あの日の記憶7コメント

1 黒猫 id:XlQp8wc.

2012-04-02(月) 04:17:00 [削除依頼]
※このお話は侍がうろうろしている時代が背景となっています。


「ねぇ、それ頂戴。」
大きな木の下で無表情な少女は男に話しかけた。
「おにぎりですか?はい、どうぞ。」
少女はそれを貰うとどこかに行こうとしたが、男が軽く腕を掴んできたためにそこで食べることにした。
「あなたの家族は?」
男がそうたずねるのを聞いて少女は空に目をやって、たった一言呟いた。
「死んだ、家もない。」
「そうですか。私もあなたと同じです。」
「ふーん。………ごちそうさま。おいしかったよ。」
少女は感情の無い目を男に向けてそう言って背を向けて歩き出そうとした。
しかし、男がそれを制した。
「私についてきませんか?流石に男一人だと何をやってもつまらなくて。」
男はそう言って苦笑する。
「……奇遇だね。私もおにぎりのお礼にお前を守ってやろうと思ったところだ。」
そう言って少女は振り返った。
「それは有り難いことですね。」
男は微笑んだ。
「では、そろそろ帰りましょう。」
大きな手の平が小さな手の平に重なるまで後3秒。
  • 2 黒猫 id:XlQp8wc.

    2012-04-02(月) 04:48:00 [削除依頼]
    「ここがお前の家か?」
    「はい、そうですよ。」
    少女の無表情だった顔がだんだん驚きの色に染められていく。
    それは、少女の目の前にあるのは大きな屋敷だったからだ。
    「………サヨナラ」
    逃げようとする少女の腕をがっしりと掴み男は爽やかな笑顔で
    「どうされましたか?」
    などと告げてくる。
    「だって、こんな大きな屋敷、見たことないから……無理無理住めない。」
    「先程も申したでしょう。私一人なんです。家の広さなら私も自覚しておりますが、こんなに広い屋敷にたった一人だなんて酷な話だと思いませんか?」
    少女は無言になるも、暫くしてから
    「もうわかった。」
    と言ったのだった。
    男と少女が足を進めると一つの部屋にたどり着いた。
    「ここは私の部屋です。あなたの部屋は隣に致しましょう。」
    「別にいいよ。お前を守るのには好都合だからな。」
    少女は既に家具の揃っているその部屋を見回した。
    「女性ものの服ならそこに入っているので覚えておいて下さいね。」
    「なんで女性ものの服が?」
    「客用のものですよ。」
    「ふーん。」
    「……………」
    いきなり黙る男に少女は疑問を抱きつつも無視していたが、次の言葉でそれは無意味なものとなった。
    「なんだか、新居住まいを始めた夫婦のようですね。」
    男は微笑みながらサラリと言ってのけた。
    「!?/////」
    少女は何も発すことができなかった。
  • 3 黒猫 id:XlQp8wc.

    2012-04-02(月) 05:15:42 [削除依頼]
    男の家に来てから数時間後、少女は全ての部屋を案内されて今は風呂を出た所であった。正直な話、彼女は全然覚えていなかった。
    「はぁ………」
    何からくる溜め息なのかはもうわからなくなっていた。ただ、何故自分が男についてきてしまったのか、それが不思議でしょうがなかったのだ。
    「馬鹿なのかな……」
    少女はしばらく考えこんでから男に渡された着物を着て、その場を後にしたのだった。
    「おや、湯加減は如何でしたか?」
    「丁度良かったよ。」
    「そうでしたか。ところで、あなたの名前を伺っても宜しいですか?」
    「あぁ、まだ言ってなかったっけ。私は」
    星野 美由紀
    そう少女が呟いた時、男は息が止まった。
    何故かはわからない。ただ、記憶が反応を示しているのだ。
    「……みゆきさんですか、素敵な名前ですね。私は谷織 灯弥と申します。」
    「たにおり とうや?」
    「はい、灯弥で良いですよ。」
    「わかった、私もみゆきでいいよ。」
    灯弥は早速少女の名前を呼ぶ。
    「みゆき」
    「何?」
    「いえ、ただ呼んでみたかっただけです。あなたの名前で。」
    みゆきは赤面する。
    (どうしてこいつは平気で恥ずかしいこといえるのかなぁ)
  • 4 黒猫 id:XlQp8wc.

