◆戦争短編集◆47コメント

1 晴嵐(seiran) id:BCeXfJf1

2012-05-17(木) 01:02:50 [削除依頼]
第1編 〜慟哭〜

 ジリジリと鋭い陽射しが照りつける夏空のもと、私達

は直立不動の姿勢でラジオの前に整列していた。正午に

大事な放送があるのだという。


「一体何だろう?」


そう疑問を口に出す同級生達もいたが、私は「静かに!

」と彼女らを制した。


 かつてはラジオから発される一進一退の戦況に一喜一

憂したものだが、私にとってのラジオは空襲警報を発す

るただのスピーカーと成り下がってしまった。どんなに

素晴らしい戦果が挙がっても、どんなに悲愴な玉砕の報

があっても何も感じないのだ。私は自身を異常だと思う

。兄が、そして思い人が戦場にいる今、私は真に彼等の

ことを心配しなければならない。そう思うのに、空腹や

疲労を始めとした生理的欲求以外何も感じなくなってし

まったのだ。
  • 28 二番機 id:ZBQBfnT0

    2012-05-19(土) 22:00:41 [削除依頼]
    この小説を読んでいると、また小説を書きたくなってきました。
    僕も昔キャスで戦争物を書いていたのですが、
    この小説は、それよりも遙かにすんなり入っていけます。羨ましい……。この小説から学ぶものは多そうです。

    更新頑張ってください。
  • 29 晴嵐(seiran) id:bmVkm/11

    2012-05-19(土) 23:27:34 [削除依頼]
    >>28 いやはや、お褒め頂いて嬉しいです。 読みやすいのは一話ごとにテーマを一つに絞って、シンプルに書き上げているからかも知れませんね。 まあ、自分としては歴史背景とか、心情描写とかしっかりと書き込みたいんだけど集中力と技術が伴わない・・・・・・。
  • 30 @ id:yCgONd8.

    2012-07-04(水) 18:08:52 [削除依頼]

    晴嵐さんが書き終わってから、と思ってあまりコメしてませんが、一応いつも覗いているので、頑張って下さい(´・ω・`)

    続きを待っているのです。
  • 31 晴嵐(seiran) id:0RIlXcA/

    2012-07-27(金) 04:08:49 [削除依頼]

     敵の迎撃空域に侵入した頃、海上から一筋の黒煙が登

    っているのが見えた。敵の主力はまだまだ先であるから

    、日本軍機の動向を主力艦隊の外周でレーダー探査する

    駆逐艦が、他隊の攻撃を受けたものと考えられた。これ

    なら・・・・・・、もしかすれば敵レーダーの虚を突いて彼等

    を送り込めるかも知れない。警戒を厳にして洋上を進む




     薄い雲が広がってきた。白い雲の上を飛んでいると上

    空から発見されやすいので雲の下へと降り、雲の下ぎり

    ぎりを飛ぶ。これなら、敵機に襲われてもすぐに雲の中

    へ隠れることが出来るだろう。しかし・・・・・・、それは

    自分や誘導の「彩雲」だけの話で、雲中の盲目飛行や単

    機での洋上航法のおぼつかない彼等にとっては何の関係

    もない話だった。
  • 32 晴嵐(seiran) id:0RIlXcA/

    2012-07-27(金) 04:09:16 [削除依頼]

