嘘吐きクラウン -AXEL-9コメント

1 鬼灯 id:rfJorHg.

2012-04-03(火) 00:48:24 [削除依頼]
 
 世界は減速などしていない。むしろ、乗算を繰り返すような怒濤の勢いで加速している。そう、世界は加速しているのだ。強い力でも弱い力でも電磁力でも重力でもない、その他の力の干渉によって。
 その力は極々弱く、されど雨粒が奔流と化すように圧倒的な量数にものを言わせて強大な力と成ることが出来た。減速器の轡を食いちぎり、それは駆け続けることが出来た。抹殺された理論の中にその力は潜んでいた。獣は瞳の中に爛々とした光を宿し、藪に伏せて涎を垂らしていたのだ。獣は自身が在る世界を生かし続けるために、彼の双子の兄弟を追い抜く足を持っていた。世界は減速を免れた。しかし、加速する世界はやがて、孤独を招くことになる。
 何もない空間は、本当は、未知の力を隠し持っていた。否、天才が天才と成るための努力を必要としないように、真空は己の牙を隠してなどいなかったかもしれない。無知で高.慢な人間が、見抜けなかっただけの話。
 
 ある時代、ひとりの科学者は現代科学の限界に疑問を覚え、彼らにとって忌避すべき学問に手を伸ばし、その獣の檻を見つけてしまった。
 
 その後、斥歴零年、それまでの常識を根底から覆す、眞力という概念が誕生した。
  • 2 旧世界の神 id:gxLbbY81

    2012-04-03(火) 00:56:29 [削除依頼]
    鬼灯さんどもー
    先日はお世話になりました、旧世界です
    期待ですわぁ
  • 3 鬼灯 id:QlvaVt5.

    2012-04-03(火) 02:01:04 [削除依頼]
    >>1 は、分かる人には分かる話ですが、 直接物語の内容には関係ありません。
  • 4 鬼灯 id:QlvaVt5.

    2012-04-03(火) 02:03:11 [削除依頼]
    >>2 こんばんはー がんばりますねっ 美術館の件はどうも^ ^ これからオリキャラも載せていきます←宣伝
  • 5 鬼灯 id:LlpAlWY/

    2012-04-04(水) 03:02:30 [削除依頼]
    ***
     
     雨が降っていた。強風に煽られ勢いづき、雨粒が体に当たると痛みを感じる程である。繁る木々の葉を打つ音も尋常ではない。強風に機動型長外套のフードがまくられそうになり、左手でそれを押さえた。手が濡れるが、顔が濡れるよりはマシというものである。髪房が頬に張り付いていることを考えれば今更という話になるかもしれないが、それはそれ、気分的な問題へと持っていけばいい。
     筋力強化第七位の眞式を全身、特に脚に施しながら、男は休息を求めて仕方がない肉体に鞭打って前へ前へと足を進める。そうでもしないと、立ち止まってしまいそうだった。フードを打つ絶え間ない水滴の音が、気力を保たせてくれていた。荒い息は、冷たい空気のなか白く渦巻いて消えていった。
     辺りが本格的に暗くなってきた頃、男は大きな木を見つけた。木には洞(うろ)があった。身を縮込ませれば、大人の男ひとりが入れないこともない。下向きの入り口は、出入りには向かないものの雨天下では好都合だった。水が中に入ってこないからだ。洞の内部はすえた臭いがした。だが、濡れながら一夜を明かすことを思えば我慢出来た。火は焚けないが、濡れていなければ身体を暖める方法は他にもある。
  • 6 鬼灯 id:LlpAlWY/

