The end of this world17コメント

1 由梨 id:AjbP0/N1

2012-05-06(日) 13:51:00 [削除依頼]



「……もう、終わったんだよ」
  • 2 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 13:58:06 [削除依頼]




    彼女の口癖、


    「だって、もう、終わったから」


    「何が、終わったんだよ?」


    毎度俺が聞くと、彼女は愛想笑いを浮かべて言った。


    「世界が」
  • 3 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:03:43 [削除依頼]

    彼女はおかしい。
    外見ではなく、内面的に。
    内面と違い、彼女の外見はかなり良い方だ。艶のある長い髪に人形の様に整った顔。そして、何時も浮かべている愛想笑い。全体的に好感度は高い方だろう。


    「三崎さん、また休みー?」


    教室に行くと、あまり喋らないクラスメイトが俺に聞いて来た。
    理由は簡単。
    俺は何時も彼女といるからだ。
    クラスメイトの奴等はきっと『アイツは三崎さんの彼氏』だと思っている。

    付き合っているつもりはないが、否定はしない。
    別に周囲に付き合っていると思われても良い。
    恐らく、向こうもそうだろう。

    俺等はその程度の関係だった。
  • 4 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:07:23 [削除依頼]

    彼女のズレを見たのはつい2週間ほど前だ。

    誰もいない放課後の教室で、彼女は窓際の方に立っていてボーと下の中庭を見下ろしていた。


    「ね、終わっちゃったね」


    振り返りもせずに言った彼女の言葉は誰に言ったのか。

    それは後ろで無言でいる俺なのか、
    下の中庭にいる生徒なのか、
    それとも、ただの独り言なのか。

    それから、5秒後。
    俺だと分かる行動があった。


    「みーくんって、呼ばれてるんでしょう?」


    振り返り、彼女は“ちゃんと”俺を見て言ったのだ。
  • 5 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:10:57 [削除依頼]


    「わたしも、みーくんって呼んでも良い、ですか?」


    顔色が悪いレベルにまだ達してはいないが、彼女の顔色は少し普通よりも白い。
    それが何処か儚げで、弱弱しく感じられて。
    目の前の彼女は今にも倒れてしまいそうに見えた。


    「あの、聞いて、る?」


    「ああ。聞いてる」


    「みーくん」


    「俺、そんなにその呼び方、好きじゃないんだけど」


    「でも、皆、呼んでるよね」


    「呼んでるだけだ」


    「そっか」


    彼女は黙り込む。
  • 6 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:14:38 [削除依頼]


    裏切りと沈黙を嫌う俺だから、勿論この沈黙には何らかの対処をする。


    「あのさ」


    そう話し掛けて見ると、ビクリと彼女は肩を振るわせた。

    結構、見た目と同じで弱いのだろう。


    「何?」


    「さっきの、終わっちゃったねって、如何言う意味?」


    「みーくんに言ったんだよ」


    「だから、みーくんって呼ぶなって。俺、許可してねーし」


    「じゃあ、なんて呼ぶの?」


    「……」


    「ほら、みーくんでしょう」


    勝負もしてないのに。彼女は勝ち誇ったかの様な笑みを浮かべて大きく胸を張った。
  • 7 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:19:48 [削除依頼]


    「で?如何言う意味?」


    「世界が、終わっちゃったね、って意味」


    何かの小説の架空世界の事だろうか。
    生憎俺はそう言うのには何の関心も興味もないから疎い。


    「この世界が、終わっちゃったねって事」


    「悪い、三崎さん、俺には分からない」


    「なら、」


    まだ彼女は諦めないらしい。


    「世界が、終わっちゃえば良いって、思った事ある?」


    「……ある」


    「だったら、分かるはず、だよ。わたしの言ってる事」


    分かるわけない。

    もう如何でも良くなってきた。

    俺は帰ろうと踵を返そうとした時だ。


    「また、明日ね。みーくん」


    俺は大きく驚く。

    だって、俺等はまだそんなに仲の良い関係ではなかったからだ。

    クラスメイトだけど、バイバイとか、言い合った事なんかない、そんな関係だったのに。


    彼女は意外に積極的で友好的だった。
  • 8 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:21:29 [削除依頼]




    そして、現在(いま)。

    段々と彼女の口癖の意味が分かってきた。


    『終わっちゃった』


    世界が終わった。


    如何見ても、終わってない。


    それはきっと、あれだ。


    終わって欲しいのだ。彼女は。
  • 9 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:25:00 [削除依頼]



