召喚士と流浪人、22コメント

1 初音 id:/h33.Nb/

2012-05-02(水) 09:27:20 [削除依頼]


「世界を救うということは、僕を今、この場で殺すということです」
  • 3 響香 id:IJFr0690

    2012-05-03(木) 08:52:05 [削除依頼]

     初めてコメントします!
     響香、て言う者です*

     もースゴすぎますw
     描写と言うか何というか…。
     目を奪うような物質を感じます。((←


     更新頑張ってください、
  • 4 初音 id:PTSET0X0

    2012-05-09(水) 08:45:30 [削除依頼]

    *響香さん

    初めまして^^*
    作者の初音(はつね)と申す者です。描写は苦手なので、そう言って下さると嬉しいですね。目を奪うような物質……ですかw

    更新、頑張らせて頂きますねノ
  • 5 初音 id:PTSET0X0

    2012-05-09(水) 09:22:57 [削除依頼]

    旅人の宿。
    此処は数々の冒険者達が集い、冒険に関する情報を交換することの出来る貴重な場である。それと同時に、仕事に関する依頼等も受け付けている『旅人の宿』は日中、人で賑わっていた。まだ時刻が昼時というのにも関わらず、酒を交わし、楽しそうに笑い挙げている冒険者の合間をくぐり抜けながら青年と少年は依頼ボードの前へと歩を進めた。


    「……ふぅむ」
    「何か、良さそうなお仕事はありそうですか?」
    「……『森に現れた影の捜索依頼』、『無くなった死体の捜索依頼』。他にも『七つ目を持つ龍退治』や『愛犬を探して下さい』等といった討伐系統や軽い仕事など、沢山あるみたいだな……。正直な話、どれが良いのかわからん。依頼報酬等も書かられていないようだし」

    どうしたものか、といった様子で顎に手を寄せ、むぅと顔を顰める青年。
    そんな様子を見兼ねた一人の女性が、二人へと話し掛ける。

    「あら、お困りかい?」

    にぃ、と口角を釣り上げた陽気な女性が二人の肩をぽんっ、と叩く。
    腕巻くりした褐色肌からは無数の傷跡があり、エプロンの上からでも分かるように美しく鍛えられた肉体美。漆黒の髪を頭上でポニーテール状にし、彼女が動く度に揺れ動く尾っぽ。パールのピアスが仄かに光る尖った耳からして、少なくとも『一般人では無い』という様子は容易に読み取れた。よく目を凝らしてみると、頬の皮膚が鱗化しているように思える。恐らく彼女は、どの種族の中でも攻撃力と防御力に特化しており、魔族語を操るのことの出来る種族―――竜族であろう。

    「そんなじろじろ見られたら……困るじゃないか。アタシがどんなに美しいからってねえ……」
    「そんなこと、一言も言ってないのだが」
    「冗談よ。乙女の単なるジョークよ。気にしなさんな」

    ガッハッハ、と男顔負けのガサツな笑い声を荒げ、手をブラブラとしてみせる女性。その後に訂正でもするかのように「お、お姉さんは綺麗ですよ!」とアセアセと言った様子で言う少年の頭を、女性はくしゃり、と乱暴に撫でてやる。

    「ま、そんなことはさておき。お二人さん、此処は初めてだよね? アタシが知らないんだというのだから、当然と言えば当然なんだがね」
    「……アンタは一体、何者だ?」
    「アタシ? アタシはこの旅の宿の店主としている『アンナ』だよ。旅に関することで何かお困りのことがあったらアタシに聞きな。ざっくばらんに説明してあげるよ!」
    「オーナーっ! リキュール追加ねーッ!」
    「あいよー、そんなに焦らんでも酒は逃げんよ! それとアンタ、仕事が失敗したからって今日、早すぎはしないかい? 幾らアルコール濃度の低いリキュールだからといって、飲み過ぎは禁物なんだからな!」
    「だって……、だって! 確実にあと少しだったんだよ! だというのにも関わらず、睡眠不足がたたったのか視界がブレたせいもあって照準が合わず、オーガを逃すハメとなった……冒険者リノン、一生の不覚ッ!」
    「アンタは自業自得だろうに。前の仕事が上手く行かずに此処で飲んだくれて、それで二日酔いになった状態で再リベンジとして新しい依頼を受けたんだろう? 救いようのない男だよ! これに懲りたら、今日は此処までにしておきな!」
    「そ、そんなぁーっ……」
    「……」
  • 6 夢梅 id:V1NcolN.