    2012-04-04(水) 03:23:33 [削除依頼]
     男は腰に結わえ付けられていた武具を抱きしめるようにして座り、瞼を降ろした。黒塗りの鞘に納められた刃は大業物の刀だった。柄の部位に彫られた、高名な刀匠・カルタガの印がそれを裏付けていた。特殊な作りになっている眞刀は、眞式を使う媒体具として用いることが出来る。男は柄の細工部分に指を添え、生体系の眞式を発動し、体温を上げた。低体温症は恐ろしい。髄より滲み出始めた熱を心地よく感じながら、男は微睡んだ。
     木には結界が張られていた。落雷による引火を防ぐ類のものである。結界は他者の進入を拒むためのものではなかった。幾刻かの眠りの後、男は近付く獣の気配に目を覚ました。みれば、狼より一回り大きな獣が、濡れ鼠となってそこに居た。男は言った。
    「小さくなれば、入れないこともない」
     獣は顔を背けた。そして小さく一振り尾を揺らして、男の居る洞へと寄っていく。ぶるぶると滴を飛ばすために身体を震わせた獣は、ひと瞬きした後には仔犬ほどの大きさとなっていた。獣は男の足元へ潜り込んだ。男は体勢を直し、再び瞼を閉ざした。夜はまだ長い。明日は晴れるだろうか、などと考えつつ、暗闇へ意識が沈んでいくのを感じていた。
  • 7 葵月 id:eBoEwM30

    2012-04-04(水) 09:14:30 [削除依頼]
    何かすごい文章ですね!!
    楽しそうです。
    読ませてもらいます!!。
  • 8 鬼灯 id:wnhQKmZ0

    2012-04-05(木) 09:18:50 [削除依頼]
    ■始ノ章
     
     目も開けられない程の烈風に激しくはためく銀灰の髪が、鋭い痛みを伴って彼の頬を打ちつけた。青年は腕を上げ、前面を防御する。まだ、動くべきときではない。機会を逃さぬよう、神経を張りつめた。視界は自らの腕で塞がれていたが、地面から伝わる大きな振動、次いで風が緩んだのを肌で感じ取った。水気の多い土を蹴.り飛ばし右方向に横転した後、青年は相対するモノへとナイフを投擲する。それは当たりをつけた部位に到達せず、先ほどまで彼が居た場所薙払った、硬い鱗に覆われた長い尾に打ち落とされた。
     若い真紅の竜の怒りの哮りが槍のように青年の鼓膜を突き刺す。青年は頭上から襲いかかる爪を避け、前転し、竜の懐へ潜り込んだ。艶のある、血.潮のような鱗の美しさに見惚れる暇もなく前肢と後肢の合間をくぐり抜けて対角線上に移動する。竜の首は長い。ゆえに攻撃範囲は広くなるが、大きな体と翼が災いし比例するように死角も増える。青年はそれを狙ったのだ。大抵の有翼種にも当てはまるように幼竜には、後肢の付け根に鱗の柔らかな箇所がある。青年はそこに、眞刀を突き立てた。
     
  • 9 鬼灯 id:wnhQKmZ0

    2012-04-05(木) 10:37:17 [削除依頼]
     後肢の蹴りを避け、後方へ跳ぶ。眞刀は竜に刺さったままだ。それでいい、と青年は安堵の息を吐いた。眞刀は、眞式の媒体だ。遠距離で発動する際の目印にもなる。青年は跳躍の勢いを殺.さずに、手近にあった木の幹を蹴り空中に跳び上がりナイフを飛ばした。それらは、竜へ向かわず地面に刺さる。竜を囲むように正方形を描くナイフの陣は、青年が印を結ぶと同時に淡い青色に光り始めた。
    「『縛』!」
     叱咤のような鋭い青年の声が通る。正方形の内側に二本の対角線が走る。危険を察知した竜が翼を広げて飛び立とうとするが、数瞬遅かった。対角線の光は鎖と成って具現化し、竜の後肢を絡め取る。竜は怒りに吼えるが、鎖の力が弱まることはない。青年はもう一度、同じ印を結んだ。発動はさせず、それを陣に潜ませる。今掛けている術が解けたときのための保険だった。
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?

このスレッドの更新通知を受け取ろう!

ログインしてお気に入りに登録すると、
このスレッドの更新通知が受け取れます。

最近作られた掲示板

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。

ログイン

会員登録するとお気に入りに登録したスレッドの更新通知をメールで受け取ることができます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません
閲覧履歴
  • 最近見たスレッドはありません