愛したがり屋。7コメント

1 皐月。 id:qI1J/fg.

2012-01-28(土) 14:52:19 [削除依頼]


        ただ好きだった。

         愛していた。

   君を見つけたあの日から、ただただ純粋に。


            .
  • 2 皐月。 id:qI1J/fg.

    2012-01-28(土) 15:25:50 [削除依頼]


    1*

    昔から、持病を
    抱えて育った。
    だから不便な事も
    多くあった。
    みんなと同じ事が、
    出来るのにさせて
    くれなかったり
    出来ないから「するな」と
    強いて言われたり。

    「琳奈ちゃん、点滴の時間よー」
    「あ、はーい」
    部屋のドアがノックされたと思えば、
    看護師さんが、点滴する時間だと知らせに来た。

    「そーだよねー」
    つまらなさげに呟いた。
    当たり前だよ。
    小学生の高学年から入院して、今は高一。
    知ってる人なんていないよ。
    きっと、私が入院したのだって知らない。

    「琳奈ちゃん、早くしてよー」
    「はいはい今行きます行きますー」
    ベッドから足をおろすなり、
    私は水玉柄のスリッパを
    履いて立ち上がり、廊下にでた。

    「あ、琳奈、どう?最近調子は」
    名前を呼ばれると
    同時に振り返ると、
    私を担当していた
    澤木 鈴子の姿があった。
    「特に変わってないかなー。たぶん」
    白衣に身を包んだ澤木さんは、
    ニコリと微笑むと
    「そかそか」と言って
    忙しげに走って行った。

    私は、私の病室の四階から
    エレベーターで二階におりた。
    「えーっとここだっけ?」
    まっすぐ進んで角を曲がる。
    と、ベンチが幾つも並んでいる
    その端に男の子が立っていた。

    「こんにちは」
    通り際に挨拶すると、
    男の子は俯きがちに
    「どうも」と返した。
    何あれ、感じ悪…。
    何でずっと俯いてるんだろ。
    挨拶するときくらい
    顔あげたらいいのに…。

    すると、不意に背後から
    服の裾を掴まれた。
    「ちょ、誰?」
    驚いて反射的に振り返ると、
    さっき俯いていた人が
    苦しげに息を吸い吐きしていた。


    .
  • 3 ☆レイ☆ id:rgqtq0f/

    2012-01-28(土) 15:27:51 [削除依頼]

     なんだかせつなそう・・・
  • 4 皐月。 id:qI1J/fg.

    2012-01-28(土) 17:56:29 [削除依頼]
    >>3様 コメントありがとうございますー. せつな系でいこーと思ってます! その予想大当たりです ^ω^
  • 5 皐月。 id:qI1J/fg.

    2012-01-28(土) 18:44:00 [削除依頼]


    2*


    「え?!何で?大丈夫ですか?!」
    「…っ…はぁっはぁっ…は…」
    「何、え、どうしたらいいの!?」
    呼吸がおかしい。
    過呼吸に、なってる…。

    「先生呼ばないと…!…」
    「…い…っいい…」
    「何で!だって…それじゃ…」
    こんなに苦しそうなのに…。
    「いいから…っ呼ぶな…」
    でも、このままじゃ…。

    「治まる…からっ…」
    「どこが?!全然治まって…」
    「毎、回なんだって…」
    …何か私苦しくなかったのに…
    なんか、なんか分かんないけど…
    苦しいよ…。

    「っ…ほら、…治まったろ…」
    少ししんどそうに顔を上げる
    男の子は、私に向かって笑った。
    「ホントに…大丈夫…なの?」
    「おう。だから、泣くなよ」
    え…?泣くなって…
    パジャマの袖で目をこする。
    するとパジャマの色が変わった。

    「…あれ…何で私泣いてるの…」
    「それは俺のセリフ。名前なんてーの?」
    呼吸を整えて話す彼の名前は、
    "広瀬 陽介"と名乗った。

    「私は、佐々木 琳奈。陽介何号室?」
    「俺は四階の401にいる。琳奈は?」
    「同じ四階で、402号室。
    隣なのに気付かなかった…」
    「俺も気付かなかった…。
    これからよろしくな」
    「うん、よろしく」
    そのとき私は、
    胸が締め付けられる
    ような感覚を覚えた。


    .
  • 6 皐月。 id:qI1J/fg.

