Book world〜姫と五人の戦士達〜13コメント

1 サキュバス id:Yz19CXY0

2012-05-28(月) 00:08:23 [削除依頼]
「巫女様!! 私の後ろにお隠れください!」
 赤い巻き毛の女性が大きな長刀を手に、香奈に向かって襲いかかってくる謎の兵士達を次々となぎ払ってゆく。
 重装の謎の兵士達に対して赤い巻き毛の女性はチャイナ服のような黒いワンピースという軽装にもかかわらず、謎の兵士は赤い巻き毛の女性にどうやら歯が立たないらしい。面白いくらい長刀で投げ飛ばされてゆく。
 それを香奈はペタンとじべたに座って眺めている。
 香奈はこんな大変な状況なのに、赤い髪の毛が宙を舞って綺麗だななんて思う自分に呆れていた。

 この女性は誰? そもそも、ここはどこなのか? そしてなぜ襲われているのか?


 すべてはこの本『大和地書』に秘められていた。                 
  • 2 サキュバス id:Yz19CXY0

    2012-05-28(月) 00:22:56 [削除依頼]
     時は少し戻る。

     常葉香奈(ときわかな)は今年の春、念願の中だるみ御気楽中学二年生となり、クラス替えを行った。
     せっかく仲良くなった子と離れるのは寂しかったけれど、新たな出会いを楽しみに胸をワクワクと弾ませていた。
     そして、二年生になって初めての隣の席男子、神戸大和(かんべやまと)と出会ってしまった。
     名前は聞いたことがあったが、一学年五百人以上居る香奈の学校では同じ学年でも顔も見たことないということはかなりある。香奈は大和を初めて見た。
     そして、それからというもの大和のことばかりを考え……と、早い話が人目惚れである。
     
  • 3 サキュバス id:Yz19CXY0

    2012-05-28(月) 07:22:38 [削除依頼]
     絶賛悩み中の香奈は、その悩みをはらすため学校の図書室へと向かった。
     理由は恋占いの本を探すためだ。香奈は占いなどを信じやすい素直な性格。悪く言えば騙されやすい。
     学校の図書室は本が乱雑に並べられており、名前の順など親切に置いていない。
     しかたなく、端から端までしらみ潰しだ。
    「恋、恋、恋占いっと……」
     ポツポツ目的の物の名前を呟きながら、左から右、上から下と目を見開きながら探す。幸い人は誰もおらず、気兼ねなく探せる。
    「あ……」
     あるところで香奈の目がぴたりと止まった。
     恋占いではなかったが、そこには『大和地書』という赤い背表紙の古ぼけた本が置いてあった。
    「大和……」
     神田大和に全く関係ないとわかっていても、なんだかその本が気になってしょうがない。
     大和地書を読んでみようと本に手をふれたとき、頭に直接声をかけられるような変な声が聞こえた。

    「マッテイタゾ、ワタシノミコ」

    「は? 私はミコじゃなくて香奈ーー」

     そういい返した瞬間、視界が真っ白に染まった。
  • 4 サキュバス id:Yz19CXY0

    2012-05-28(月) 07:28:08 [削除依頼]
     香奈のふれた大和地書はパサリと独りでに床に落ちた。
     そして、風もなにも吹いていないのにページがめくられる。
     一番最初のページには、

