「あ」〜「を」 短編集36コメント

1 name id:8W4apxy1

2012-03-19(月) 13:26:05 [削除依頼]
あ か さ た な
い き し ち に
う く す つ ぬ
え け せ て ね
お こ そ と の


は ま や ら わ
ひ み い り ゐ
ふ む ゆ る う
へ め え れ ゑ
ほ も よ ろ を

【企画】五十音で短編集を作ろう の投稿用スレッドです。
準備スレはこちら→【1332129422】(準備板)
参加したい方は上のスレへどうぞ。
感想は自由にどうぞ。当然ながら無意味なコメントは控えてくださいね。
  • 17 じゅぅ id:kCquJeS.

    2012-03-29(木) 22:52:10 [削除依頼]
    挑戦する文字:わ


     ――彼女が亡くなって一年経った夏、アイスを食べながらふと思い出した。


     ***


     彼女は、重い心臓病を患っていた。

     僕がそのことを知ったのはちょうど一年前の夏休みで、その頃は彼女も入院なんてしていなかったし、今よりもずっと元気だった。

     でも、今年の夏は違った。去年みたいに一緒にデートなんてできないし、笑った顔もあまり見なくなった。だから、僕は少しでも彼女を楽しませてあげようと、毎日彼女のいる病室に通った。彼女と交わした言葉は、一つ一つが大切な宝物となった。


    「『私』って言葉は不思議ね」

    「…どうしたの急に」

    「だって『私』は『愛(I)』、だなんて出来すぎよ」

     彼女の思考は読めない。急に話し始めたと思ったら、よく分からないことを言い出す。僕はそれについてなんて答えようかといつも考えるのだけど、考えている間に彼女は飽きてしまうのか、

    「まぁどうでもいっか」

    と、さらりと流してしまう。

     今日もまた同じ展開になるかと思い、それ以上何も言わないでいると、珍しく彼女は言葉を続けた。

    「私が死んだら、愛も無くなっちゃうのかなぁ」

     独り言のように呟かれたその言葉は、重く、僕にのしかかった。

    「…僕がずっと愛してるよ」

    「でも、君に触れられないよ」

     彼女は窓の外を見つめながら言った。

    「触れなくても、君も僕のことを愛してくれるでしょ?」

     彼女は答えなかった。そして、いつものように、

    「まぁどうでもいっか」

    と言っただけだった。

     どうでもよくなかったけど、彼女の目に涙が溜まっていたから、言葉は続けられなかった。


     その話をしてから三日後に彼女の病室を訪れると、彼女はもういなかった。僕は、ただ病室の入り口に立ち尽くして、彼女の両親と、彼女の担当医が話しているのを聞いていた。


     ***


     気が付くと夏の日差しにアイスは溶け出していた。

    ――どうか、僕と彼女の愛まで溶かさないで。
  • 18 繻琥羅 id:F/iHW5b.

    2012-04-02(月) 14:31:53 [削除依頼]
    *な*

    自分の名前は、この世の物ではなくなる
    でもそれは、遠い未来の事
    「これとったの自分やろ?監視カメラうつってるで。自分、今のうちに白状しとき!」
    ギンギンと太陽が照る
    ふと、後を振り向くと・・・
    知らないコンビニの店員さんに、妹が何かいわれていた
    そこへ駆けると、妹は泣き出した
    「このおばさん、変なこと言ってる!私に・・・」
    聞こえてたが・・・
    この場合の自分は
    「おばさんちゃうぅっ!はぁ、言葉戻すわ。こういってぃたんよ。
     *これをとったのはあんた、監視カメラにうつってた、あんた今のうちに白状しなさい。*
     こんな感じやろか?ポッケの中のもん、返しはったら何もせーへんから。」
    妹は何か高そうな物を、店員さんに渡した
    「いいこや、今度やったらただじゃすまへんよー!」
    口元が少し上がった
    おばさんと言うには若すぎる、なんて元気なおばさんなのかと・・・
    そんな万引きから100年
    妹に私の名前をあげて空に羽ばたいた
    それからまた100年
    時は変わる―――・・・
    霧鵜と言う名前は、この世からさる
    というより、人物ごと、この世とあの世のど真ん中に連れてかれる
    といえばよいのだろうか?
    雲行が悪くなってきた
    ピキッ
    アンテナに一発巨大な雷をおとされて妹は追放
    この名前と一緒に謎の島に送り込まれたのだ
    そして1人とりのこされ・・・
    それからまた100年
    悪魔はあちこちに霧鵜と言う名前をばらまいた
    それに乗ったバカな人は、謎の島に追放
    少女達が今話している内容の噂をききピキーンと来た
    「ねぇねぇ、知ってる?」
    「何?霧鵜ちゃん」
    「霧鵜って言う女のこは、悪魔に謎の島に追放されちゃうんだってww」
    「え?マジで?」
    「うん。1人のお姉ちゃんが妹に名前をあげたのから始まったらしいお」
    その言葉は、悪魔を呼んだ
    そしてそれ以来ずっと・・・
    霧鵜って名前は、パンドラの名前になったらしい
  • 19 千本桜 id:2nc5aUt/

