FIGHT-7 on the STAR〜翔〜35コメント

1 希罪 id:GrUHT9y1

2012-05-19(土) 22:17:30 [削除依頼]
この広大なる宇宙にて、星は瞬く。


見上げて初めて、自分の無力さを皮肉に感じる。


そう、敵は目の前に、自分の中にいるのだーー。
  • 16 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:10:50 [削除依頼]
    #08


    その時間は、秒単位だった。
    いきなり体が上がっていったのだ。足に地面の感触がない。そんな非常識な状態を理解したとき、彼らは皆、絶句した。
    この発達した地球でもなお人が、一人手に浮くだなんてありえない。
    彼らは、必至に叫んだもがいた。けれど、地上は遠のいていく。ある程度の高さまで達し、黒い地上の全貌が見えてきた。
    まるで、神のようになった気がしたものだ。
    そのとき、ふっと意識を失ってしまう。
  • 17 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:11:27 [削除依頼]
    #09


    彼らが目が覚めた時、最初に見えたのは見慣れぬ天井。起き上がって見ると、広大なフロアは広がっていた。
    具体的には、奥がはっきりと見えない程だ。そこは、埃一つなく、新築の建造物の様な匂いがする。そんな巨大なドーム型のフロアに、人間が7人、散らばって、同じように倒れこんでいた。
    「ここは……」
    誰かが呟く。
    その声は、共鳴し、フロア中に響き渡った。
    「何が……起こったの?」
    7人は、口々に疑問をぼやいた。決して、会話はかみ合っていない。
    「落ち着いて!」
    何処からともなく、その声が耳に入る。声の主の男は立ち上がって、他の人に呼びかけるように話しだした。
    「ここはきっと、バトルシップ翔。私達はマ・ショウが言ってた戦士に選ばれたのかもしれません」
    言い切る男に、疑問はないように見えた。その姿を見た他の人間は、信じざる終えなかった。
  • 18 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:12:55 [削除依頼]
    #10


    「……で、何でうちが選ばれたんや?」
    こてこての関西弁を話す少女が言った。茶髪に赤毛が混じるショートカットが異様に似合う少女は、身長それ程高くない。きっと160も無いだろう。
    そんな、どこにでも居そうな少女が何故、戦士に選ばれたのだろうか。
    「僕……、一応世界一だからかな?」
    子供の様な話し方をした彼は、皆、見たことがあった。高身長で茶髪の若者。その、チャラついたイメージとは裏腹に天然でおっとりとした性格。それは、数年前、世界陸上大会で一世を風靡した西原国斗であった。国斗は23歳と年齢で100mを6"45で走るという記録を叩き出し、これまでの世界一を2秒を更新したのだった。
    「あんた、あの世界一の奴か。
    あんたは分かるわ。十分、あの意味分からん星人と戦える戦力があんねんから」
  • 19 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:13:37 [削除依頼]
    #11
  • 20 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:14:34 [削除依頼]
    「私も、勝って当然ですことよ」
    生意気な口調で立ち上がった彼女は、手で髪をはらい真っ直ぐ伸びた金色の髪をしなやかになびかせた。真っ白で雪のように透き通った肌。すらっと長い足に、ターゴイズブルーの瞳。
    彼女はおそらく、欧米人であろう。
    「なんやあんた、えらい生意気やなぁ」
    気に食わない様子で少女は言った。
    「あら? 私を知らないのかしら? なんて遅れた少女なの」
    見下げるように少女に語る。少女も、見上げ睨みつけた。敵対心剥き出しの2人に割り込むようにある少年が口を開く。
    「もしかして……、メロディ・ソン?」
    メロディ・ソンと呼ばれた彼女は、一旦少女から目を離し、高慢な様子で話す。
    「そうよ、私はメロディ・ソン。
    歌姫と呼ばれた、天才シンガーなんだから! 知らないなんて世間知らずにも程があるわ」
  • 21 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:15:08 [削除依頼]
    #12


