学校 83コメント

1 春木 id:h2R6oGj.

2012-03-15(木) 19:38:53 [削除依頼]
僕たちが思う学校って、多分真っ白なんだ。
  • 64 春木 id:JI3nMVY0

    2012-04-03(火) 20:19:18 [削除依頼]
    翼と別れたあと、意を決して私は家の扉を開けた。母親と話をしようと、ふと思った。
    開けると玄関先に母親が座り込んでいた。私は驚いて思わず声を上げる。
    「何してるの、こんなところで」
    母はなぜかほっとしたような笑みを浮かべて私を見上げた。
    「帰ってきたのね、佳奈」
    こくりと頷く。母は嬉しそうに立ち上がった。私は状況が呑み込めず、とりあえず靴を脱いで家に上がった。
    母はリビングに入ると、おもむろにお湯を沸かしだした。瞬きを繰り返していると、母が話しだした。歌うような話し方だ。しばらくこんな表情を見なかったような気がして、何かがあったのだと気づく。
    「さっきね、来てくれたのよ、翼くんが」
    私は驚いて声を漏らす。母はその反応をも楽しむように、笑顔のまま棚へと移動する。コップを選んでいるようだった。
    「久しぶりに家に来たからびっくりしちゃった。翼くんね、こんなこと話していったのよ」
    そして母は、話し始めた。翼の言葉を。
  • 65 春木 id:yczyzFg.

    2012-04-06(金) 16:48:52 [削除依頼]
    「俺が佳奈と戦います。佳奈が負けそうになったら俺が守ります。佳奈を辛くさせるやつは俺が許しません」
    その言葉を聞いていると、翼が本当に言っているようなそんな気がした。力強いさっきの瞳を思い出す。
    母は言い終わるとにこりと笑った。
    「……お母さん、安心した。翼くん、昔と変わらなかったから。この間まで少し雰囲気がとげとげしかったけれど、今はもうそれもなくなって」
    私は素直に頷いた。そして微笑んでみせる。今はもう心から笑える。
    「私、学校に行くよ」
  • 66 くまさん! Happy☆ id:7kSilJW.

    2012-04-06(金) 16:55:37 [削除依頼]
    ガンバ^^
  • 67 春木 id:yczyzFg.

    2012-04-06(金) 17:03:25 [削除依頼]
    母はただ笑顔を浮かべて頷いた。そして思い出したように話し出す。
    「そういえばね、翼くん家に上がらなかったのよ」
    私は首をかしげる。昔はあんなに家に上がりたがっていたのに、どうしてだろう。
    「今度佳奈がいるときに改めて遊びにきますって」
    私は思わず笑ってしまった。翼にしては礼儀正しい。さっき話していたあのひとに礼儀も教わったのだろうか。
    「佳奈の好きなケーキも持ってくるって笑ってたわよ」
    私は微笑みながら、ぼそりと心の中で呟いた。
    私には、味方がいる。
  • 68 春木 id:yczyzFg.

    2012-04-06(金) 17:05:11 [削除依頼]
    >66 ありがとうございます。 励みにして頑張ります!
  • 69 春木 id:yczyzFg.

    2012-04-06(金) 17:19:01 [削除依頼]
    次の日。私はいつもより早く起きた。時計の針は6時をさしている。少し早いかもしれないとも思った。学校までは歩いて5分でつく。けれど、いつもより準備に時間がかかるかもしれないのでちょうどいいとも思った。
    ベッドから起き上がると、まず思い切り伸びをした。締め切っていた薄いピンクのカーテンを開けると、朝日が差し込んで心地いい。思わず微笑んでしまう。
    窓辺から離れると洗面所へ行って顔を洗う。水が程よく冷たくて気持ちがいい。髪を念入りにとかし、寝癖を直す。そしていつもと印象を変えるように、籠の中からめったに使わなかったスプレーを取り出す。髪に吹きかけると、ほのかに桃の匂いがした。
    部屋に戻ってクローゼットの奥深くにしまっていた制服を取り出した。もう着ることはない、とまで思った服なのに、こうしてまた取り出す時がきた。
    机のそばの小さめの棚の2番目の引き出しを開けて、小さいブラシを取り出す。そっと制服を撫でて埃を落としていく。丁寧にブラッシングをしていると、入学式の朝を思い出した。確か、同じことをした。
    パジャマからセーラー服に着替える。スカーフをつけて、たんすのいちばん上の引き出しから白いハイソックスを出した。いちばん気に入っている星柄のワンポイントのものだ。履いてから全身をうつせる鏡の前に立つ。久しぶりだったが案外すぐに着替えられた。スカートを折り自分の姿を見てみると、前より制服がずっと似合うようになった気がした。
  • 70 くまさん! Happy☆ id:7kSilJW.

