私だけの君、君だけの私8コメント

1 未織 id:nQKKMKM1

2012-05-14(月) 17:33:08 [削除依頼]
貴方に会えて良かったと
心から思うことが出来たなら
それは『恋』なのでしょうか?
貴方とずっと一緒にいたいと
心から思うことが出来たなら
それは『愛』なのでしょうか?

『私だけの君、君だけの私』
  • 2 未織 id:nQKKMKM1

    2012-05-14(月) 18:03:29 [削除依頼]
    0
     ふわり、と心地よい風が吹き、花の香りが周りに漂う。ひらり、とほんわりとピンク色に色づいた花びらが、女の子のふわふわした短い茶色い髪に落ちる。女の子はそれを手にとって花びらと同じ淡い色の唇を緩ませた。
    「やっと咲いたのに、あなたも運がないわね」
    女の子は咲き乱れる桜の木を見上げる。彼女の言葉には誰も答えない。女の子はそっと花びらを撫でてから、ゆっくりと手を離した。
    ふわり、ふわり
    花びらは風に揺られて。
    先日の雨の名残の水溜まりに音もなく落ちた。
    びゆうっ、と強い風が吹いて、花びらは次々と舞い落ちる。風に揺られた髪を押さえながら、女の子はその光景を見つめて。
    次に風が吹いたときには
    彼女の姿はなかった。
  • 3 未織 id:nQKKMKM1

    2012-05-14(月) 18:40:56 [削除依頼]
    1
     ふと、少年は空を見上げた。何かに呼ばれた気がして。しかし白い雲と青い空しか見えるものはなくて。少年は首をかしげた。春になり暖かくなってきた教室は、暖房が入らないため少し肌寒く感じる。1年から2年への進級だったため、新しさへの不安なども少年には全くもってなかった。
     先生がチョークで黒板にカツカツと文字を書いていく。それを生徒達がノートに書き写す音が聞こえてくる。窓側最後の席の少年は、ぼおっ、とその光景を眺めていた。
    変わらない。いつもと変わらない日常。
     授業が終わり休み時間になると皆、それぞれに思い思いのことをはなしだす。
    「なぁなぁ、輝。知ってるか?」
    前の席の元気な男の子は、少年『輝』に話しかける。にかっ、と笑ったその顔は親しみやすさを感じさせる。輝はさして興味なく、何を? と聞き返した。
    「この近くにものずっごく可愛い子がいるんだってさ。」
    輝はふーん、と適当に返す。すると男の子はムッ、としたようで少し眉を寄せた。
    「お前、信じてないだろ?」
    疑いの眼を向ける雄太の顔をちらっ、と見てから、ふうっとため息をついた。
    「別に。雄太のこと信じてないわけじゃないけど。」
    けど、何だ? と言った風に雄太は輝を見つめた。輝は酷く億劫そうに口を開いた。
    「俺は特に興味ないから。そういうの。」
    「ふーん、仮にも『王子様』と呼ばれるお前がそういうこといいますか。」
    雄太は呆れたように輝の顔を見つめた。黒い瞳が雄太を一直線に見つめる。
    「……一度もそんな風になりたいなんて、思ったことないし。多分、これからもそうだ」
    雄太はへぇ、と感嘆を漏らしてちらり、と女子達の様子をうかがった。
    聞き耳をたてている女子がほとんどだろう。教室内のみの女子ではなく、廊下にいる女子も多分、そうだろう。
    「そういうとこがもてんだろうなぁ……」
    雄太はこっそりと小さく呟いた。
  • 4 未織 id:nQKKMKM1

    2012-05-14(月) 18:58:46 [削除依頼]
     全ての授業の終わりの鐘が鳴り、ガタガタと慌ただしくクラスメイトが動きだした。
    「? おい、雄太。お前、部活じゃねぇのか?」
    輝の近くから動かない雄太を不審に思って、輝は雄太に鞄の整理をしながら訪ねた。
    「あれ? 言ってなかったっけ? 今日は休みだよ」
    輝は鞄を整理し終わって、ふーん、と言いながらそれを持ち上げた時。
    雄太はガッシリと輝の右手首を握った。輝はとっさに振り払おうとしたが、強く握られていて離すことが出来なかった。
    「この、運動バカが……」
    輝の小さな小言に雄太はにっこり、と幸せそうな顔を浮かべた。
    「だってこうでもしないとついてきてくれないじゃん。」
    雄太はさぁ、れっつごー、と言って輝を無理矢理引っ張って行った。

     
  • 5 未織 id:nQKKMKM1

    2012-05-14(月) 19:14:07 [削除依頼]
     その後、離せと言う抗議には雄太は一切口を聞いてくれなかった。ニコニコしながら、いやニヤニヤしながらといった方が正しいのか……雄太はすたすたと歩いて行く。
    「お前、どこ連れてく気だよ?」
    輝は雄太の手を離すことを諦めて、そう訪ねると雄太は輝の方を振り返って、分からないの? と言うように呆れた顔をされた。
    「だからぁ、噂の彼女の元。」
    「興味ねぇっていってんだろ?」
    輝がそう言うと、雄太は
    「輝が興味なくても、俺はあるの。」
    と言う。輝は諦めてはいはい、と呟いて雄太のなすがままになった。

