記憶を懸けたデスゲーム。469コメント

1 マラカス日和 id:i-bdM.6RQ/

2012-02-10(金) 19:00:04 [削除依頼]
「お前は自分が生まれた時のこと、覚えてるか?」
 彼は神妙な雰囲気を顔に漂わせて、人指し指で右の頬を幾度となく引っかいた。
 僕が首を横に振ると、彼はフッ、と頬を緩ませる。
「そりゃそうだな。俺だって覚えちゃいない」
 曖昧な笑みを浮かべた彼の顔は、どこか物悲しげで。
「でもそんなこと、もう終わりだ。人類の夢がこれで叶うんだ。なあ?」
 だけど、やって来なかった。
 彼の言う理想郷は、未だ存在していない。
 でも、それでいい。そんなもの要らない。人類の夢なんて、僕は知らない。
 復讐したい。ただそれだけなんだ。
 分かってくれる?
 分からないよね?
 分かりたくない?
 分からせたいから
 げーむすたーと。
  • 450 マラカス日和 id:i-RIALTQk/

    2012-07-05(木) 20:27:31 [削除依頼]
    「これ、メモリーズ・ノヴァっつってな。お前らの記憶を操作したのも、このプログラムだ。兄貴の形見なのさ」
     メモリーズ・ノヴァの効果は、対象者の海馬から記憶を抜き出し、それを暗号化――または音声化すること。
     抜き出した記憶を音声化すると金属音に変わり、それを聞いた人間の記憶を蘇らせることができる。
     しかし、抜き取った記憶は本人以外の脳には蘇らせる事は出来ず、人間以外の生き物の記憶は抜き出せない。
     そして、暗号化した記憶を解読できるのは、真一と信二だけだったのだ。
     ノートパソコンの画面に居座っている大きな目が、ゆっくりと下を向いた。
     信二がエンターキーを押すと、数秒置いてから金属音が唸りを上げる。
     キーン、という、脳みそを直接刺激するような聞くに耐えない音が部屋中に響き渡り、信二はその音に至って慣れている様子だが、繰間はそれを聞いた途端にとてつもない睡魔に襲われた。
  • 451 マラカス日和 id:i-RIALTQk/

    2012-07-05(木) 20:28:20 [削除依頼]
     繰間 圭一。
     その頭の中に、とてつもない量の情報がフラッシュバックする。
     繰り返される最悪の毎日が嫌になっていた時に田所に出会ったこと。
     ――これは黄村にも言った事だが、焦りは禁物だ。だけどまあ、緊張は大切だと思うぜ――
     開けるゲームの最後に聞こえた田所の声も、ハッキリと蘇る。
     鳴島が黄村の顔に大火傷を負わせて以来、両者の関係が最悪状態だったこと。
     連城がメンバーに加わってから、テロの計画がスムーズに動き出したこと。
     その連城が、政府専用機を爆破した後に『一ノ瀬一家殺害事件』の犯人として逮捕されたこと。
     明石 登を脅迫した時の記憶も、何より、飛行機が爆.破する瞬間の記憶も、全てが鮮明に息を吹き返した。
     そして、その記憶の中にいる中野 太一の顔は、確かに狩屋 信二のそれとは別物だ。 沈みきった意識の中で、繰間は思った。 信二が自分達の記憶を消し去ったもう1つ理由は、どんな記憶にも脚色されていない『本当の自分』から、『本当の言葉』を聞くためなのだ、と。
  • 452 マラカス日和 id:i-RIALTQk/

    2012-07-05(木) 20:28:50 [削除依頼]
    「本当のお前は、なかなか良い奴だったぜ。――さて」
     信二は銃を机に置くと、その引き出しの中から『右腕』を取り出した。
     左手だけで器用にそれを装着すると、ケーブルを繋ぐ。
    「また動くようになるまで、後10分くらいか?」
     皮膚の質感までリアルに再現されたその右腕を数秒見つめると、信二は更に引き出しの奥に左手を突っ込む。
     そこから出てきたのは、手首だった。
     開けるゲーム終盤、繰間と降旗の目の前で切り落とした手首だ。もちろん偽物で、切断されると中に入っている血糊が飛び散るというチープな作りだ。
     信二はそれらを大きなリュックに入れると、パソコンと拳銃や、テープなどの道具も同様に詰め込んでいく。
  • 453 マラカス日和 id:i-RIALTQk/

