残光2コメント

1 やまめかおる id:vk-fzxKiZK0

2012-05-01(火) 23:02:23 [削除依頼]
眼球を貫く鋭い感覚が、脳内を激しく奮わせた。
私は今まで真っ暗闇な箱-といってもその時の私が、そこが箱の中であることを知る由はないが-の中で暮らしてきた。
暗闇以外に世界の色を知らない私にとって、そこに突然届いた外からの未知なる色は、私を錯乱させ、狂乱させた。
箱の中が振動した。今まで経験したことのない事態に、まず私の精神が悲鳴を上げた。耳の中の鼓膜が震えて、そこにあるはずのない何かが、私の身体から出ていった。
それが音であることを知らなかった私の身体は、恐怖の余り、その場で自由を失った。
全身が石のように硬直し、それが金縛りであることを知らかった私は、遂に耐え切れなくなって、自分でもおぞましいくらいに大声を張り上げた。意識は木っ端みじんに砕かれ、制御の効かなくなった精神は暴走を起こし、自らの口から放たれる意味不明な文言を遠くに聞きながら、やがては自我さえも、滲みゆく視界と共に蒸発した。
「遂に見つけたぞ。光だ。もっと光を当てろ」
意識が虚無の海に沈みゆく傍ら、水面の向こうで曇りゆく何物かに、耳を澄ませていた。
無論、それが人の声であることなど、知る由もなかった。
  • 2 やまめかおる id:vk-idoNd7A1

    2012-05-02(水) 09:13:26 [削除依頼]
    不可分であること以上に、私が私であることの要素は要らないと思う。
    雨上がりの午後、アスファルトに輝く水滴、太陽の陽が射す西の山、その陽光を反射する用水路の水。
    そのどれもが私であることの証であり、意味であるのだ。
    私に関わるものであること以上に、真実は要らない。そこが私の世界であるならば、それも含めて私という存在の一部分なのである。
    ドアを開ければ、そこにはいつもの顔がある。
    「おはよう!」
    と、一体何度目になるだろう挨拶を交わし、いつもと変わりなく、肩を並べて出発する。
    「ねぇ昨日どうだった?」
    どうだった、というのは、今朝開かれる中間試験に対する準備のことを指していた。新年度も始まって、既に2ヶ月。梅雨に入り、いよいよ夏の気配感じられる時期。その気の滅入りに追い撃ちをかけるような、中間試験という名の拷問。
    「まあ、なんとか」
    「うっそ、本当?」
    大袈裟に声を上げて感嘆する。オーバーな気がしないでもないが、彼女の反応は中々に面白い。
    肩まで伸びるさらさらとした黒髪が大いに揺れる。
    しなやかな腰が大袈裟に跳ねる。それに釣られて、胸元の紅いリボンが僅かに下がる。
    「リボン、ずれてるよ」
    私が指摘すると、彼女は慌ててリボンをとり外す。
    その様子でおおよその状況は掴み取れる。
    「また寝坊?」
    胸元に集中する彼女を横目に見ながら、そう口を挟む。
    「うん、気付いたら寝過ごしちゃって」
    成る程。それでリボンの位置を調整する余裕もなかった訳だ。そう勝手に納得しながら、何気なく腕に嵌めた時計に目を遣った。針は8時と30分を指していた。45分の朝礼までにはまだ余裕があった。
    「今日のテスト不安だなぁ」
    「ま、自業自得だね」
    「いじわるー」
    くだらない会話で笑い合いながら、気付けば右手には校舎が見えていた。
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