    2012-04-02(月) 05:40:02 [削除依頼]
    灯弥の家に来てから3日後、みゆきはこの家にも大分なれていた。
    「とうや、お昼ご飯つくったぞ」
    「わかりました。今そちらに行きます。」
    灯弥はそう言った後に一冊の書物に目をやった。
    「今は、まだ読まない方が良いと思うのは何故なのでしょう……」
    そう呟いた後、灯弥はその場を後にしたのだった。

    「とうや 遅い」
    「申し訳ありませんでした。」
    「別に怒ってないからいいよ。」
    「それは良かった。ところで今日は買い物に行きたいのですが、みゆきもどうですか?」
    「行きたい。」
    相変わらず彼女は無表情だが、それでも表情が和らいできたのを灯弥はしっている。
    「みゆきも変わってきましたね。」
    「…そうか?」
    「はい、小さく笑ったり、怒ったり、赤面したり。」
    「赤面なんてしてない!!」
    「可愛いらしい方ですね。」
    「かわっ!?///」
    「それを赤面というのですよ。」
    (こいつ絶対楽しんでる!!)
  • 5 黒猫 id:BEpbqhf0

    2012-04-03(火) 20:21:20 [削除依頼]
    買い物へと灯弥とみゆきが足を向けた先。
    そこにはみゆきが見たことも無いような高値の物がたくさん並んでいた。
    「!!!!」
    「みゆき、私が買いに来たのはあなたの着物です。どれかお好きな物を選んで下さいね。」
    「!!!!」
    (ケタが信じられない!!)
    みゆきは灯弥に着物の店を案内されたが、どうして良いのかわからず一人オロオロしていた。しかし、灯弥は颯爽と店の中に入って行ってしまった。
    「ちょっと、置いてかないで!」
    「?如何なさいましたか?何か問題でも「ありまくりですよ旦那」……」
    未だに動かぬみゆきを見てやれやれと言うように灯弥は手を引いて歩き出した。
    手を引くとういよりは繋ぐと言ったほうが正しいだろう。
    「ととととと灯弥!!手ェ離せ!ひひひひひひとりで歩けるよ!」
    面白い位に赤面するみゆきを見て灯弥は黒く微笑んだ。
    「そんなにも嬉しいのですか。」
    「嬉しくないよ!!てか離れて!」
    「嫌です。離れたら一生入って来ないでしょう。それに、」
    そこで恋人繋ぎとなる手にみゆきは驚いた。
    「自己満足ですから。」
    「!!!!」
    「さぁ、着物を選びますよ。」
    みゆきが一言も話せないのを知ってか知らずか灯弥は話を元に戻した。
    結局みゆきの着物は赤い生地のものにピンクの花が咲いた可愛らしいものと後数着を灯弥が選んだのであった。
    「さぁ、帰りましょうか。」
    「うん。」
    二人は日暮れ時の道を歩くのだ。
    何も知らないかのように。


    「ほーぅ、灯弥にあんな可愛いおなごがおったとは………しかもあれは」
    暗い路地裏が闇を生む。
    危険な香りを残して、
    「星野 善慥(ほしの よしぞう)の娘ではないか…」
    闇は動き出す。
  • 6 黒猫 id:BEpbqhf0

    2012-04-03(火) 20:52:15 [削除依頼]
    それは誰もが予期しないであろう突然の出来事だった。
    「誰か!誰かいませんか!!」
    「どちら様?」
    怪しむように戸を開くみゆきに突然しがみついてきたのは男だった。
    暗闇で顔は見えないが、どうやら助けを求めているらしい。
    「……とりあえず入って。」
    「ありがとう御座います!!」

