現代源氏物語7コメント

1 狗千代 id:CnaLF380

2012-04-03(火) 14:11:08 [削除依頼]
僕の母親は、何と言うか変わっていた。
例えるならば‘戦国時代、キリスト教を布教するために来た宣教師‘といった感じだろうか。

顔立ちはモデルにはなれるんじゃないか、というくらい美しかった。
切れ長の目、長いまつげ、長い脚、滑らかな黒髪。
母とよく買い物に行ったりすると街行く人に振り返られていた。

いや、服装も少し変わっていたんだと思う。
母は洋服ではなく、着物を着ていた。実家が茶道とか生け花とかを教える教室だったのもあって、着物を着ていたのかもしれない。でも、寝巻きまで着物だったんだ。母は元々着物が好きだったのだろう。

そんな母も十年前に帰らぬ人となってしまった。
原因不明の病、ということだった。まだ若いのに、とか二十七なんてこれからなのに、と親戚は言っていた。
今母が生きていたとすれば三十七歳、アラフォーといったところだろうか。

そんな母にそっくりな人物が僕の前に現れたのは、三日前。
母の誕生日でもあり、命日の日だった――
  • 2 狗千代 id:CnaLF380

    2012-04-03(火) 14:51:55 [削除依頼]
    藤壺の章

    「初めまして……」
    藤野菊と名乗る少女が僕の前に姿を現したのは一昨日の四月五日だった。
    部活が終わり家に帰ろうとしたら、父から電話がかかってきた。内容は「すぐに以下の場所に来い」ということだった。
    地図が記載されていて、電車で一駅行ったところの高級レストランだった。

    レストランのウエイターに水原、と名前を言うとウエイターが客用のにこやかな笑顔で僕を席へと案内してくれた。
    母がいた頃はよく家族で外食をしたものだが母が亡くなった後は、まったくしなくなった。父との外食はこれが初めてなんじゃないだろうか。

    父の隣には僕と同い年くらい――十六歳くらいの少女が座っていた。
    俯いていたので顔はよく見えなかったが美人だな、と思った。そして、どこかで見たことのあるような顔だった。

    父がせかして顔を上げさせると、彼女が口をゆっくりと開けた。
    僕は彼女の顔を凝視していた。気絶してもいいくらい、驚いた。

    ――彼女の顔は十年前に亡くなった母にそっくりだったのだから。
  • 3 結城 美鶴 id:oUT.aA41

    2012-04-03(火) 15:25:53 [削除依頼]
    源氏物語大好きなんですよ!
    光の君が主人公で……
    って、わけですかっ!
    おもしろそうです。
    がんばってください。
  • 4 狗千代 id:CnaLF380

    2012-04-03(火) 17:01:28 [削除依頼]
    >3 コメ、有難う御座いますっ! はい。 題名の通り源氏物語の現代版です。 頑張ります。
  • 5 狗千代 id:CnaLF380

    2012-04-03(火) 18:11:13 [削除依頼]
    少女は僕の顔を見て顔を赤らめ、また俯いてしまった。どうやら人に顔を見られるのが恥ずかしいらしい。

    少女が何も喋らなくなってしまったので、それを見かねた父が口を開いた。
    彼女は藤野菊という名前で十六歳、僕の推測した通りの年齢だった。高校は行っていないらしい。中卒、だそうだ。
    そこまでは良かった。そこまでは。

    「菊さんとは…………三ヵ月後、七月に結婚するつもりだ」
    「…………え、でも。彼女は十六歳だよ……親父は四十歳……二十四歳も年が違うわけで。僕だって同い年の人が母親なんて……」
    「お前の動揺は解る。普通そう思うだろう。だが、愛に年齢は関係ない」

    父はそう言うが、本当は藤野さんを愛しているわけではないと思う。
    父は藤野さんに母の面影を感じたんだろう。僕だってそうだ。母を知っている人ならば、誰でもそうだと思う。
    だから、父は藤野さんと結婚したいのだ。
    藤野さんに愛を感じているわけではなく、藤野さんが母とそっくりだから愛しているのだ。
    父は藤野さんの見た目を愛しているのだ。
  • 6 狗千代 id:zbqHhnA1

    2012-04-08(日) 12:02:07 [削除依頼]
    藤野菊という少女は、中卒で高校には行ってないらしい。中学を卒業したらすぐに近所の弁当屋で働き始めたそうだ。
    だが、頭がいい。

    あの食事会の後、藤野さんと一ヶ月間同棲することとなった。
    いや、父と藤野さんだけだったら同棲といえるかもしれないが息子の僕からいえば同居といったところだろうか。
    食事会の前からこの事は父と藤野さんとで話し合っていたそうで、僕が途中から入っていける余地はなかった。

    冒頭に戻る。
    夜に勉強していると、時々藤野さんは夜食にとおにぎりとお茶を持って来てくれる。
    おにぎりとお茶を机の上に置く時に藤野さんは、問題をちらっと見るのだが空欄などがあると親切に教えてくれる。
    ある日高校の問題なのに何故解るのか、と聞くと顔を赤らめて呟くような微かな声で言った。
    「私は中学までしか卒業していませんが、お金が入ったら生活費と貯金の分を抜いて余ったお金で高校の参考書を買って勉強しているんです。ですから、高校の勉強も少しならできます」
    ああ、この人はちゃんと高校、大学まで行っていたらきっと有名な学者とかになっていたんだろう。藤野さんの親は何故、高校に行かせなかったんだろう。
    そう思った。
  • 7 狗千代 id:hGGjb1J1

    2012-04-11(水) 21:02:45 [削除依頼]
    「おはよう御座います」
    朝五時。まだ父や藤野さんは寝ているだろう。
    寝ぼけ眼でダイニングへと向かう。今日の朝飯はパン一枚でいいか。

    藤野さんが来る前は朝飯は基本、個人で作って食べていた。父とは起きる時間も違うし、わざわざ父と食べたいなどとも思わなかった。
    だが、藤野さんが来てからは家族間の交流を図ろうと父が提案したことから三人で食べることになった。
    いつも藤野さんが早起きしてベークルサンドとか朝飯にしては豪華すぎる食べ物を用意してくれる。だが、今日は僕が部活の朝練ということで久しぶりに一人で食べる朝食となった。
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