    2012-04-06(金) 17:22:11 [削除依頼]
    ガンバ^^
  • 71 春木 id:yczyzFg.

    2012-04-06(金) 17:29:03 [削除依頼]
    朝ごはんを見てみるといつもより数段おいしそうだった。何かが変わったわけでもないが、私の気持ちにたぶん余裕ができたからこういう些細なことを見れるようになったのだろう。前までは食べられればご飯なんて何でもいいとすら思った。
    母と、まだ出勤前の父と、3人で久しぶりに食卓を囲んだ。父も母も、頑張れとは最後まで言わなかった。
    家を出る間際、母は私に小さな包みを渡した。リボンを解いて中を見ると、飴がいくつか入っていた。
    「お腹がすいたら舐めなさい、甘くて美味しいわよ」
    私は頷く。そして靴を履いて、笑顔で振り向いた。
    「行ってきます」
    母も笑顔で頷いた。「行ってらっしゃい」の声を最後に扉を閉じた。
  • 72 春木 id:N7/7tuu1

    2012-04-07(土) 17:13:31 [削除依頼]
    家を出ると、翼が家の前でパンを食べていた。鼻歌でも歌いそうな上機嫌だ。
    「翼、もしかして待っててくれたの?」
    そう質問すると、翼は頬を膨らます。そのあと子供がすねたような表情をして私を見つめた。
    「朝の挨拶がそれ? ふつうおはようじゃないの」
    私は面食らった。しばらくしてぼそりと「おはよう」と言うと彼は笑う。
    「そ、朝はおはようって言うべきだよね。おはよう、佳奈。今日もいい天気だね」
    朝窓から見た景色を思い出して、本当にね、と笑って頷いた。翼とゆっくり歩き出す。
    学校に近づくにつれ、クラスメイトたちが私たちを抜かし、驚いたように振り向く。そして何事が囁いていた。私は別段気にしなかったし、気にする必要もないと思った。隣にいた翼に笑いかけようとすると、彼はもういちど振り向いたクラスメイトたちを底冷えするような目で睨んでいた。
    クラスメイトたちが慌てて走り去ると、翼はいつもの表情に戻って笑った。
    「佳奈、だいじょうぶ? ごめんな、何もしないほうが佳奈にはいいと思ったけど、やっぱりむかついてさ」
    私は首をふった。こんなに心から怒ってくれる翼の存在がありがたかった。
  • 73 春木 id:N7/7tuu1

    2012-04-07(土) 17:23:08 [削除依頼]
    教室まで一緒に行くといった翼の提案を断り、私はひとりで教室の前に立っていた。扉を開けようとするが、手が震えて躊躇してしまう。
    心の中で少しだけ後悔してしまう。やっぱり翼と一緒に来ればよかったかな、扉を開けてもらえばよかったかな、と。けれど首を振ってその考えを吹き飛ばした。今更後悔してももう遅い。
    それに、と思う。目を閉じる。
    彼は言った。『君は強くなれるよ。強いっていうのはひとりで生きていけることじゃない。味方がいることに気づけることだよ』。味方がいること、それに私は気づけたから、大丈夫。
    深呼吸をして、私は扉を開けた。不思議と怖くはなかった。
  • 74 春木 id:N7/7tuu1

    2012-04-07(土) 17:41:58 [削除依頼]
    名前を呼ばれて私は顔をあげた。寝てたかと思った、と笑われて慌てて首を振る。彼の天気の話を聞いていたら、昔のことを思い出しただけなのだ。そう説明すると、頭を撫でられた。その目は懐かしさを帯びていて、私はふと大倉隼人に似ているなと思ったのだ。
    いろいろな思い出が多くて、つい無言になってしまう。
    あれから何年もが過ぎて、私も彼も中学を卒業した。今は彼は新しい生活に慣れてきたところだ。私はそんな彼を隣で見ていて、幸せな毎日を送っている。彼はいつも風景を愛おしそうに見る。そして彼の撮る写真にも、その気持ちが息づいている。
    あの日、扉を開けたとき、辛いこともたくさんあったが、扉を閉ざした日よりも幸せになれた。誰かに守ってもらうだけではなく、強くなること。
    そんな日々が過ぎて、私は今では学校が大好きになった。辛いことも傷つくこともあるけれど、それはほんのわずかなことだから。
    彼の空の話を聞いて、ふと、話そうかという気持ちになった。あのひとの、私を強くしてくれた不思議な言葉を。
    「昔ね、とても優しいひとがいてね。そのひと、空の話をしてくれたの」
    彼のいろいろな言葉を思い出して、微笑む。

