おとうと 〜私を守ればそれでいい〜11コメント

1 友 id:mXnsAwK.

2012-01-23(月) 21:00:55 [削除依頼]
第一章

―ひとりで生きていく―


”人を信じるでない。緒茅羽、お前だけはー・・・。”

最後まで言い終えることなく、私の祖母は死んでいった。

祖母が死んだ直後はその言葉の先についてよく考えた。

母がいない私を祖母は、娘のように可愛がり、たくさんの愛情をくれた。

祖母が死んだのは、病気でもなければ事故でもない。
ー・・・殺されたのだ。醜い”人間”共に。


「緒茅羽は、いつもばぁばの言いつけを守る、いい子だねぇ。」

「だって緒茅羽、ばぁば大好きなんだもんッ!」

「ありがとう。ばぁばも緒茅羽のこと大好きだよー・・・・。」


「緒茅羽ー!!!」

パンッ!

バカでかい怒声と共に自分の部屋の襖がすごい勢いで開いたのが分かる。

「っさい・・・。」

朝が大の苦手な私はもう一度、布団に包まろうとすると目にも止まらぬ速さで布団が引き剥がされた。
私は渋々体を起こし、まだ開けきらぬ薄い目で不審者を捉える。

「また、お前か。毎日、毎日。よく飽きぬものだな。暇人が。」

睡眠を妨げられた不機嫌な私を無視して、”朝姐”は話を続ける。

「今日は、あんたの弟が来る日でしょ!!起きて準備しなさいよ!」

寝起きで頭が回らないがその日の予定くらいは前日に把握しているためそんな予定がないくらい・・・。

「そんな話など聞いておらん。私は寝る。」

私は、布団を返せと手を出すが一向に返す気配が見られない。

「そりゃそうよ。今日の朝に命じられたんだもの。”あの人”にね。」

あの人・・・?

「あの人が予定通りにモノを運ぶと思う?」

まさか。

「”お父様”が帰って来られたのか?」

「えぇ。ボロボロでね。」

私は、跳ね起き、すぐに着替えの用意を使用人の朝姐、”花花 朝顔”に命じ、急いで身なりを整える。

「そういえば、懐かしい夢を見た。」

「夢・・・?」

朝姐は、膝丈のワンピースのボタンを留める手を止めることなく聞き返す。

「あぁ。おばあさまとの思い出だ。お前が来た時期と近い日のことだった。私はまだ6歳。13年も前のことを夢に見るなんて、今日は何かありそうだな。」

「その時は、まだ可愛かったのにねぇ。緒茅羽ちゃん?」

バカにしたような笑みで下から私を除き込む。

「うるさい!ささっさと用意しろ!」

「はいはい。」

呆れたような適当な返事を無視し、身なりを正した私は、父のいる”夢の間”に向かう。


私の家は代々、変った子供が2年に1人生まれるということになっている。

変った子供というのは、言わば”動物とのハーフ”とでも言っておこう。

私の家だけでなく、この世界には、同じような家柄がたくさんある。
良い者が山ほどいれば、”悪い者”もー・・・。

そういう一族をまとめ、『獅子者』と呼ばれている。
その獅子者を束ねているのが代々この獅子神家なのだ。

私は、その娘。
獅子者の女性というのが珍しく、一族の宝として扱われる。
しかし、一族の宝というのをいいことに私を狙う阿呆共が増えている。
獅子者を追放された、”狒狒者”である。