     雲が薄いせいか、余りにも雲が白く光って眩しく、逆

    に見張りに支障が出ると思って海面近くまで降りようと

    したその時だった。真っ白に光る映画のスクリーンのよ

    うな薄雲にいくつもの黒い影が浮かび上がったのだ。そ

    の影が雲の上を飛ぶ敵迎撃機の影だと気が付いたとき、

    私はとっさに機首の13ミリ機銃を十数発撃って、その発

    砲音で味方に危険を知らせ、彼等に海面すれすれまで高

    度を下げるように指示した。そして、彼等の直接掩護と

    して2機の部下を残し、私は二番機を連れて敵機に向か

    った。


     時間との勝負である。敵は大体の位置をレーダーで掴

    んで、艦隊からの無線指示でここに飛んできたに違いな

    い。雲の上を飛んでいるのは敵側の誘導ミスか何かだろ

    うが、雲の下にいるのがばれるのは時間の問題である。

    ならば、先制攻撃をかけて敵の混乱を誘い、その隙に彼

    等をこの空域から脱出させるしかない。私はエンジンを

    ふかしつつ、敵の影の後方を目指してそっと雲に入った
  • 33 晴嵐(seiran) id:0RIlXcA/

    2012-07-27(金) 04:09:56 [削除依頼]
     そっと雲から機を出すと、前上方に12機の敵機が飛ん

    でいた。こちらには気付いていない。これを天佑と思い

    、エンジンを全開に吹かし、敵編隊の末尾の機を後下方

    から突き上げる。戦端は開かれた。


     スロットルレバーに併設された機銃発射レバーを握り

    込む。機首の13ミリ機銃と、主翼の20ミリ機銃が火を噴

    き、放たれた機銃弾は敵のパイロットの尻あたりに命中

    する。貫通した弾がパイロットに当たったのか、その機

    はぐらっと傾いたかと思うと真っ逆さまに薄い煙を吐き

    ながら白い雲の中に落ちていった。続いて二番機が攻撃

    に移る。先程の私と同じようにして手近な機に機銃弾を

    浴びせかける。


     気付かぬ間に背中から斬りつけられた敵の編隊はざわ

    めき始めた。大抵こういう時米軍機は急降下時の優速を

    活かして離脱にかかる。しかし、それを許さない。腹を

    返して急降下しようとして出来た一瞬の隙に機銃弾を浴

    びせかけ、撃墜は出来ぬまでもとりあえず戦闘不能状態

    に陥らせる。そしてそのまま混乱した敵編隊の中を突っ

    切って隊長機に斬り掛かる。これは確実に撃墜すべし。

    最初の一撃からここまで約5秒間の出来事である。そし

    て、次の5秒を使って逃げにかかる。雲に入ってしまえ

    ば双方共に何も出来ない。
  • 34 晴嵐(seiran) id:0RIlXcA/

    2012-07-27(金) 04:10:32 [削除依頼]

     敵の混乱の間に雲中に逃げ込むとしばらく雲中を飛行

    した。先行させた攻撃隊に追いつくためである。


     しばらく飛んで雲下に降りると味方の編隊を探したが

    見つからない。あれからさらに増速してさらに先行して

    しまっているのか。それとも、自分たちが雲の中を飛ん

    でいる間に追い越してしまったのか。そんなはずはない

    。周囲を警戒しつつ、探索を続けると東の海面すれすれ

    に機影を発見した。米軍機ではないらしい。接近すると

    どうも爆装零戦のようであった。


     その爆装零戦に近付いてその様相を目の当たりにした

    時、私は絶句した。翼には無数の弾痕、エンジンからは

    黒いオイルの筋が流れている。敵の別隊の襲撃を受けた

    のだ。


    「他の機は!?」


    機を並べ、そのパイロットに問うた。チョコレートの彼

    であった。彼は首を振る。「はぐれた」という意味か。

    それとも「全滅」という意味か・・・・・・。
  • 35 晴嵐(seiran) id:0RIlXcA/

    2012-07-27(金) 04:10:53 [削除依頼]
     チョコレートの彼がしきりに何かを訴える。前方を指

    差したり、指をくるくる回して輪を描いたり。どうもエ

    ンジンの調子が良くないらしい。


    「大丈夫か?」


    と彼に問う。彼は首を振る。確かに先程から彼の機の速

    度は落ち始めていた。しかし、「爆弾を捨てろ」とは言

    えなかった。


    この爆弾こそが、彼等の「存在意義」なのだから。
  • 36 晴嵐(seiran) id:0RIlXcA/

    2012-07-27(金) 04:31:43 [削除依頼]

     夕焼けに染まる飛行場の隅に見覚えのある人影があっ
    た。チョコレートの君である。なぜ彼女がここにいるか
    私は考えない。私はそのまま通り過ぎようとしたが、彼
    女に呼び止められた。