    2012-04-02(月) 22:20:26 [削除依頼]
    挑戦する字 も

    その森には、妙な噂があった。
    森に一度入ると、何もかもが狂った状態で帰ってくるという。
    例えば、人間が入るとアヒャヒャヒャ(゜∀゜)な状態で帰ってくるという。
    とにかく、何もかもが狂う「狂乱の森」と呼ばれている。
    「…で、罰ゲームで森に入って来いってどういうことだよ…」
    まぁ、俺は今森を一往復して来ることを強いられている。
    「ポーカーで負けたお前が悪い。とっとと行って来い」
    …一つ言おう。
    森に入ると必ず狂うと思われているが…それは嘘だ。
    必ずしもそうではないらしい。
    まぁ、森の気分によるものなのかな?
    なんか、森の木の実とか踏んだり枝折ったり、木に印しつけたり、動物とか傷つけたり、とりあえず森の物さえ傷つけなければ大丈夫。
    「とっとと一回りしていきますか」
    …で、入ったのはいいけど、迷った。
    「まよ○マイマイ」じゃねえか、という突っ込みを期待してみたり。
    「一回迷うと抜け出したという例無いから…とりあえず動物どもに聞こうか」
    動物もクソもいなかった。
    「ちっくしょお!」
    とじだんだ踏んでいると…
    バキッ…
    という乾いた音が聞こえた。
    その後、その少年は狂気の笑いをあげて帰ってきたという…
  • 20 夢羽 id:gFDKdUB0

    2012-04-03(火) 14:58:41 [削除依頼]
    挑戦する文字【お】 


     外へ出てみた。同じサークルのメンバーと共に。
     サークルの名前はポエトリー。詩を愛する者たちが集まるサークル。
    うちのサークルの部長は変わった人で、なかなか学校にこない女の子。
    そんな彼女は詩がとても好きで、毎日外に出て自然とふれあい、詩をかいているそうだ。自由気ままな彼女は学校にサークルだけつくって、素晴らしい人材、1つ上の後輩である、奥田愛仔をサークルに引き込み、自分は学校にこなくなったという。
     奥田愛仔。俺、入野幸の1個上の先輩で俺の好きな人。この炎天下の空の下、陽光で艶めいている黒髪。ミネラルウォーターを飲み、ますますみずみずしくなったぷくっと膨らんだ桜色の唇。スッと高い鼻。瞬きするほどよくわかる長い睫毛。その美しい顔が歪み、ブラックダイヤモンドの瞳が俺を覗き込む。

    「幸くん、どーしたの? なかなか筆が進まない?」
    「あ、いえ。そういうわけではないんですけど」

     見惚れていた、なんて言えないであろう。太陽のように輝く笑顔に頬を染めながら、俺はさりげなく目をそらした。しかし、俺の言葉に疑問を感じた愛仔先輩は顔を寄せてきた。

    「詩が思いつかないとか?」
    「いや、そうじゃないです」
    「うーん、詩はかいてるみたいね。じゃあどうしたの?」
    「み、見たんですかっ!?」
    「ん、見てないよ〜。勝手に読んじゃったら嫌な気持ちになるでしょう?」

