死にたがりが願う29コメント

1 憂理 id:C2JFAiz.

2012-02-07(火) 17:41:44 [削除依頼]

それでもやっぱり莫迦らしくて、私はいつも手を離せない。


/死にたがりが願う
  • 10 憂理 id:c.bpQjP.

    2012-02-10(金) 15:20:40 [削除依頼]

    麗が目をきょときょとと落ち着きなく動かした。私、どうすればいい? そう目で問いかけられているような気がしてうんざりする。
    何一つ自分では決められない。誰かに選択肢を委ねることしかできない。そんな甘ったれた麗を私は鬱陶しく思うのと同時に羨ましく、そしてほんの少しだけ憎い。
    「あ、ごめんね待たせて」
    私は少し腰をうかせて、麗に申し訳なさそうに目配せをしてやった。麗は少し唇をかんでから笑顔を作り、「じゃあねーまた明日ねー」と背を向けた。
    「いいよ。浅井さん話長そうだし。真由だってあんなのと喋ってたら馬鹿が移るよ」
    亜里沙が平然とそう言い放つ。私は苦笑を浮かべた。
    「まあ、話相手が欲しいんだよ」
    「真由はお人よしね。私だったらやってらんないわ」
  • 11 憂理 id:c.bpQjP.

    2012-02-10(金) 15:50:40 [削除依頼]

    「お人好しなんかじゃないよ」
    私は笑みをうっすらと浮かべながらそう返した。亜里沙は少しだけ肩をすくめただけで、返事はしなかった。
    そう、お人好しでも優しさでもなんでもない。心のうちでもう一度繰り返した。私は自分をしっかり把握しているつもりだ。過大評価もしないし、自分で自分をけなすようなこともしない。
    ただ円滑に、適当に人間関係を築いているだけである。自分でも、うまくやれているという自信はあった。くよくよ悩んだり、憤ったり、愚痴を並べ立てるよりもとっても簡単で賢い方法だと思う。
    「うわ、ほんと寒いね。雪なんて久しぶり」
    校舎を出ると、亜里沙はそう言って肩を縮こまらせた。冷たい風が踊り狂っているようで、かさこそと枯葉が音をたてながら地面を滑る。雪は砂糖菓子のようにふわふわしていて、風に乗って軽やかに舞っていた。
    「こっち側じゃなかなか降らないもんね」私は傘をゆっくり開いた。目の前から雪がぶつかってきて思わず目を閉じる。頬にあたる雪はとても冷たい。
    「去年は一回しか降らなかったよね、中学3年のときだから――あ、去年じゃないわ、おととしね」
    「そうそう、クリスマスの日だったんだよね」
    「ホワイトクリスマス、でしょ? テレビがやけにはしゃいでたわ」
  • 12 憂理 id:c.bpQjP.

    2012-02-10(金) 16:01:35 [削除依頼]

    「こっちはその時受験シーズン真っ最中でさ。それどころじゃないって、ってよく友達と言ってたなあ」
    私はその時を懐かしむようにそう言った。適当に創り上げた話である。この高校は私の成績なら安全圏だった高校だし、苦労も人並みだっただろう。
    「そうそう。テレビが敵だったわ」
    きっと亜里沙もそうだったんだろうなと思う。彼女は頭がいい。
    「ちなみにニュースは味方だった」
    私達は笑いながら歩いていた。そうだ、そんなこともあった――もうあれから1年も経つのだ――中学時代のことなんて、すっかり忘れていた。
    高校生。私たちが漫画やドラマ、アニメで見て憧れていた高校生は、なってみるとたいしたものでもなかった。フィクションの中の学園はいつでも輝いていたし、謎めいていた。
    けれど失望なんてしてない。フィクションの中で体験できればそれでいいのだ。現実に何かを期待するなんてこと、そんなあほくさいことを私はしない。
    私がひとつ、望むとしたら。
    ぽんとその言葉が頭に浮かんできてぎょっとする。
  • 13 憂理 id:c.bpQjP.