    メロディ・ソン。それは、風の如く現れた歌手。初めて訪れた歌番組のオーディションで、なんと1位合格。それからCD販売、コンサートツアー、ドラマ出演と、トントン拍子に仕事をこなし、人は彼女を風の歌姫と呼んだ。
    「ふん、生態の分からない星人なのに負けてたまりませんわ!」
    高々と豪語するメロディには勝利のオーラが漂っていた。
    「所で、そこの色黒チビ!
    あんたはなんか得意なもんはあんのか?」
    少女がそう聞くと少年はいきなり、涙ぐんでしまった。
    「僕は……とりえなんか……ぅ……ぅぅお母さん……」
    坊主頭で少女より背の低い少年は、その場で頭を抱えうずくまってしまった。慌てた少女は、とっさに少年へと駆け寄り頭を撫でた。
    「ごめん、ごめんやて。
    なんかうち、あかんことでも言ったか? とりあえず名前教えてくれへん……?」
    すると少年は、その状態のまま、詰まり詰まりに答える。
    「タジ……ン……ハ……ン」
    ??タジン・ハンと名乗った少年は
    肌の色からして南米人であろう。
    華奢な体つき、弱弱しい性格。
    少女は見ていて悲しい気持ちになっていった。
  • 22 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:16:13 [削除依頼]
    #13

    少女が暫く慰めていると、後ろからそれなりに、年をいったように見える女性が近寄ってきた。
    女性は少女に「どきなさい」と言わんばかりに見つめる。少女は女性に場所を譲り、様子を伺ってみると、
    「大丈夫よ……、心配しなくても」
    と、タジンに語りかけた。
    すると安心したのか、タジンのすすり泣く声は聞こえなくなり、顔を上げる程になった。
    「この手のものは慣れたものよ」
    女性は自慢気に言うと、立ち上がって、自ら自己紹介をし始めた。
    「私の名前は大地叶実。
    夫と子供2人を抱えて23年の専業主婦よ」
    叶実は、確かに何処か温かみが感じられた。白髪が少し混じった、短い髪。毎日毎日、水洗いをしてできた手の荒れ。絵に描いたような母親のようだった。
    ?「そう言えば、貴方の名前は?」
    叶実は少女に優しく問いかけた。
    「そうや! すっかり自分のこと忘れてたわ。
    うちの名前は波野仁和。生粋の、女子高生や」
    明るく元気なその性格は、まるで太陽。仁和はこのフロアに来てから、笑顔が絶えることがなかった。
  • 23 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:17:02 [削除依頼]
    #14

    「とりあえず、仲良くしようや。な?」
    仁和は満面の笑みで、他の人に言った。
    しかし、フロアの片隅にみえる1人の後ろを向いた男は振り向くと早口で反論の言葉を発した。
    「私はこのようなことは、好ましくありません。
    マホラ星がどんな惑星であろうと、侵略の能力を持っていることは確実なのですから、地球が勝利する可能性は極めて低いのです。私は勝負を放棄します」
    黒縁眼鏡を中指で掛け直し、再び背中を向ける。頑なに戦いを拒ぶ男は、誰の目にも勉強好きだと映った。
    男のせいで空気は一変。暫く空気は張り詰め、皆黙り込んでしまった。
  • 24 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:17:46 [削除依頼]
    #15

    「マ・ショウは、何がしたいんだろうか……」
    沈黙を破ったのは忠平であった。
    確かにその通りだ。
    地球を一瞬にして暗闇に葬れるのなら、朝飯前の用量で侵略できるはずだ。なのにわざわざ、7人を呼び出して勝負だなんて二度手間に違いない。
    何か、狙いがあるのだろうか。
    謎が謎を呼ぶ……。
    そんな時、いきなり鉄格子を叩くような轟音が響いた。
    「何……?」
    その音は頭上から聞こえる。7人は一斉に上を向いた。すると、天井の中心が左右動き出し、そこから濃紺の宇宙が現れた。
    ?光輝く星たちの光が、フロアに入ってき、床に反射している。
    「綺麗」
  • 25 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:18:34 [削除依頼]
    #16


    皆、思わず呟いてしまう。徐々に広がる幻想的な世界。星が小さく見え瞬いている。そしてバックには……。
    「地球……」
    青色と緑色の鮮やかな惑星、地球が一際大きな見えていた。
    「やっぱり、この場所、この演出….…。ここはバトルシップ翔だ」
    忠平は宇宙を見上げながら、呼びかける。忠平はバトルシップ翔の設計、建設者。間違えることはないだろう。
    「バトルシップ翔って、あの宇宙空間内のなんちゃらってやつかしら? それなら今日公開だったんじゃなかったけ?」
    「そうだ……。今日が初公開の日。なのにこんな……悪用されるなんて」
    ?忠平は歯を食い縛り、悔しがった。
  • 26 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:20:48 [削除依頼]
    #17