    2012-05-10(木) 21:55:32 [削除依頼]
     
     
    初音ちゃん(^ω^)!
    久しいです、夢梅です。

    ちょ、半端ない面白そうすぐるやばい
    と やってきたら君でしたかノ

    冒頭が素敵過ぎる、流石。
    更新たのしみにしてます*
     
  • 7 御坂 紫音 id:N3D.XvT/

    2012-05-10(木) 22:02:14 [削除依頼]
    召還士ということでまさかとおもえば初音だった!
    やったねぇ(

    あの作品と関係はあるのかな?
    楽しみにしています^^
  • 8 初音 id:MwEKJTE1

    2012-05-11(金) 07:55:34 [削除依頼]

    *夢梅
    お久しっノ
    やっほい、夢梅。そう言ってくれると嬉しいよ。ありがとう(^ω^)
    冒頭は無駄に時間を練って書いたもんなのでそう言われると嬉しいわね(。-`ω´-)ぅい
    更新、頑張らせて頂きますね*

    *御坂
    あれ、バレるもんなの?(笑)
    結構下に埋もれていたからバレないかと思ったのだが……((
    関係あるわね。関係、大有りだわね。はぁーい、小説更新頑張らせて頂くよっノ
  • 9 初音 id:j5pemsP.

    2012-11-30(金) 08:54:26 [削除依頼]
    「おっと、そうだった」

    パン、と手を叩くアンナ。
    なにか思いついたように近くの戸棚へとガサ入れを始め、吹き荒れる埃に思わず目を潤ませながらも止めることをやめない。

    取り出されたのは一つの紙切れ。
    金色の縁で彩られているそれは「ギルド登録書」と書かれており、羽ペンと一緒にアンナは二人の前に差し出す。

    「まず、ここで依頼を受けるにはギルド登録をしなければならないんだ。面倒かも知れないけど、よろしく頼むよ」
    「了解した」
    「……」
    「ん? どうしたんだい、少年」
    「あの、ギルドってなんですか……?」

    迷いもなくこぼす少年の言葉に、素っ頓狂な顔をするアンナ。

    「アンタら、そんなことも知らないでギルドに入ろうと思ったのかい!」
    「いや、俺は少なくとも最低限知識は持ち合わせている。それと、この少年はそこらへんで拾ってきたからな。環境的にもそういうことを知ることができないところだったのだろう」
    「ふぅむ」
    「あ、あの……何か困らせてしまったみたいでごめんなさい」
    「いやいや、驚いただけでそんなこと思ってないよ。まぁ、ギルドってのはざっくばらんに言うと旅人が集まる場所さ。用途に関しては、冒険者の相互扶助や情報収集などを行うための拠点と考えてくれればいい。ギルドに所属していない冒険者ってのも稀にいるけど、殆どが違法だからねぇ。あと、ギルドに登録しておいた方が色々といい情報や宝の在り処なども噂として流れることがある。少なくとも、登録しておいて損はないよ」
    「書けたぞ」
    「ん、ありがとうね。……おや?」

    アンナは青年から受け取ったギルド書に目を通すと、ある部分で目が止まった。
    それもそのはずだろう。少年の名前の欄のところだけ空欄になっているのだから。

    「こちらの少年の名前は知らないのかい?」
    「ああ。こちとら、数十分前に出会ったばかりだからな。本人にも名を名乗られた覚えもないし書けるわけがない」
    「なま……え?」
    「名前というのは、その人物を呼称するものだ。本来なら生まれた時に付けられるものなのだが……」
    「んー。本当の名前じゃなくてもいいから、とりあえず適当に名前を書いてくれないかねぇ。じゃないと、手続きできないよ」
    「ほら」