    「おい」


    その日の放課後。

    帰ろうとしていると、担任の教師によって止められる。


    別に何も悪い事はしていない(つもりだ)。


    引き止められる理由がなかった。


    「三崎の事なんだが」


    なんだ。アイツの事か。


    「無断欠席だったんだが、何か知らないか?」


    「如何して俺に聞くんですか?」


    「お前は三崎の友達だろう?」


    教師は『アイツは三崎の友達』と思っているらしい。

    これも違うが、否定はしない。


    「そうですね。でも、分からないです」


    「そうか」


    「あまり気に掛ける必要ないと思いますけど。アイツ、よく休んでるじゃないですか」


    「そうだな。引き止めて悪かった。じゃ」


    教師は俺から離れていく。

    俺も軽く一礼して、その場から離れた。
  • 10 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:27:36 [削除依頼]


    翌日、昨日の欠席理由を予鈴10分前に来ていた彼女に聞いてみる事にした。


    「なあ、昨日、何で無断欠席してたんだ?」


    「知りたいの?」


    「先生が聞いて来たんだよ」


    「みーくんに?」


    「ああ」


    「そう。それはごめん。迷惑、掛けた」


    そんな事ない。

    否定すると、彼女はまだ申し訳なさそうに、


    「ごめん」


    と謝った。


    彼女の罪悪感は人よりも良く感じるらしい。
  • 11 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:30:32 [削除依頼]

    「別に風邪引いてたわけじゃないんだよ?けど、ちょっと、その、行く気がなかったと言うか。ほら、よく朝にあるでしょう?今日、学校、行きたくないなーって事」


    ある事はあったから、ないとは言わない。


    「要するにそれが引き起こったんだよ。五月病みたいなあれだよ」


    「あっそ」


    「せっかく話したのに、素っ気ない返事だね」


    「気にするな」


    「みーくんは素っ気ないね、全体的に」


    「悪いのかよ」


    「特に。支障とか何もないから良いんじゃない?」


    話を全部言い切って、彼女は窓の方に視線を向けた。
  • 12 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:37:41 [削除依頼]

    つい2日ほど前の事だ。
    ホームルームで、彼女と席が隣になった。
    だからこうしている今も、彼女は隣にいる。
    くじ引き制で偶然だったけども、凄い確率だ。


    「ふあー」


    ガンッ


    隣を見ると、彼女が机に突っ伏していた。

    睡眠不足、なのか?


    「眠いよ、みーくん」


    「よく考えたら、みーくんって言うの定着してきたな」


    「ははは、今更」


    「今からでも遅くない。ちゃんと名字で君付けにしないか?」


    「嫌だよ。みーくんはみーくんだよ」


    意味分からねーよ。

    俺は溜め息を吐く。

    こんな雑談してる今も授業中だ。
    ちょくちょく、教壇の教師が俺等を見てくる。


    「逆にわたしの事、なんて呼んでるの?」


    「俺がか?」


    「そう。だいぶ前は三崎さんだったよね」


    「三崎さんだろ。だったら、お前の名前は何だよ」


    「……三崎、だけど」


    「それか呼び捨てしろと?」


    「やっぱ良い。三崎さんで。わたしはみーくんで君付けだしね。ちゃんとつりあってるもんね」


    「そこの二人っ」


    聞こえたのは教師の声。


    その後、俺等は廊下に立たされた。
  • 13 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:43:11 [削除依頼]


    「お前のせいだからな」


    「何で?」


    「お前が話し掛けて来るからだろ」


    俺は廊下で再度溜め息を吐く。

    授業終了まで30分。
    30分立ち続けるのは疲れる。


    「みーくんだって悪いよね。わたしにいちいち返事するから」


    「俺が悪いのかよ」


    「まあ、五分五分って事で」


    くすりと、彼女は笑う。

    立たされてるって言うのに嬉しそうだ。


    「そう言えば、みーくん。前からずっと思ってたんだけど」


    「何だよ」


    「みーくん、友達いないの?」


    グサッ


    と来た。


    かなり痛い。今のは。

    コイツの何気ない言葉が酷く心に突き刺さる。

    ダメージが物凄い。


    「止めてくれ。何も言うな」


    「って事はいないんだよね」


    「煩いっ」


    「リア充になろうと思わないの?」


    「まさかお前の口からその言葉が聞けたとはな」


    「意外にわたしは言葉に詳しいんだよ」


    如何だか。


    「ちなみにわたしはちゃんと友達いるよ」


    「何処がだ。見た事ねーぞ」


    「しょうがないよ。違うクラスだから」


    いまいち、信じられないが。
  • 14 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:49:31 [削除依頼]