    「兄ちゃん、そんな悲しむなや」
    仁和は忠平を慰めた。
    忠平は歳下に心配をかけまいと、すくっと立ち上がる。
    「嘆いても何も始まらない」
    凛々しく言い放つと、忠平は仁和を見てはにかんだ。

    「選ばれし戦士よ、哀れな地球のために戦うのだ!」
    天井の方から声が聞こえる。天井を見ると、数カ所スピーカーがついているのを見つけたきっと、あそこから音が出ているのだろう。
    すると、宇宙の小さな光を受けていた白い壁に、突如四角い光が現れた。そして、その光の中に、マ・ショウが映し出される。
    「千葉翔……マ・ショウ!」
    相変わらず、似ている。まるで千葉翔平に裏切られた感覚。今まで敬い続けていたのに、急に投げ出される。誰もがそう感じていた。そんな気分にさせるマ・ショウと戦うのは気が知れない。
    そんな7人の気持ちとは裏腹に、マ・ショウは何かを企んでいるのか、にやりと笑った。
  • 27 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:21:34 [削除依頼]
    #18

    「貴方の目的はなんですの!?」
    メロディはスクリーンに向かって怒鳴った。するとマ・ショウは腹がよじれるほど、面白可笑しく笑う。それはもう、人の悲しみを笑う、悪魔のように。
    「目的? そんなものはない。
    ただ、無様に消えていく人間共を見たいだけだ。あっさり消えるより、苦しみ、絶望に明け暮れて消えていく方が面白いからな! わっはっはっ!!」
    マ・ショウの笑いは止まらない。フロアにその笑いは響き渡る。7人は腹の底から怒りが込み上げてきた。それはもう、喉まで達し、ついに全身が怒りの感情になる。仁和はついに、それを口から吐き出した。
    ?「あんた! 好い加減にしいや!!」
    仁和は渾身の大声を発する。するとマ・ショウは口を閉じ、きょとんとした表情をした。
    「ん? 何がだ?」
    負けじと、メロディも言い返した。
    「……自分から勝負を持ちかけて、不戦勝を誘うなんて卑怯ですわ!」
    長い髪を揺らし、凛々しい顔立ちでそう言い放った。
  • 28 希罪 id:GrUHT9y1

    2012-05-19(土) 23:22:20 [削除依頼]
    #19
    その表情を見たマ・ショウの顔は再び緩んでいく。
    「だから、お前らがどんなに頑張ろうが我らには到底及ばんのだよ」
    嘲笑うマ・ショウ、それだけ、余裕なのだろう。何度みても苛立つ態度だ。
    「……そうだ、勝負の内容を教えてくれないか?」
    冷静に忠平は問う。
    すると、マ・ショウは一度、咳払いをして説明し始めた。
    「お前らには、1人1人に競技をしてもらう。えー……、そこの騒がしい女は笑いで、なよ男は陸上競技で、生意気女は歌で、泣き虫野郎はダンス、それとメガネは勉強、熟女は料理、偽善者男はまぁ……あれだ」
    マ・ショウは1人ずつ、指を指しながらそう言った。なんとも適当。今、この瞬間決めたようだ。
  • 29 希罪 id:d9iOu.f/

    2012-05-20(日) 11:37:32 [削除依頼]
    #20


    「勝負のタイミングはお前ら次第だが、地球にいる人間どもは未だ暗闇を彷徨っている。一刻を争うのではないのか? 地球は喚き嘆き……はっはっは!! ……まぁ、命乞いをするなら今の内だぞ。我らに負けて待ち受けるのはただ一つ。
    死ーー」
    マ・ショウは7人の心を揺るがす。勝負に勝てば地球は開放。しかし、負ければ即座にあの世行きである。
    人は人生の中で7億もの命を負う機会があるのだろうか。その経験をするなど可能性は0に近い。しかし彼らはその可能性に引っかかってしまったのだ。
    人類の運命は、地球の運命はこのたった7人に委ねられる。
    「…….まぁいい、時間をやろう。期限は無制限。しかし、その間も地球は支配され続けるのを忘れるなよ。
    戦う決心がついたとき、決断のリングを捧げる。それは一度はめれば、勝負が終わるまで外れない。
    さぁ、存分に考えたまえ」
    そう言うと、マ・ショウの姿は消え、スクリーンの明かりも失った。
    ふと、仁和が足元を見ると何かが輝いている。
    「何や……?」
    仁和は腰を屈め、それを拾って見ると磨き上げられた指輪のようだった。その指輪の内側には『resolution』と印されている。
  • 30 希罪 id:d9iOu.f/