    そう言い、少年に羽ペンを渡す青年。
    あんな状況下にずっといた人間だ。言葉というものが書けるか不安だったが、そんな心配は不要だったらしい。
    お世辞にも綺麗とは言えない字ではあったが、どうやら言語はある程度知っているようだ。青年はほっとため息をつく。

    「じゃあ、これ……」
    「あいよ。どれどれ……おや。いい名前じゃないか」

    アンナの言葉に、嬉しそうに顔をふにゃっとさせる少年であった。
  • 10 虎辻 凪 id:9pi7N5q/

    2012-11-30(金) 20:53:57 [削除依頼]

    久しぶりー!
    凪ですよー、覚えてるかな。

    題名見て初音だっと思った♪
    がんばれー^^
  • 11 初音 id:I3xBhFF/

    2012-12-03(月) 13:56:11 [削除依頼]
  • 12 初音 id:I3xBhFF/

    2012-12-03(月) 13:59:38 [削除依頼]
    >>凪

    書く前に更新してしまった…!
    お久しぶりですーっ、もちろん覚えておりますよーっ!

    召喚士と題名に付いているだけでバレるものなのでしょうか…(´・ω・`)おふ
    ありがとう、頑張らせていただくよ
  • 13 初音 id:uTCNKJn.

    2012-12-04(火) 16:01:17 [削除依頼]
    「さて、登録はこれで完了だよ。あ、先に説明するのを忘れていたがここの依頼にはランクというものがある。初心者はまず、小手調べにレベル1のものを受けるのが妥当さね。それで自分の力だったら余裕と判断したら、もっと上のランクのものを受ければいいし逆にキツいと判断した時はコツコツとレベルを上げていくのがいいだろうね。それと、これもちゃんと読んでくれるようにね」

    トン、とアンナは後ろのボードを叩く。
    かなり前に貼り付けられたものなのだろうか、黄ばんで薄汚れている紙切れにはこう記されていた。


    ――――依頼の流れ。

    基本的には依頼の相談→決定→依頼スタートというのが一般的な流れ。
    まずは依頼人と話をした後に行動を決行、無事完了したら依頼人に報告して報酬を手に入れる。
    尚、完了した場合にはきちんとオーナーにも報告をすること。(仮にその依頼を受けたい人が来た場合の混乱を防ぐため)

    死んだ時は自己責任。

    自分から依頼を引き受けたものの、依頼の途中で無理と判断した場合は依頼をキャンセルすることが可能。
    その際のキャンセル料は発生しない。また、一度断った依頼を受け直すことも可能。

    「時に前払いというものが存在する。これは依頼を引き受けることで報酬の半分を最初にもらうことが出来、依頼が完了された時に残りの半分も支払われるというシステムのものだ。そして、この依頼をキャンセルした場合も前払いされた分は返金することになる。当然だね? 形式的には依頼を断られているということになっているのだからさ」
    「ほぁ……そういう依頼って、どういうものが多いのですか……?」
    「そうさねぇ、かなり高度な依頼なことが多いねぇ。つまりはそれほどまでして、助けてもらいたいっていう依頼人の意志の表れなんだろうね。まぁ、しばらくお前さんたちにこの依頼がくることはまずないだろうけどね」
    「なんでだ?」
    「初心者のひよこにそんな仕事を与えるほど、甘くないってことさ。だが、いい感じに依頼をこなしていったらアタシ独自の判断でいい依頼を持ってくることも稀(まれ)にあるから期待しておきな! あんたらの成功を見守ってるよ」
  • 14 初音 id:uTCNKJn.

