正義と悪、どちらも絶対は存在しない。32コメント

1 R6 id:gr5sF2I/

2012-05-13(日) 22:38:49 [削除依頼]
「なんですか。ちょっと離してください」
日は傾き始めていた。
とある大型デパートの地下駐車場にて
笹原芽衣(ささはらめい)は三人組の男に絡まれていた。
「離してはないっしょ。こっちはただ、少し遊ばないかって聞いてるだけだろ」
「嘘!いま私の腰、触ったじゃないですかっ」
彼女の声は薄暗い駐車場内によく響く。
相手の男たちは見た目、二十歳にいっているかギリギリのところだ。
高校二年生にあたる芽衣と彼らでは体格の違いなどから
力の強さなど一目瞭然だ。
  • 13 R6 id:IjJYLar1

    2012-05-14(月) 21:56:10 [削除依頼]
    有り難うございます。
  • 14 R6 id:IjJYLar1

    2012-05-14(月) 23:24:10 [削除依頼]
    「・・・・・・」
    芽衣には誠弥が何か呟いたように見えた。

    「ど、どうなってんだ……」
    数テンポ遅れて男は声を上げる
    「なにやってんだ、お前がやったのか?」
    当然の疑問だ。
    しかし、本当は男も分かっていた。いまそこに佇んでいる少年こそが
    この現状を作り上げた張本人だということが。
    それでも信じられない。
    数秒、たった数秒前までリンチにされていたんだ。

    それを一瞬でこの有り様にしたというのか。
  • 15 R6 id:IjJYLar1

    2012-05-14(月) 23:48:46 [削除依頼]
    「さきにやったのはお前たちだろ。売り喧嘩に買い喧嘩てことだ」
    誠弥は男に近づいてくる。
    着ている制服こそ所々破れたりはしているが
    身体への傷はまったくない。
    「ちょ、待てよ。分かった謝る。悪かったって!」
    男は芽衣の腕を離し、降参のポーズをとる。
    「ホントっマジですみません!」
    「………。」
    誠弥はここで初めて戸惑いの表情をした。
    「え、謝るの?どうしよ」
    「なんでそこで考えちゃうの!?」
    芽衣は思わずツッコミをいれてしまった。
    「あなた、たくさん殴られたんだよ!?こいつら私を拉致ろうとしたんだよ!?」
    絶対許したら駄目!と言葉をつなぐ。
  • 16 R6 id:G.qTJbg.

    2012-05-15(火) 20:57:47 [削除依頼]
    「………いいじゃないか。君は謝っている人を許してあげるくらいの優しさもないのか」
    誠弥は軽蔑の目線を芽衣に向ける。


    なんでだろう。何でこの状況で自分が非難されなきゃいけないんだ。
    「優しさって………何言ってるの?」
    「彼は謝っているんだよ。許してあげようよ」
    芽衣はやっと理解した。この少年はおかしい。
    芽衣の立場からすれば、自分にナイフを向け車に乗せようとしてきた男たちを許せるわけがない。
    せめて、パンチの一発でもお見舞いしてから警察に突き出してやりたい。
    なのに、この少年といったら、
    謝ったから許してあげよう、だと?
    おもいっきり価値観というものがズレている。
    それに彼自身も男たちに理不尽な暴力を受けたというのに、
    それをたった一言謝られたくらいで許してしまうのか。
    心が広い、とかそういった話ではない。

    男を前にして単にビビっているという線も考えたが
    この圧倒的に有利な立場でそれはありえない。
  • 17 R6 id:wyxpF541

    2012-05-17(木) 14:44:31 [削除依頼]
    「さ、じゃあもうこの事は終わったってことでいいよね。お前も家に帰ったら紙に今日したことの反省文くらいは書いとけよ」
    そう男を指さして、誠弥は立ち去ろうとする。
    その至極アッサリとした態度に
    ちょっと待って、と声をかけたのは芽衣…………ではなかった。
    「馬鹿がっ!まだ終わってねぇんだよ、相手に背中見せるって頭悪すぎだろ!」
    叫ぶや否や、男はナイフを持っている方の手を誠弥の背中に突き出した。
    ドッ、という低い衝撃音。

