詐欺師の笑う午後?時23コメント

1 嶽 id:ez-HMPZLIG0

2012-03-01(木) 20:21:16 [削除依頼]

晴れの日も、雨の日も、何があろうと私は午後六時に帰宅します。
仕事が早く済んだとしても、どれだけ残業に追われていても、私はその時間に帰らなければならないのです。


そうでないと、《彼女》=《詐欺師》はきっと死んでしまうから―――。


.
  • 4 曖昧レイン id:CXz.y3n0

    2012-03-01(木) 21:03:15 [削除依頼]

    はじめまして。
    レインと申します。
    とても面白いです。
    投稿頑張ってください。
  • 5 嶽 id:ez-HMPZLIG0

    2012-03-01(木) 21:09:57 [削除依頼]

    わ、わぁ…!初めまして、嶽(だけ)と申します。
    コメント有り難うございます…!ま、ままままさか、そんな…面白いなんてそんな…っ、滅相もない。頑張ります!有り難うございましたm(__)m
  • 6 嶽 id:ez-0txBGjQ1

    2012-03-02(金) 12:42:36 [削除依頼]

    私は不安になりました。不安になるといっても、ほんの僅かです。それよりも空虚感の方が勝っていたような気もするのです。彼女が私の目の前に居ないだけで胸の辺りが強く締め付けられました。彼女が何をしようと、何処へ行こうと自由なのに、酷く裏切られたような気がしたのです。
     寝室の暗がりを豆電球のオレンジ色で照らされているこの部屋を私は静かに見渡しました。
    私と彼女が眠るこの空間は、嫌なほどに空気が澄んでいました。白の寝床にも小さなテレビの前にも、木製のシックな椅子の上にも彼女は居ないのです。


    それなのに、私はある一つの違和感に気付いてしまいました。
    私はその時、まるで大きな荷物を捨て置いたかのように肩の力が抜いたのです。正しくは“抜けた”に近い気もしました。
    これは、所謂安堵というものでした。


    .
  • 7 嶽 id:ez-0txBGjQ1

    2012-03-02(金) 13:42:08 [削除依頼]

    「小夜子…」


    今度は小さな声で彼女を呼びました。安心しきった溜息を含んだ私の声が、六畳ある寝室に流れました。
    ビクリッ、という効果音がお似合いなくらいに“小夜子”は驚いたのかと思います。押し入れの唐草模様の襖が唸りを上げたのです。歪な形で取り換えを考えなければならないそこは、無機物ではなく人の暖かみを感じました。私は微笑ましく思い、くすくすと笑みを漏らしながら押し入れの前に座り込みました。


    「小夜子、どうしたんです?」
    「なんで此所におるって…わかったん?」
    「貴女の髪が、襖からはみ出していましたよ」
    「…、しくじったなり!」


    私は襖の向こうにいる彼女に笑いかけました。彼女は拗ねたような口振りで私に返します。まるで悪戯に失敗した子供のような可愛い声を上げる彼女は、渋々押し入れから顔を覗かせました。私は一息ついて、優しく彼女を外へ招きます。すると彼女は、やはり渋々といった感じで私の方へやって来ました。
    「今度は絶対に見つからんよ」
    どこか癖のある彼女の言葉が私の耳に掛かりました。私は彼女を包み込むように抱き締めて頷いてあげます。そして言うのです。また隠れんぼですか、次はもっと難しいところに隠れるのですか、と。彼女は満足気に笑って私を抱き返しました。


    こういうものを、幸せというのでしょうか――。


    .
  • 8 嶽 id:ez-0txBGjQ1

    2012-03-02(金) 13:45:38 [削除依頼]
    すみません、訂正です。
    「押入」が時々「押し入れ」になっています。
  • 9 曖昧レイン id:2RHrbeg/

    2012-03-02(金) 18:24:32 [削除依頼]

    こんばんは、嶽さん。
    滅相もないなんてことないですよ。
    本当に面白いです!
    全力で応援しています(笑)
  • 10 嶽 id:ez-0txBGjQ1

    2012-03-02(金) 22:59:26 [削除依頼]
    >曖昧レインさん
    今晩はっ。まさか二度もコメント頂けるとは…!感謝感激です…(>_<)!未熟ながらも頑張らせて頂きます。
    もし曖昧レインさんも小説を書かれて居るなら、また拝見させて頂きたいです!
    コメント有り難うございましたm(__)m
  • 11 嶽 id:ez-0txBGjQ1

    2012-03-02(金) 23:14:39 [削除依頼]

    【?】


    《小夜子》と出会ったのは大学二年生の時でした。同じ大学に通う彼女との交流は多々ありましたが、実際二人で話すようになったのは四年生になった頃です。
    始めは何の面白みもない会話でした。今日の授業は「ああだ」とか、午後には「アレ」があるから「そうだ」とか。私達は心を通い合わせることはありませんでした。彼女はただのクラスメイトであり、友人。その頃はそれ以下と思っていたかもしれません。


    彼女と普通の挨拶を交わして、周りと同じく世間話をする。そして帰り道を同じところまで一緒に歩く。それだけでした。


    .
  • 12 嶽 id:ez-vXACObi.