    それがいけなかったのだ。
    居間に男を通してみゆきはふり返る。
    「一体どうし……たの………お前」
    「久々だな。善慥の娘よ。相変わらず可愛いなぁ。」
    みゆきは言葉に詰まったかのように声が出なかった。みゆきの目の前にいるのは恐ろしい位に優しく微笑みかける男ただ一人。
    その時だった。
    チャキ
    突然音がしてみゆきと男は音のした方向を見た。
    「人の家で一体何をなさっているのでしょうか。」
    「ふっ、俺は何もしておらんぞ。まだの話だがな。」
    「それならば今此処であなた様を切り捨てます。それとも自害なされますか。」
    「どっちも御免被る。」
    しばらく男とみゆきのピリピリした雰囲気が続く。
    そんな中、先に口を開いたのは男だった。
    「覚えているか、善慥の事は。」
    後ろのみゆきに語りかけるように。
    「あの日あの時、大人しくお前を渡せばあんなことにはならなかったのにな。」
    「っ!」
    「何が何だか詳しく知りませんが切り捨てますね「待って!!」…みゆき。」
    灯弥の言葉に静止をかけたのはみゆきだった。
    「教えてよ、お前が背負う筈の罪を。」
    静かにそう言ったみゆきに男はさも愉快だというように笑った。
    「よかろう。」
  • 7 黒猫 id:BEpbqhf0

    2012-04-03(火) 21:22:02 [削除依頼]
    男は口を開いた。
    「俺は…」

    「善慥兄さん、風の噂だがお前に一人娘がいるらしいな。」
    「あぁ、いるぞ!!」
    「本当か!兄さんの嫁に似て可愛いのだろうな!」
    「気になるなら来るか?」
    「良いのか!」
    俺はあの時まだわからなかったのだ。あいつに娘がいたなんて。あいつの娘の顔が見れることとなり俺は舞い上がっていた。

    「お父さん、お兄ちゃんは誰?」
    俺は見てはいけないような気に陥った。
    こんなにも可愛いみゆきを独り占めするあいつが許せなくなった。
    みゆきの顔を見てから一年経った時
    「お兄ちゃんの事大好き!!」
    俺の
    みゆきの言葉で俺は確信した。
    「俺もみゆきが好きだぞ。」
    俺は恋心を抱いているんだと。

    「兄さん、みゆきをくれぬか。」
    「お前、気は確かか!?」
    「あぁ、俺はあいつを愛して愛して愛して愛して、そんなものじゃ伝わらない。」
    あいつは危険なの思ったのだろう。
    俺の前かや消えた。
    翌日、俺はあいつの家に行った。
    だが、そこにいたのはあいつだけだった。
    嫁も愛するみゆきもいなかった。
    「兄さん、みゆきはどこだ。」
    「嫁もみゆきも殺して埋めた。」
    俺はその言葉に怒り狂ってあいつを切り捨てた。

    「だが、つい昨日おまえを見つけたんだ。灯弥と歩いているのをな。」
    「あなた様は私のことをご存知なのですか。しかし生憎私はおなごの親を切り捨てるあなたのことなど知りたくもない。」
    「それはどうも。みゆき、まだお前は私のことを愛してくれているのだろう。ならば私と共に逝こう。誰にも邪魔されないように。」
    すると男は腰にさしてある刀を抜こうとしたが、
    ザシュッ
    灯弥によってそれは無惨にも終わったのだった。
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?

このスレッドの更新通知を受け取ろう!

ログインしてお気に入りに登録すると、
このスレッドの更新通知が受け取れます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。

ログイン

会員登録するとお気に入りに登録したスレッドの更新通知をメールで受け取ることができます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません
閲覧履歴
  • 最近見たスレッドはありません