あくまでも彼女は天使と名乗る。35コメント

1 青色リトマス紙 id:tAjMlGn/

2012-02-25(土) 20:01:41 [削除依頼]

朝、何時も通りの時間に起きて、学校へ行く準備をした。
ふと右手に着けた腕時計に視線を落とすと、いつの間にか家を出る時間になっていた。
彼、亜久間 出雲は靴を履くと玄関の扉を開けた。

そう、そこまでは″何時も通り″だった。
問題はそこからだった。
  • 16 青色リトマス紙 id:CjSECvz1

    2012-03-02(金) 20:13:11 [削除依頼]

    再びコーヒーで満たされたカップを口につけ、出雲はゲインと少女を見比べた。
    実際のところ、理解などしていなかったし、する気もなかった。
    ただ、既に自分は主人になる方向でことが進んでいることだけは察した。

    「悪魔の主人はとても大変です。出雲様が嫌ならば別に無理強いはしませんわ」

    出雲の心中を悟ったように、少女は言った。
    綺麗な青い瞳が、真っ直ぐに出雲を見つめる。
    出雲は、小さく首を振った。横に、だ。
    だか、それは嫌だという意味ではなかった。

    「構わない。最初は嫌だったけどこれはこれで面白そうだし」

    一瞬、少女の青い瞳が潤んだように見えた。後悔はないか、彼女は目だけで出雲に問い掛けた。
    あれだけ人を引いといて、出雲も目だけで少女に返した。

    「まあ、話はまとまったようだな」

    2人の様子を眺めていたゲインは、カップを机に置くと、ゆっくりと立ち上がった。
    そして、ポケットを漁ると、青い石で出来たブレスレットを2つ出した。

    「ほれ、契約の証だ。やりかたは分かるな、お嬢ちゃん?」

    少女はゲインの手からブレスレットを引ったくると、出雲に1つを渡した。
    右手につけて、それから目を閉じてください。少女は早口で出雲に言うと、自分は左手にブレスレットを通した。

    「じゃ、始めますね」

    少女は出雲の右手を左手で取ると、目を閉じた。出雲もゆっくりと目を閉じた。

    「我、悪魔の主人となりし者、悪魔の力を使いし古き悪魔を倒せ、契約を結べ!」

    途端、2人の腕につけた石が、青い光を放ち輝き始めた。
    目を閉じていても眩しかった。何が起きているのか、気にはなったが、眩しすぎて目を開けれなかった。

    「終わりました。もう目を開けてもいいですよ」

    出雲がゆっくりと目を開けると、ブレスレットは輝きを失っていた。
    目の前では、自分の手を握ったまま満面の笑顔を浮かべている少女が立っていた。

    「改めて、よろしくお願いします。私の名前はグミ=アラリアナです」

    契約成立、と微笑む少女、否グミ=アラリアナに、出雲も笑い返した。

    「よろしく、な」
  • 17 青色リトマス紙 id:CjSECvz1

    2012-03-02(金) 21:32:14 [削除依頼]
    >16は 六話、彼女、契約を結ぶ です。 七話、時空間を歪めて 忘れていた。 コーヒーの入ったカップを傾けながら、右手につけたブレスレットを眺めていた出雲は、思い出した途端叫んでいた。 何をのんびりしているんだ、今日は日直じゃないか。 慌てて腕時計に視線を落とした出雲は、絶句した。 「針が止まっている!」 壊れたか、出雲は訳もわからず腕ごと腕時計を振った。別にこれでなにか変わるなど思っていなかった。 そんな出雲を見ながら、ゲインは堪らず吹き出した。 「なんで笑う?」 ゲインは笑いながら出雲の腕時計を指差した。隣に座るグミも笑いを堪えているのが分かった。 「ここじゃ、時計なんてもんは必要ないんだよ」 はぁ? 素っ頓狂な声をあげ、出雲は再び時計に視線を戻した。 時計の針が指すのは7時56分。学校には余裕で間に合う時間だ。 だが、この時間は此処に来る前と、すなわち、出雲が飛び終え此処に到着した時と同じ時間だ。
  • 18 くまさん! Happy☆ id:Sb5sEQQ/