獅子神家を代々守っているのが”花花家”。
私の担当が先程の”花花 朝顔”である。
うるさい奴なのは、確かだが、守る強さも確かである。


『夢の間』と書かれた札が下げてある部屋の前に立つ。

朝姐が私の前に立ち、襖に手を掛ける。

「旦那様。緒茅羽様をお連れしました。」

そう言って襖を開き、朝姐は端に避けた。

「お久しぶりですね。お父様。」

私は、感情を一切込めることなく、醜く笑う肉親に頭を下げた。
  • 2 友 id:Z4kr0Wm0

    2012-01-24(火) 18:45:51 [削除依頼]
    「相変わらず、美人さんだな。自分の娘ながら関心関心。」

    私の父、”獅子神 護”は長く伸ばした白髪をいじりながら不気味に微笑む。
    50という年齢を感じさせない若々しいルックスに和服。

    そして、すぐに朝姐の”ボロボロ”の意味が分かった。

    「顔中の傷とその右目。どうされたんですか。」

    頬などに目立つ、太い爪で引っかかれたような傷。
    右目には、眼帯。

    「・・・”人間”では、ありませんね。」

    獅子神 護は、口を片端だけ上げて笑う。

    「あぁ。狒狒者どもが一箇所に集まり、組織を作りやがった。」

    「え。それって・・・。」

    「・・・獅子神 緒茅羽”狩り”ってとこだな。」

    いつかは、こうなるんでは、ないかと思っていたが今とは。
    しかも、獅子を宿す、我が父をここまでにするとは、油断できん。

    「やはり。それより、朝顔から”弟”に会うよう言われているのですが。」

    すると、はっと思い出したように近くにいた使用人に耳打ちをする。
    そして、すぐに私の方に向き直り、説明を始めた。

    「今回のような事件で獅子者をなめられては困る。つまり、お前を奪われては困るという訳だ。お前の3つ下の弟だ。ボディガードとしてお前の傍に置く。」

    獅子神家で生まれた子は、皆、それぞれの地方へと飛ばされるので自分の兄弟が何人いるか分からない。
    だから、突然、”弟”と言われても驚かないのだ。

    「安心しろ。強さは保証する。」

    「これ以上、うるさい使用人をよこさないで欲しいのですが。」

    私はチラリと朝姐の方を見ながら訴える。

    「あ。言い忘れていたが、花花 朝顔”よ。ひとつ、頼みを聞いてくれぬか。」

    すると、さっと朝姐が父の前へ出る。

    「何なりと。旦那様。」

    そう言って華麗に礼をしてみせた。

    「しばらくロンドンに留まり、調べものをして欲しい。詳しいことは、私の使用人から伝えさせる。やってくれるな。」

    話しを聞き終わった朝姐は、すぐに頭を下げ

    「喜んで。お任せください。」

    その言葉を聞き、父は満足そうに頷く。

    「しっかり頼むぞ。」

    「は。」

    父が先程耳打ちをしていた使用人に目で合図を送り、その使用人が朝姐を連れて、奥の部屋へ消えていった。

    「では、お前の弟。”獅子神 青葉”についての話をしようか・・・。」
  • 3 桜小鬼 id:mF4Ls7W.

    2012-01-24(火) 20:52:13 [削除依頼]
    きたよーっ!
    こっちも面白そうなかんじ・・・
    続き楽しみにしてるねっ!
  • 4 友 id:hH6JJ0t0

    2012-01-25(水) 20:00:49 [削除依頼]
    桜小鬼さん♪
    ホントにいつもどこでもコメントありがとう^^
    私なんか、ろくにコメントも出来てないのに・・・。
    本当に有難うございます♪
  • 5 友 id:hH6JJ0t0

    2012-01-25(水) 20:43:14 [削除依頼]
    「お前の弟、”獅子神 青葉”は、私等とは違う、完全なる人間だ。いいな?」

    昔から”人間”とは、弱い生き物と聞いている。
    青葉という奴は、父が認める程、強いという。

    「はい。」

    「まぁ。会った方が話は早いだろう。 青葉!来なさい。」

    そう言った瞬間、父の後ろの襖が静かに開く。

    そこには、身長、約180cm。肩上まで伸びたこげ茶色の綺麗な髪。とても整った顔立ち。
    白いラインの入った黒いベストの下には、真っ白のブラウス。胸元には真っ赤なネクタイ。
    下半身に目をやると黒いスラックスが長く伸びた脚にとても似合っている。

