夢人―ユメビト―7コメント

1 桐谷 黎明 id:f.9lk4q/

2012-06-02(土) 21:36:59 [削除依頼]
 どうも。桐谷 黎明*Kiriya Reimei *です。
 この『夢人―ユメビト―』は『ユメビト』の改です。
 他にも小説書いてますが、これからしばらくはこれ一本でやっていきたいと思います。他のもちゃんとあとで更新します。
 では、よろしくお願いします^ω^*
  • 2 桐谷 黎明 id://uTL1U.

    2012-06-02(土) 22:20:48 [削除依頼]
    ∴∵*プロローグ*∵∴

    「ユメビト」
     名前を呼ばれ、彼女は閉じていた目を開けた。しかし、それは本当の名ではない。五年前、“ユメビト”という名を受け取った。
     崖の上に立ち、生暖かな風を受けて銀色の髪を靡かせるユメビト。
     右耳に付けている金色の四角いピアスは通信機になっている。そこからリリアノという名の若い女性の声が流れてくる。
    「勇者はいたか?」
     ユメビトは即答した。
    「いや、此処にもいない」
    「そうか……。此処にもいないのか」
     少し声のトーンが下がった。
    「通信……切っても良い?」
     ユメビトはリリアノに尋ねたが、返事を聞かず通信を切った。それはいつものことだ。ユメビトが一方的に物事を決める。
     ユメビトは一つ、溜め息をついた。そして、辺りに広がる荒野を見渡した。
  • 3 桐谷 黎明 id:HpOj3vL/

    2012-06-03(日) 11:46:35 [削除依頼]
    ∴∵*第1話 少女、ユメビト*∵∴

     ユメビトはある村を通り掛かった。
     しかし、もう其処は村とは言えない状態にある。レンガ造りの家は全て崩れていた。人の姿はある。だが、その者達は既に息はなかった。
    「臭ぇ。この死体、全部腐ってやがる」
     眉間にシワを寄せ、呟いた。
     無惨に死体が転がっている。殺.されてから少し時間が経っている。暑さで腐り、異臭を放っていた。
     ユメビトは誰が村の人達を殺.したのか大体分かっている。“政府”だ。
     死体の周りにはハエが飛び交う。それを払いのけ、野生の犬が凶暴に進化した“ゾン”が死体をむさぼり食っていた。
    「こんな所に勇者はいない……か」
     ゾンがユメビトに目を付けた。
     あまり、此処に長居しては危険だな。
     そう思ったユメビトは足早にその場を去った。

     
  • 4 桐谷 黎明 id:d36EA211

    2012-06-03(日) 21:06:11 [削除依頼]
    ***

     時は西暦三千年以上。細かい数字は誰も知らない。遠い昔に時間が止まったのだ。三千年、という数字はざっと計算して出たものだった。
     一世紀前までは世界は一人の王により、豊かで平和に保たれていた。しかし、王が死んでから世界は狂い始めた。王家の中で王座争いが始まったのだ。誰も世界を正統する者がいなくなった。
     王家は潰れた。
     では、誰がこの世界を治めるのだ……?
     我よ、我よ、と手を挙げる人々が出てきた。その中で一番の勢力を持った集団が“政府”だ。
     政府は反発する者達を容赦無く、殺.していった。そして、また反発を買う。そして、また殺.す。だから、批判の声が止むことはなかった。
     政府はある時、あるものに目を付けた。人々がこの世で一番恐れているもの。
     それは……“始まり”だった。
     “始まり”。それは天地の神として人々に知られている。人々が自然に対する悪事を行えば、大きな自然災害をいくつも起こした。
     何世紀も前、“始まり”が暴走したのだと言う。人々にとって神ではなく、魔物となった。それを封印したのが三人の勇者だった。
     今、政府はその“始まり”を復活させ、利用し、世界を自分のものにしようとしているのだ。
     そして、“始まり”の復活を止めるため“ユメビト”という名の少女が勇者を探し出すため、荒れ狂っている世界を旅している。

    ***

     陽が落ち掛けてきた頃、ユメビトはクロスタウンという大きめの町に足を踏み入れた。その町に政府と勇者の気配を感じたのだ。
     もうすぐ陽が暮れると言うのに大通りは人が溢れていた。沢山の店がテントを張り、商品を売っていた。飲食店では酒に酔った大人達が騒音とも言える声で盛り上がっていた。
     息苦しさを覚え、ユメビトは路地裏へと入った。ピアス型の通信機の電源を入れ、リリアノに今、どこの町にいるのかを報告した。
    「今、クロスタウンという町にいる。どうだ? お前も村から政府と勇者の気配を感じるか?」
     リリアノはユメビトが生まれ育った村にいる。リリアノはその村から出ることは出来なかった。しかし、ユメビトがいる場所であれば遠い所でも政府と勇者の気配を感じることが出来る能力を持っていた。
    「うむ。政府の気配は強く感じる。しかし、勇者の気配は弱いな」
    「もし、勇者が政府と出会ったらどうなる? 勇者は殺.されるか?」
    「多分な……。早く勇者を見つけるのじゃぞ」
     ユメビトは黙り、足元の地面を睨んだ。
     ふと、空を見ると一つ星が出ていた。
    「……切る」
     ユメビトは通信機を切り、今夜泊まる宿を探し始めた。


