右と左と星時計10コメント

1 鬼灯 id:RXGZ2Yp.

2012-02-19(日) 12:57:27 [削除依頼]
 
 
 君の喉を締め付けて、息絶えるまで「あいしてる」
 
 と。
 
 
  • 2 鬼灯 id:RXGZ2Yp.

    2012-02-19(日) 12:59:18 [削除依頼]
    SSでも長編でもない物語を載せていきます。
    浮上した物語を書き留めておく場所。
    そのなかのひとつでも、気に入っていただけたら幸いです。
  • 3 愛梨 id:ikGnzMa.

    2012-02-19(日) 13:00:30 [削除依頼]
    がんばってください。
    『ドキドキッ』もみにきて下さいね
  • 4 鬼灯 id:RXGZ2Yp.

    2012-02-19(日) 13:58:27 [削除依頼]
    頑張るもんじゃないですけどね。趣味なんで。
  • 5 雅 id:GkfUWYK1

    2012-02-19(日) 14:20:05 [削除依頼]
    1に書かれている言葉が胸に響きました。
  • 6 鬼灯 id:whLOPMw/

    2012-02-19(日) 19:25:12 [削除依頼]
    【一】
     
     捕らえられてから幾日が経ったのか、彼女に知る術は無かった。じりじりと手首足首を焼く、呪符の枷が与える痛みだけが、彼女を現(うつつ)に留まらせている。息を荒げる体力もない。彼女は冷たく、ほのかに鉄の匂いの香る床に臥せていた。
     そこは、牢だ。彼女は妖(あやかし)だった。ゆえに捕らえられ、投獄された。彼女は他のどの娘よりも艶やかな漆の髪と抜けるような白磁の肌、そして凍り付く程に美しい赤い瞳を持っていた。
    「……っは、」
     彼女はけほ、と噎せて血を.吐いた。瞳の澄んだ赤色とは違う、腐ったような血が、痰を交えてべちゃりと床に落ちる。毒を飲まされ、臓.腑が爛.れ、腐.敗しているのだ。
    「…………っ」
     苦.しげな表情は、それでも尚美しい。桜は散るとき一層の美しさを見せるのだという。だとしたら、彼女は何か。散ることを許されずに息を続け、苦.しみ悶.えるばかりの、彼女は。
  • 7 鬼灯 id:whLOPMw/

    2012-02-19(日) 19:26:15 [削除依頼]
    >5 ありがとうございます。
  • 8 鬼灯 id:whLOPMw/

    2012-02-19(日) 19:37:03 [削除依頼]
     元々着ていた綺麗な薄紅の衣も土と血に混じり、襤褸のように見える。
     嗚呼、いつまでこうして生きているつもりなのだろうか。
     朦朧とする意識の合間を縫って、彼女は思考した。いつまで、と。
     自.害するには舌を.噛みきるだけでは足らない。人間ならばそれでいいのだろうが。
     生憎彼女は人間ではない。人間よりもずっとずっと、「死」に遠い妖だ。
     酸素など吸わなくとも、生きていかれる。傷が何だ。時が塞いでくれる。
     彼女は、頑強な己の魂と身体が、初めて恨めしく思えた。
     しかし、頑強云々以前に彼女は自ら死.ねない妖だった。寿命もない。
     他者の手に頼らないと、「流れ」の中へと還れないのだ。 
  • 9 鬼灯 id:whLOPMw/

    2012-02-19(日) 19:49:29 [削除依頼]
     彼女の脳裏に灼き付くものがあった。それは彼女の「里」の若頭だった。
     彼女と若頭は恋仲であった。若頭は強く、聡く、そして優しかった。
     里の誰もがとは言えないものの、多くの者に祝福されていた間柄である。
     彼女は、もう一度、と願った。もう一度だけでいい、若頭を一目、見たい。
     愛を囁いて貰わなくていい。言葉さえ交わせなくとも。名前を呼ばれなくとも。
     際無しに息を吐き、死.すことなく、醜.く生き続ければ、何れ己を失うだろう。
     自分を見失う前に、この双眸に彼の姿を映したい。彼女は願った。
     とうに枯れた筈の涙というものが、目尻を熱くした。垂れて、唇を湿らせた。
    「……ぁ、ぁ」
     しかし、喉を潤すには足りず。彼の名を紡ごうと試みた声が、掠れて、落ちた。
     
  • 10 鬼灯 id:whLOPMw/

    2012-02-19(日) 20:07:46 [削除依頼]
     愛している。愛している。この世の誰よりも強く、ただ、あなただけを。
     届く訳がないと知っていながら、彼女は彼の名を呼びたかった。彼を愛していたから。
     彼女は瞼を閉じた。つんと鼻をつく嫌な匂いが鼻孔を満たした。
     
     
    「妖は、どうなった」
     男が問う。傍に控えていた少年が答えた。
    「随分と弱っているようですよ、父上」
     そうか、と男は笑みを浮かべる。少年は眉を顰めた。
    「私はあんな母上嫌ですよ。汚.らわしい」
    「安心しろ、愛したのは後にも先にも、あいつだけだ」
     少年は不服そうに茶を差し出した。男の考えなど分かっていた。
     愛していたのは、少年の母だけ。けれども愛など無くても使い道はある。
     父は愚かだと、少年は悲しくなった。少年は妖を哀れんだ。
    「……目を通し終わった書類、下さい」
     少年は立ち上がり催促した。
     男は彼に紙の束を渡した。
    「もうすぐ、だ」
     少年は訝しげに目を細め、退室した。
     そして束をめくり、ある書類を見つけてため息をついた。
    「……腐ってやがる」
     あれが父だと思いたくもない。
     少年は空を見上げた。月はあんなにも綺麗なのに、人は、醜い。
     胸の奥がちり、と痛んだ。
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