    2012-07-05(木) 20:29:13 [削除依頼]
     そして最後に、大きな青色のタンクを取り出した。5つある。
     中身は、ガソリン。
    「後はコイツを運び出してから、校舎を燃やしてオシマイだ」
     信二が全ての後始末に動き出そうとした、その時。
     窓の外から豪快なエンジン音が鳴り響いた。
     驚いた信二は、小さな窓から顔を覗かせて、外の様子を伺う。
     大きなクルーザーが、波を掻き分けて進んでくるのが見えた。
    「あれは……」
  • 454 冬城@あすか id:LFbmGnb1

    2012-07-08(日) 13:51:42 [削除依頼]
    えーと。
    今回はまじで「お久しぶりです」w
    あっと、軽く改名しておりますがスルーで(
    いやぁ。
    最近の義手はホント凄いですよねえ(
    最新型のやつは、
    手首をぱかっと切断すると、
    なんと魔法瓶になるらしいですよ(嘘
    …すみません調子乗りました。
    調子乗って嘘つきました。
    手首切って腕が魔法瓶になったら、
    まじ怖いです(
    んでもって、熱い紅茶とかが
    出てきちゃったらまじ怖ry(やめろ^p^
  • 455 マラカス日和 id:i-VFoLaMs0

    2012-07-11(水) 08:23:41 [削除依頼]
    >>454 お久しぶりですね! お待たせして申し訳ないです。その上にレスまで遅れて……(汗) いやあ、本当に最近の義手は凄いらしいですね。 なんか筋肉の動きをセンサーが関知して自動で動いてくれるって話ですよ! ってか手首切って赤い紅茶ってそれ血なんじゃゲフンゲフン
  • 456 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:38:20 [削除依頼]
    「ありゃ警察か? おいおい、まさか……こんな早くにバレるかよ?」
     信二は焦った様に呟くと、グルリと身体を反転させた。
     そして数秒の間だけ考えを張り巡らせると、繰間とガソリンを放送室に置いたまま、リュックを抱えて走り出した。
     今、鬼之目島に到着したのなら、警官たちが校舎に辿り着くまでに十数分はかかるハズだ。
     その間に島の反対側から逃げ出せばいい。校舎の中に残った大量の機械は、諦めるしかないだろう。と。
     扉を出た瞬間、信二の携帯電話に着信が入った。左手でポケットから電話を取り出すと、視線を画面にずらす。
     信二は走りながらそのメールを黙読すると、口元をつり上げ、そして携帯電話をポケットに戻した。
  • 457 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:38:42 [削除依頼]
     階段に到着する。
     リュックを背負ったまま、その重みと共に階段を三段飛ばしに駆け降りる。右足がジンジンするのが分かったが、信二は足を止めない。
     繰間はあのまま放っておいても到着した警察に保護されるだろうと、そんな事を考えている内に校舎の一階に辿り着く。
     下駄箱の前。分厚い鉄製の扉に鍵を挿し込み、ひねる。錠の外れる音を聞いてから信二は外に飛び出した。
     扉の鍵をどうするか二秒ほど考えたが、開けたままにしておいた。どうせ警察は扉を破ってでも突入するだろう。
     太陽が嫌に眩しい。
     ゲームが始まってから4時間が経過して、今は午前の8時過ぎだろう。
     信二は警察の船が見えた方向とは逆方向に走り出した。
     エンジン音は聞こえなかった。もう上陸している可能性が高い。となれば、急がなければならない。
  • 458 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:39:04 [削除依頼]
    「全員、準備は出来てるな? 行くぞ!」
     中肉中背の男――小金井の声に、池神や湊谷も含め、武装した警官たちが大きな唸り声を返した。
     浅瀬に停められたクルーザーから降り立った数十人が、列を成して歩いていく。
    「警部、やはり奴らが潜伏するとしたら……あの校舎でしょうか?」
     緊張した様子の湊谷が声をかけると、池神は静かに頷く。まともに手入れもされていない地面には砂利が転がり、膝の高さまである草がざわめいている。
