) 13:05:21 [削除依頼]
    memo


    * 浅葱 紺(あさぎ こん)

    何処にでもいるような男子高校生。何かに関する「興味・関心」の意欲は人一倍長けており、情報収集技能に優れている。裏では情報の取引などで荒稼ぎをしているという噂もあるみたいだが、真実は定かではない。
    全てが謎に包まれている転校生・桜坂のことが気になり始めているご様子。

    * 桜坂 のの(さくらざか のの)

    見た目がドイツ人形の様に美しく、何処か「人間離れ」した印象を持っている謎の転校生。見た目とは反し、勉強はあまり出来ないご様子。瞳の色が非対称な為、クオーターの可能性がある。
    中身は何処にでもいそうな少女の雰囲気を持ち合わせているが、紺にとってはそんな彼女の態度は「違和感」にしか感じ取れないようだ。

    * 安西 奈緒(あんざい なお)

    紺の友人。ムードメーカー的存在。よく担当教師に弄られている。楽しいことの為なら何だってする程の意欲の持ち主。何処か憎めないような、そんな性格の持ち主。
    あまり他人のことに対して興味を示さない紺が珍しくののが気になり始めている様子を見て、色々と良からぬことを企んでいるようだ。
  • 8 初音 id:NsWjdOf1

    2012-06-17(日) 13:09:52 [削除依頼]

    あげ
  • 9 響香 id:Bzaal3B0

    2012-06-17(日) 14:14:34 [削除依頼]

    おおおお初音さん!
    お久しぶりです、響香です(^ω^)

    題名がそれっぽいなと思ったら、やっぱり初音さんだった!
    また面白くなりそうな予感たっぷりです((
    更新頑張ってください。また来ます!
  • 10 初音 id:fUGHv.j.

    2012-06-19(火) 14:55:36 [削除依頼]

    *響香さん

    おおおおおおおおっ! お久しぶりです。
    や、やっぱり題名でバレてしまうものなのですかっ!(´д`)←よく言われる人。
    応援コメ、ありがとうございます。小説更新、頑張らせて頂きますねっ(^ω^)わふわふっ
  • 11 初音 id:yaV4ftL1

    2012-06-26(火) 11:22:29 [削除依頼]
    「こちらは、何と言われる場所なのですか?」
    「そこは体育館だな。まぁ、基本的には屋外の体育の時間でしか使わないけどな」

    時は既に満ち、夕暮れに染まり上げる一帯を二つの黒い人影が交差していく。
    先生に言われた通り、桜坂に学校案内をしていた俺は基本的に行くとされている場所だけを大まかに回ることにしたのだった。まぁ、こんな時間だから隅の隅まで説明しちゃったら日が暮れるだろうからな。そんなのは後日、加筆修正すれば良い話だろ。そんなことを考えながらいつもの行き慣れた道筋を歩いていると、桜坂は何かを目に留めるとその場で立ち止まってしまう。

    「ん?」

    そこは、「手芸部」と書かれた手書きの張り紙が貼られた飽き教室だった。それがあまりにも興味深かったのか、ドアの窓越しにぬいぐるみをせっせと編んでいる女子学生の姿を恍惚とした表情で見つめる桜坂。

    「どうした?」
    「ひゃっ!」

    ポン、と肩を叩くと顔を真っ赤に染める桜坂。
    あわあわと取り乱す様子からして、俺の存在を確実に忘れていたみたいだな。コイツ。酷いヤツめ。

    「やっぱり、女子はああいう可愛らしいもんに興味あるものなの?」
    「ええ。少なくとも女の子でしたら、ああいう小さくて可愛らしいものには興味あるものだと思いますよ。私も幼い頃、お父様からプレゼントされたテディベアーは今でも自分に部屋に大切に置かせて頂いております」
    「クマが好きとか?」
    「いえ、別に私はクマには興味がないのですが、お父様がどうやら私だったらテディベアが好きだろうと勝手に勘違いなさったので……でも、自然とそういうのって愛着が湧くものですよね」
    「……ふぅん、興味がないのに愛着って沸くものなの?」
    「……」

    風が、止んだ。
    そんな些細なことなのに、俺はその後、身震いすることになる。
    やんわりと向き直る桜坂の瞳は何者も映し出さぬ、赤い瞳に満ちており。眉は平行線を描き、口元は僅かに微笑んでいる。恐らくは光の屈折からしてそう見えたのかも知れないが、暗転に満ちる背景を背に、桜坂から表情が消えた。

    「紺さん」
    「っ……!」
    「人には……踏み込んではならないこともあるんですよ? 余計な詮索はしないで頂けますか」
  • 12 初音 id:yaV4ftL1

    2012-06-26(火) 11:38:10 [削除依頼]
    息をすることすら、忘れていた。
    でも、それと同時に目の前の人物に「惹かれて」いた。恋愛感情とかそういう単純な理由では無く、そうではなくて本能的に「惹かれざるを得ない」ような、そんな感覚を。人生で初めて味わった。―――もっと、この目の前の人物のことを知りたい。高鳴る鼓動、激動、慟哭(どうこく)。

    「……あっ!」

    突然、はわわとしだす桜坂。

    「ご、ごめんなさいっ! 急に偉そうなことを言い出して……」
    「い、いや……確かに俺の方も人のプライベートに関わることに踏み込んだからな……非があるのはこっちの方だ。すまねぇな」
    「いえいえ、私の方こそ申し訳御座いません。謝っても遅いかとは思われますが……」
    「そんな謝らなくても良いって」
    「で、でもっ……!」
    「今回はお互い悪かった。そういうことにしとけば良いんじゃね?」
    「……ふぁ」
    「どうした?」

    ふにゃ、と蕩けたような表情を零す桜坂。

    「紺さんって……お優しい方なんですね」
    「そんなことねぇと思うけど」
    「紺さんが何と言おうと、紺さんはお優しい方なのですっ! 私が全身全霊を持って、堂々と主張して言えますっ!」
    「それは恥ずかしいから止めてくれ」

    そんなコントみたいな会話を繰り広げた後、住宅街の十字路で別れることになった。
    本当はこんな遅くまでなってしまったし、「送ってやろうか?」と一応言ったものの、桜坂から「ウチは父子家庭なので、男の子が家に来たとなるとお父様が失神してしまう可能性がありますので……。せっかくのご好意、非常に有難いなのですがお気持ちだけ受け取って置きます」とやんわりと断られた為にそれを了承せざるを得なかった。あとを付けてやろうかと思ったが、この時間だとおばちゃん御一行がお買い物をしている時間帯だろうし、仮にバレたことを考えると後後の噂を消す情報を回すのが面倒なんだよな……ということでさっさと自分も自宅へと寄り道せずに帰ることにした。

    俺の家は、ちょっと特殊だ。
    恐らく、一般家庭とは遠くかけ離れた存在だろう。そもそもとして―――おやじ自体が、カタギの人間では無いのだから。
  • 13 蜂蜜檸檬 id:fJizigy1

    2012-06-26(火) 14:32:20 [削除依頼]

    めっちゃ文章力ありますねっ!
    すごい読みやすいです!
    がんばって下さい(´ `)ノ
  • 14 初音 id:yaV4ftL1

    2012-06-26(火) 19:51:17 [削除依頼]

    *蜂蜜檸檬さん

    おふあああああっ!
    お褒めの言葉、ありがとうございますっ(^ω^) 小説更新、頑張らせて頂きますね〜っ
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