    その優しげな声と笑顔にくらくらする。本当に、素敵な人だ。
  • 21 夢羽 id:gFDKdUB0

    2012-04-03(火) 15:07:18 [削除依頼]
    >>20 「じゃあ頑張ってね」と軽く手を振り、廉先輩のもとへ駆けていった。その小さな背中を見つめていたら、俺の後ろに沙綾さんが居たことに少しも気づかなかった。ここは広い公園だから、サークルメンバーはなかなか出会わないのだが。まさか、後ろに潜んでいたのか。 「しあわせくんのメモ帳げっつー!」 「あっ! 沙綾さんっ」  沙綾さんこと、平川沙綾さん。サークルメンバーの一人で愛仔先輩の親友。おてんばで元気いっぱいな先輩に見えない先輩。栗色のショートボブがとても彼女にあっている。 「返してくださいよっ」 「しあわせくん、沙綾は知ってるんだよ? きみが愛ちんに向けての愛を詩に綴っていることは」 いたずらっぽくにかっと笑った。この人には勝てない気がする。 「怖がらなくてもいいんだよ。愛ちんは鈍感だから気づかない。逆に、今まで綴った詩を誰にも見せてないことが、愛ちんの悩みになってるんだよ、知らないでしょう」 「え、そうなんですか」 「そう、愛ちんはきみのこと、結構気にかけているんだから。詩は人に見せないとダメだよ。ただ趣味ならいいけど。沙綾たちはサークルでやってるんだから」 「はい……」  沙綾さんにはわかってたんだ。俺が愛仔先輩への想いを詩に込めていること。それを見せることが怖いってことも。思いつめて、黙り込んだ俺を見かねて、沙綾さんはひとつの簡単なようで難しい質問を唱えた。公園の長いポールの上にちょこんと乗った時計が2時半を指した、そのときだ。 「ねえ、しあわせくん。『好き』の反対はなんだと思う?」
  • 22 夢羽 id:gFDKdUB0

    2012-04-03(火) 15:09:34 [削除依頼]
    >>21 「……嫌い、ですか?」 「そういうことじゃなくて」 「じゃあ、無関心」 「正解。じゃあ『臆病』の反対は?」 「えっと、豪胆のはずなんだけど、違う気がします」 「さすがしあわせくん。真面目だね、確かに『臆病』の反対は『豪胆』。だけど意味的に考えると……」 「……なんなんですか?」 苦虫を噛み潰したような顔で、沙綾さんに尋ねると、彼女は胸を張り、輝く笑顔でこう言った。愛仔先輩の時とちがって、太陽は白くて厚い雲に覆われて少し陰っているが。 「ふふ、頭が固い後輩君に先輩ちゃんが教えてあげよう。『臆病』の反対はね、『勇気』だよん」 「勇気……」 「あとはもう自分で考えられるでしょー? 先輩は彼氏くんといちゃいちゃしてきまーっす」 奪い取ったメモ帳を俺の掌の上にぽん、と優しく置くと、彼女は敬礼のポーズをして、ぱたぱたとプリーツスカートを揺らして駆けていった。  そうか、勇気か。俺に足りないもの、 「……愛仔先輩! 見て欲しいものがあるんです」  俺は笑顔でなぁにー? と声をかけてくる彼女を見つめながら、後ろ手にメモ帳をぎゅっと握り締めた。              .Fin
  • 23 祈祷 彗月 id:TIL8G720