    2012-03-02(金) 22:43:50 [削除依頼]
    お、めちゃめちゃ進んどるΣ(・○・*)
    この調子でガンバ^^
  • 19 青色リトマス紙 id:N575tod1

    2012-03-03(土) 09:33:37 [削除依頼]
    くまさん、さん。
    少しずつ進んでいきました(笑)
    亀並みの遅さの更新ですが頑張らせていただきます!
  • 20 青色リトマス紙 id:N575tod1

    2012-03-03(土) 09:49:03 [削除依頼]
    >17続き 「ここは時空間の歪んだ場所。どれだけここで日々を過ごしても、外の世界は一秒も進んでいません」 グミは笑いを必死に抑えながら出雲に言った。 笑われたため、些か不機嫌な出雲は、先に言え、とむくれながら言った。 再びソファーに座り直してコーヒーを一口飲む。 冷静さを装ってはいたが、正直なところ頭のなかは恥ずかしさと怒りが手を繋いで踊っていた。 「時空間を歪めるなんて、悪魔はやりたい放題だな」 話をそらそうと出雲は言った。 カップから、ちらりとゲインの方を見ると、何がそこまで面白いのか、腹を押さえて笑いこけていた。 代わりにグミが答えた。 「んー。時空間は私たちが歪めた訳じゃないんですよ」 少し困ったように笑うと、グミは続けた。 「歪んだ場所に私たちが住み始めたんです」 グミが、ですよね、とゲインに話を振るとゲインは生返事で返した。 「まあ、そろそろ帰った方が良いかもしれませんね。学校まで連れてきます」 グミは立ち上がると部屋の奥の方へと歩いていった。次に出てきたときは水色のコートを羽織っていた。 「また、飛ぶのかよ?」 勿論です、と笑うグミに、出雲は苦笑しながらも内心溜め息をついていた。
  • 21 青色リトマス紙 id:fXVA3ds1

    2012-03-03(土) 22:37:30 [削除依頼]
    八話、黄色いスカーフとエイプリルフール

    端から見れば、異常な光景だろう。
    風を切りながら、少女、否グミは飛んでいた。出雲の腕をしっかりと掴みながら。
    金色の髪が風に靡く、実に美しい光景だが、彼女の足が地面についていないからして、異常としか言えない。
    グミを下から眺めながら、出雲は溜め息をついた。
    時計の針は8時7分、まだ余裕で間に合う。

    「見えてきましたよ」

    不意にグミが笑って言った。
    出雲も目線を彼女が言った方へと移すと、そこには黄ばんだ白い建物が蹲るようにそびえていた。
    出雲はもう見慣れた、その建物。出雲が通う中学校、東崎中野中学校。

    「やっと地面に立てる」

    小さく出雲は呟いた。出雲の腕は既に限界に達していた。ギシギシと嫌な音がなるのは気のせいではないだろう。

    「あ、すみません。痛かったですか?」
    「痛いに決まってる。つか聞くの遅すぎ」

    グミは困ったような顔をすると、今度はものすごいスピードで学校の屋上へと向かった。

    「急ぎます。気を付けてください」

    グミの声が聞こえてくるとほぼ同時に、出雲の足は地面の上に立っていた。
    すみません、急用を思い出しました。グミは出雲にそれだけを言うと、踵を返して飛び立っていった。

    「なんだありゃ」

    少々呆れながらも、出雲は小さく感謝した。取り敢えず無事についた。
    出雲は屋上の出入口である扉へと歩いていき、吸い込まれるように屋内に入っていった。
    そこで気づいた。