    「××××は立派にいきましたか?」

    チョコレートの君は私が彼の護衛に付いたことを知って
    いた。

    「はい、軍人らしい立派な最期でした。」

    彼女は彼の飛び立ったとおり空に目を向ける。

    「見届けてくれたのですね。ありがとうございます。」

    彼女は満面の笑みで私を見送った。私は彼女の目を直視
    できなかった。


    あの笑顔こそが、彼の      だったろうに・・・・・・。
  • 37 晴嵐(seiran) id:0RIlXcA/

    2012-07-27(金) 04:34:51 [削除依頼]
    >>30 忙しくしていて更新できませんでした! ちょっと今回は筆が冴えませんでした。テーマはともかく表現が、詰めが甘くなっているような気がします。
  • 38 @ id:zD5bd.Q0

    2012-07-28(土) 13:48:39 [削除依頼]
    >37 晴嵐(seiran)さん そうだったんですか・・・ お忙しいのに無理を言ってすみませんでした(> <) お疲れ様です、無理はなさらず(´・ω・`) 最後の「    」という空白は、私には「存在意義」という言葉が入るような気がしました。 特攻隊員にスポットライトを当てるのではなく、特攻隊員を送り届ける護衛隊員にそれを当てたんですね。 特攻の人にあるのは「お国の為という犠牲心」と、「その覚悟」なのかな、と思いました。 特攻隊員は敵の戦闘機へ激突したら感じるものはもうありませんが、それを間近で送り届け、間近で見届けた護衛隊員の心中は複雑なものだったんだろうなと思いました。しかも、その見届けた特攻の恋人と思われる女性の笑顔を見た時は、本当にやるせないというか、不思議な罪悪感を抱えていたのではないだろうかと感じました。 ・・・なんか感想の文が拙くて本当にすみません・・・。 今、「言ノ葉理論」のしっかりしたプロットを組み立てながら、文章力を落とさないためにSS投稿の方で「especial space」というスレで簡単な小説を投稿させて頂いています。(α、という名前です)もしよろしかったら暇つぶしにでもどうぞ^^ 本当に暇つぶしで構いません; ではまた、顔をださせて頂きます。 考えさせられる小説をありがとうございました*
  • 39 晴嵐(seiran) id:rXpvnDq/

    2012-07-30(月) 00:07:22 [削除依頼]
    >>38  実は、作中で致命的な大失敗をしていた様です。    爆弾を「捨てる捨てない」くだりで凄く重大なポイントが2つほど伝え切れていないのです。    私のような戦中の文献をそれなりに読んでいる人間ならば気付いたかも知れない、それくらいの説明不足をやらかしてしまったのです。    そして、その2つのポイントに気付いてもらえなかったためにラストシーンの印象がだいぶ違ったものになっているのです。  いやはや、ちょっと書き直す必要がありそうです。Orz
  • 40 @ id:aJoQhJf/

    2012-07-30(月) 13:52:35 [削除依頼]
    >39 晴嵐(seiran)さん そうなんですか? 気付きませんでした(> <) まぁ戦争系の文献を読んでいるわけではないので当たり前と言えば当たり前ですが・・・。 が、頑張って下さい・・・!(´・ω・`) では、またアップされたら読ませて頂きます。 PS. SS投稿への書き込み&感想ありがとうございました。 それから私の宣伝(無茶ぶり)にも応えてくれたことにも感謝してます(> <) 本当にありがとうございました。
  • 41 晴嵐(seiran) id:kdVfKee0

