憧れの君は、今日から私のお兄ちゃん。34コメント

1 ゆいか id:8dYcCTC.

2012-04-30(月) 18:35:54 [削除依頼]
憧れの君、大好きな君.
憧れと大好きは結ばれている.
これ、私の持論なんだけどね.


私は、憧れの君に恋をしました.
ふとした瞬間に鼓動が走る.
考えより先に、身体が反応する.

そんな君は――――……、
今日から、私のお兄ちゃんでした.
  • 15 ゆいか id:8dYcCTC.

    2012-04-30(月) 22:22:06 [削除依頼]
    一曲目が終わり、演奏者が起立した.

    ばちっ、と目があった.
    ……ような気がする.

    でも、それは気じゃなかった.
    私に気付いた自販機のひとは、
    にこっ、と微笑んでくれた.


    「待って、パス!!!」
    私は、小言で主張した.
    佐藤と美喜が不思議に思う.

    「ちょ、ちょちょ、トイレ」
    かなりださい抜け方だったと思う.
    でも、それしか出来なかったのだ.

    トイレに向かう私の左胸は、
    激しく脈をうっていた.

    トイレのドアに寄りかかると、
    一息呼吸を入れたが、落ち着かない.

    「どうしたんだ、私……」

    本当に、恋、したのかな.
    私、そんな軽い女なのかな.
    考えが交じり合って自分でも理解不能.

    トイレから出ると、大きなため息をついた.
    すると、隣で鼻で笑う、背の高いひと.
    それは、紛れもなく自販機のひとだった.
  • 16 ゆいか id:8dYcCTC.

    2012-04-30(月) 22:27:26 [削除依頼]
    「あ、さっきの」
    「ぎゃあ!!!」

    思わず出たのは、そんな声.
    何ていうんだろう、この声.
    セールで負けて悔しい母親の声みたいな.

    とにかく汚く、大きい声.

    すたすた、とこっちに歩みを進める.
    やばい、本当に死んじゃうかも.

    「来ないでください、半径1メートル侵入禁止!!!」
    「え゛」

    笑いながら、ぴたりと歩みを止める.
    だめだめ、これ以上来られたら命持たない.

    「じゃあ、この距離で話そうよ」
    「無理です」
    「なんで」
    「死んじゃう……から」
    「え!?」

    驚き半分、面白さ半分の自販機のひと.

    「きっと、私は、あなたに恋したんです」
    そう言うと、目を丸くした自販機のひと.
  • 17 ゆいか id:8dYcCTC.

    2012-04-30(月) 22:55:07 [削除依頼]
    近くにあった椅子に座る自販機のひと.
    ていうか、自販機のひとって失礼か.
    今更ながらに思う私は、見つめてた.

    「一目ぼれってやつ?」
    「違います」
    「え」
    「私は、恋をしたと思ってません!!!」

    露骨に反応する私.
    手汗のままスカートを掴む.
    滲んでるその手で、スカートがくちゃくちゃ.

    「友達に言われたんです、一目ぼれって」
    「うん」
    「でも、私は軽い女じゃないから!!!」
    「うん」

    いかにも吹きだし笑いを堪えてる.
    なんなら笑ってくれた方がありがたい.

    「じゃあ、確実に俺のこと好きにしてみせようか」
    「は?」
    そう言うと、急に歩み始める.
    耳元で囁く自販機のひと.

    「俺の名前は、松田郁弥、ここの大学2年生」
    「う……ああ、はい」
    「よろしくね」

    耳元で吐く息が、妙に色っぽい.


    遠いところで、声がした.
    美喜の高い声がした.

    「あああ!!!イケメン奏者!!!」
    「え?」

    ああ、この人だったんだ.
    美喜が言ってた、あの人.

    「瑠果、どういう関係!?」
    「えーと」

    笑いを堪える自販機のひと.
    いや、間違えた、松田郁弥さん.
    だから、笑ってくれたほうがいいんですけど.
  • 18 ゆいか id:8dYcCTC.

    2012-04-30(月) 23:03:14 [削除依頼]
    「わたし、瑠果の友達の山本美喜っていいまーす」
    「あ、どうも」
    「瑠果よりも仲良くしてくださーい」

    乾いた笑いが響く.
    私は、思わずため息をついた.