    2012-01-28(土) 19:15:25 [削除依頼]


    3*

    "「今度遊びに行くから」
    「うん。私も遊びに行く」 "
    そう約束を交わして、
    私と陽介は別れた。
    点滴の間も、エレベーター内でも、
    私の頭の中は"陽介"でいっぱいだった。

    部屋に戻ると、私は窓に凭れ掛って
    外を眺めた。
    「…いいなぁ…」
    窓の外。庭が広がっていて
    小さな男の子たちが走りまわってる。
    「私も…走りたい…」

    その時部屋のドアが
    雑に開けられた。
    「琳奈ー、早速遊びに来た」
    声を確認するなり、
    私は嬉しくなって振り返る。
    「来てくれてありがとう」
    「いや、いいよ。俺も暇だし」
    「そなんだ。まあここ座ってよ」
    自分のベッドを指さす。

    「サンキュ。
    あ、これさっき自販で買ってきた」
    ベッドに座ると、手に持った
    2つあるうちの1つ缶を差し出す。
    「オレンジジュース、嫌いか?」
    「う、ううん。全然!ありがとね」
    陽介の座った反対側に座る。

    「そういえばさー琳奈は
    いつから入院してんの?」
    「え?えっとー…小学校の高学年
    くらいから。陽介は?」
    「俺は幼稚園ときからずっと
    入退院の繰り返しで。まあ常連」
    笑う陽介は、どこか辛そうに見えた。

    「なぁ、琳奈…」
    「どしたの?」
    缶を開けようとしたとき、
    陽介の背中が私の背中に当たった。
    「よ、陽介…?!」
    ビックリして振り返った。
    「……なんだ…寝てる…のか…」
    …はぁ…ビックリした…。

    「…この先もずっと一緒にいたいなぁ…」
    そう呟いて、
    オレンジジュースに口を付けた。
    「あ、甘……」


    .
  • 7 皐月。 id:qI1J/fg.

    2012-01-28(土) 20:04:35 [削除依頼]


    4*

    オレンジジュースを飲み干すと、
    私はベッドから立ち上がった。
    「……な、何か落ち着かない」
    私のベッドで寝てるのは男!
    そして2人きりで密室。
    「はぁー…」
    涙ながらのため息がでる。

    ベッドのすぐそばにある壁に
    もたれて座り込んだ。
    ほぼそれと同時に、
    部屋のドアがノック無しに開いた。
    「はぁっ…はぁっ…陽介!」
    ドアの外に立っていたのは、
    ベージュのコートに身を包んで、
    花束を持った一人の女の子。
    私と、同じくらい。

    「なんで陽介が402にいんのよ…」
    「…………」
    気まずい雰囲気の中、
    花束を持った彼女は、
    ブーツのヒールを鳴らして
    病室にはいって来る。

    「陽介、起きてっ」
    ベッドまで来ると、
    花束をベッドの上に置いて
    陽介の肩に手をかけた。
    「…あの…誰ですか?」
    恐る恐る声をかける。
    「貴方こそ誰よ?
    何で陽介がここに寝てるの!」
    ビクリと肩が上がる。
    ……かなり、怒ってる…。

    「佐々木と、言います…。
    すみません…。
    陽介くんとは、今日知り合って…
    友達に「何言ってんのアンタ」
    途中で遮られた私の言葉と、
    遮った彼女の言葉。
    それはあまりにも冷たかった。

    「あたしは木下彩夏。
    陽介の彼女よ。覚えててくれる?」
    ……陽介の、彼女?
    「じゃあね」
    私を睨みつけ、
    木下さんは病室をでていった。


    .
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