    「俺、外履きじゃん」

    取り敢えず外履きを脱ぐと、下駄箱に行くため階段を降りていった。
    階段にも廊下にも下駄箱にも、生徒は居なかった。否、生徒の大半はまだ来ていないのだ。
    基本的にはこの時間帯に登校し終わっている生徒は部活をしている者だけ。むろん、出雲は面倒くさがって部活など入っていない。
    出雲は靴を中履きに履き替えると、教室へと向かっていった。
    その時、視界に黒い物体が横切った。物体といっては失礼だろう。それは生徒だった。
    セーラー服のスカーフの色が黄色だと言うところからして、出雲と同じ学年、二年生だろう。
    だが、見慣れぬその顔に、出雲は不思議そうに眉を潜めた。
    否、決して初対面ではないのだ。確か、彼女の名前は。

    「エイプリルフール!」

    出雲が叫ぶと、彼女は振り返った。
    長い黒髪が、静かに風に靡いていた。
  • 22 青色リトマス紙 id:wAZ1CQn0

    2012-03-05(月) 17:59:28 [削除依頼]
    九話、不良殺しのヒナギク

    「私のことを知っていて、そんな馬鹿げたことをいったのかしら?」

    黒い髪を靡かせ、彼女は黒い笑顔を浮かべた。
    出雲はしまった、と心のなかで呟いた。
    彼女の名前は四月一日雛菊。保健室通いの不良として有名だ。
    四月一日という名を聞いて、出雲が一番最初に想像したのはエイプリルフールだった。
    だが、本当は四月一日と書いてワタヌキと読むらしい。
    四月一日の読み方を知っている人などそう多くはない。実際に出雲と同じように想像した生徒も多くいた。
    見慣れない顔だと思ったのは、保健室通いのため、ほとんど会わないからだろう。それに、彼女のクラスは出雲の隣だ。

    「私の二つ名、知っているでしょ?」

    四月一日雛菊は、自嘲するように笑った。
    まるで、自分に人を近づけさせないように。割れ物を慎重に扱うような、そんな笑顔だった。
    彼女の二つ名、それは『不良殺しのヒナギク』。前の学校にいたとき、その地域の不良と一人で戦い全滅させたとかで、そんな二つ名がつけられている。
    嘘か本当か、確かめる術のない噂だ。
    俺は、彼女の前の学校がどこだかなんて知らないし、彼女が真相を教えてくれるわけがない。

    「あ、えっと、おはようございます?」

    出雲は途切れ途切れに言った。取り敢えず何か言わなければいけない雰囲気だったのだ。
    何故語尾にはてながつくんだ、普通に言い切れよ! 出雲は心のなかで叫んだ。
    四月一日雛菊は不思議そうに眉を潜めた。そんな顔をしても絵になるのだから凄い。
    そして、小さく笑った。
  • 23 青色リトマス紙 id:m/Y8IB21

    2012-03-06(火) 07:24:35 [削除依頼]

    「おはよ、今度からは、その名前で呼ばないでね」

    彼女はクスクスと可笑しそうに笑うと、踵を返して歩いていった。多分、保健室へ行くのだろう。
    可愛らしい笑顔は正に華。雛菊と言われても頷ける。
    不思議だ、出雲の頭のなかには、あの笑顔がついて離れなかった。
    哀しむような、自分を嘲笑うかのような、あの笑顔。
    面倒なことには当たり障りのない言葉で適当に受け流していた筈なのに。

    「なんだかな〜」

    出雲は、笑うように呟くと歩き出した。勿論、自分のクラスへとだ。
    長く暗い廊下に、出雲の足音だけが切なく響き渡った。
  • 24 青色リトマス紙 id:9BuT8XH1

    2012-03-10(土) 15:53:42 [削除依頼]

    十話、

    後から聞いた話だが、四月一日雛菊は、今日も授業をサボったらしい。
    放課後を知らせるチャイムが、学校全体に鳴り響くなか、出雲は下駄箱前にいた。
    大半の生徒たちが部活へと向かうのを横目でみながら、出雲は何の気なしに自分の下駄箱を開けた。
    途端、出雲は思わず右手に掴んでいた上履きを落としてしまった。
    白が特徴の地味な外履きの上にあるのは、白い紙。
    むろん、それがラブレターのような可愛らしいものではない。