    ・・・・・・・・・・・・・
    ナイフは空を切った。
    しかし、誠弥の拳はしっかりと男の顔面にめり込んでいた。

    芽衣にはこの瞬間に何が起こったのか分かっていた。
    男がナイフを突き出した直後、誠弥は背中を向けたままバックステップをした。
    男を直視もせず、ナイフをかわし、なおかつ間合いをギリギリまでに詰めた誠弥は
    そのまま、力任せに男を殴りつけたのだった。
  • 18 R6 id:wyxpF541

    2012-05-17(木) 15:06:54 [削除依頼]
    なんという芸当だろう。
    相手がナイフを持っているというのに、この動き。
    男は4mほど吹っ飛んだ。
    それでもまだ勢いを消しきれず、しばらく地面を引きずった後、ようやく停止した。
    男は仲間同様、意識はとんでいた。
    芽衣が、人が殴られて宙を舞うところを見たのはこれが初めての経験だった。
    自分の中で、すさまじい、と感動に似た気持ちが湧いていることに気づいた。
    誠弥はふぅ、とため息をついている。
    「………僕はどうやら君に謝らなきゃいけない。君が正しかったんだ。僕は間違っていた……」
    へっ?何をいきなり?
    「あ、いや。その男を許す許さないの話し。君の言う通りだった、そいつは謝ったけど全然反省してなかったみたいだ」
    ここで、なんで気付かないの!だってそいつ都合良すぎたじゃん!というツッコミを芽衣はしなかった。
  • 19 R6 id:wyxpF541

    2012-05-17(木) 23:44:49 [削除依頼]
    そうだね、とだけ答えておいた。

    「とりあえず正義執行したってことで許してくれる?」
    誠弥はそんなことを言った。
    この後に及んでまだ男たちのことを気にかけているようだ。
    正義執行。
    ああ、と芽衣はさっき上手く聞き取れなかった誠弥の言葉が分かった気がした。


    その後、とりあえず二人はその場から離れることにした。
    辺りはすっかり日が沈んで暗くなっていた。
    誠弥は一人でどこかに行こうとしたが、芽衣がそれを引き止めた。
    止めた本人にもそれがなぜだかは分からなかった。
    本当になんとなくだった。

    二人はしばらく歩いて、なるべく人影の少ない公園を探し、そこに腰を落ち着かせていた。
  • 20 R6 id:BZ2prrk0

    2012-05-18(金) 00:04:16 [削除依頼]
    「なあ、僕早く帰らないと親に怒られるんだけど。」
    何か、言わないといけない。
    言うべきことは分かっている。
    でもなんでだろう、その言葉をこの少年に言うのがとても恥ずかしいと感じてしまう。
    「…………………あ、……りがとぅ」
    「は?何?」
    「………っ、だから、ありがとう。」
    芽衣の顔が紅潮するのを感じる。
    「あ、そーゆうことね。………まって、もしかして、それ言うためだけに僕をここまで連れてきたのか?」
    コクンと頷く。
    「そんなの、別にいいんだよ。僕は何か見返りを求めていたわけじゃないんだから。それにお礼だけってなら、その場で言えば良かっただろ?」
    「そ、それはそうだけどっ私だってあの時は気が動転していてっ、あまりよく考えなかったの!」
  • 21 R6 id:BZ2prrk0

    2012-05-18(金) 17:53:18 [削除依頼]
    「そうか、そりゃそうだよな。誰だってあんな事あったら、怖くて気が変になるよな」
    てっきり、からかわれると思っていたが誠弥はそれに同情を示したのだ。
    「よし、もういいだろ。僕の家、本当に門限が厳しいんだ」
    しかし、誠弥はどうやら本当に帰りたくてたまらないらしい。