    2012-07-30(月) 23:34:35 [削除依頼]
    「いずれの日にか、国に帰らん」


    これはまだ日本が戦争をしていた頃に話です。私はそ
    の頃、南方戦線の島にいました。もうその頃は補給も途

    絶え、基地も周りに畑を作って何とか飢えを凌いでいま

    した。しかし、日本軍が劣勢になるにつれて米軍の攻撃

    が激しくなりました。敵はよく飛行機でやってきました

    。最初は戦闘機が来てバリバリ機関銃で基地を掃射して

    いきます。動くものがあれば容赦なく撃ってきます。次

    は爆撃機の大編隊による空襲です。爆弾が雨のように降

    ってきて基地やその周りの畑を木っ端微塵にしました。

    それだけでは飽きたらず帰りには機銃掃射をしていきま

    す。それが毎日続くのですからたまったものではありま

    せん。戦死者はうなぎ上りに増えていきました。
  • 42 晴嵐(seiran) id:kdVfKee0

    2012-07-30(月) 23:35:32 [削除依頼]
    そんなある日、事件が起こりました。死んだはずの人

    間が目の前にいるのです。幽霊かと思って足を見ました

    がちゃんと足はついていました。その日から続々と死人

    がどこからともなくよみがえり始めました。はじめは不

    思議でたまりませんでした。が、そのうちに慣れていっ

    てしまいました。その者たちは生前と変わらず話します

    し、畑仕事も手伝ったりしてくれました。しかし、一ヶ

    月ほど経つと、そのものたちは化け物ではないかと思え

    るような行動をとるようになりました。先ず一つ、ある

    日、椰子の実を採りに行ったときのことです。椰子の実

    を採るときに私たちは木に登るか、長い棒でつついて落

    とすのですが彼らは「びよーん」と腕を伸ばして捕った

    のです。絵本で見たろくろ首の首が伸びるようにびよー

    んと伸びて・・・・・・。二つ目に、彼らの目が夜になると赤

    く光っているように見えるのです。まるで中で火が燃え

    ているかのように。歩いていると残像が残ります。私た

    ちはそのうち何とかして彼らを成仏させてやろうと考え

    るようになりました。寺の息子がいたのでお経を読んで

    もらいました。しかし、彼らもお経を唱えだす始末で効

    果はありませんでした。


    そうこうしているうちに彼らの化け物度はどんどんエス

    カレートしていきました。


     一人の見るに見かねた中尉が言いました。


    「戦死者は全員整列!」


    さすがは軍人、一糸乱れず、綺麗な整列をしました。彼

    らに向って中尉は、


    「貴様らに最後の命令を達する。“成仏せよ”!」


    と、言いました。すると、彼らは声を押し殺して泣きは

    じめました。そして、しばらくするとぼろぼろと土くれ

    となってしまいました。その時


    です。通信兵がやってきて何か言います。


    「・・・・・・日本が負けた」


    私たちはその土くれを一人一握りずつ国に持って帰るこ

    とにしました。
  • 43 晴嵐(seiran) id:kdVfKee0

    2012-07-30(月) 23:40:11 [削除依頼]
    「いずれの日にか、国に帰らん」でした。

    これは何年か前に書いたものを手直ししたものです。

    昔書いたものを幾らか読み返してみたのですが、「こんな文章、自分が書いたのか!!」と思うようなのが沢山あって驚きました。
  • 44 @ id:kLKJEWv1

    2012-07-31(火) 09:44:36 [削除依頼]
    晴嵐さんにしてはファンタジックだと思いました。
    というか、今までにない友好的なゾンビですね(笑)

    ひとつ質問なんですが、戦死者が成仏したことと日本が負けたことは何か関係があると思っていいんですか?

    ・・・読解力なくてすみません(> <)
  • 45 晴嵐(seiran) id:34xKByY1

    2012-07-31(火) 16:40:56 [削除依頼]
    >>44 肝心な部分で修正が足りていませんでした……Orz 以下修正 ----------------------------------------------- 「……日本が負けた」 その知らせを聞いたとき、中尉は初めて戦死者たちが「 化け物」となりながらも成仏せずこの世に居座り続けた か理解しました。 彼らは日本に帰りたかったのです。 なのに、中尉は彼らの最期の願いを命令一つで打ち砕い てしまったのです。 彼らはもう、もどりません。 せめても私たちにできたことは、その土くれを一人一握 り国に持ち帰ることでした。 ----------------------------------------------- 以上修正
  • 46 @ id:72A18aN1

    2012-08-02(木) 12:36:18 [削除依頼]

    なるほど・・・。
    持ち帰った土くれを彼らのお墓として祀ったりできたらいいですね。

    修正ありがとうございます(*´・ω・)
  • 47 @ id:JRHKMt/0

    2012-08-03(金) 18:20:14 [削除依頼]

    晴嵐さんが私のスレまで来て更新情報を伝えて下さったので、私もお伝えしときます。

    「言ノ葉理論」改め「@言ノ葉理論」、更新しました。
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