    『放課後、体育館裏に来い』

    決闘状、果たし状、脅迫状。出雲の頭に浮かんだその言葉。
    まてまてまて、俺は無実だなにもしてな…くない。
    出雲は朝の光景を思い出した。四月一日雛菊のことだ。
    彼女に呼び出された(勿論、告白なんかではなく決闘でだ)、または彼女のファンに呼び出されたか。
    四月一日雛菊には、約200人ほどのファンがいる。
    この学校の生徒数が約400人ほどなので、約半分となる。四月一日雛菊のファンは男子が大半だが、勿論女子も混じっている。
    朝話したから目つけられたか、いやでも…。出雲は不思議そうに首をかしげた。
    あの場には、出雲と彼女以外はいなかったはずだ。

    「何をしているの? 亜久間出雲」

    不意に後ろから声をかけられた。
    振り向かなくても分かる。多分、四月一日雛菊だ。

    「果たし状みたいのが下駄箱に入ってた」

    とりあえず、四月一日雛菊が入れたわけではなさそうだ。

    「なんで果たし状なのよ、ふつうラブレターとかじゃないの?」

    必死に笑うのをこらえながら四月一日雛菊は言った。
    改めて彼女をみると、やはり騒がれるだけあって美人だった。
    端正な顔立ち、柔らかそうな黒髪、吸い込まれそうな黒い瞳。下手なアイドルなんかより全然きれいだ。

    「俺も思った。まあ、別にモテるほどカッコよくないからラブレターはないだろうな」

    出雲は自嘲気味に笑った。四月一日雛菊はふーん、と言うと、出雲のとなりに立った。
    彼女は自分の下駄箱を開け靴を取り出すと、小さく笑った。

    「普通よりはそこそこかっこいい方に見えるけど?」
    その言葉に、出雲は自分の顔が赤くなったのを自覚した。
    四月一日雛菊に見えないように俯くと、隣で下駄箱の扉を閉じる音が聞こえた。

    「良かった、朝は変な敬語使われてたから心配だったけど普通に喋るのね」

    トントン、と靴の爪先を叩く音が聞こえた。どうやら靴を履いているらしい。

    「それじゃ、明日」

    顔をあげると、四月一日は笑顔で手を振っていた。

    「じゃあな」

    手こそ振らなかったが出雲も答えるように言った。
    それで満足したのか、四月一日雛菊は昇降口を出ていった。

    出雲も靴を履くと、体育館裏に向かった。
  • 25 青色リトマス紙 id:9BuT8XH1

    2012-03-10(土) 16:24:26 [削除依頼]
    >24 10話、下駄箱の中の、白い紙 です。 11話、体育館裏での秘密会議 幸か不幸か、どうやら今日は体育館で行う部活(主にバスケ部)の練習は無かった。 部活がないと体育館の周りはとても静かだった。 聞こえてくるのは野球部がボールを打つ音と、木が風に揺れる音だけだった。 不気味さに包まれるなか、出雲は面倒くさそうに歩いていた。 無視して帰れば良かった、などと思っていると、体育館裏のすぐそばについた。 体育館によってほぼ遮られた日の光。そのせいで大きな日陰ができていた。 隠れるようなことではないので、出雲はそのまま歩いていった。 そして、そこには出雲にあの果たし状を出した本人がいた。 影のせいで暗かったし、何より相手は出雲に背を向けた状態でたっていた。 「」
  • 26 青色リトマス紙 id:9BuT8XH1

    2012-03-10(土) 19:07:27 [削除依頼]

    言葉がでなかった。
    勿論、悪い意味で。

    「なんでお前がいるんだ、つか犯人はお前か!」

    出雲は叫んだ、静寂に包まれた体育館裏に、出雲の声が反響する。

    「あ、遅かったですね」

    そこにいるのは、金髪ツインテール少女グミ。
    彼女はあろうことか、体育館裏に温かそうなカーペットを敷いている途中だった。
    彼女は手際よくカーペットを敷き終えると、肩掛けの鞄から茶色の四角い物体を取り出した。
    カーペットの上に投げると、不思議なことに茶色の四角い物体はこ洒落たアンティーク風の机に早変わりした。