    「ああ、一応他にも建物はあるが、長年放置されていて形を残しているのは、丈夫に造られているあの校舎だけだろう」
     蚊が飛び回っている中、防具を着ている警官たちは気にすることなく歩を進めていく。
     短い森を抜けると、すぐそこに校舎が現れた。木製で古ぼけた、しかしそれでいて威厳を持って佇んでいる建物に、湊谷は不気味な感覚を覚えた。
    「全員、配置につけ。慎重に突入するぞ」
  • 459 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:39:24 [削除依頼]
     開いたままになっている、木製の壁とは不釣り合いな鉄の扉を見て、小金井は声を静めて指揮を執った。
     数十人が武器を構えて、身構える。
     5秒ほどの時間を置いて、全員が一斉に突入した。下駄箱には、誰もいない。
    「10人ずつに分かれるぞ。俺たちは一階を見て回る。他は二階、三階、地下室へ移動しろ」
     小金井の声に意気込み良く返事をした後、機敏な動きで警官たちが分かれていく。池神たちは三階へ移動していた。
     一階に残った小金井たちは、銃を構えたまま近くにあった扉に手をかける。そして合図を送ると、一気に開いた。
  • 460 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:39:45 [削除依頼]
    「…………こいつは……!」
     そこに有ったのは、逆方向に首の折れ曲がった惨殺死体だった。死体が置かれている木の床にはヒビが入っている。
     その部屋には天井がなく、三階まで吹き抜けになっているらしい。
     小金井は死体に近づき、曲がった頭を確認した。そして、目を剥く。
    「連城 常夜じゃないか!」
     上から転落してきたのか頭蓋骨が陥没しているが、それは確かに病院を脱走した連城 常夜の死体だった。
     その時、小金井の無線機に連絡が入る。《こちら上原! 地下室にて数体の死体を発見! 毒ガスによる殺害と思われますが、もう地下室に毒ガスは充満しておりません! それより、死体の内一人は額を撃ち抜かれていて……この顔は……田所 晴広です!》
     ――ゲームに勝利したのにも関わらず、額を撃ち抜かれていた柊の死体が、池神の頭に浮かび上がった。
  • 461 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:40:06 [削除依頼]
    「……何だ、これは! どうなっているんだ!」
     捕まえに来たテロリストが、次々に死体となって発見される。
     警官たちにとっては訳の分からない状況である。
     小金井は、ざわつく他の部下たちに叫んだ。
    「生存者を探せ! 何が起きているか解らんから、とにかく気を抜くな!」
     その頃、三階を走る池神たち十人は、ちょうど放送室の前で立ち止まった。
     田所や連城が死体で発見された、という報告を聞いた警官は、理解不能な現状に恐怖と不安を覚えながら、しかし足を止めずに扉を開け放った。
     放送機材が置かれている部屋の真ん中で、目を覚ました繰間がそこに立っていた。
     銃を持っている警官たちを見て、繰間は驚いた様に座り込む。
  • 462 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:40:29 [削除依頼]
    「こちら白石! 生存者を発見!」
     池神の後ろで、警官がそう報告しているのが聞こえた。
    「おい、お前、ここで何があった!」
     肩で息をしている繰間の、その肩を掴んでから、池神は射殺すような視線で尋ねる。
     繰間は頬を引き上げてから、涙を流した。目尻が下がり、ヒクヒクと震えている。
     それは何かを思い出した様な、そしてその先に何かを失った様な、そんな表情だった。
     繰間はその無茶苦茶な笑顔のまま、ゆっくりと、池神に向かって言葉を吐き出した。
    「っ……天罰だ…………」
  • 463 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:40:51 [削除依頼]
     ――血みどろの復讐劇は、こうして静かに終わりを告げた。
     その場に似合わないほど照りつける陽の光と、大量の死体。
     そして、どうしようもない罪悪感を残して。
  • 464 マラカス日和 id:i-WtyJ0p5.