    2012-02-10(金) 16:28:07 [削除依頼]

    望む? 私が? どうしてそんな馬鹿みたいな考えがでてきたんだろう。望んだって、どうにもならないことばっかりだから、私はもう望むことなんてやめたのに。
    「やめたのに」
    誰にも聞こえないくらい小さく、呟いた。
    風が舞った音と、白い雪がその呟きを埋めた。
    「じゃあね。真由」
    亜里沙のその声にはっとして顔をあげた。亜里沙がうっすら微笑みながら私に手を振っていたので、慌てて笑みを作って手をふる。「また明日ね」お決まりの台詞を言った後、私達はそれぞれ別の道へ進んでいった。
    一人で雪の道を歩きながら思う。彼女に気に入られたのは正解だった。隣にいて優しく接していれば、亜里沙に寄ってくる少女たちは私のもとにも来て、なんなく彼女たちを手なづけることが出来る。私は亜里沙のきつめな性格を緩和させる材料なのだ。
    麗にも優しくしているのは――いやあれは優しさではないけれど――ただ単に、面倒だからだった。それに彼女は自分に優しく取り入ってくれる友人を欲しがっていた。私はただその希望に応えてやっただけである。
  • 14 憂理 id:vgTtejr/

    2012-02-11(土) 18:23:44 [削除依頼]

    私がもし望むとしたら?
    もう一度その言葉を頭に浮かべてみた――そう、ひとつしかない。
    ふいに私は立ち止まった。道がふたつに分かれていて、横道にそれると、鬱蒼と茂る森に石畳の道が続いていた。いつもここで立ち止まってしまうのだ。どこが緊張するような、ふっと足を止めて見入ってしまうような、この奥に何かあるのだろうかと一瞬頭にその言葉がよぎるのだった。
    道があるということは、どこかに続いているのかもしれない。でもこんな森の中に何があるというのだろう。
    いつもは通り過ぎていたその道のほうに私は進んでいった。ざくざくと雪を踏む。私がつけた以外の足跡がないということは、雪が降ってから誰もこの道を通っていないということか。

    どうして私は道をそれて、この森に入ることを選んだのだろう。
    無言で進んでいくなか、ぼんやりと頭の片隅で考える。もしかしたら迷うかもしれないし、出られなくなるかもしれない。変な男が出てきて、連れ去られてしまうかもしれない。
    どうして、私は――。
  • 15 憂理 id:vgTtejr/

    2012-02-11(土) 20:15:12 [削除依頼]

    *今更ですが

    これ、一個前に完結した「願望の終末」の第二幕のお話しのつもりです。
    こちらはこちらで一個の話なのでそれをしらなくても全く問題はありませんが……(*´ω`)
    もしももしも「見てみてやるかなー」程度でもいいんですけどそんな寛大な方がいたら(だいぶ回りくどいけど)探してみてください(笑)どっかに埋もれてます(笑)
  • 16 憂理 id:5aWMvM00

    2012-02-13(月) 19:45:11 [削除依頼]

    あげ!
  • 17 遥子 id:xo0YLcV0

    2012-02-13(月) 20:25:22 [削除依頼]
    >15を見て興奮して出てきちゃいました。 前から読んでたのですけどれも、またあの人がでてくるのですね!! あいかわらず憂理さんの文章の虜です/// これからも応援してます!
  • 18 憂理 id:0hgTpdb0

    2012-02-14(火) 15:55:01 [削除依頼]

    >>遥子さん
    わーコメントありがとうございます(*´д`)!嬉しいです!
    遥子さんの小説も何気にお気に入り登録してます(

    勿体ないお言葉ばっかりでどうしたらいいのやら(
    もうすぐあの人出てきます(笑)ご登場です(笑)

    がんばります(`・ω・´)
  • 19 憂理 id:0hgTpdb0

    2012-02-14(火) 16:07:05 [削除依頼]