    「はいはい、美喜行こう」
    「えー、もうちょっと」
    「佐藤がまた怒るからさ、ほら」
    「佐藤なんて放っておけばいいじゃん」

    この素っ気ない会話を、隣できく松田さん.
    「ねえ、瑠果ちゃんだっけ」
    「は、はい……っ」

    いきなり名前を呼び出されたから、
    心臓が跳ね返るくらいの勢いだった.

    「上の名前、教えて」
    「えっと、結城瑠果です」
    「よろしくね、瑠果ちゃん」

    何だよ、苗字教えた意味ないじゃん.
    頬を膨らますと、美喜に連行された.

    あとで、佐藤に怒られたのはいうまでもない.
  • 19 ゆいか id:8dYcCTC.

    2012-04-30(月) 23:11:13 [削除依頼]
    次の日、講習会の反省用紙が配られた.
    そこには、何を学んだか、
    技術面、行動面、感想面を書く.

    技術面、松田さんが凄かった.
    行動面、松田さんが行動を妨げた.
    感想面、松田さんに恋をした.


    …………って、書けるかぁ!!!

    「はあ」
    昨日から何度ため息をついてるだろう.
    それでも、松田さんを忘れられない.
    あの人自身もだけど、あのサックスの音色.
    あんな音を出されたら、反則、でしょ.

    「お、瑠果さん」
    「妙にさんづけ止めよう、美喜」
    「えへへ」

    松田さんのことをイケメン奏者といった人.
    美喜は、松田さんをかっこいいと思ってる.

    「ねえ、美喜」
    「ん」
    「私が、もし一目ぼれしたらどうする?」
    「ええ、祝うよ」

    祝うという言葉に目を丸くした.
    え、何で、何で、祝われるの?

    「だって、瑠果、絶対初恋でしょ」
    「はい、そうでした……」

    恋愛の先輩、山本美喜はどや顔を作った.
    もう、恋してませんけど、何か?
    少しだけ、恋をしてる美喜にすねた私だった.
  • 20 ゆいか id:8dYcCTC.

    2012-04-30(月) 23:20:33 [削除依頼]
    授業中、普段入らない教師の言葉.
    一声も入らなかった、これ、事実.

    今日は、部活があるけれど、
    ピアノの優先日で、休むことになった.

    「きっとショパンは、こんな気持ちで」
    青くて、広い空を見上げた.
    この作曲者は、どんな気持ちで.
    愛を描いた曲は、いくつもある.

    きっと、その人は、今の私の気持ちだったのかな.
    そんな事を、つくづく思うようになった.

    家に着くと、普段ない大きな靴.
    私は、シングルマザーで育てられ、
    お父さんとは、小さい頃に離婚してるらしかった.

    「お母さん?」
    「あ、瑠果、きたきた」
    「え」
    「こんにちは」

    そこにはお母さんと同じか、少し上の男性.
    「お母さんね、再婚するの!!!」
    「あ、そうなの!?」
    「瑠果、いいかしら?」
    「全然、いいけど」

    良かったぁ、と一息するお母さん.
    優しそうなお父さんが出来た.
    お母さんが惚れたなら口出しはしない.

    「お父さんって呼んでね、瑠果ちゃん」
    「はい、お願いします」

    まだ堅かった反応に二人して笑う.
    「あ、そうそう瑠果」
    「ん」
    「松田さん、息子さんがいてね、瑠果のお兄ちゃんになるのよ」
    「へえ」
    「松田郁弥っていうんだ、よろしくしてね」

    はーい、と軽く返事をした.
    待って、ちょっと、待とう.
    今、このおじさん、何て言った?


    松田…………郁弥!?
  • 21 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 18:30:14 [削除依頼]
    こーしん、
  • 22 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 18:37:41 [削除依頼]
    驚いていたことを、ばれた.

    「どうしたの、瑠果」
    「えっ、あぁ、何でもないよ」
    「瑠果ちゃん、大丈夫かい」
    「はい、ばりばり元気ですっ」

    にこっ、と笑い返すと、
    新お父さんが携帯をとった.

    「ちょっと、失礼」
    「はい」

    お母さんと、二人で反応する.
    いったん、その場から離れる
    新お父さんに笑顔で手を振る.