    2012-07-13(金) 00:42:00 [削除依頼]
    『思い出すゲーム』


    ・プレイヤーは、政府専用機爆破テロを引き起こした十数名。


    ・全員がメモリーズ・ノヴァの効果により『知識』以外の記憶を失っている。


    ・プレイヤーにはゲームを重ねるごとに失った記憶を取り戻させる。


    ・蘇っていく記憶は、一人の分だけでは真相に辿り着けないが、数人の情報で真相に辿り着くようになっている。


    ・ゲームを生き残る人間は、原則として一人だけ。


    ・生存したプレイヤーには、生還のテストを行う。不正解の場合、そのプレイヤーの額を撃ち抜く。


    ・ゲームの目的は死を与えることではなく、懺悔を与えること。


     さあ、生還者は誰か。
  • 465 冬城@あすか id:XoG9jvJ1

    2012-07-13(金) 16:57:03 [削除依頼]
    うはあ武装警官とは物騒な(
    とか言いつつ、ちょっと憧れてみたり(
    銃とかぶっぱなしてみたい^q^
    拳銃はエアガンみたいに使ってみたい^q^
  • 466 マラカス日和 id:i-3fab9ZO.

    2012-07-17(火) 14:24:39 [削除依頼]
    >>465 実はこの部分、『SAT』という警察組織の存在を全否定してたりしますw 捜査一課はテロリストの根城に突入なんてしないんですが、まあそこは妥協しt……おや、誰か来たようだ。
  • 467 マラカス日和 id:i-HMDRs8O/

    2012-07-24(火) 20:40:58 [削除依頼]
    『思い出すゲーム』


    ・プレイヤーは、政府専用機爆破テロを引き起こした十数名。


    ・全員がメモリーズ・ノヴァの効果により『知識』以外の記憶を失っている。


    ・プレイヤーにはゲームを重ねるごとに失った記憶を取り戻させる。


    ・蘇っていく記憶は、一人の分だけでは真相に辿り着けないが、数人の情報で真相に辿り着くようになっている。


    ・ゲームを生き残る人間は、原則として一人だけ。


    ・生存したプレイヤーには、生還のテストを行う。不正解の場合、そのプレイヤーの額を撃ち抜く。


    ・ゲームの目的は死を与えることではなく、懺悔を与えること。


     さあ、生還者は誰か。
  • 468 マラカス日和 id:i-HMDRs8O/

    2012-07-24(火) 20:41:11 [削除依頼]
     寄せては離れていく波が、心地の良い音を上げた。
     荒れている砂浜で、信二はリュックから取り出したモーター付きのゴムボートに乗り込むと、携帯電話を取り出す。
     動くようになった右腕で電話を口に近づけると、一定の間隔で電子音が響いた。

    「もしもし? 俺です。ああ、全部終わりました。ったく、酷い目に会いましたよ。証拠は隠滅し損ねるし」

     口を尖らせながら呟いた後、信二は電話の相手の返事を待つ。数秒して、口を開いた。

    「ああ、生き残りが出ました。繰間ッスね。チープな言い回しだけど、ちゃんと後悔して、反省してましたから」

     そして、また返事を待つ。

    「ああ、うん。今は島の裏側です。早く来てください。警察も、今は校舎を見てるだろうから、その隙に面かりましょう」

     電話の相手は少し笑った後、また喋り出す。聞き終えてから、信二も小さく笑った。

    「全くですよ。『次からは』こういう事、無しですからね……日頸さん」

     電話を切ってから、信二はふぅ、と溜め息をついた。

    「次は、あいつらだ」
  • 469 マラカス日和 id:i-HMDRs8O/

    2012-07-24(火) 20:41:34 [削除依頼]
    《了》
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