    2012-12-04(火) 21:16:35 [削除依頼]
    「ま、初心者なあんたらにはこの依頼が妥当かね」

    アンナは迷うことなく一つの依頼書を手に取り、目の前でピラピラとさせた。


    ――――密林の山賊狩り。

    ルティス帝国の東地区を抜けた先には、密林が存在する。
    その密林を抜けると他大陸にたどり着くことが出来るため、キャラバン(※)などといった商人はそこを通り抜けることが多々あるのだが。
    それを逆手に取り、近頃は山賊が密林近辺に生息しているらしい。

    被害の一例として、女や子どもは攫われたり金目のものや宝石などといった高価なものが全て奪われるのだそうだ。

    「今回、私の店のものも他大陸へと渡ることになったのだが……まぁ、本当は別ルートを通ればいい話なのかもしれないけどね。何も知らないであそこを通り抜ける人たちのことを考えると、気が気じゃなくてね。いい機会だし、一掃してきてくれないか?」


    鬱蒼と生い茂る木々。
    陽光を遮るほどのおびただしく広がりゆく密林の光景がそこにはあった。
    足元も泥でぬかるんでおり、視界と足元ともに最悪だった。

    そんな薄暗い密林の道を歩くふたつの影。

    「悪いな、そんな安物のブーツで」
    「いえ……。今までずっとはだしだったので、すごくうれしい……です。ありがとうございます」
    「お礼を言われるほどのシロモノじゃないと思うけどな」
    「それでも……うれしいんです。だれかにこうやってしんせつにしてもらったの、はじめてだから……」
    「まあ、あんなところにいたら誰も近づこうと思わないだろうな」
    「……ですね」

    悲しそうに顔をふせる少年。
  • 15 初音 id:uTCNKJn.

    2012-12-04(火) 21:41:51 [削除依頼]
    そんな少年の頭を撫でようと、青年がそっと手を伸ばそうとしたその時だった。
    断末魔の声があがる。

    その声を頼りに駆けつけるとそこには、心の蔵にナイフを突き刺される人の姿があった。
    ぽたり、ぽたぽたと血の色が馴染んでいく沼地のまわりには高価そうな宝石がしずんでいく。
    そんな人間の血を顔に直に浴びているのというのにも関わらず、ゲヒヒッと下品な笑いがこみ上げて止まらないといった様子の山賊。
    その間にも散らばった宝石をかき集め、持ち去ろうとしている山賊の三下(さんした)たち。

    「……アイツらか」
    「……」
    「相手に感づかれる前に倒すぞ。……って、おい? どうし」

    数秒。
    いや、それほど以上だろうか。
    気がつくと青年の横から少年の姿が消え、辺りを血の湖へと染め上げた。
    あまりにも早い出来事だったので青年は目の前で何が起こったのか、理解できなかった。
    だが、少なくともわかったのは沼地に沈み込んでいる山賊の死体たちは全て――――あの少年がやったという「事実」。

    「……愚(おろ)か」

    ぽつりとつぶやかれる言葉。

    「本当に人間というものは、愚かな存在だ。目の前の悪にだけ気を取られ、本当の悪というものを本当の意味で理解していない。なのにお前ら人間は、人に塗り固められた嘘を真実ととらえることができるんだな。本当に……滑稽(こっけい)な話だ」

    血でまみれた自らの手を見やり、悲しそうに見つめる少年。
    さきほどまでとは異なり、大人びたその口調にはなにか悲痛の言葉が込められているような。そんな思いが青年の胸の内に残る。
  • 16 初音 id:uTCNKJn.

    2012-12-04(火) 23:02:50 [削除依頼]
    ※1 砂漠を隊を組んで行く商人の一団。隊商。
     2 宣伝・販売などのため各地をまわる一団。
     3 登山・調査のため辺地を行くこと。また、その一団 のことを指します。

    今回の話では、密林を隔(へだ)てて通っているので2の意味合いになります
  • 17 初音 id:wltvX6T/

    2012-12-05(水) 09:31:59 [削除依頼]
    俺には、記憶というものが存在しない。
    というよりは昔の記憶というものが思い出せない、といった方が正しいのだろうか。
    そのことに関して青年は詮索するつもりも毛頭ないし、最早(もはや)興味もない。
    それほどまでにつまらない人生を送っていたんだろうなと軽く受け流してしまうレベルだった。