    2012-04-03(火) 18:09:19 [削除依頼]
    挑戦する文字⇔【つ】
    ▼.*
    占意…うらい
    成…せい

     
    「占意ちゃーん! 何処ぉー……」
    「成! こっちこっち」
     半べそをかいたような顔で涙声を上げれば意外と近い場所から声が聴こえた。その声を頼りに、月光の光だけで声のする方向へ進む。
     身長よりも高いススキは成の行動と視界を阻み、体力さえも奪いつつあった。
     いくら八月といはいえ、雨上がりだと肌へと触れる雫が冷たい。ぐちゃぐちゃになった土に足をとられながらも必死に進めば見覚えのある子供が見え隠れしてきた。
    「占意ちゃん見つけたっ」
     最後には駆け出していた。
     沢山の泥が付いた重い長靴で走った。飛び散る泥がズボンに付着し、怒られることも忘れ。
    「成! やっと来たよ」
     呆れたような声が聞こえたと思ったら広くなった視界。目の前には大きな石に座る占意が。
     艶のある赤い長靴をパタパタと上下に動かしている占意を囲むように一部ススキがない。
    「成、遅い! 今日はダンスの練習に付き合ってくれるって言ったじゃん」
     頬を膨らませ、唇を突き出す占意は石から飛び降りるなり成へと詰め寄った。
     明らかに不機嫌な占意へと必死に謝る成。両手を合わせ、必死に頭を下げる姿は上司に叱られた部下のようだ。
    「まったく。占意が本番で失敗したら成のせいだからね!」
  • 24 祈祷 彗月 id:TIL8G720

    2012-04-03(火) 18:17:52 [削除依頼]
    >23 「うー……。本当にごめんね。……そして何でススキの中?」  されるがまま占意と手を繋いだ成は申し訳なさそうな顔で尋ねた。 「今日は十五日。つまりは十五夜」  右手を離して、くるくる回って。一歩下がって。  踊りながらも顔を上に上げた成は息を呑んだ。  雲一つない空には星に見守られるようにして輝く満月。 「月には兎さんがいるの。今頃はきっとお餅をついてる」 「へぇー。占意ちゃんは頭がいいね」 「まぁ、お餅つきっていっても、片方が成みたいなバカじゃ大変だろうけどね」 「……え?」  ふふんと鼻を鳴らす占意。  否定も出来ない成は得意げな顔をする占意の顔を微妙な顔つきで見つめた。 「ほらほら、もっと楽しそうに踊ってよ。じゃないとお月様がかわいそうでしょ」 「!?……ぷっ」  真面目な顔で「お月様がかわいそう」なんて言うものだから吹きだしてしまった成。  最初は怪訝な顔をした占意もつられるようにして吹きだした。  結局は楽しければいい。  二人の考えは同じだ。    手に手をとり、月光を浴びながら二人は踊る。  ――夜はこれからだ。 末.
  • 25 千本桜 id:hQWZVzF.

    2012-04-08(日) 16:55:54 [削除依頼]
    挑戦する字 み

    …少女は、病を患っていた。
    生まれつきの病…というよりは呪いというものだ。
    生まれつき右手が黒い刺青のようなものがあり、そこから化物の腕が飛び出すという。
    少女はその村を支配していた帝国にとらわれた。
    そこで、化物を召喚する儀式のようなものをやらされ続け、疲れきっていた。
    少女は、我慢が出来なかった。
    自分は普通に生きていたいのに、一人の女の子でいたいのに…
    少女はこの世に嫌気がさした。
    手始めに脱走してやった。
    そして、城の兵士を殺し城主を生かしておいた。
    何故生かしておくのって?それから拷問して、なぜ私を捉えたのかを問うから。
    そして…城主は何もはかないまま、死んだ。
    私は…これで自由だ。
    自分の気の向くまま生きていける。
    だが、この右手の呪いは…どうすればいい…
    そうだ、旅に出よう。
    少女は、この呪いを解く旅に出ることにした。
    少女の旅は、これから始まる…
  • 26 比翼鳥 id:uhZYGjz/

    2012-04-14(土) 18:24:16 [削除依頼]
    名前【比翼鳥】
    挑戦する文字【り】


    「林檎が、見たいな」
     ある日、突然友人がそう言ったことがあった。そして、私はその言葉に疑問を感じて尋ねた。
    「見たいの? 食べるんじゃなくて?」
    「うん」
     病院の真っ白なシーツを握り締めた友人の拳は雪のように白かった。しかし、頬は薄いピンクに染まり、笑っていた。
    「どんな種類の林檎?」
     私が尋ねると、彼女は窓の外を見ながら呟くように言ったのだった。