    「お父様、お呼びでしょうか。」

    胸に手を当て華麗なお辞儀を見せる。

    「我が娘。緒茅羽だ。いいな。命を懸けて守れ。」

    「もちろんでございます。」

    弟の分際で私より身長が20cmも大きいなんて。
    好きになれんわ。

    「お父様、もう下がっても?」

    父は満面の笑みで満足そうに

    「おぉ。よいよい。」

    「失礼します。」

    私の後ろにはすでに青葉。

    「姉上。」

    「なんだ。」

    私は、視線は前のまま歩きながら応える。

    「使用人同様、御用があれば何なりとお申し付けください。」

    「当然だ。」

    知らぬ間に自分の部屋の前。
    私は、青葉の方に向き直る。

    「少し疲れた。私は休む。」

    「えぇ。では、何かあれば私の名をお呼びください。姉上。」

    なんだか自分の弟とは思えぬ口振りに少し戸惑ってしまう。

    「あ、あぁ。」

    襖の取っ手に手を掛け、もう一度振り返る。
    だが、すでに青葉の姿はなく、足元に青々とした葉が一枚落ちているだけだった。

    「ホントに人間だろうか・・・。」

    少しの疑問を抱きながら、襖を開き、自分の部屋に入った。
  • 6 友 id:cKWEG0f/

    2012-01-28(土) 18:31:14 [削除依頼]
    部屋に入り、畳の上に崩れるように座る。

    はぁ〜・・・。
    朝姐を取られた気分だ。

    朝姐は、私の小さい頃からの使用人である。
    信頼する数少ない人間。


    小さい頃ー・・・。私は、同級生の男の子によくいじめられていた。
    4歳の子供同士の喧嘩だが男の子から飛び出す言葉は、私には耐え切れぬことばかりであった。

    『バケモノ!!』

    『消えろ!あっちいけ!』

    抑えの効かなかった私は、思わず自分の守護神動物”ミアキス”を呼んでしまった。

    ミアキスとは今の猫などの肉食動物の先祖に当たる動物である。
    私は、他と違い、ミアキスを体に取り込むとオッドアイになり、右目は青。左目は赤になるのだ。

    普通、体に守護神動物を取り込んでも変化は現れず、その動物の力を手に入れることができるだけなのだ。

    この変化でますます私はバケモノ扱いだ。

    しかしー・・・変化の直後、誰も見切れぬ速さで、私と男の子の間に1人の女が割って入った。

    「緒茅羽お嬢様。どうか守護神をお納めください。」

    その女は私の前にひざまづき、丁寧に頭を下げ、こう言ってきたのだ。

    その女の美しさと可憐さに見とれ、気づけば私の体からミアキスは抜けていた。

    その様子を見て、女は顔を上げ、私ににこりと優しく笑った。

    「緒茅羽お嬢様。以後、あなたの側近としてお傍に置かせてください。」

    もう一度笑ってこう付け加えた。

    「とても綺麗な目をお持ちですねー・・・。」


    これが花花 朝顔との出会いだった。

    私の目を褒めるなんてどうかしてるとも思ったが、私は少しずつ心を開き、朝姐と呼ぶような間柄になったのだ。


    昔を思い出すのもこれくらいにしよう。
    朝姐がこういう仕事を頼まれるのは初めてじゃない。
    すぐに戻ってくるさ。

    それより父が言っていた、狒狒者の組織について調べなくては、自分のこと位、自分で守る。

    祖母がいなくなって私は決めたんだ。”ひとりで生きていく”とー・・・。
  • 7 友 id:cKWEG0f/

    2012-01-28(土) 19:48:57 [削除依頼]
    ―生きる意味―

    まだ、お昼にもなっていない。

    私は、外の寒さに備え、コートを羽織り、襖を開けて、廊下に出る。

    「青葉。」

    私はすぐにその者の名を呼ぶ。
    数秒も経たぬうちに背後に人の気配。

    「お呼びでしょうか。姉上。」

    やはり、人間には大抵無理な動きをする奴だ。

    ”獅子神 青葉”。
    私の弟であり、側近である。

    「ちょっと出かける。付き合ってくれるか。」

    すると、胸に手を当て、華麗な礼を一礼。

    「何処へでもお付き合いいたします。」

    私は、ふっと少し鼻で笑い、上等だ。という意味も込めて腕組をする。

    「では、車を頼む。」

    「承知致しました。」


    車の中での会話は特にない。


    車に乗り込む前に目的地への地図が書かれたメモを青葉に渡した。

    「そういえば、お前はまだ高校生ではないのか?ましてや、運転なんて。」

    「そこの所はお気遣いなく。学校は、飛び級で2年前に高校を終わらせましたので。」