    道の脇に、ぽつぽつとうっすらと雪の積もった灯篭が立っていた。薄暗い闇の中、ぼんやりと灯がともっている。
    これじゃあまるで「ご案内」じゃないの。
    私はひっそりと訝しげにそれを見つめる。この先に進みなさい、そういわれているような気がして歩き続ける。
    この先に、何があるのだろう――そう考えながら歩いていると、急に身を突き放されたような感覚におそわれて、私は立ち止まった。
    「え?」
    空き地だった。今まで多い茂る木々の間のせまい道を通ってきたため、急に木がぽっかりとなくなっていたそこに出たときに違和感を感じたのだ。
    ううん、ちがう。違うわ、そんなことじゃなくて。
    私は自分の唾を飲む音が聞こえた気がした。異空間。そんな言葉がぽつんと思い浮かぶ。

    空き地の真ん中にひっそりとたつ、不思議な建物に私は目をやる。

    「なによここは……」
    思わず私は、そう呟いていた。
  • 20 憂理 id:0hgTpdb0

    2012-02-14(火) 16:10:02 [削除依頼]
    *第一章まとめ >>3+5+7+8+10+11+12+13+14+19
  • 21 憂理 id:0hgTpdb0

    2012-02-14(火) 16:21:28 [削除依頼]

    2.

    OPEN。鉢植えに無造作にぐさりと刺さった看板を見つめた。どうやらここは店らしい。
    その店の周りにおいてある鉢植えには、どれも真っ赤な薔薇が咲き誇っていた。きらきらと輝く雪の結晶が舞って、赤の上をさらに彩る。この寒くて凍えそうな日に、どうしてこうも鮮やかに咲いているのだろう――まるで雪の上に鮮血を撒き散らしたみたい。
    アーチ型の木の枠組みのドアは、深緑色のつやつやしたペンキで塗られている。三分の一くらいはレースのカーテンがひかれていた。
    少しだけかがんで、ドアをそっとのぞきこんでみる。薄暗い店内には、石のようなものが置かれているのが分かった。よく石屋さんで見る、ごつごつしたオブジェのような大きい空洞に紫色の輝く石がぎっしりと詰まっているやつ。見るたびに怪しいなと思うのだけれど、やっぱり綺麗でひきこまれてしまう、不思議な輝きを放つあの石。
    それが置いてあるのが目に入ったのだ。
    ということは、ここは石屋かなんかだろうか? こんな辺鄙なところに構えるなんて、おかしい気もするけど。
  • 22 憂理 id:I71GbI..

    2012-02-17(金) 19:58:54 [削除依頼]

    私はゆっくり金色の取っ手に手を伸ばし、ぐいと引っ張った。寒かった。とりあえず中に入れればいいかなと思ったというのもあるけど、やっぱりこんな変な店、気になる。
    ひんやりと冷たい金属の感触がした。カランカラン、と涼しげなベルの音が頭上で鳴る。
    店内は薄暗かった。ぼんやりと間接照明がいくつか点いていて、あの紫色のオブジェがそれに反射して妖しく光をたたえている。
    中央にはアンティーク調のテーブルと椅子が置いてあり、丸いテーブルの上にはどんと重そうな水瓶が構えていた。それをはさむように長いテーブルが置いてあり、小さな小皿には石が入っていた。
    ふと誰もいないような気がして、私はきょろきょろと忙しなく店内を見回す。人の気配がしないのだ。
    「あの、誰かいませんか」
    思い切って声を張り上げてみる。
  • 23 憂理 id:ypnXW50/

    2012-02-20(月) 15:31:08 [削除依頼]

    あげ
  • 24 憂理 id:pBO8oVT.

    2012-02-28(火) 20:41:20 [削除依頼]

    静まり返る店内に、私の声が響く。
    それと同時に私は微かな物音を聞き、きょろきょろと薄暗い店の中を見回した。コツコツコツ、という一定のリズムが小さく聞こえる。
    靴の音だ。女の人の履く、高いヒールのやつ――まあ私も一応女なのだけれど、あれを履く気にはどうもならない。威嚇してるようにきつい音だし、あれで踏みつけられたらきっと、ひとたまりもないだろうな――などとつまらないことを考えていた私は、辺りの空気がふわりと変わったことに気付いて思わず目を閉じてしまう。
    なに、これ?
    どこか異質で、奇妙で緊張する空気。さきほどの静寂の中にまぎれる何か。何かがいる――息苦しい。冷たい。足がすくむのをこらえて、私はゆっくり目を開ける。

