わたしと先生と道化師の彼、9コメント

1 鏡音 id:mFlXaOu0

2012-02-26(日) 12:23:43 [削除依頼]

登場人物紹介

木原遥(Haruka Kihara)

霜月右京(Ukyo Shimotsuki)
  • 2 鏡音 id:mFlXaOu0

    2012-02-26(日) 12:30:37 [削除依頼]

    ♯01

    木原遥視点

    「何、やってんの?」

    その声にわたしはビクリと反応してしまった。
    バカだな、わたし。
    無視して飛び降りてれば良いものを。

    全ては1週間ほど前に遡る。
  • 3 鏡音 id:mFlXaOu0

    2012-02-26(日) 12:35:48 [削除依頼]

    ――1週間前。

    通学路にある坂道で。
    わたしは通勤途中の先生を見掛けた。
    桜の花びらが風で綺麗に舞う中で、先生はさくさくと歩いていた。

    「……」

    分かってる。
    告白なんかしても、返事は絶対に「ごめんなさい」だし、
    如何したって、先生はわたしの事なんて見てくれない。見ていたとしても、それは生徒を見る目、だ。

    「……っ」

    それが耐え切れなくて、わたしはその場でしゃがみ込んだ。
    ……何で好きになってしまったんだろう。
  • 4 鏡音 id:mFlXaOu0

    2012-02-26(日) 12:43:07 [削除依頼]

    そのままUターンして、家に帰ってしまえば良いのに、サボる事が習慣になってなかったわたしは無理矢理立ち上がって、先生が行った方――学校に行った。
    って言っても、もう、学校に着いた時には本鈴が鳴ってて、授業が始まってたけど。

    「あ、ハルカちゃんじゃん。久だねぇ」

    誰もいない廊下を歩いていると、声がした。
    振り返ると、軽い印象しかない金髪の男子がニコニコと笑っていた。

    「ハルカちゃん、遅刻だよね?意外だなぁ、寝坊ー?」

    この男子のこう言うノリには如何にも着いて行けそうになかった。
    鬱陶しいとしか思えない。

    「そっちこそ、遅刻でしょ?」

    「遅刻しに来たんだ、僕は」

    金髪には合わない一人称。
    本当にこの人は意味が分からない。

    「去年、出席日数ギリギリで何とか進級した身だし?遅刻してでも良いから、何とか欠席を減らそうかなーって、思って」

    「そう。それは良かったね」

    鼻で笑って、わたしは彼に背を向ける。
    無駄話だった。
    他に後ろで彼は物々と何かを言っていたけど、わたしは無視して教室の方に向かった。
  • 5 鏡音 id:mFlXaOu0

    2012-02-26(日) 12:45:41 [削除依頼]

    教室の引き戸を引くと、生徒達は一斉にわたしの方に視線を向けた――が、直ぐに黒板の方へ戻す。

    「おい、木原、遅刻なんて珍しいな。寝坊か?」

    遅刻=寝坊、
    って考えしかないのだろうか、この学校の人間は。

    「そうです。すみませんでした」

    投げやりの口調で教師にそう言い、わたしは席に着く。
  • 6 鏡音 id:ILYa/9h/

    2012-02-26(日) 16:37:45 [削除依頼]

    放課後。
    下駄箱に行くと、朝に会った霜月が立っていた。
    わたしを見るなり、ニコリと微笑む。
    愛想の良い、悪く言えば心の篭ってなさそうな笑み。

    「ハルカちゃん、待ってたんだよ?日直だったのか知らないけど、結構待ったわ」

    「あんた、授業出てなかったじゃない。欠席扱い何じゃないの?」

    靴をさっさと履き替えて、校舎を出る。
    けど、まだ霜月は纏わり着いて来た。

    「あの後、屋上寄って眠たくなって気付いたら……そのままさっきまで寝ちゃってさ」

    「風邪引くわよ」

    「あ、心配してくれてる?」

    「否定はしないわ。社交辞令として、だけどね」

    また癖のあれをやってしまう。
    一応、素直に心配してるんだけど。
    如何しても、わたしは余計な一言を付け加えてしまう。

    「って、ちょっと待って、帰らないでよ、ハルカちゃん。僕、ハルカちゃんに用があるんだよ?」

    「何よ?」

    立ち止まって振り返ると、霜月は微笑んで言った。

    「告白、しないの?」
  • 7 鏡音 id:ILYa/9h/

    2012-02-26(日) 16:45:13 [削除依頼]

    霜月右京視点

    彼女――クラスメイトの木原遥は可哀想な奴だった。
    顔は可愛い方に分類される奴なのに、中身が全てをダメにしている様で……平たく言えば、
    お気の毒、だった。

    「あ、ハルカちゃんじゃん。久だねぇ」

    自分でも思う。
    馴れ馴れしい奴だと。
    だが、俺は作り笑いを木原に向けて話し掛けた。
    勿論、木原は心底嫌そうな顔を俺に見せる。
    当然の態度だ。