    だが、体に無数に残る痣(あざ)や紋章によってあまりいい生活を送ってはいなかったんだろうなということはなんとなく察する。
    気が付いたときには無人の小屋に住んでおり、水のせせらぐ音で目を覚ました。

    電気は通っていなくとも、暖炉にはたくさんの木材が積まれていたので火を起こすことはできたし水がなくとも近くに川が流れているので生活面に関してはなにも問題はなかった。小屋の周りには野菜や果物といったものの苗も植えられていたのか、美味しそうな果実や実がなっていた。少し道を行くと牧場も存在し、そこの親父さんから家畜から取れた卵や肉を分けてもらうことに成功する。

    なんの不自由もない世界。

    だが、それと同時にひとつの感情が膨れ上がる。――――関心というものを。

    この山を超えた向こう側には一体、なにが存在するのだろうか。
    でも、腕などに無数に広がる痣を見てここから出てもいいのだろうかという不安も残る。
    今のこのなにも変わらない日常を過ごすのもひとつの手なのかもしれない。それでも、日々がすぎる度にその感情は深まっていく。
    自分ではもうどうすることもできない感情。


    そんなときだった。


    「ルイス……?」

    背後から聴こえる成人女性の声。
    おそるおそる振り返ってみると――――そこにいたのは、鋼鉄の鎧(よろい)を装備した美しき女性。
    華奢な体つきとは対照的に体格よりもずっと大きいかと思われる大剣。

    「……だれだ?」

    思わず、疑問を口にしてしまう。

    「私? 私はレナ=アーウィン。かつて、この大陸で英雄(えいゆう)と呼ばれた存在だ」


    第1章  女剣士と青年
  • 18 初音 id:wltvX6T/

    2012-12-05(水) 09:58:11 [削除依頼]
    「英雄……?」
    「知っているか? この世界はかつて、二度絶滅の危機にさらされていたという事実を」
    「えっ……」
    「一度目は私が生きていた時代だ。その時に私は魔王に負かされ、不老不死の呪いをかけられ遠い境地に飛ばされた。それから100年が経ち、私は仲間を集めて二度目の戦いに挑んだ。かなりの仲間を失ったものの、無事魔王を倒すことに成功した。だが……それから10年経ったという今、またこの世界は危機に侵されている」
    「どういうことだ……?」
    「また新たな魔王が誕生したんだ。……しょうがない話なのかもしれない。人間も魔族も、悪というものは善人でも必ず持ち合わせているというもの。その感情が異常に発達し、征服という形で支配しようとするのが魔王というもの。難しいものなのかもしれないな……」
    「……」

    女剣士の話していることが全て、理解できたわけではない。
    だが、少なくともこの世界が危ないということだけはわかった。

    「でも、わからないな……。なんでこのことを、俺に話した? 別に俺以外の人間でもいいだろう」
    「どうやら、私の声が聴こえるのはルイスだけみたいなんだ。だからこそ、私はこのことを君に全て話した」
    「さっきから言葉の端々に言っているルイスっていうのは一体、誰のことを言っているんだ?」

    俺の言葉に、きょとんとする女剣士。

    「なにって……君のことだろう」
    「え?」
    「もしかして……記憶を失っているのか?」
    「記憶を失っているというよりかは、思い出したくない気持ちの方が強いのかもしれないな。それに、思い出さなくても毎日を過ごすことはできる。自分が不必要と考えればなにも問題はないだろう」
    「それもそうだな。君が思い出したくないというのであれば、思い出さなければいい。知りたいと思ったときに調べればいい。過去にとらわれていてもしょうがないからな。今の自分があればそれでいいのだから」
    「……」

    不思議だ。
    この女とは初対面なはずなのに、まるでかつて出会ったことのあるように気軽に話すことができる。
    波長が合うとはこういうことをいうのだろうか。
  • 19 初音 id:wltvX6T/

    2012-12-05(水) 16:25:43 [削除依頼]
    「ルイス――君には、世界を救ってもらいたい。そのためにはまず、外の世界で同じ志を持つ仲間を集めて魔王に挑んでもらいたい」
    「なっ……」

    あまりにも急展開すぎる。
    俺が世界を救う?
    こんななんともいえない境地で過ごしてきた無力な俺に、魔族の王とやらを倒せ……だと?