    「どんなのでもいいの。植えてある林檎。生き生きとして輝いた林檎が見たいなぁ」


    「生き生きとして輝いた、かぁ」
     私にとって、今それが一番引っかかっている言葉だった。
     数ヶ月前、生まれつき病気がちな友人、実里が私に病院で呟いた言葉。その時の病気はもう治ったのだが、また新しい病気にかかってしまった。しかも、さらに厄介な病気らしく、少し田舎じみたこの地域の病院では治せない、と。
     仕方なく、都会の近くの空気が綺麗な街に引っ越しするそうだ。
     だから、私は実里に何かしてあげたいと思ったのだが。
    「林檎かあ」
  • 27 比翼鳥 id:uhZYGjz/

    2012-04-14(土) 18:24:54 [削除依頼]

     元々この辺りは林檎の成長しやすい環境ではない。見れるとしたら、テーマパークなど屋内での環境で生きる林檎だけだ。
     でもきっと、それは彼女が望む『林檎』ではないのだろう。屋内で育てられた林檎は生き生きとはしていない気がする。
     別の何かにすればいいだろうか。実里が欲しいものはなんだろう。
     そんなことを始終考えているから、今日もボーっとして学校の壁に激突する羽目になった。「せんせー! 水谷が壁にぶつかってまーす!」と物笑いの種にされたことは他でもない。しかも今でも少し痛む。
    「どーしよ」
     生き生きとし輝いているもの。自然の厳しい環境の中で必死に生きようとする生き物たちはそう見えるかもしれない。
     でも、そのような林檎はない。私はうーんと唸るより他はなく、ひたすら悩んでいた。

     そんなこんなであっという間に日が経ち、もう別れの日はすぐそこまで来ていた。
     私はまだどうしたらいいか分からず、放課後だれもいない教室で溜め息をつく。
    「りっち? どうしたの」
     顔を上げれば、美術部の友達の薫が立っていた。理恵という私の名をりっちと呼ぶのは数少ない友達の一部だ。
     少し考えてて、と言うと薫は笑った。
    「私は忘れ物しちゃって」
     そう言いながら、自分の机に引っかかっていた絵の具をとった。チャックが開いていたのか、筆が落ちる。
  • 28 比翼鳥 id:uhZYGjz/

    2012-04-14(土) 18:25:28 [削除依頼]

     そのまま転がって、教台にぶつかり止まった。
    「……落ちたよ、筆」
     そう言って、使っているうちに取っ手がはげたらしい絵筆を拾い上げたその時。
    「あ」
     頭の中に電光のようにぴんと閃いた。
    「何?」
     薫が首を傾げる。どうかした? と。
    「描けば、いいんだ」
     主語のない私の台詞に彼女はさらに首を傾げる。
    「描く? 何を?」
    「林檎だよ」
     そういうやいなや、私は口早にまたね、と大声で言いながら走り出す。
     さっきまで鈍色に見えていた空が、今は黄金色に輝いてみえた。
  • 29 比翼鳥 id:uhZYGjz/

    2012-04-14(土) 18:26:06 [削除依頼]

    「来てくれたんだ」
     頬を少し薄ピンクに染めている実里は、あの日と同じように笑った。どことなく寂しそうな笑顔だ。
    「当たり前でしょ?」
     本当は、寂しい。ずっと仲良しだったから。でもそれは言わない。私よりもきっと、実里の方がずっとずっと不安だと解るから。
    「言って、くるね。絶対帰ってくるから」
     その時はまた遊んでね、と。温かいその言葉に目頭が熱くなる。
    「これ」
     昨日必死に描いたものを手渡した。
    「また、開けてみて」
     実里は少し首を傾げたように見えたが、見間違いだったかもしれない。何故ならば、彼女はずっと笑っていたから。
    「ありがとう」
     その笑顔は、いつまでも。
  • 30 比翼鳥 id:uhZYGjz/

    2012-04-14(土) 18:26:22 [削除依頼]

     車が遠くに消えていっても、私はただ立ち尽くしていた。
     それから、新しい朝に相応しい雲一つない真っ青な空を見上げる。また会えるその日を待ち望みながら、私はこの街で待とう。