    2012-03-03(土) 13:02:10 [削除依頼]
    たったそれだけのことなのに、私と彼女の関係を大袈裟に囃立てる人が現われたのです。
    まるで小学生のように好奇心を膨らませて、その人は私達をからかいました。その人だけではありません、日が経つにつれて和達の周りの目は面白いものを見るような目に変わっていきました。
    どういう風に、と聞かれれば難しい話なのです。例えば、授業中に私が指名され、席を立つと まず周りの連中は《彼女》の視線が私に向いているかを確認していました。ある人に至っては、知らないフリをして余所を向いている彼女に向かって「小夜子、小夜子の彼が答えるよ」と、言うのです。彼女は迷惑そうにしていました。


    彼女があのような態度をとるのは当たり前の筈なのですが、私は、ただの友人の立場であるにも関わらず少しだけ寂しいと思っていました。
    些細な関係とはいえ 普段から下校時にも顔を合わせる私達は、周りの目になって考えると“恋人”に見えておかしくないのです。彼女がそうでなくても、私は彼女に好意を寄せていたのかもしれません。
    周りが私達を見て「付き合ってるんだ」「おめでとう」と、勘違いから生まれた言葉を発す度に私は胸を踊らせました。


    .
  • 13 曖昧レイン id:qhyjk.g1

    2012-03-03(土) 16:19:56 [削除依頼]

    こんにちは。
    感謝感激なんて言われたら、嬉しくて死んじゃいますよ(笑)
    あ、はい、自分も書いてますよ〜。
    嶽さんよりも駄文でひどい小説ですけどね(笑)
    まぁ、暇なときにでも見に来てくれたら光栄です!
    お互い、頑張りましょう!
    嶽さんのような文才が憧れです。
  • 14 嶽 id:ez-vXACObi.

    2012-03-03(土) 16:56:36 [削除依頼]
    >曖昧レインさん
    え、いやいや私の方が嬉しくて息の根が止まってしまいますよっ!そりゃもう一瞬d((
    おぉ!やはり書かれていましたか。ではでは、ご迷惑でなければ見つけ次第コメントさせて頂きますね(^^)/
    わわわわ私に文才なんかありませんよっ…;
    コメント有り難うございましたm(__)m
  • 15 嶽 id:ez-vXACObi.

    2012-03-03(土) 17:16:56 [削除依頼]
    今思えば、彼女に出会ってからの二年間は 私の一方的な片思いだったのです。彼女にとって、私はクラスメイト。何の意味も持たない友人。若しくは暇を潰す為の道具です。
    互いに心の内を明かさず薄い壁を作っていながらも、微笑みあう日々を過ごしていました。
    いつの間にか、私は彼女と同じ時間を過ごすことで『その気』にでもなっていたのでしょう。
    彼女は私を好いているのではないか、と錯覚していたのです。そのくらい私は彼女を好きになっていたのでしょう。認めます。私は彼女が好きでした。


    勿論私が好きなだけであり、彼女が私を好きかどうかだなんて知る予知もありません。


    .
  • 16 嶽 id:ez-vXACObi.

    2012-03-03(土) 19:08:57 [削除依頼]

    しかし、私に人生の中で最も感謝すべきチャンスが訪れたのです。
    大学と家を行き帰りするだけの狭い日常生活を過ごしてきたある日、私と私の友人、友人の彼女、そして《小夜子》の四人でアイススケートへ行こうと友人から誘いがあったのです。
    私は『しめた』と内心歓喜しました。普段、私と《彼女》の間柄に興味を示していた友人が《小夜子》も誘いに入れたのは策略だったのかもしれません。が、私にとっては好都合のことでした。『友人よ、よくやってくれた』と私はまた内心で一礼をしました。


    この機会をいかして、私は彼女と親密な仲になれるかもしれないと有頂天になっていったのです。


    .
  • 17 嶽 id:ez-vXACObi.

    2012-03-03(土) 23:37:16 [削除依頼]

    それから時が流れるのは早いもので、アイススケートに行く約束の日は直ぐにやってきました。
    季節は冬から外れた春の日。暖かみは感じない三月の中旬でした。スケート場の前にて待ち合わせをした私は、薄手のジャケット等を羽織って友人達の集合を待っていたのです。
    その時 ふと考えてみたのですが、友人とその彼女は兎も角、《小夜子》がこの誘いに乗った理由がわかりませんでした。彼女が私以外の二人と話をする姿を目にしたことは一度もなかったのです。私は『不思議だなぁ』と思いながらスケート場の入口手前にある空いているベンチに腰を掛けました。ベンチは広々としていたし座りやすかったです。しかし、目の前には飲物が豊富に揃っている自動販売機も設置されてあったので、数人の若い男女が居座っていました。煙草を吸いながら下品な笑い声を上げる彼等に、私は少しばかり嫌悪感を抱いたりもしました。
    気を紛らわす為に私は手持ちの黒い革鞄を漁り、携帯電話を取り出します。溜息を吐きながらそれをスライドをさせると、私の視線は液晶画面へとを奪われました。