    馬鹿げてる。
    そんなことができるほど、自分は強い人間ではないというのに。

    「英雄というぐらいなら、あんたが退治してくればいいじゃないか。俺に頼むまでもないだろ」
    「そうだな。本来はそうしたいところなのだが……残念なことに、この身はとうの昔になくなっている。この世には存在しないものだ」
    「なにをいって……」
    「さきほど話しただろう。魔王を二度倒したと。一度目に死ななかったのは、私が魔王からの不老不死という呪いがあったから生き延びれたまで。二度目にはきちんと魔王の命を経ったために私はそのときに戦死(せんし)しているのだよ」
    「じゃあ、今のあんたは……」
    「魂のかけらが救いだったようだな。姿や形はおぼろではあるものの、意識はきちんとしている。私はまた君と話すことができて嬉しいよ、ルイス」

    ふ、と口端を緩める戦士女。
    静かに瞼をおとすと、霜の残る窓に手を添えながら話し続ける。

    「私が今でもこうして御霊(みたま)をさまよせているのもきっと、本当の幸せというものが訪れていないのかもしれない。もしかしたら、魔王を倒さずに説得させるのもひとつの手なのかもしれない。――――この世界の平和というものをずっと望んでいたのかもしれない」

    苦笑がもれる。

    「私が行(おこな)ったことは、もしかしたら間違いだったのかもしれない。だから、私は倒せとはいわない。この世界を救ってもらいたい。皆の笑顔があふれるような世界を見届けたいだけなんだ……」

    切なげにはなされるその言葉には、彼女の強い意志が感じ取れた。
    そんなやつの意志に惹かれたのかどうかわからないけど、俺はこのときにはもう確信していた。
    自分が決めるべき答えを。


    「……顔をあげろ」
    「では……」
    「ああ。よくわかんないが、俺がその世界とやらを救ってやるよ。その魔王とやらを説得すればいい話だろう? 上等だ。どっちにしろ今の日常には退屈(たいくつ)していたところだ。いい暇つぶしにはなるだろう」
    「ありがとう。感謝する」
    「……礼を言われるほどのことでもないけどな」
  • 20 初音 id:wltvX6T/

    2012-12-05(水) 16:44:32 [削除依頼]
    「だが、問題がひとつあるぞ。レナ」
    「なんだ?」
    「俺は生まれてこのかた、戦闘を交えたことがないのだが……」

    そう。
    問題はそこだ。
    魔王と戦うつもりはないにしろ、この大陸には危険なものがたくさん潜んでいる。
    少なくとも、ある程度の力は鍛えておかなければならない。

    「ああ、それなら問題ないぞ」
    「え?」
    「君には元々、かなりの素質がある。長いこと記憶を失っていたようだから少々、腕が鈍(なま)っているかもしれないが……その分は私が全てサポートしてあげよう。今日から特訓だな、ルイス!」

    レナは嬉しそうに目をらんらんとさせて話す。

    「……さきほどからどうにもそのルイスっていうの、呼び慣れないのだが……。まぁいい。よろしく頼むとしよう」
    「ああ、頼まれたぞ。だが、このままだと肉体が存在しない私と戦っても意味のないことだ。ということで、さきほど知り合いに声をかけてみたのだが……あ。来たみたいだな」

    どどどどど、と遠方から煙が巻き上がるのが見えた。
    農場からイノシシでも逃げ出したのかと思ったが、その影はだんだんと人の走り姿へとかわっていく。
    おおきなベレー帽に長く結われた三つ編み、魔法陣が刻まれた白いマントを羽織るテンションの高い女性のようだ。