    これからが、
    あの人とのお兄ちゃんになる記録です.
  • 23 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 18:48:00 [削除依頼]
    お母さんと二人きりになった.

    「いいでしょ、お父さん」
    「うん、まあね、普通」
    「瑠果って、いつも反応薄いわよね」
    「や、だって事実だしさぁ」

    お母さんは、私より精神年齢が低い.
    ただ単に私が、冷めてるだけかもね.

    「あの方の息子さん、超イケメンなのよお」
    「あ……っ、そうなんだぁ」
    「大学二年生とか言ってて、サックス奏者よ」

    完璧にあの、松田さんだ.
    うわあ、と悩みに暮れてると、
    ふと、素朴な疑問が出てきた.

    「苗字って松田なの?」
    「うん、そうね」
    「ええ、複雑っ」
    「松田瑠果ちゃーんっ」

    お母さんの精神年齢、小学生だね.
    軽く返事をあしらうと、頬を膨らました.


    松田って、やっぱ意識しちゃうんですけど.
  • 24 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 18:54:08 [削除依頼]
    「あ、今日の晩御飯何がいいかしら」
    「知らん、お父さんに聞いたら?」
    「そうねっ」

    そこ、娘にも聞くでしょうが.
    私は、正直食べたいものとか
    あまり無いけれど、聞かれてみたい.


    「あ、すみませんね」
    そう言いながら、頭を掻きながら
    お父さんが足早に帰ってきた.

    一軒家の私の家は、結構広い.
    三階建てのお庭付き、あいにくペットはいないけれど.
    お母さんが、苦手なんですよね.

    だから、聞いてみれば、松田さんたちは、
    私たちの家に、住むそうな話だった.

    「あの」
    お父さんが口を出す.

    「今から息子来るんですが、いいですかね?」


    ――――――――……なぬ!?
  • 25 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 19:04:36 [削除依頼]
    「いいですよ、全然っ」
    「べべ、べ、別に平気です」

    露骨な反応に疑問を持たれるが、
    顔を合わせないで、スルーした.


    ピンポーン…………、

    「お、きたきた」
    お母さんとお父さんが玄関へ出迎える.
    私は、椅子から立ち上がることが出来なかった.
    逃げ出したいのに、どこにも行きたくない.
    矛盾してるこの気持ちを、誰が知ってるだろう.


    「こんにちは」
    後方で、挨拶が聞こえた.
    私も常識人だし、挨拶は返さなければ.

    「こっ、ここ、こんにちはぁ」
    「、」

    気付いたようだった.
    私が、あの大学であった人ということに.

    ――凄い、驚いてる……
      私も、十分驚いてるんだけどね.


    「ああ、ピ、ピアノやらなきゃ!!!」
    「え、あ」
    「んじゃ、晩御飯よろしくね、お母さん!!!」

    いかにもな、去り方.
    何かを言いたげな松田郁弥さん.
    熱心だね、と関心するお父さん.
    笑い声が妙に五月蝿いお母さん.

    私の心音が高鳴ってることに、
    気付いてるひとは、いらないだろう.
  • 26 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 19:13:06 [削除依頼]
    自分の部屋に入り、ピアノへ直行.

    ポン、と音を出すと、音がいつも以上に響いた.
    あれ、それは、気のせいなのかな……、
    私の、心臓がどくどくと言ってるからなのかな.

    「はあ、」

    この感じは、何ていうんだろう.
    憧れの人、恋してるかもな人と兄妹になったのに.
    嬉しくなくて、逆に困った感情.

    「心臓、持つかわかんないし」

    独り言でそう呟くと、感情が高ぶった.
    すると、こんこんとドアノックの音.

    「はい」
    「こんにちは」
    「あ゛」

    聞き間違えるはずがない.
    甘くて、低いあの人の声.

    私は、恐る恐るドアを開けた.

    「君だったんだね、俺の妹」
    「妹なんて、認めません」

    にこっ、と優しい表情の松田さんを、
    怪訝な顔で睨む私は、スルーした.
  • 27 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 19:22:29 [削除依頼]
    私は、松田さんを部屋に入れた.
    ドア前で色々やると、お母さんに言われるから.