    「実里、何それ?」
     私が車の中でボーっとしていたのか、姉が気を使って話し掛けてきた。
    「……たからもの」
     赤い綺麗な実をつけた林檎は、生き生きと、必死で生きようとしている、と感じる。昔私がみたいなあ、なんて言っていたその光景は、確かに私には輝いて見えたのだった……。

     end
  • 31 比翼鳥 id:uhZYGjz/

    2012-04-14(土) 18:27:22 [削除依頼]
    >26-30 名前【比翼鳥】 挑戦する文字【り】 です。 駄作ですみません<(_ _)>
  • 32 奏楽 id:vt-4RRf246/

    2012-04-22(日) 19:04:09 [削除依頼]
    *name→奏楽
    *letter→へ
    *image→平和、華々しい


    「あのさぁ」
    向かいに座る友人の垣谷唯に高野結菜は淡白に何、と返した。
    「高野……確かに私は明るくて可愛い感じの雰囲気のカフェに行きたいって言ったわよ。せっかく四国から千葉まで来たんだから、何か観光がてらおいしいもの食べたいって。
    でも、でもね」
    そこで垣谷は一回言葉を切った。
    真っ白な皿に置かれたこぢんまりした時期限定スイートポテト・プリンを少し口に含み、
    深呼吸をし、
    「何でディズニーランド!?
    ちょっと一休みしたいからってわざわざ国内最大級の夢の国に入る奴がどこにいるんだよ!
    しかも年パス持ってるあんたと違って私は当日券!! 五千円、五千円よ!
    なんだアレか、浦安市民は全員茶飲むのに来客に五千円支払わせるのか、え!?」
    一気にまくし立てた。
    高野は右から左へと耳を流し、チョコレートドリンクをすする。程よい甘味は女子の心をわしづかみにしてしまうには絶妙すぎるバランスだ。
    垣谷は芋系統のお菓子を食べるとなぜか説教が多くなる。今日はさすがディズニーブランド、格が違うのか説教はいつもよりヒートアップしているようだ。「あたし習志野市民なんだけど」という高野の言い訳も受け付ける余地を持たない。
    全国の浦安市民様マジごめんなさい、彼女にとって芋とアルコールは同義ですと心の中で誰ともわず謝罪を述べた高野は、とりあえず興奮のピークは収まりつつある垣谷に反抗を試みる。
    「だって……他に知ってる場所、無かったんだもん……」
    「だからっておかしいでしょうがよー!! 探せば良いじゃない探せば!!」
    口調も酷いが、ついに上から目線ときた。ここまで来るともうおばちゃん機関銃(マシンガン)である。
    と、その時。垣谷は急にふう、と息をついた。そして荒々しく浮かしていた腰を降ろす。
    「……ありゃ腰抜け、お早いっすね」
    零れ出たのは本音である。
    「や、何か花見たら昔のこと思い出した。もう八年かーって」
    垣谷の言葉に、高野はハッと、花の咲くキャラクターをイメージしたガーデンを見た。桃色の名前も知らない花弁が広がっている。
    高野と垣谷のクラスで学級崩壊が起こったのは中学生の時だった。校内の花壇に一番近い教室で、そこにもやはり名前も知らない桃色の花があったのを二人は覚えている。
    列を作らない机に、音を立てて崩れていく心に、どうすることもできなかった。
    地獄のようだった。
    そうかぁ、もう八年たつのか。
    呟いた言葉はどちらのものだったのか、高野には分からない。
    でも――――
    「今があるから、昔のこと思い出せるんだよ。
    今が比較対象になれるくらい幸せだから、昔をあの時は大変だったねって言えるんだよ。
    だから今の私たち、自信持って言えると思う」
    こっちは元気だよ、平和ですよ、
    幸せだよ。
    高野の言わなかったことを引き継ぐように、垣谷は笑った。

    桃色の花は、花弁を散らそうと春の風に吹かれた。


    *
    すみませんご当地ネタ\(^O^)/
    華々しくなってる…のか?;
    でも楽しかったです、ありがとうございました♪
  • 33 青空模様 id:M8jIfVz/