    「まあ、座ってください。お茶だしますね」

    笑顔で言うグミに、出雲はため息しか出てこなかった。
  • 27 青色リトマス紙 id:9BuT8XH1

    2012-03-10(土) 20:41:32 [削除依頼]

    「もう一度聞く、なんでお前がここにいる」

    靴を脱ぎながら出雲は言った。
    土足のままで構わない、とグミは言ったが出雲は首を横に振った。これでもこういったものは気にするタイプなのだ。
    グミは御丁寧に二つのカップにお茶をいれていた。
    お茶といっても、日本茶ではない。匂いからしてアップルティーだ。

    「まあ、落ち着いてください。話したいことも聞きたいことも沢山ありますわ」

    疑問に思うくらい冷静なグミは出雲の前にカップを置いた。
    出雲はグミが差し出した、白い湯気をたてた紅茶をすする。
    気に入らないが美味しかった。

    「ところで、今日はどうでしたか?」

    出雲の向かいに座るとグミは自分の紅茶をすすった。

    「どうもこうもない、普通にいつも通りだ」

    ぶっきらぼうに言う出雲を横目に、グミは疑うように聞いてきた。

    「本当ですかー? 何かありませんでしたァ?」

    うざったいなコイツ、出雲は改めて思った。

    「下駄箱の中に果たし状みたいのが入ってた」
    「わお、思いっきり大事件じゃないですか!? で、犯人は?」

    身を乗り出して問いかけてくるグミに、出雲は堪らず叫んだ。

    「お前だろうが!」
  • 28 青色リトマス紙 id:9BuT8XH1

    2012-03-10(土) 21:22:26 [削除依頼]

    いつから自分は突っ込み役になったのだろうか、出雲は心の底から思った。
    不思議そうに首をかしげるグミは、思い出したように声をあげた。

    「朝のことですか?」
    「今だよ、ついさっきだろ! 朝ってなんのことだよ!」

    いつからコイツはボケ役になったのだろうか、会った日からか。会って24時間も経ってないよ。

    「あれ? 私はちゃんと招待状を靴の上に置いたはずですが?」
    「小学校行って勉強してこい! 明らかに決闘状、果たし状、脅迫状だろうが!」

    グミは可笑しそうに笑った。

    「小学校になんか悪魔は行きませんよ」

    そこじゃないだろうが! すでに枯れた喉から出てきたのは掠れた声だった。

    「紅茶のんで潤してください」

    グミが言うや否や出雲はカップを傾けて紅茶を飲み干した。

    「もうやだ、俺今日一日だけで一生分の気力使った」

    お疲れ様です、と笑いながら紅茶のおかわりを入れたグミを出雲が右手ではたいたのは言うまでもない。

    「他人事みたいにいうな!」

    一応お前の主人だろ。と付け足した出雲に、グミは出雲にはたかれた頭をさすりながら小さく笑った。

    「なぜ嬉しそうにする」

    出雲が問うと、グミは困ったように答えた。

    「うーん、出雲様が私の主を認めてくれたから? でしょうか」

    照れるように俯いたグミを見ながら、なんだかいたたまれないような照れるような気持ちになった出雲も俯いた。
    すると、グミは思い出したように話し掛けた。

    「ところで、今日はどうでしたか?」

    本日二度目のその問いに、出雲は今度は真剣に答えた。
  • 29 青色リトマス紙 id:9BuT8XH1

    2012-03-10(土) 22:24:29 [削除依頼]