    強いっていうのはひとりで生きていけることじゃなくて、味方がいることに気づけること。
  • 75 春木 id:N7/7tuu1

    2012-04-07(土) 17:52:36 [削除依頼]
    第三章「愛してる」

    雲ひとつない青空に、桜が綺麗に映えるような日だった。私は目が覚めるといつものように窓辺に行って、微笑む。少し前から、この癖は変わらない。すべてを慈しむような気持ちで微笑むと、気持ちがよかった。
    慣れた手つきで制服に着替え、写真に挨拶する。リビングに下りると、笑顔でおじさんとおばさんが待っていた。いつもより少し豪華な朝ごはんに、頬が緩む。それを平らげると、準備をして外へ出た。外にはいつもどおりに彼がいて、私に微笑みかける。
    「卒業おめでとう、さくら」
    私は嬉しそうに頷くと、大倉隼人を見つめた。そして同じように返す。とても幸せな、春の日のこと。
  • 76 春木 id:N7/7tuu1

    2012-04-07(土) 17:56:01 [削除依頼]
    桜の中を、私はいつもよりも笑顔で彼と歩いた。桜の話をして、天気の話をして、朝からとても気分がわくわくする。
    「卒業式の日に桜が咲いてくれるなんてうれしいな。私はやっぱり春がいちばん好きだから」
    隼人は笑う。そりゃあ、お前の名前もさくらだからな、とからかうと、私の頭を撫でた。それが彼の癖だった。
    私は彼が何も言わないことに安心していた。
  • 77 春木 id:2BIkGsi1

    2012-04-08(日) 10:38:57 [削除依頼]
    教室に行き、クラスメイトたちと話し始める。高校への楽しみを口にしたり、卒業を残念がったり、それは人さまざまだ。私はどっちの感情も持っている。クラスメイトのひとりが、笑顔で私に聞いた。
    「ねえ、さくらは東城高校合格したんでしょ、大倉と一緒に」
    私は頷いた。私も隼人も勉強が嫌いではなかったし、むしろ好きなほうだったので一緒に勉強し、見事県でトップクラスの高校に進学を決めた。
    「すごいよねえ、東城高校なんてうちの学校からはさくらと大倉だけだよ。先生も自慢だって言ってた」
    思わず笑みがこぼれてしまう。私はお礼を言うと席についた。そろそろチャイムが鳴る。
  • 78 春木 id:2BIkGsi1

    2012-04-08(日) 10:43:59 [削除依頼]
    先生の今日の説明が終わると、すぐ移動になった。体育館の扉の前で少しだけ、騒がしくなる。何度も練習した卒業式の段取りは、私の頭の中にしっかりと残っている。そして今日いちばん重要な役目もある。少しだけ手が汗ばみ、心臓の鼓動が早くなっているのを感じて、私は驚いた。隣にいる隼人が心配そうに見てくる。
    「大丈夫か」
    短く聞かれ、私は大丈夫と即答した。ここで緊張してもいいことはない。私は深呼吸して息を整えた。
    「大丈夫、さくらならできる」
    魔法のような言葉をかけられて、私は微笑んだ。この言葉に何度救われただろう。
    そして扉が開いて、拍手と視線が私たちを包んだ。
  • 79 春木 id:w40uLl6/

    2012-04-21(土) 22:57:00 [削除依頼]
    グラウンドは、声に包まれていた。抱き合って別れを惜しむものや、笑顔で談笑するもの、それはひとさまざまで、さくらはそれをひとりひとり見ながら微笑んでいた。ふと近くを見ると、隼人が後輩に囲まれていた。
    「先輩、たまには部活に顔だしてくださいよ、週1くらいで」
    そんな無茶ぶりに彼は呆れながら笑いつつ、その別れを哀しんでいるようだった。わたしにはなんとなく、わかった。
    隼人が後輩たちと別れ、わたしのところへ来たとき、後ろから声がかかった。隼人が少し驚いて、そしていたずらげに笑う。
    「さくら先輩」
    聞きなれた後輩の声に、わたしは笑顔で振り向いた。
  • 80 春木 id:w40uLl6/