    あ、彼が帰ってしまう。
    芽衣のその感情は孤独感に似ていた。
    なんだろう。なんでだろう。
    ここで彼を呼び止めなければ、もう彼には会えないような気がした。
    芽衣にはなぜだかそれが無性に寂しかった。
    でも、呼び止めるにしても何も理由が思いつかない。
    彼はその間にもドンドン離れていってしまう。
    考えるんだ、何か思いつけ。
    何か声に出さないといけないのに。

    「あ、そういえば。」
    彼はふと、何かを思いついたらしくその場に立ち止まった。
    「あの、すごく言いにくいんだけどさ………さっきの件で僕、車壊しちゃったんだ。」
    それは知っている。
    男を二人車のフロントに突っ込ませていた。
    もちろん、車は派手に破壊されていた。
    「その、だから僕は必然的にあの車の修理代を払わないといけないだろ。でも僕の手持ちだけじゃ到底足りないんだよ」
    だから、と強く芽衣を見つめる。
  • 22 R6 id:BZ2prrk0

    2012-05-18(金) 17:59:24 [削除依頼]
    「お金を貸して下さい!」
    誠弥は勢いよく頭を下げた。
    「・・・・・・・・・。」

    それが、のちに自分を絶対正義と名乗る少年、枷上誠弥と
    彼に危機から救われた少女、笹原芽衣との出逢いだった。
  • 23 R6 id:DXbJfQA.

    2012-08-15(水) 17:23:08 [削除依頼]
    久しぶりにやります。
    第二章ということで。
  • 24 R6 id:DXbJfQA.

    2012-08-15(水) 17:36:58 [削除依頼]
    櫃垣公次郎(ひつかきこうじろう)は虫を潰すのが好きだった。
    虫が嫌いというわけではない、むしろ今年で21年目の夏を迎えるというのに
    かぶと虫を採りに行くくらい虫が好きだ。
    しかし、そんな虫好きと虫潰しは話が別だ。
    例えば、公次郎が長年欲しかったスクーターを貯金でやっと買うことができたとする。

    そんな時、無性に虫が潰したくなる。つまりは機嫌の良いとき、
    彼は虫を潰すのだ。
  • 25 R6 id:DXbJfQA.

    2012-08-15(水) 17:47:43 [削除依頼]
    殺虫剤を使うのは外道だ、というのが彼の持論だ。
    かわって、潰す虫の種類は何でも良い。
    一番多いのが蟻(アリ)だ。
    蟻は小さくて何処にでもいるから好きなときに潰せる。

    そんな彼は今日もはりきって潰そうと、住まいであるアパートから徒歩10分の公園まで来ていた。
    休日なので先客に子供たちがわんさか居た。
  • 26 R6 id:DXbJfQA.

    2012-08-15(水) 17:58:59 [削除依頼]
    滑り台や、シーソーの影になっているところをじっくりと探す。
    お、見つけた。
    ピンセットで蟻を一匹挟んで、持ってきた虫かごに入れる。
    その蟻の居た場所を念入りに捜索して巣も発見することに成功した。
    巣に忙しく出入りを繰り返している蟻たちを次々に虫かごに放り込む。
    「うん、これくらいでいいか。今日は大漁だな」
    さっそく家に帰って、ビールを片手に潰したら
    それは至福の時だな。と自然、顔がほころぶ。
  • 27 R6 id:DXbJfQA.

    2012-08-15(水) 18:26:20 [削除依頼]
    「ねぇ、おじさん何してるの?」
    突然、後ろから声をかけられびっくりする。
    振り向くと、そこには小学生にして少し大きく、中学生にしてはまだ成長が足りないような、
    そんな曖昧な年齢層の少女が居た。
    「…あ、……えっ何?」
    自分でも恥じたくなるような間抜けな返答。
    「いや、おじさん、毎週ココ来てるよね。なんか、いっつも虫捕まえてるみたいだし」
    虫好きなの、と少女は続けた。
    「え……いや、まぁ好きなんだよ」
    「へぇーっ、蟻ばっか好きなの?」
    「う?……あ、まぁね。何処にでも居るからね」
    と、そこで思う。
    この少女はいつから俺を見ていた。
    確かに、公園にはたくさんの子供たちが居る。
    毎週公園には通っているから少なからず子供たちの顔は覚えてしまっている。
    知らない子がいれば、分かるつもりでいるくらいだ。