    「ハルカちゃん、遅刻だよね?意外だなぁ、寝坊ー?」

    でも、俺は馴れ馴れしく接し続ける。

    「そっちこそ、寝坊でしょ?」

    「遅刻しに来たんだ、僕は。去年、出席日数ギリギリで何とか進級した身だし?遅刻してでも良いから、何とか欠席を減らそうかなーって、思って」

    「そう。それは良かったね」

    すると、木原はめちゃくちゃ興味なさそうに、そして俺を貶す様に鼻で笑って、教室の方へ行ってしまった。
  • 8 鏡音 id:ILYa/9h/

    2012-02-26(日) 16:58:57 [削除依頼]

    「へくしょんっ」

    6時間目の授業の終了を告げるチャイムで俺は起きた。
    結局、今日も、『欠席』か。
    何でだろうな。
    何でこんなに堕ちてしまったんだろう。
    自嘲気味の笑みを浮かべて、俺は鞄を持って屋上を出た。

    「おい、霜月っ」

    階段を降りて、1階の廊下を歩いている時だった。
    担任教師に声を掛けられる。
    タイミング悪い。
    何故か、俺は昔からツイてない。

    「えーと、何でしょーか?日向先生」

    ぎこちなく笑って、まあまあ爽やかっぽく、教師の方を見ると、教師は怒っている様だった。

    「お前、授業出ろよ。今年も出席日数ギリギリだったら、承知しねえからな」

    「スミマセン」

    「ったく。あー、でも、今日、珍しく木原さんが遅刻したんだっけ」

    「木原さん、って、木原遥ですよね?」

    「ああ。お前、知ってるのか。そりゃあ、同じクラスだもんな」

    「日向先生は木原さんの事、如何思ってるんですか?」

    「如何も何も。真面目で優秀な生徒だな」

    ますます、木原が可哀想に思えた。
    そして、この教師は全く、木原の想いを知らない。
    鈍感なのか。
    嫌、俺が鋭過ぎるのか。

    「――って、何で木原さんの話になったんだよ」

    「知りませんって。先生が先に言ったんですよ?遅刻したとか」

    「あー、そうか」

    「はい、そうです。じゃ、僕はこの辺で」

    「ああ。気を付けて帰れよ」

    「はい」

    今、思った。
    何やってんだ、俺。
  • 9 鏡音 id:ILYa/9h/

    2012-02-26(日) 17:10:48 [削除依頼]

    それから、俺は下駄箱に靴を履き替えに行くと、偶然、こっちにやって来る木原を見掛けた。
    どうせだし、話し掛けて見るか。

    「ハルカちゃん、待ってたんだよ?日直だったのか知らないけど、結構待ったわ」

    全く待っていなかったが、そう言うと、

    「あんた、授業出てなかったじゃない。欠席扱い何じゃないの?」

    変わらず、木原は鼻で笑った。
    無駄にコイツ、悪役とかに向いてそう。

    「あの後、屋上寄って眠たくなって気付いたら……そのままさっきまで寝ちゃってさ」

    「風邪引くわよ」

    何時も通りに続いていた会話だったが、そこで俺の思考が停止した。
    今、心配された……?

    「あ、心配してくれてる?」

    「否定はしないわ。社交辞令として、だけどね」

    俺は溜め息を吐きたくなった。
    コイツ、ツンデレなのか、それとも普通に性格悪い奴なのか?
    意味が分からなくなって、突っ立っていると、木原が再び歩き出した。

    「って、ちょっと待って、帰らないでよ、ハルカちゃん。僕、ハルカちゃんに用があるんだよ?」

    俺は咄嗟に引き止める。

    「何よ?」

    「告白、しないの?」
コメントを投稿する
名前必須

投稿内容必須

残り文字

投稿前の確認事項
  • 掲示板ガイドを守っていますか?
  • 個人特定できるような内容ではありませんか?
  • 他人を不快にさせる内容ではありませんか?

このスレッドの更新通知を受け取ろう!

ログインしてお気に入りに登録すると、
このスレッドの更新通知が受け取れます。

最近作られた掲示板

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません

閲覧履歴

  • 最近見たスレッドはありません

キャスフィへのご意見・ご感想

貴重なご意見
ありがとうございました!

今後ともキャスフィを
よろしくお願い申し上げます。

※こちらから削除依頼は受け付けておりません。ご了承ください。もし依頼された場合、こちらからの削除対応はいたしかねます。
※また大変恐縮ではございますが、個々のご意見にお返事できないことを予めご了承ください。

ログイン

会員登録するとお気に入りに登録したスレッドの更新通知をメールで受け取ることができます。

お気に入り更新履歴設定

お気に入りはありません
閲覧履歴
  • 最近見たスレッドはありません