    『異世界の少女、大和ノ巫女君臨』

     と、つづられていた。
  • 5 サキュバス id:Yz19CXY0

    2012-05-28(月) 07:40:49 [削除依頼]
     視界がカラーに戻ったと思ったら、香奈は図書室にはいなかった。
    「ここ……どこ?」
     香奈がうろたえるのもしょうがない。
     あたりは枯れ果てた大地、木で作られたぼろぼろの家。おまけに、重そうな装備をした謎の兵士たち五十名ほどが驚きの表情で自分を見つめているのだ。
    「なんだあの足が丸だしの服は?」
    「それより、突然白い光を放って現れたぞ」
    「まさか、伝説の巫女じゃ……」
     ひそひそと香奈の方を見ながら謎の兵士たちが会話する。
     そして、輪になって相談をし始めた。
     しばらくたち、意見が一致したのか輪が崩れて香奈の方を一斉に向く。
    「大和ノ巫女、死.ねぇー!!」
     隊長らしき人がそうかけ声をすると、一斉に武器を手に襲いかかってくる。
    「キャァー!!!!」
     死.ぬ。殺.される。
     そう思ってじべたにヘナヘナと座り込み目を閉じた。
     そして、「巫女様!! 私の後ろにお隠れください!」の声が聞こえた。
  • 6 魅月 id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 07:26:20 [削除依頼]
     赤い巻き毛の女性は最後の兵士をなぎ倒すと、長刀を大きな袋にしまいこみ、袋についているひもを腕に通して担いだ。
     クルリと香奈の方に振り向き、笑顔を見せる。あれだけの人を倒したと思えないほどの落ち着きようと、美しい微笑。
    「巫女様、大丈夫ですか?」
     そういいながら近寄ってくる。近くで見たらわかったのだが、赤くヒールの高いピンヒールを履いている。こんな靴でよく大きくて長く、重そうな長刀を振り回せたものだと香奈は思った。
    「だ、大丈夫です!」
     香奈は急いで立ち上がり、セーラ服のスカートについた土や砂をパンパンとはたき落とす。
     香奈の大丈夫という声をきくと、安心したかのように赤い巻き毛の女性は優しくほほえんだ。
     その笑顔を香奈は申し訳なさそうにのぞき込む。
    「あのぉー、私ミコって名前ではなくって香奈です。人違いじゃ……」
    「いえ、あなた様は私たちの待ち望んでいた巫女様です。白い光の中から現れた。そしてなにより、その足が丸だしの変な服と頭の上のまりも“異界から現れた”としか言いようがありません」
     と、香奈のスカートの丈の短さと頭の上で大きく盛っている団子の大きさを指摘する。
  • 7 魅月 id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 07:37:34 [削除依頼]
     いや、黒いチャイナ服のような服にはいっている左側のスリットのほうが足が丸だしで、髪の毛も赤くそっちの方が髪も服も奇抜だ! と思ったが、とりあえず「はぁ」と、うなづく。なにせ相手は長刀を持っている。逆ギレさせたらなにをされるか目に見えていた。
    「ところであなたは……」
    「あ、申し遅れました。私の名は朱羽(あかは)です。巫女様を守る“五人の戦士”の一人です。まあ、まだよくわからないでしょうが次期にわかります。とりあえず付いてきてください」
     何かと怪しいが、いく宛がどこにもない香奈は朱羽とやらに黙って付いていくことになった。
  • 8 サキュバス id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 16:39:55 [削除依頼]
     歩きながら赤羽は香奈にすべてを説明すると話し始めた。
    「この国は南栄国はといいます。この国には古くから伝わる伝説があるのですが――」
     そう言って長刀の入っている大きな袋から小さな赤い巻物を取り出し、香奈に大事そうにしながら渡した。
     巻物には『大和地書』と書かれていた。巻物の色や質感も、あの本の表紙とどことなく似ているような気もする。
    「なんかすっごく大切なものそうですけどいいんですか?」
    「ええ、巫女様なら大丈夫です。ですが、命よりも大切な物なので落とさないようにしてください」
     全然大丈夫じゃないじゃん。と、思いながらも巻物にまかれている黒い紐をほどき、するりと巻物の端を引っ張り開く。
  • 9 サキュバス id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 17:06:06 [削除依頼]
     中にはこのようなことが書かれていた。

    『国の破滅の危機の時、異界からうら若き少女“大和ノ巫女”なる者が現れる。
     巫女と五つの感情をつかさどる戦士が集い、天に祈りをささげる時、大和ノ神が空から舞い降りる。
     大和ノ神は巫女に二つの願いをかなえる力を与えるであろう。』

    「もしかしてこの大和ノ巫女ってのが……」
    「ええ、香奈様あなたの事です。ちなみに私は五つの感情をつかさどる戦士の一人。五つの感情とは喜、怒、哀、愛(いとしみ)、憎、からなります。私は恥ずかしながら愛をつかさどるようです」
     そう言って長く赤い巻き毛の髪を左に寄せて右の首を香奈に向かって見せつける。
     首には赤い刺青のように『愛』と掘り込まれていた。しかし、入れ墨とは決定的に違うところがあった。それは愛という文字が自ら白い光をほのかに発しているのだ。
  • 10 サキュバス id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 17:19:20 [削除依頼]
    「どうやら五人の戦士は皆、生まれたときから体のどこかにつかさどる文字が掘り込まれていうようです」
     そう言うと首朱羽を振って髪を元に戻した。
    「でも、やっぱりなんか信じられないです。私が異世界からきただなんて……どうやって来たのかすら思い当たる節が――」
     ない。と、言おうとしたのだが図書室での出来事が頭に浮かんできた。
     本に触れた瞬間境が真っ白に染まり、気付いたら朱羽と出会ったあの荒れ果てた大地にいた。
     考えられることはただ一つ。
    「まさか……本の中に……」
  • 11 サキュバス id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 17:21:56 [削除依頼]
    訂正
    ×そう言うと首朱羽を振って髪を元に戻した。
    ○そう言うと朱羽は首左右にを振って髪を元に戻した。
    ×本に触れた瞬間境が真っ白に染まり、
    ○本に触れた瞬間視界が真っ白に染まり、
  • 12 サキュバス id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 22:06:24 [削除依頼]
    題名が姫ですが、巫女です!
  • 13 サキュバス id:ydKIOAn.

    2012-05-29(火) 22:21:14 [削除依頼]
     そうこうしているうちに目的地へと付いたようだ。
     香奈の目の前にある建物は、まるで社会の教科書に載っている昔の中国の貴族の館みたいな作りだった。つまり、無駄に派手でキラキラしている。
     大きな赤い門の近くには門番のような格好をした男性がわんさかいた。
     それこそ蟻一匹も通さないほどの数。
    「朱羽さん、ここはどこなんですか?」
    「ここは北栄国の皇帝でもあり、哀をつかさどる依織(いおり)様の屋敷です。それと私のことは呼び捨てにし、敬語は使わないでください」
     そう言うと朱羽は門番のような男たちに声をかけに行った。
     しばらくその場で香奈が朱羽の帰りを待っていると、朱羽がこっちに来いと手招きをしているのが見える。
     足早に朱羽の元へと寄ると、朱羽の近くにいた男がこう呟いた。
    「変な格好と変な髪型……」
     朱羽の中の何かがブチ切れた。
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