    しかし、この少女はーーー。
    間違いない、全く知らない。なのに少女の方は俺を知っているのか。
    まぁ……公園の外から俺を見かけたとか、
    俺が虫採りに熱中してる時に見かけたとすれば
    頷けるものだが。
  • 28 R6 id:5Q.sUy/1

    2012-08-16(木) 01:06:52 [削除依頼]
    コメント頂けると、嬉しくて頑張れます。
  • 29 R6 id:5Q.sUy/1

    2012-08-16(木) 01:16:02 [削除依頼]
    コメントとか頂けると
    嬉しいです。
  • 30 R6 id:5Q.sUy/1

    2012-08-16(木) 12:18:23 [削除依頼]
    「あ、じゃあこれで……」
    気味を悪さが拭えない少女だ、関わるのはよそうというのが公次郎の出した結論だった。
    さっさとその場を離れようとする公次郎に
    少女は、あ、ついでに。とでもいうように呼びかけた。
    「そのコたち、また潰すんだよね。だったら私の分も残しといてよ」

    ーーー気味悪さは確信に変わった。こいつには俺の行動が知られてしまってる。
    公次郎は自分が、自分の嗜好が周りとズレてしまっていることを知っていた。
    友人に虫を潰す奴は一人もいない。
    だから、隠してきた。周りに上手くとけ込めるように。
    それゆえに今みたいな自分の異質性が誰かにバレることは絶対に避けなきゃいけない。

    言葉を紡いで声にしろ。
    「なに、言ってんの。蟻は好きなんだよ。家に帰ったら餌もあげて巣も用意してしっかり面倒を見るんだ。潰すとか、蟻愛好家の俺に対して失礼だぞ」
    公次郎は、蟻の巣は蟻が作るものではなく売っているかぶと虫の木みたいな感覚で買えるものだと思っていた。
    蟻愛好家にしては知識があまりにも無いが、冷静な返答ができていた。
    心中、自分を褒めてやる。
    少し熱く語ったのはマイナスだが「蟻愛好家」の俺は蟻に関してはムキになるんだと、考えた。
  • 31 R6 id:5Q.sUy/1

    2012-08-16(木) 17:15:40 [削除依頼]
    「蟻愛好家?ぷっ何それ。あー、いいんだよ。ごまかさなくても。私知ってるから、おじさんが家で虫プチップチッやってること」
    いま、気づいた。この少女には声の抑揚が全くと言っていいほど無い。
    まるで決められた台本をただ読み上げているだけのようだ。
    そう、棒読みだ。無感情なセリフ。
    顔が常にニコニコとしているぶん、その違和感がよりきわだっている。
    ただ、いまはそれよりも
    「な……んで、そんなこと言うんだい?」
    そう、ここだ。これこそが問題だ。
    何で俺の趣味を知っている。と漫画みたいにボロを出すことはしない。
    慎重にだ。用心深く探れ。
    相手は少なくとも自分よりかは子供だ、俺の嗜好がバレていたとしても
    「ははは、それは君の勘違いだよ。なんてったって、おじさん……もとい、お兄さんは蟻愛好家なんだから」
    と言ってしまえば上手く騙せるかもしれない。

    蟻愛好家という部分も肯定してしまうと
    それはそれで間違いなく奇異な目で見られるはずなのだが、
    そこまで気が回らないほどに公次郎は焦っていたのだ。
  • 32 R6 id:6xs33Nu1

    2012-09-19(水) 21:36:12 [削除依頼]
    さて、久しぶりに始めましょう。
    厨二病と誰が言いました。
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