    「みーくん、30分って言うのは長いものだね」


    「そうだな」


    「はあ、もう限界」


    彼女はズルズルと壁に背中を滑らせて地面に座り込んだ。

    そんなのありかよ。

    一瞬俺もしてやろうかと思ったが、急に教師が来たらあれなので止めた。


    「みーくん、しりとりしよう」


    「急だな」


    「りんご」


    「ごん」


    「終わっちゃった」


    「はい、終了。さよなら」


    腕を組んで、俺は壁に凭れ掛かる。

    この体勢なら、寝れそうだ。

    俺は目を閉じた。


    「よくこの状況で寝ようと思ったね」


    「……」


    「無視は辛いよ。泣いちゃうよ」


    「……」


    「分かったよ。死んじゃうんだからね」


    カラカラカラッ


    この音……廊下の窓を開ける音か?

    だったら……。


    俺は目を開ける。


    「ちょっ……三崎っ」


    何とか窓から飛び降りようとする三崎の腕を掴む。


    「離してよ。飛び降りるんだから」


    「理屈がおかしい」


    「だって、みーくん、構ってくれない」


    「分かった、分かりました。ちゃんと構うから」


    「ありがとう」


    ったく、何なんだよ。
  • 15 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:53:20 [削除依頼]




    見た目の良い彼女は多くの人が好感を持ち、人によったら慕う奴もいたりするわけだが。

    ただ一人だけ。
    彼女を良く思わない奴がいる。


    「みーくんっ!!」


    俺の幼馴染だ。


    「またあの人と一緒にいて……全く、何やってるのよ」


    「一緒って言ったって、俺、アイツの隣の席だ」


    「知らないわよ。だったら、喋らないでよ。あの人と一線を置いて」


    「何で?」


    「あたし、あの人が嫌いなの。だから、みーくんに近づけさせたくない」
  • 16 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 14:59:47 [削除依頼]

    「如何したの?凄い大きな声が廊下からしてたけど。確か、みーくんの幼馴染さんの声だよね、あれ」


    教室に戻ると、昼食を食べ終えた彼女が笑っていた。


    「みーくんの幼馴染さんは面白いよね」


    「ななせだろ」


    「そうそう。ななせさん。あ、でも、そう呼んだら、怒っちゃってたし。ね、ななせさんの名字は?」


    「御厨」


    「御厨ななせさんか。変わってるね、御厨なんて」


    「そう言うな。それほど変わってねーよ」


    「御厨さん、わたしの事、めちゃくちゃ嫌いだよね」


    「そうだな」


    「何でだろう」


    知らねーよ。俺が聞きたいくらいだ。


    「御厨さんと友達になったら、さぞ楽しい事か」


    「だから、お前は嫌われてるだろ」


    「そうだけど。なりたいとは思うな。ほら、わたし、友好的でしょう?」


    自分で言うのか。


    「平和主義でもあるし、あまり争い事にはなって欲しくないんだよね」


    「だったら、本人に聞けよ。わたしの何処が嫌いなんですかって」


    「……分かった。聞いてみる――って言うか、聞きに行って来るね」


    今から?


    「行って来ます」


    彼女はあっさりと教室から出て行った。
  • 17 由梨 id:AjbP0/N1

    2012-05-06(日) 15:04:16 [削除依頼]

    数分後。
    彼女が戻ってくる。
    絶対に嫌な事をななせから言われたはずなのに彼女は相変わらず笑みを浮かべていて、楽しそうだった。


    「で、なんて?」


    「聞いたんだけど、そうしたら、」


    彼女は椅子に座り言った。


    「あなたのそう言う所が嫌いなのよ、って言ってたよ」


    「言いそうだな」


    「結局、分からなかったんだけど。みーくん、幼馴染何だし、分からない?御厨さんがわたしを嫌う理由」


    「だから、知らねーって」


    「……迷宮入りだね」


    くすくすと彼女は笑う。


    「あ、みーくんは人から嫌われた事とかあったりする?」


    「ねーよ」


    「ふーん。そっか」


    キンコンカンコーンッ


    予鈴が鳴った。


    「みーくんみーくん、次、移動だよ。行こ行こ」


    急かされて、渋々俺は机の上に教科書を出す。


    それより、コイツ……。


    「何?人の顔、ジッと見ちゃって」


    嘘吐いたのに、何で信じたんだ?


    「別に何でもない」
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