    『仲いいのねえ』とか『あらっ、瑠果ったら』とか.
    意味の分からない思考回路で言いまくる.

    「簡単に男を部屋にいれるんだ」
    「違います」
    「なんか瑠果ちゃんって矛盾女?」

    きっ、と睨むと、肩をすぼめる松田さん.
    「松田さんは、音大行ったとき知ってましたか?」
    「なにを?」
    「再婚の話、私は今日聞きました」
    「えー、まじか」

    緩い雰囲気が漂う.
    私の心臓は、もう破裂しそう.
    ていうか、破裂したら楽になりそう.

    「てか、松田さんはやめようよ」
    「え」
    「親父とかぶる」
    「あ、そっか」

    そう言いながら松田さん、
    間違えた、郁弥さんは私の手をとった.

    手と手が触れ合って、何だかほんのり.
    「ま、仲良くしてね、瑠果ちゃん」
    「郁弥さんと仲良くしたら死にます」

    けらけらと笑う郁弥さん.
    私が、あなたに恋をしてるから?
    それを、知ってるから笑うの?

    その笑いもが、全てが、どきどきする.
  • 28 ☆香穂子☆ id:caHdd0G1

    2012-05-01(火) 19:29:44 [削除依頼]
    面白いです!!
    これからも頑張ってくださいね☆
  • 29 ゆいか id:mCKAlIg/

    2012-05-01(火) 19:35:55 [削除依頼]
    香穂子さん

    ありがとうございます!、
    嬉しい限りです(^q^)泣
    頑張ります。←
  • 30 ゆいか id:7mLMxTG.

    2012-05-02(水) 20:54:46 [削除依頼]
    こーしん、
  • 31 ゆいか id:7mLMxTG.

    2012-05-02(水) 21:09:24 [削除依頼]
    郁弥さんが、部屋を出て一時間.
    もう夜中で、次の日が休みだから、
    少しだけ夜更かしをしてみる.

    郁弥さんは、何ていうんだろう.
    よく掴めない雰囲気が、辛い.
    でも、それも惚れた一部なのかな.

    「アドレス、交換しちゃったし……っ」
    携帯を開けば、郁弥さんの文字.
    電話帳に登録する所まで、見られた.


    「なに、これメールするべきなのかな」
    何の返事もない閑散とした部屋.
    誰か答えてくれると嬉しいんですけどね.

    「はい、メールしましょう、しますとも!!!」
    携帯をもう一度あける.
    何を、書くの、だって.

    『大好きな郁弥さんと暮らせるの嬉しいですっ』
    ―いやいや、性格違いすぎるでしょ.

    『一つ屋根の下、襲わないでね、きゃはっ』
    ―いやいや、自分から言っちゃだめでしょ.

    『こんなメール、本当はしたくないですね』
    ―いやいや、内容が暗すぎる、暗すぎちゃう.


    送った内容、それは至って普通な内容.
    『登録しました、お願いします』と.
  • 32 ゆいか id:Tr6jgW2.

    2012-05-03(木) 16:55:01 [削除依頼]
    こーしん、
  • 33 ゆいか id:Tr6jgW2.

    2012-05-03(木) 17:03:32 [削除依頼]
    メールの返信は、とても早かった.
    現代っ子は、違うなあと思いながら、
    ていうか私も現代っ子ですけどね.

    『こちらこそよろしくね、瑠果ちゃん』

    さりげなく、いつも瑠果ちゃんと呼ぶ.
    私は、自分の胸をきゅうと、握った.
    でもそれ以上に、それより倍に苦しい.


    郁弥さんの事が、好きなのに.
    でもね、私は、いつもこう.
    素直になれなくて、傷つける.


    「郁弥さんだけは、傷ついてほしくない」

    そう呟くと、ふと我にかえる.
  • 34 ゆいか id:zYmgv9y.

    2012-05-04(金) 23:09:15 [削除依頼]
    こんにちは!!
    今、私は魔法のiらんどで
    ゆるーく活動してます:)

    出来ればそっちも見てくれると
    本当に嬉しいです(^q^)うは

    『先生、私を愛してください。』
    というタイトルで執筆しています。

    イイね!とかレビューとか書いてくれると
    泣いて喜びます、お願いします!、
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