非等価9コメント

1 甘味詩 砂麻 id:CpJ02O6.

2012-04-14(土) 22:03:18 [削除依頼]

――御代は貴方の心で結構です。 
  • 2 甘味詩 砂麻 id:1sXTagS.

    2012-04-16(月) 02:54:16 [削除依頼]
    序章

     大地を駆け抜けていたはずの風さえも遂には止んでしまった。
     不条理にも気はなぎ倒され無残な姿を晒し、川の水は巻き上げられ枯渇した。ひび割れた大地の上を、静かに駆け抜けていた一陣の風さえもが消えたのだ。
     それはもはや世界の終わりとでも言うべきであろう。かつては青々とした木々に覆われ、水が大地を潤していたはずの水の星。
     最後の"自然"がなくなったのだから、それは星の生命体が終わりを告げるのも間もない事である。
     人間が己の欲を追及し、文明だけを発達させた結果が招いた悪夢。
     結果回り回って人間が住むのさえままならない。そのようなことになっているのは、昔から危惧されていた事だ。
     我々は地球上で最も愚かしくそして小賢しい生物だと、人間が気づくことになるのはこれから数百年が過ぎ去った、人間と、人間の作り上げた生命体のみが存在することになった時代。
     一度人類が滅びかけた後の話である。
     
  • 3 甘味詩 砂麻 id:xrPTpQD1

    2012-04-19(木) 20:32:26 [削除依頼]


     生きていくためにはどんな汚いことをでも成し遂げろ。
     自分の生きる糧は自分で手に入れろ。
     目には目を歯には歯を。
     これが、荒廃した世界の法則(ルール)として根付き誰もが疑いの心を持たず、そのままに生活を送っていた。街中に当然のごとく、腐敗した死体が散乱し、白骨が廃棄物と混じる。
     裏路地では生気の抜けきったヒトが薬物を求め合い、乱闘を起こす。その隙に乗じてストリートチルドレンが売り払えそうな物を掻っ攫う。
     この時代以前から生き延びている人間が居るとするならば――居るならもはや人間ですらないのだが――悪夢だと述べるに間違いない。
     豊かな時の流れに身を任せきっていた生ぬるい時代は消え去った。
     奪う、奪う、奪う。
    「ほら急げよ! 連中がくるだろ!」
     今広がるのは、弱肉強食の社会。
     力がすべてを物語る。
     
  • 4 甘味詩 砂麻 id:/4NQERH/

    2012-04-28(土) 21:41:05 [削除依頼]
     物が盗られたなら、それは盗られるほうが悪い。普通の社会ならば適用されないような、理不尽なルールさえそこでは当たり前に存在する。
     故に、路地を駆け抜けていた少年達の後ろを追いかけていた、中年の男性の姿は次第に見えなくなる。
     彼があきらめたのを横目に見ながら、少年は呼吸を整えながら走る速度をゆっくりと緩めていく。短くため息をはき捨てると、リーダー格の一人へとそれぞれが声をかける。
    「おい、キリア。大丈夫か」
    「ア? 問題ねーよ」
    「お前じゃないっつうの。そっちだよ、そっち」
     眉間にしわを寄せながら回答したキリアに対し、話しかけた少年は首を振りながら肩をすくめる。
     言いながら指差すのはキリアが抱えている黒い箱。
     とてつもない重圧感を放つそれは開け口もなければ鍵もついていない。ただのガラクタにしか見えないのだが、それでも大切そうに抱えるあたり、重要なものなのだろう。
    「ソれこそ問題ねぇよ。俺が今までに落としたか?」
     愚問だなと吐き捨て、キリアはその場に座り込んだ。
     肩にかかる程度の銀髪に黒と金色のオッドアイ。くすんでいるものの肌理細やかな肌をもつ細みな体は、見ようによれば女子にも見えてしまう。
     横に立っているもう一人の少年――レオを見上げながら続けて口を開き、嘲笑を同時に浮かべた。
    「ソれともなんだ、自分の失敗のせいで店主に見つかって、その際に落としかけたから心配なのか」
    「はっ。阿呆、お前じゃあるまいそんなこときにかけねーよ」
    「ナらその目線、何だ。俺が信用ならないか? それとも、自分の目で確かめたいのかよ」
    「そうさせてもらおーか」
     何の疑いもなくキリアは箱をレオに渡す。
     レオは満足そうに笑みを浮かべる。
    「甘いんだよなほんと」
     
  • 5 甘味詩 砂麻 id:MbrvKJn/

    2012-04-30(月) 07:05:48 [削除依頼]
    「ハ?」
     レオが発した言葉の意図が理解できなかったのか、キリアは方眉を釣り上げて呟いた。それに反してレオは悪意の無い笑み浮かべ、みすぼらしいズボンのポケットに手を突っ込む。
     何かを探るように視線を斜め上に上げ、そして、新しいおもちゃを見つけた幼児のごとき顔へと表情を変化させる。
     その表情に何が秘められるのか、キリアが理解することはできなかった。
     しかしながら非常に危険かつ邪悪な雰囲気が撒き散らされ、すぐさま察知した彼は飛び跳ねるように立ち上がる。ニコニコとした彼からゆっくりと距離を広げようとしたその時、
    「どこにいくわけ? ね、箱の中身確かめるから手伝ってよ」
     鞘に入っていない小刀を取り出し間合いの中に居たキリアの頬を切り裂く。
     実際レオは首筋を狙っていたがとっさにキリアがしゃがんだ事により、誤って頬を切ったというのが正しいか。
    「チょ、おまえ何やってんだ」
    「今いったところじゃん。中身確かめるから手伝ってってさぁ」
     刃についた鮮血を黒い箱の上部に塗りたくりながら、彼は悪気無く答える。
    「ま、君は死ぬとは思うけど」
     無邪気に、ケラリ。
     小首をかしげながら小刀を再び、キリアに突きつけた。
  • 6 甘味詩 砂麻 id:Ymeb/RJ.