    「いらっしゃい」

    静かに澄んだ、よく通る低い声。その声の主は私の前に立っていた。「えっ」いつのまに、と思い一歩後ずさる。
    その女は藍色の目をしていた。よく見ると、豊かにウェーブされた髪の毛の藍色である。真っ黒なドレスに身を包んだ女はまるで人形のようだった。どこか人をゾッとさせるような美しさ。圧倒的な美。
    陶器のようになめらかで美しい肌は吸い込まれそうなほど白く、私は女を凝視しつつも動けなかった。
    「――だれ、あなた」
  • 25 憂理 id:pBO8oVT.

    2012-02-28(火) 20:42:28 [削除依頼]
    >>24訂正 ×髪の毛の藍色 ○髪の毛も藍色 でした……
  • 26 憂理 id:ut4ifiu.

    2012-02-29(水) 14:44:40 [削除依頼]

    「この店の店主」
    彼女はそれだけ言うと、くるりと背をむけて中央の椅子の片方に腰掛けた。
    「この店……ってなんの店なんですか、ここ」
    私はまだ頭が混乱したままだったが、言葉をつなげる。いつのまに私の前に立っていたんだろう、人の気配なんて全くしなかったのに。
    女は私を一瞥すると、うっすらと笑みを浮かべた。

    「石屋よ――願いが叶う、ね」

    冷たい笑みをたたえたまま呟く彼女をあっけにとられて私は見つめていた。
    「は……」
    「願いがあるから、ここに来たんでしょう? ここは願いを叶える店。そう、そこの石たちを使ってね。石には不思議な力があるわ。何かの思いをこめれば、それに反応してくれるでしょう」
    私はさっぱりわけが分からない、という顔でただ突っ立っていた。女はそんな私の様子を気に留めることなどないまま喋り続ける。この女が口を動かして喋っていることに違和感を覚える。本当に生きているのか、疑いたくなるような存在だと思った。
    さあ、と彼女は私に向き直ってその笑みを崩さないまま少しだけ首をかしげた。藍色の髪がぱさりと揺れる。

    「――あなたの願いは、なあに」
  • 27 憂理 id:ut4ifiu.

    2012-02-29(水) 14:46:44 [削除依頼]
    *第二章まとめ(一章に比べるとだいぶ短いけど) >>21+22+24+26
  • 28 憂理 id:mZ2wo83.

    2012-03-08(木) 13:37:35 [削除依頼]

    いったんあげ
  • 29 憂理 id:jVmYJWG/

    2012-03-12(月) 13:48:54 [削除依頼]

    3.

    琥珀色の液体がティーカップに注がれる。こぽこぽ、という紅茶の溢れる音とふわふわした湯気が暖かそうだ。
    「砂糖は?」
    店主が言ったその言葉が私に問いかけているのだと気付くまでに少しかかった。私は顔をあげて、冷たい椅子の上で姿勢を正してから首をよこにゆるゆると振った。
    彼女はそう、とだけ呟き、自分のカップにも紅茶を注いでから物音ひとつさせずに静かに椅子に腰掛けた。女が紅茶をすすっているのを見るとなんだか馬鹿らしくなってきた。なんで私はこんな雪の日に怪しい店で見ず知らずの女と紅茶なんか飲んでいるんだろう。ひとつ小さく溜め息をついて私も紅茶を口に含む。毒でも入れられたら、なんてことが頭を掠めた私が馬鹿だったのかもしれない。砂糖をいれなかったのもそのためだった。今日びどこにだって毒はひそんでいるし、どうやってだって人を殺.せることができる。しかも昨日読んだ小説ではスプーンに毒が塗られていたではないか。
    渋めの濃い味に慣れないながらも私は二口目を飲んで、ソーサーにカップを置いた。わざと物音をたてる。かちゃん。口内にのこる渋さに少しだけ顔をしかめながらも私は口を開いた。
    「あの。なんなんですかここ。願いを叶えるってさっき言ってましたけど、どういうことですか」
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