    2012-04-23(月) 13:20:30 [削除依頼]
    名前【青空模様】
    挑戦する文字【う】


     海は、青かった。空も、青かった。
     視界に広がる無数の青を、私は磯の香を含んだ空気と共に吸い込む。そして固いコンクリートで造られた防波堤の上に腰かけると、翡翠色の表紙を捲った。
     もう相棒と呼んでも過言ではない、愛用のスケッチブックの新たな一ページを開く。そこには当たり前だけれど何も描かれていなくて、真っ新で、何にも穢されていない白で。今の私も、こんな感じなのだろうか。

    「……よし」

     小さく呟き、傍らのたくさんの色の中から一本を手に取る。真っ直ぐ見据えた先は、地平線の向こうまで広がるような海だった。その穏やかな波に、心が洗われるような気分になって私は自然と頬を緩めた。
     シャッ、シャッと色鉛筆が紙を滑る音が、波の音と共に私の鼓膜を擽った。
     一本の細い青が幾重にも重なり、目の前の景色を模写していく。
     私は白しか無かった紙に色を加えていきながら、何だか自分が空の蒼に、そして海を青に溶け込んでいくような気がした。
  • 34 青空模様 id:M8jIfVz/

    2012-04-23(月) 13:50:25 [削除依頼]
    >33 「…ふーっ…」  満足げな息を吐き、私は自分が描いた海と、眼前に広がるそれとを比べてみる。  やっぱり本物の美しさには敵わない。けれどこの綺麗な景色を描く事が出来て何だかとても幸せだった。  青の絵を傍らに置き、ごろんとごつごつした地面に寝転がってみる。  太陽に照らされ続けたその場は熱かったが、それさえも今は心地いい。  静かで激しい海の演奏を一身に受けながら私は目を閉じた。 「お目覚め下さい、海羽ちゃん」  瞬間、全身に感じていたじりじりと焼き尽くすような太陽がふっと無くなる。  不思議に思い瞼をどかすと、そこには太陽に負けないくらいの笑顔で、私を見つめるアイツがいた。 「海羽ちゃんの絵、相変わらずきれーい!」  ふざけたような明るい口調で、その視線を私からスケッチブックへと移す。にこにこしながら、描かれた青をなぞっていたその指は、何だか宝物を扱うみたいに優しかった。 「よく私の居場所が分かったね」  広いこの世界から自分を見つけ出してくれたという嬉しさと、もう見つけられてしまったのかという残念な気持ちと、彼に感じる、よく分からない胸のときめきと――。  様々な想いが絡み合い、複雑に混じりあいながら、その言の葉が彼に届いた。 「海羽ちゃんの居る所なら、いつでもどこでも駆けつける」  そんなクサい台詞を吐きながら、彼は勝手に私の色鉛筆をいじり始める。  そして一本、その華奢ながらも意外と男っぽい手に持ちながら、私の大好きな笑顔で言った。 「君が海なら、僕は空だから」  そして植物も太陽もない、ただ海しか描かれていなかったそのページに、新たな彩りを添えていく。  私が刻んだ青よりも、ずっと薄くて、優しくて、柔らかい青で。 「綺麗……」  そう呟いた私に、彼はまた笑った。  自分にはとても届かない、高い高い空を見つめ続ける海が、たまらなく美しく見えた。  深いブルーに溺れる私を光に下へと連れ出してくれる君のような、どこにいても必ず包み込んでくれる、君の瞳のような蒼。  彼の色が加わった海に、私は静かにこう綴った。 “空色に染まる海へ捧ぐ”  純白の砂浜が海の底へと攫われる。  今、海が笑ってくれたような。そんな気が、した。
  • 35 青空模様 id:M8jIfVz/

    2012-04-23(月) 13:54:03 [削除依頼]
    >33-34 名前【青空模様】 挑戦する文字【う】 イメージ【海】【明るい】 明るくないですね(爆) しかも駄作。 でも楽しかったですー。ありがとうございました!
  • 36 桐生遙 id:7bcqCih.