    「特にはないのが真実。まあ、あいつに出会ったくらい」

    複雑な顔を浮かべながら出雲は言った。
    あいつ、という言葉をグミが聞き流す筈もなく。

    「あいつ、とはどなた様のことですか?」

    グミはカップを傾けながら言った。
    出雲はなんの躊躇もなしに答えた。

    「四月一日雛菊」

    途端、グミの顔が青ざめていくのが目に見えてわかった。
    愕然したような表情のグミは、小刻みに震えていた。

    「どうした?」

    出雲は心配してグミに話し掛けた。
    グミは不意に我に返ると、苦笑いを浮かべた。

    「へへ、すみません取り乱しました」

    取り乱すというよりは愕然としていたがな、とは言わなかった。
    出雲は特に問いただそうとはしなかった。何故か、触れてはいけない内容な気がしたのだ。

    「昔友達にいたんです。デージーっていう子が。あだ名はヒナギクでした」
    「だからって、そんな驚くことじゃないだろ」
    「あの子、逃げたんです。世界に愛想つかせて」

    その後の言葉は予想外だった。
    消失しました。
    あえていうなら、斜め上以上だった。

    「消失っていっても消えちゃっただけです。いわゆる行方不明ですね」

    さらっと、笑って言ったが、その目は笑っていなかった。

    「同一人物ではないと思いますが、調べてみる価値はありそうです」

    真剣な顔つきになったグミを横目に見ながら、出雲は重要なことに気づいた。

    「そういえば、悪魔退治って具体的に何をするんだ?」
  • 30 青色リトマス紙 id:msbD.jj0

    2012-03-11(日) 09:35:07 [削除依頼]

    グミはいそいそと肩にかけた鞄から分厚い本を取りだし、出雲に中身の内容を見せながら説明していった。

    「悪魔の説明は省きます」

    と最初に言っていたのは、朝、ゲインに説明を受けたからだ。

    「私達も古い悪魔も、魔術のようなものが使えます。黒魔術とかその辺ですね」

    そう言いながらグミが指差したのは、黒い服を着た少年が、矢印の先では青年になっている絵だ。
    なるほど、見た目も変えられるのか。出雲はふとグミの方に視線を向け、すぐに本に視線を戻した。
    冷たい風が吹いていたが、カーペットの上は暖かかった。

    「悪魔は基本的に、様子を変えることが得意です」
    「なぜだ?」

    次にグミは隣のページの絵を指差した。
    倒れた女性のすぐそばで鏡のようにそっくりな人が笑ってたっている絵だ。

    「古い悪魔は、人の姿になりすましています。内部から襲う手口です」

    人に化けた悪魔は、見つけにくいが外部からの攻撃にとても弱い。
    人と悪魔を見分けるのが大変なだけで、見分けさえすればグミたち悪魔が攻撃すると、簡単に消滅するそうだ。

    「それでもただの悪魔は古い悪魔に擦り傷さえつけれません。ですが、契約した悪魔なら、主人に命令通りに動けば、消滅させれます」

    一通りの説明を受け、出雲はグミから四角く薄い物体をもらった。所謂、スマホだ。

    「それ、携帯電話の機能はありませんが、契約した悪魔を操るのに使うんです」

    電源をいれてもふつうの携帯電話と何ら変わらない。だが、メニューを開いた途端、違いがわかった。
    画面右上にはグミの写真があった。写真のしたにはグミの名前。
    そしてその下には何やら表。右から、呪文攻撃、武術攻撃、回復呪文。と書かれていた。ここまで来ると、ゲームのようでなかなか面白い。
  • 31 青色リトマス紙 id:RTy/1Yj.

    2012-03-11(日) 12:05:44 [削除依頼]

    12話、契約悪魔操作

    日差しを遮る体育館裏、上等なカーペットの上の机を囲むように座る二人。
    湯気をたてる紅茶からは、甘いような香りを放つアップルティーが入っている。
    出雲は面白そうに外見スマホ、中身は契約悪魔操作機を弄っていた。

    「習うより慣れよ、です。なにか押してみてください」

    そう言われ出雲は適当に選んで押してみた。もちろん、ヤバそうなのは避けてだ。
    とたんに、二人の腕につけた青いブレスレットが輝きだした。
    輝くのを確認すると、グミは右手を前に出してなにか呪文を唱えた。