    2012-05-20(日) 13:04:36 [削除依頼]
    #21


    「れそるちおん……?」
    仁和の間違いばかりの発音に、未だフロアの片隅に居た男が飽きれたのか、壁にもたれ掛かり眼鏡を中指でくっと掛け直し、溜め息混じりで言う。
    「resolution……和訳すると、決心、決断。これが決断のリングでしょうね」
    と、自分の足元にも落ちているリングを拾う。
    よく見ると、7人全員の下にリングは落ちていた。そのどれも銀色でresolutionと刻まれていた。
    「これを付けたら……、逃げれないのね」
    メロディはまじまじとリングを見つめながら呟いた。ゴクリと唾を呑み込み、考える。
    時間は短くはなかった、皆、脳の回路をフル回転させて悩みに悩む。勝てる保証はないが、負ける保証もなくはない。せめて、マホラ星の生態さえ分かれば勝てる比率など簡単に割り出せるはずなのに。

    生と死ーー。

    可能性さえ分からない選択を責まばれる。
    悩む悩む悩む悩む
    悩む悩む悩む悩む
    悩む悩む悩む悩む
    悩む悩む悩む悩むーー。
    時間は待たない。過ぎるばかりである。脳裏に人間の困惑の上京が浮かんだ。全てを支配され、情報さえ与えられない。安全なのか危険なのかも分からない。人間であることの権利を取り上げられ、ただ呆然とするしかない。皆が自分の無力さを噛み締めている。
    迷う暇はない。
    そんなこと、誰もが知っていた。しかし、何処か自分のなかで命乞いをしてしまっている。
  • 31 雅 id:SLGwbD.0

    2012-05-20(日) 13:31:31 [削除依頼]
    読ませていただきました!
    依頼とか関係無く楽しみです!!
    評価は迅速にさせて戴きます、お待ち下さいね。(^^)
  • 32 雅 id:SLGwbD.0

    2012-05-20(日) 14:05:37 [削除依頼]
    評価完了ですd( ̄  ̄)
  • 33 希罪 id:d9iOu.f/

    2012-05-20(日) 20:28:43 [削除依頼]
    >31 ありがとうございます >32 了解です
  • 34 希罪 id:IJg.jwZ0

    2012-05-22(火) 20:01:11 [削除依頼]
    #22

    この広いフロアの空気が張り詰める等、大層なことである。しかし、今はその様な状態。7人全員が頭を抱えていた。
    「……うちは、やる」
    仁和は真剣な顔でそう言うと、誰の反応も待たず、リングを右の人差し指にはめた。
    その行動に他の者は騒然。一気にざわめき始めた。
    「貴方、正気? 死ぬかもしれないのよ?」
    叶実は仁和に歩みより、問う。あまり気に触れないよう、優しく。優しく。
    「正気に決まってるわ。そんな地球なんかどでかいもんを、うちが助けられるなんか、スリリングやんか!」
    仁和はにこりと笑ったが、目の奥深くでは、真剣で、本気のように見えた。
    仁和の勇気。へらへら笑っているだけのように見える仁和だが、根はしっかりと持っているようだ。
    それに影響されたのか、次々にリングをはめ出した。
    後は、あの眼鏡男だけである。
    「ねぇ……、お兄さんは付けないの?」
    タジンは、ちょこちょこと眼鏡男に近づくと、俯きながらうじうじと恥ずかしそうに言った。
    眼鏡男に反応はない。まるでタジンがそこにいないかのように無視をし、遠い所を見るような目をした。
  • 35 はーぶ id:Utpwwxq1

    2012-06-21(木) 22:28:50 [削除依頼]
    見に来ました
    頑張れ
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