    2012-05-03(木) 11:02:12 [削除依頼]
    名前:桐生遙
    挑戦する文字:ふ
    イメージ:船、華々しい

    ――
    「もう、さよならの時間なの」
     桃色の、ほんの少し湿ったその唇が動いたとき、僕は彼女が何を言ったのか理解出来ずにいた。

     その日は、国挙げての盛大な式典が行われていた。
     空は澄み、風は心地よく、道端に咲く花々は、いつにも増して太陽の光を受け生き生きとしている。国民達は笑い、喜び、時には騒ぎ出しながら、彼女の門出を祝っていた。
     大陸の端に佇む国。今日はその国の第一王女が、大陸で一番力のある国へ嫁ぐ日だった。

     立ちふさがる木々を軽く交わしながら、僕は国の中央に存する城へ向かう。彼女がいるのは東側のこぢんまりとした塔である。その近くにある大きな木を駆け上り、僕はいつものように彼女に声をかけた。
    「姫様」
     僕の声に気づいたようで、そこにいた女性――少女といった方がしっくりくるかもしれない――は、ぴくりと肩を震わせた。僕はもう一度、少女に声をかける。「クリス様、クリスティアーヌ様! 僕です」
     だが、少女は振り返らなかった。何かあったのだろうか、僕は塔に唯一ついている窓へ飛び乗り、彼女の表情を伺おうとした。
    「どうしたのですか、姫。ご気分がそぐいませんか」
     彼女の細い肩に触れようとしたその時――まるで小鳥がさえずるかのような細い声で、少女は僕の手を払いのけた。
    「来ないで! お願いだからここから逃げてッ!!」
     僕にとってはとても気の弱い少女だった彼女がそのように大声を出すなど、とても信じがたいことだった。僕は驚きと彼女の迫力に気圧され、もといた木に飛び移る。
     そんな僕の様子に、彼女も驚いたのだろうか。くるりと振り返り、小さい声で早口にごめんなさい、と瞳を落とす。
     僕の目に入ったのは、普段以上に美しく飾り立てられた、彼女の姿だった。金色の髪を高く結い、眩いばかりの髪飾りが彼女の髪の上で踊っている。身につけているドレスも、この国の貴婦人が着ることすら許されないのではと思うほど、高価なものだった。
     毎日のように顔を合わせていた少女が、一気に大人びて見える。その変化に、僕は何も口にする事ができなかった。王女は悲しそうに目を細める。
    「もう、さよならの時間なの」
     呆然と立ち尽くす僕に、少女だった彼女は精一杯の笑顔を取り繕ってくれた。

     どちらかといえば小国の部類に入るこの国にもここまで国民がいたのかと思わせるほど、港には多くの国民で溢れかえっていた。海を渡って他国へ嫁ぐ若き姫を。この国の未来を背負う姫を見送るために。
     祝いの声に紛れながら、僕は息を殺すようにしてその場に立っていた。数時間前まで同じ時間を共有していた彼女があの大きな船の中に乗っている。何とも不思議な心地がした。
     出航の時間が近づいた時。花で飾られた甲板に、それ以上に豪勢な飾りつけの彼女が出てきた。遠くからなので表情は分からないが、まとう空気が非情に暗い。だが民衆はそれに気がつかないらしく、彼女の名を呼ぶ歓声が更に大きくなった。
     しかし国の姫は人形のようにぺこりとお辞儀をする。民衆の間から口笛が響いた。彼女は国民に笑顔を振りまいているのだろう。
     背後に控えるメイドのうちの一人が、これまた豪勢な花束を差し出した。姫はそれを受け取り、細く真っ白な手で花を一本取り出す。すると、彼女は大きく振りかぶり、その花を民衆に向かって投げたのだ。それに気が付いた国民は、美しい姫からの花を我先にと奪い合う。だが、その甲斐空しく――、
     彼女の投げた真っ赤な薔薇は、僕の手の中にすっぽりと納まったのだ。その瞬間、ちくりとした痛みと共に指から真っ赤な血が滴り落ちる。
     遠い事は知っていた。盗賊と王族など、相容れないことも知っていた。
     もう二度と顔を合わせることの無いであろう高貴な女性は、一瞬だけだが――微笑んだように見えた。

    ――
    締め切りを一日過ぎてしまいました、申し訳ありません。
    ありがとうございました!
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