     雄太の足が止まったのは、とある庭の前だった。大きな桜の木が二人を歓迎しているように見える。その周りに咲き乱れる花たちは色々な香りを漂わせていた。その中にどっしりとたたずむ家。
    「大きな家だな……」
    雄太は感嘆と共にそんな言葉を口から出した。まるでおとぎ話のお城のような。そんな大きくて綺麗な家だった。
  • 6 未織 id:nQKKMKM1

    2012-05-14(月) 19:47:57 [削除依頼]
     輝がその光景に見とれていると、雄太が動きはじめた。それに輝が気づいたのはキィ、と音がした後だった。
    輝がその音の方を見ると、雄太は庭の入り口らしさ柵を開いていた。
    「おい、輝。こっから入れるぜ。」
    輝はほとほと呆れて口を開く。
    「あのなぁ、雄大。不法侵入は……」「あら? 不法侵入かしら。」
    綺麗に響く鈴のような音が聞こえた。二人はその声に驚いて声の主を見た。
    短い茶色のふわふわした髪。化粧っ気のない綺麗な顔。おしゃれに全く興味が無さそうな、春先にはまだ寒いであろうキャミソールにデニム素材のミニスボンをきた女の子だった。
    「あ、え、と……」
    雄太は女の子のしばみ色の瞳に見つめられて、言葉を失った。
    「犯罪だとわかってるわよね?」
    輝達と同じくらいの年頃だろう彼女は少し大人に見えた。彼女は全く自分を着飾ったりしないものだから。
    「はい……」
    雄太はうつむいて呟くように言った。
    「なら、いいわ。で? 貴方達は何でこんなところにいるの?」
    雄太はその質問に言葉を濁らせた。仕方なく輝は口を開く。
    「こいつが……あんたに会いたいって言うから。」
    女の子はその言葉に目を見開いて、意地悪そうに笑った。
    「へぇ、で。どうだったのかしら? 私は。ご期待に添えた?」
    雄太はその言葉に顔をぐいっとあげて。いっぱい息を吸って言った。
    「素敵です!! 可愛らしいです!!」
    輝は若干その言葉に引いたが、女の子はふっと笑って。
    「あははははははははっ!!」
    大笑いした。
    「面白いわね、あなたたち。お茶でもどう? もっと話してみたいわ」
  • 7 未織 id:nQKKMKM1

    2012-05-14(月) 20:04:06 [削除依頼]
     連れていかれたのは大きなテラス。チューリップの花や睡蓮の花など様々な花が目を楽しませて、香りを漂わせていた。
     輝達は椅子に座ると、女の子は丁寧に優雅に紅茶を入れ始めた。
    にゃあ……と声がして輝は足元を見た。黒猫だ。不吉の象徴といわれているが、輝にすりよってくる猫はとても愛らしくて。輝は手で撫でてやった。猫は嬉しそうに鳴く。
    「アニス、嬉しそうね。」
    「アニスっていうんだ。この猫。」
    雄太はそれを聞いて猫を触ろうとしたが、アニスに思いっきり威嚇された。
    「なんだよぉ、アニスちゃ〜ん……」
    女の子は紅茶を入れ終えたようで、輝達にカップを差し出して、バスケットに入ったクッキーを持ってきた。
    「アニスは人にはあまりなつかないのよ。」
    そういいながら女の子は椅子に座った。
    輝が撫でていると、にゃおとまた鳴いて、女の子の膝の上で居眠りを始めた。
    「俺にはなつかないのに……どうして輝にはなつくんだぁ……」
    アニスはそんな雄太の泣き言は聞かずにただ眠りこけるだけだった。
  • 8 未織 id:GZf/1z40

    2012-05-15(火) 16:50:21 [削除依頼]
     甘い香りがカップから漂ってくる。輝はそれを手に取り、口元でゆっくりと傾けた。
    「美味しい……」
    女の子はそれを聞いて、嬉しそうに笑う。
    「お褒めいただいて光栄だわ、『輝』君。」
    輝はそれを聞いて、少し驚いた。なんで名前を知っているんだと目で訴える。女の子はそれを察したのかばつの悪そうに口を開いた。
    「そりゃ、家の前で騒がれたら気にもなるわよ。だから……聞き耳たてたの。」
    雄太はクッキーを口の中にひょい、と入れてなんとも形容しがたいような顔をする。嬉しそうな。まさに今にも天にのぼりそうな。
    「ふふっ、面白いわね。『雄太』君は。」
    輝はそんな雄太に呆れて、女の子を見た。女の子はその目線に気がついて輝を向き、少し首をかしげた。
    「そういや、あんたの名前は?」
    女の子はそれを聞いて一瞬ぽかんとしたあと、今までで一番楽しそうにふふふっと笑った。
    「私だけ言わないのはフェアじゃないわよね。私の名前は……」
    その時、一際強い風が吹いて彼女の髪を揺らして、桜の花びらが舞い散った。それと同じ淡い色の唇が音を紡ぐ。
    「『奈月』。私の名前は奈月よ。」
    その時の彼女はふわり、と今までで一番美しい顔で笑って見せた。
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