    2012-05-01(火) 19:21:38 [削除依頼]
     気づいたときにはすべて遅く、後ろを追っていたはずの仲間たちも姿を消している。否、離れたところからキリアが逃げ出さないように退路をふさいでいた。
     狭く細い裏路地で逃げ場は無い。すぐさま追い詰められ、命ははかなく散ってしまうのだろう。
     あまりも非現実的でそして、現実に、目の前にて起こっている出来事にキリアは足を振るわせる。 
     恐怖、畏怖、驚愕、絶望感。
     あらゆる負の感情が体内を駆け巡り、毒のようにじわりじわりと全身を支配し始めた。
     ビルの隙間から差し込んだかすかな日光がレオが手にする小刀に反射した。
    「はは、動けないんだねキリア。実に滑稽だ、うん、奪われたものは奪い返したし、中身を確認したらオレの任務は終わりだ」
     目を薄く細めレオはそう口にして、
    「さよならキリア。大嫌いな相棒」
     キリアへ詰め寄って首筋に向かって腕を振り下ろす。
     正確に頚動脈を狙い、確実に息の根を止めるため、しっかりと目を見開く。レオには迷いなど無かった。
     ぞぶり。
     そんな鈍い音が次の瞬間には響き渡り、噴水のごとく真っ赤な水があたりを染め上げる。
     だがしかし。
     それは、レオの行った行動が成功していればの話であった。
     そう。
     成功していれば、だ。
  • 7 甘味詩 砂麻 id:N3D.XvT/

    2012-05-10(木) 22:29:36 [削除依頼]
     案の上世の中、世間一般とは甘くは無い。
     結論から述べるならばレオの行動は失敗に終わったのである。ただそれは、レオの実力不足というわけでもキリアの実力があったというわけでもない。
     第三者的な力が加わったことによる、誰もが想定しなかったいわゆる想定外のことが起こったから。
     ただそれだけだった。
    「おやおや。こんな安っぽい武器ではヒトは殺せますけれど人工生命対(アクマ)はころせれないのですよ」
     血しぶきが飛ぶ音の変わりに、金属が壊れる音が響き渡った。
     そして一緒に青年の声がこだまする。
     嘲りに満ち溢れたひょうきんな声音の持ち主はレオを見ると、にこりと笑う。そして折れた刃の先を空中で掴むと、
    「どうもこんにちはお坊ちゃんいいえもとい私のマスターに手を上げた最悪な下種のお方。一応まだたいした悪意は感じれませんのでどうぞお引取りくださいませ、お店のご主人には覚醒したとおっしゃってくださいませ。ここで引き取っていただけるならばあなたの息はひきとらせませんのでどうぞご安心をなさってくださいな、ああいまわたくし凄くうまいこといいましたねどうでしょうか」
     その男は一言で表すのならば無色だった。
     透き通った青い髪の毛。白の民族衣装に、血の抜けたような肌の色。独特な喋りは誰にもまねできないもので、何色にも染まっていないのだった。
     そんな青年は殺意のこもった笑顔を向けたまま、刃を弄ぶ。
     レオに選択権が与えられるはずなど無いのだ。有無を言わせない圧倒的な威圧感を放ちながらもう一度、笑顔を作り直す。
    「おひきとりねがえないでしょうかお坊ちゃんの不利をした下賎な生き物」
     無色の青年は深いため息と共に冷静に告げた。
     
     
  • 8 甘味詩 砂麻 id:Lo66C63.

    2012-05-24(木) 20:02:05 [削除依頼]
    age
  • 9 甘味詩 砂麻 id:Lo66C63.

    2012-05-24(木) 20:37:32 [削除依頼]
     ひゅ、と息が呑みこまれる。
     レオの顔からは感情が失せ――あるとするなら恐怖の念のみ――るのだが、それでも彼は拳を握り締めた。震える唇を動かし、言葉をつむぐ。
    「無理だね。箱を返してもらうか、殺すか、それだけだ。それが与えられた任務だ」
     短剣を構えなおし不気味な青年へと的をあわせた。
    「いやいやそれはどうにも無理な相談ですよお坊ちゃん。はこはいったいどこにあるのかひとまずみて御覧なさいほら、ないでしょうに。そしてこの少年はころさせませんよ契約はなされたのですから主はおまもりしますとも」
     ひらりひらり。
     あきれた様子で手を振って、レオに帰る様促している。ひょうきんな態度も変えることなく、あまつさえ欠伸をすると目じりに涙を浮かべながら言葉を述べた。
     暗い裏路地に沈黙の帳が落ちた。
     ねっとりまとわりつく時はただ気味が悪く、気分を害するものでしかない。青年は髪の毛をいじりながら気だるげに突きつけられた短刀とレオを見比べる。
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