    一瞬、世界が眩しいくらい輝いた。
    ブレスレットが光るときの何十倍もの光だ。
    光ってから間を置かず、耳を引き裂くような激しい雷鳴がとどろいた。

    「これまたえげつない技を選びましたね、出雲様」

    ひゅう、と口笛を吹きながらグミは目を瞬かせた。
    グミが伸ばした右手の先には、黒い煙をもくもくとあげる地面があった。
    ついさっきまで緑色の雑草が嫌になるくらい咲いていたのに、今では黒く焦げていて、燃えかすだけが残っていた。
    すっかり腰が抜けた出雲は、思わず契約悪魔操作機を落としそうになった。

    「な、なんだこれ」

    出雲は焦げ臭くなった地面に恐る恐る近づいた。

    「出雲様、何を選んだんですか?」
  • 32 青色リトマス紙 id:WbO1Vcc1

    2012-03-12(月) 17:46:04 [削除依頼]

    グミに言われ出雲は契約悪魔操作機に視線を落とし、選んだものを探す。

    「ああ、これだこれ。大乱闘スマッシ○ブラザーズ」
    「なぜ伏せるんですか」

    グミの顔には大きく意味不明と書かれていた(ような気がしたぐらい不思議そうな顔だった)。

    「いや、だって名前だすといろんな意味でダメだろ」
    「ていうか、大乱闘スマッシ○ブラザーズではなく、大乱闘マッシュブラザーです」

    マッシュって誰だ、つか思いっきりパクリだろそれ! 出雲は思わず苦笑した。

    「悪…天使が外様のものをパクるわけないでしょう? マッシュはマッシュルームの略しです」

    確実に悪魔と言ったが、そこは小さく咳をして誤魔化した。
    明らかにグミが放ったものは雷、技との共通点が無さすぎだろ。

    「技名変える、どうやってやんの?」

    えー、と不満そうなグミの声を浴びながら出雲は画面を動かす。

    「よし、これでいいか」
  • 33 ichi id:ok5hqEU.

    2012-03-12(月) 17:53:48 [削除依頼]
    大乱闘スマッシ○ブラザーズww
    吹きましたw
    思いっきりパクリですねw
  • 34 青色リトマス紙 id:WbO1Vcc1

    2012-03-12(月) 20:27:26 [削除依頼]
    ichiさん。
    やったことはないですが面白いそうです、大乱闘スマッシ○ブラザーズ((殴
    まんまのパクリです。伏せてる意味もない(笑)
    パクリの、大乱闘マッシュブラザーは友達が考えてくれました(笑)
    某赤緑兄弟が出てるときいて、マッシュ(ルーム)ブラザーになりました←
    誰しもが考えるバカな発想を、そのまんまグミさんは技名にしたそうです。
  • 35 青色リトマス紙 id:WbO1Vcc1

    2012-03-12(月) 20:56:01 [削除依頼]
    >32続き 満足そうに言った出雲の横から、グミが画面を覗き見るように見ていた。 余程さっきのに自信を持っていたのか、不満げな顔だった。 「どれですか」 つっけんどんな言い方だったが、出雲はグミが興味津々だということぐらい気づいていた。 「お前がさっきの技名気に入ってたみたいだからそこ関連にした」 そう言いながら見せた技名に、グミはたまらず吹き出した。 画面に大きく出された技名、それは大乱闘スマッシ○ブラザーズでもなければ大乱闘マッシュブラザーでもなかった。 『マリ男とルイジ子』 「誰ですか、マリ男とルイジ子って!! 」 今回ばかりはグミが正しい。 腹を抱えて笑うグミを出雲は睨み付けると、不思議そうに画面に視線を戻した。 「いや、なかなかいいと思ったんだけどな」 「名前負けしてますよ」 それはお前も同じだろ、笑いこけるグミの頭を軽くはたくと、出雲とグミは真剣な顔つきになって技名を考えた。 もっと他に考えなければいけないことが沢山あるだろう、と突っ込んでくれる者は誰もいなかった。 二人が、雷の技の名前を考えていたことを思い出したのはそれから30分ほど経ったときだった。
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