    「れーなーちゃーんっ!」

    満面の笑みでレナに飛びつく女性。
    ぐぐぐ、と無表情で腕を引き剥がそうとするが女性は離れるつもりはないようだった。

    「出会い頭でいつも抱きつくなといっているだろう」
    「いやーん、そんなドライなレナちゃんも好きだよっ! ……およ? この子が例の特訓してもらいたいって子?」
    「そうだ」
    「ふーん? むむむ……」

    まゆをひねり、上から下へと品定めするように目線を上げ下げする女性。
    あんまり人にジロジロ見られるのが得意ではないために顔をそらすと、思い出したように女性が声をあげた。

    「あれ? もしかして君……ルイス?」
  • 21 初音 id:wltvX6T/

    2012-12-05(水) 19:56:51 [削除依頼]
    Memo


    青年(ルイス)

    過去の記憶がない、というよりは覚えがない
    レナとの出会いから流浪人として仲間を集めると同時に、武器や装備などを調達するべく資金稼ぎをしている
    槍の腕前はかなりのもの。乗馬を得意とする

    少年

    長い間、氷の中に封印されていた
    自分がなんであんなところに囚(とら)われていたのか、こんなにも巨大な力を持っているのか身に覚えがない
    召喚術を得意とする。瞬殺力と行動力にたける

    アンナ

    龍族の女性。
    ギルド・アルカディアの旅の宿の店主(オーナー)でもある
    あまり表沙汰(おもてざた)にはされないものの、ギルドの腕前は上級ランクにも匹敵(ひってき)するほどの腕前をもつ

    レナ

    かつての英雄と呼ばれる存在
    世界が危機にさらされているのを見かね、魂のカケラという形でルイスの前に姿を現した。ルイスとはかつての知り合いだったようす
    剣の腕前はかなりのもの。バランスのとれた攻撃手法をとる

    女性

    レナに呼ばれて、現れた女性
    賢者のような出で立ちをしているが、正体はいったい……?
  • 22 初音 id:q8cL0de0

    2012-12-22(土) 15:13:28 [削除依頼]
    第2章   消えた歌姫


    「おにいさん……?」

    心配そうに、顔をのぞき込む少年の声で目を覚ます。
    店に掛けられた鏡に映る自分の頬が、赤く染まっている様子からしてどうやらいつの間にか寝ていたらしい。
    ふぁ、と口から漏れるあくび。

    「ここは……?」

    ゆっくりと上体を起こすと、ぐらりとしためまいに襲われるルイス。
    床下に酒がこぼれ落ちているところからして、酔ってそのまま突っ伏してしまったオチだろう。と、察した。

    「ここはたびびとのやど・アルカディアですよ……。おつかれだったのか、おにいさん……ねちゃったから」
    「そうか……。放置してすまなかったな」
    「いえ……僕はずっと、アンナさんとおはなししてましたから……」
    「そうだよ! いやぁ、この子の話を聞いてたら昔の自分を思い出しちまったよ。アッハッハ!」
    「なんの話をしていたんだ?」
    「ささやかなはなしですよ」

    少年は照れくさそうに笑っていう。
    そんな少年の反応に「?」と不思議がるものの、ルイスは二日酔いで頭が回らないのかそのままカウンターへと頭をぶつけた。

    「しょうがない青年だねぇ。自分の限界ぐらい知っておくことだね! ほいよ、水だ」
    「すまない……」
    「まさか、みなさんにすすめられたお酒をぜんぶのみほしてしまうなんて……ビックリです」
    「あの時はいい飲みっぷりだったけどねぇ。今更になって酔いが回っている辺り、あとから酔いが回るタイプなのかい?」
    「記憶にない……」

    なんで自分がそんなにも酒を飲もうと思ったのか。
    そのことがルイスは不思議で仕方なかった。そもそもとして自分は、あまり酒が得意な方ではないのに。
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?

このスレッドの更新通知を受け取ろう!

ログインしてお気に入りに登録すると、
このスレッドの更新通知が受け取れます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。

ログイン

会員登録するとお気に入りに登録したスレッドの更新通知をメールで受け取ることができます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません
閲覧履歴
  • 最近見たスレッドはありません