    2012-04-21(土) 23:04:41 [削除依頼]
    声の主は笑顔だったが、少しだけ悲しそうに見えた。そばにはひとり女の子がいて、それがこの間隼人から聞いた子と同一人物であることはすぐにわかった。
    「もしかしてあなたが本田佳奈ちゃん?」
    そう話しかけると、女の子はこくりと頷いた。ふと、その明るい表情と隼人の話を比べて、昔を思い出す。隼人が心配げにわたしを覗き込んだのに気付いて、すぐに元の通り微笑んだ。
    「はじめまして、わたし安達さくらっていいます、隼人から話は聞いてたよ」
    佳奈ちゃんはうれしそうに微笑んだ。そしてとても幸せそうな顔でわたしに告げた。
    「はじめまして、わたしもあなたに会いたかったです。大倉先輩のいう“あいつ”に」
  • 81 春木 id:UhmFfdj.

    2012-05-02(水) 21:03:48 [削除依頼]
    ふいに似ているなあ、と思った。昔のじぶんによく似ているし、そして今のじぶんにもよく似ているなあと思う。そして決定的にちがうと気づいてしまう。そんな心のなかのできごとがなんだかふしぎでへんな気持ちになる。
    本田佳奈はにこやかに話している。わたしはその言葉を聞きながら、確実に彼女とわたしを重ねていた。
    「翼、昨日からしんみりしちゃって。よっぽど先輩たちが卒業するのがいやみたいなんです」
    くすりと笑って佐野翼をからかったりなどもする。なんとなく年上の余裕のようなものを感じてほほえましくなる。それに対して佐野翼も年相応にむきになって反抗したりする。
    「うるせえよ。先輩たちの卒業を残念がってなにが悪いんだよ、悲しいんだからしかたねえだろうが」
    ちょっと口調が荒くなるところがまた年相応で、つい笑ってしまう。佐野翼がむっとした表情のまま大きな声を出した。
    「さくら先輩、今笑いましたね! 俺をばかにしないでください!」
    首をふって弁解をしたが、受け入れられなかった。佐野翼はすっかりふてくされてうつむいてしまう。本田佳奈や隼人がなぐさめにかかったが、全く聞く耳を持たない。そしてぼそりと呟く。
    「……だって、さみしいじゃないですか、さよならなんて。せっかく会えたのに、もう会えなくなるんですよ。俺そんなのいやです」
  • 82 ゆめこ id:rtqnuJY/

    2012-05-09(水) 16:06:34 [削除依頼]
    雰囲気がさみしさを帯びたのに気づいた。わたしは彼に微笑みかける。
    「さよならなんかじゃないよ。卒業くらいで離れるはずない。また会えるから」
    佐野翼はまっすぐにわたしを見てきた。なんとなくすっきりとした顔をしている。隼人が隣で声をかけた。
    「またあそびに来るから、それこそ週に1回くらいに」
    彼なりに冗談を言っているのがわかった。本田佳奈がふふっと笑みを漏らし、それをみて佐野翼もようやく微笑んだ。
    そして晴れやかな顔でわたしをふたたび見て、微笑んだ。
    「さくら先輩、隼人先輩、卒業おめでとうございます」
  • 83 春木 id:rtqnuJY/

    2012-05-09(水) 16:13:46 [削除依頼]
    みんな順番に別れの言葉を口にしながら学校を出て行った。しかしわたしは学校から出る気もせず、桜の木の前に立ち尽くしていた。となりに隼人が立っていることも気にせず、わたしは話しはじめた。
    「みんな幸せそうな顔してたね、よかった」
    隼人は何も言わなかった。それがかえってわたしにはありがたかった。そのまま話しつづける。
    「……もう1年かあ、時間ってはやいよね」
    隼人が心配げにわたしを見ているような気がしたが、わたしは桜してみていなかった。
    「さよならってもっとさみしくて、つらいよ」
    この言葉で、すべてが思い出された。
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