    『悪い。俺ら行けなくなった。小夜子さんと仲良くな』


    メールが一件。
    一緒に来る筈の友人からでした。絵文字も顔文字もない白黒の文章が淡々と並べられていました。


    .
  • 18 嶽 id:ez-TKFgui41

    2012-03-04(日) 10:59:29 [削除依頼]

    「そ、そんな突然…!」


    私は酷く驚きました。友人が最初から私達をからかう為に仕掛けたであろう、このイベントは思っていた以上に仕組まれていたのです。つまり、彼等は始めから私と《小夜子》だけを行かせる為に企画を立てていたのです。
    私は携帯電話をスライドさせたまま強く握り締めました。目を見開いて驚いたままの私の手からは恐らく少量の汗が滲んでいたことでしょう。その数分の時間が、その時は無限に長く感じられました。


    「おぉ、ここにおったか」


    ――私の硬直していた時間を破ったのは《彼女》でした。
    春は近いというのに、いつにも増して厚く着込んでいた彼女が、ベンチの背凭れを挟んで私の真後ろに立っていたのです。僅かに着脹れしてしまってる彼女は動き辛そうに私の隣りへと回って来ました。
    「一瞬、お前さんもおらんと思ったから間違ったと思ったけん」
    安堵したような、そうでないような。彼女の落ち着いた声。癖のある口調が私の耳へ届いた頃、私はやっと状況が飲み込めたのです。


    .
  • 19 嶽 id:ez-pIvpK7b0

    2012-03-05(月) 11:15:27 [削除依頼]

    彼女は今、私の隣りにいる。直ぐ手の届く場所に。私は頭の中で状況を整理しました。その所為で彼女が隣りでブツブツと呟いていた言葉は聞こえていません。
    ――友人とその彼女は、私達二人を合わせる為だけの口実を作り、私達をアイススケートへと誘いました。それも私達が断らないように“四人”でということにしていたのです。私達は断る理由もなく、その誘いに乗りました。《小夜子》は恐らくただの遊びの誘いと思っていたのでしょう。何の疑いもなく了承したのではないか、と私は今更ながら彼女の考えを察しました。その為友人の思惑は実り、突然のドタキャンを受ける嵌めになったのです。それ故に私と《彼女》は二人きりで会場前のベンチにいる――。
    私にとっては恋路の都合、大チャンスでしたし、素直に彼女と居られることは嬉しいことです。そう思う度、彼女が気になって仕様がないのは 私自身にもわからないことでした。時々彼女の横顔を伺えば、その透き通った肌を紅く染めさせたくて堪らなかったこともあります。私はいつの間にか夢中で彼女を視線で捕らえていました。


    「な、なん…?そんな見つめられても困るのぉ…」


    彼女は色素の薄い髪を風に揺らして苦笑を浮かべていました。


    .
  • 20 曖昧レイン id:JpVwmVR0

    2012-03-05(月) 20:02:44 [削除依頼]

    お!
    更新されてる(^−^)♪
    やっぱりおもしろいですね!(^^)!
    コメントwelcomeですよ☆

    頑張ってください(^^♪
  • 21 嶽 id:ez-JFleQP7/

    2012-03-06(火) 12:52:14 [削除依頼]
    >曖昧レインさん
    わぁ、またまた有り難うございます(^^)/
    自分的にこの小説、国語の教科書をイメージして書いてたんで面白いなんて言葉頂けるとは思ってもいませんでしたよ…(・ω・;)!
    曖昧レインさんも執筆頑張ってくださいね!
  • 22 嶽 id:ez-JFleQP7/

    2012-03-06(火) 13:07:14 [削除依頼]

    「あ、すみません……」
    「いんや、気にしなさんな。大方この格好が気になったんじゃろー?」
    私が我にかえり、あたふたと落ち着きのない様子で視線を泳がせると彼女は小さな花のように笑いました。その途端、私は間の抜けた顔をしながらも彼女の笑顔を目に焼き付けたのです。何せ彼女が私に向かって微笑んだのですから。
    私は自分の意志で目を見開いて彼女を見つめていました。綺麗でした。彼女にはきっと白の花が似合う。そう思った。
    「……違うんか?私、ちょっと太って見えんか?」
    彼女は小首を傾げて私に尋ねてきました。私は返答に戸惑う。正直に言うと、着脹れしているのは明らかです。
    彼女の頬が『冗談だ』と悟るように軟らかく笑みを刻んでいるにも関わらず、私には彼女を本気で傷付けてしまいそうな気がしました。私は臆病です。口が裂けても『太っている』なんて言葉は言えませんでした。


    .
  • 23  id:ez-ctK1N5p/

    2012-05-13(日) 13:06:01 [削除依頼]
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