     

     

     
  • 5 桐谷 黎明 id:JlrTcL51

    2012-06-05(火) 00:20:35 [削除依頼]
     ――とある酒場。
     店の中は酔いつぶれかけているおじさんがごった返している。顔を赤くし、理解不能な言葉を繰り返し叫ぶ。もういいだろう、と言うぐらい飲んでいるのに更に酒を要求した。店員は人を押し退け、急いで酒を運ぶ。
     毎晩、大人達は酒場で騒ぎ、日々のストレスを発散している。
     その酒場はクロスタウン一番の人気の酒場であった。
     店の裏口で少年が空ビンが五、六本入ったかごを持ち、空を見上げていた。ついさっき、酒の臭いで気分が悪くなり外に出てきたのだ。深呼吸をすると幾分か気分は良くなった。
     裏口は薄暗く、少し湿ったかのような場所だった。ドアが開き、其処へ光が差し込んだ。
    「聖矢、大丈夫か?」
     少年は聖矢、と呼ばれた。
     聖矢は振り向き、ドアの前に立っている金髪の少年に目をやった。
    「うん。大丈夫だよ」
    「ごめんな。お前、身体弱いのに俺のバイトを手伝わせて……」
    「いや、本当に大丈夫だから。心配すんな、成樹」
     金髪の少年は成樹、と呼ばれた。
     成樹は酒場でバイトをしている。バイトの制服を着ていた。
     今日はいつも以上に客が入ってきた。人手が全く足りず、成樹は聖矢に店を手伝うように頼んだ。
    「ちょっと休んでろ。このビンは俺が片付けとく」
     成樹は聖矢が持っていたビンの入ったかごを取り上げ、代わりにお茶の入ったコップを手渡した。
    「サンキュ。ちょっと助かった」
     聖矢は実はあの酒臭い中にいるのは嫌だった。
     成樹は苦笑いして、店の中に入った。


     
  • 6 桐谷 黎明 id:qqcRt0Y0

    2012-06-07(木) 21:38:11 [削除依頼]
     成樹はカウンターに入り、溜まりに溜まったグラスや皿を洗い始めた。食器を洗いながらカウンター席に座っている二人の男性客へ目を移した。
     ひとりは半分酔いつぶれ、呂律殆どが回っていない。もうひとりはまだ正気を保っている。
     酔いつぶれかけている男性客がまだ正気を保っている男性客に喋り始めた。
    「なぁ〜聞いたかぁ? この町にユメビトが来てるんだってよぉ〜」
     それを聞いて、成樹は手を止めた。危うく皿を落としてしまいそうであった。
    「それ、本当か?」
     正気の男性客は酒を一口、喉に通してからはっきりした口調で聞き返した。
    「あぁ。本当、本当。門番の奴等が言ってたからなぁ〜」
    「うん。町に入るにはあの門を通らなければいけないからなぁ」
    「ちゃんと銀色の髪で……右耳に金色のピアスをしてたって……よぉ〜」
     男性客が話しながらうとうとと眠り始めた。
    「あ、おい。おっさん、こんなとこで寝るなよ」
     成樹が男性客に呼び掛ける。隣の男性客は苦笑いして「すみません。連れて帰ります」と男一人を抱え、店を出て行った。
     成樹は二人の後ろ姿を見て、あの話を思い出していた。
     ――この町にユメビトが来てるんだってよぉ〜。
     クロスタウンの市役所には“予言書”がある。そこにはユメビトが現れることについて書かれていた。ユメビトの特徴、クロスタウンに来る目的。町の殆どの人はその予言書を読み、ユメビトの特徴を覚えていた。
     成樹はその中で、ユメビトがクロスタウンに来る目的をよく覚えている。
    “クロスタウンに居る勇者を探し出す為……”
     一時期、勇者は誰だ、なんて言い出す者が居て大騒ぎになった。
     成樹にはひとつ、心当たりがあった。
     親友の名前を小さく呼ぶ。
    「聖矢……」
  • 7 桐谷 黎明 id:1WmQf2h0

    2012-06-09(土) 17:43:31 [削除依頼]
     ――とある宿。
    「本当は……アイツが“ユメビト”のはずだった」
     ユメビトは部屋でひとり、つぶやきながら武器の手入れをしていた。日本刀、短剣を磨き、銃の弾の数をチェックする。武器の手入れをしたあとは新しく魔術の術式を覚える。
     そんなことをしているとドアをノックする音が聞こえた。
    「旅人さんや、夕食はいらんかね?」
     宿主の声であった。白い髭を生やした物腰やわらかな老人。
     ユメビトはドアを開け、老人の前に立った。
    「ご親切にどうも。有り難く、頂こう」
     ユメビトは老人の後について食堂へ向かった。
     食堂には数人、人が居た。一番壁際に座り、勇者と政府の気配を感じる為に神経を集中させる。しかし、此処にも居なかった。
     老人が苦笑いしながらユメビトへ食事を持って来た。
    「そんな深刻な顔しないでリラックスせい。旅で疲れておるだろ?」
    「……申し訳ない」
     ユメビトはお茶をすすった。
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