    そう言ってにっこり笑う。

    「運転は?18歳からだぞ。」

    「お父様に根回しして頂きました。」

    「・・・そうか。」

    権力というのは、法律までねじ伏せてしまうものか。


    それが最後の会話となり、ここまで会話は、全くない。

    車の速度が落ち、やがて止まった。

    「到着いたしました。」

    青葉が開けてくれた車のドアを抜けて、目の前のボロい建物を見上げる。
    山の中ということもあり、ここ以外に建物は見当たらない。

    「相変わらず汚らしいとこだ。」

    やれやれと言っていると不意に青葉が口を開いた。

    「ここに姉上のお知り合い様が居られるのですか。」

    「まぁな。知り合いと思いたくないが。」
  • 8 友 id:cKWEG0f/

    2012-01-28(土) 19:49:22 [削除依頼]
    私は、建物に向かって歩き出し、その後ろに青葉も付いて来る。

    正面の半開きになっていたシャッターをくぐり、真っ暗の中を進む。

    私はしばらくして立ち止まり、慣れた手つきで電気を点ける。
    電気といっても裸の電球だがな。

    いつもと変わらぬ、甘ったるいお菓子の匂いが充満してる。
    周りには外からの様子からは考えられない程、綺麗な硝子の棚に飾られた、たくさんのぬいぐるみと人形。
    どれも新品同様に綺麗だ。

    「バビリー!いるんだろ!」

    叫ぶと奥の暗闇の中から声がして来た。

    「はいはい。いるよ。その声は緒茅羽か。」

    そう言って姿を現したのは、金髪の小柄な少年。
    目の色は青で、何処からどう見ても外国人である。
    綺麗な顔立ちのせいか、小柄のわりに着ているタキシードがよく似合っている。

    「私で悪かったな。」

    近くまで来たバビリーは、パチンッと指を鳴らす。

    すると、上からメルヘンチックな机とイスが落ちてくる。
    普通なら凄い音を立てて鉄製の床に叩き落とされるだろうがここでは違う。
    落ちてきた机とイスは音を立てず、静かに床に到着し、セットされた。

    ふと、青葉を見ると驚いてはいるが必死に顔に出すまいと堪えている。

    バビリーは、イスに座り、もう一度、パチンッと音を鳴らし、テーブルの上に紅茶と洋菓子を出した。
    紅茶のカップから湯気がたってることからすると出来たてであろう。

    「で、用件は?」

    バビリーは紅茶をすすりながら問う。

    「情報を売って欲しい。」

    するとティーカップを置き、私を見る。

    「どうせ、そうだと思ったよ。」

    バビリーは、気だるそうに頭の後ろで手を組んだ。

    「後ろの男の子は誰。」

    私は、忘れてたと思い、青葉を紹介した。

    「獅子神 青葉だ。今日から私に付いてくれることになった。」

    青葉は一歩、前へ出る。

    「青葉と申します。」

    と、いつものように華麗な礼を見せる。

    「青葉、コイツはバビリー。ハイエナを宿す、隠れ獅子者。そして”魔術師”だ。」

    「魔術師・・・。面白い人がいるものですね。」

    バビリーは、机に肘をつき、指を組んでその上に顎を乗せた状態で青葉を観察し始めた。

    「弟?」

    「あぁ。」

    青葉の変わりに私が答えた。

    「青葉の話は終わりだ。」

    私は、青葉より前に出る。

    「父が帰ってきた。」

    「へぇ。護さん、帰ってこれたんだ・・・。」

    そう言ってまた、紅茶を飲み始めた。

    「どういう意味だ。」

    カップを手に持ったまま話し始めた。

    「お前が知りたいのって、新しく出来た、狒狒者の組織のことだろう?」

    「あぁ。そうだ。」

    「教えてあげるよ。仕方ないからね。」

    「頼む。」

    「組織の名前は『狩人』目的は、獅子者を1人残らず消し去ること。”人間”も。」

    「人間も?どうして。」

    バビリーはカップを置き、お菓子に手を伸ばし、クッキーをひとつ掴んでから応える。

    「そりゃ、人間を恨んでいるからでしょ。僕が思うに”獅子者と狒狒者は、あまり変わらない”と思うけど・・・?」

    薄暗い証明の下、口元だけ笑う、バビリーは、狒狒者にも見えてしまった。
  • 9 友 id:9HN.HFk/

    2012-01-29(日) 21:26:28 [削除依頼]
    「それだけでは、お前の言葉の意味がよく分からないが?」

    「あぁ。狩人は今までの狒狒者とは違う。組織ということは、上に君臨する者がいるということだ。狒狒者たちはそいつに従って動いている。」

    私は、少し考える。

    ボスということは、狒狒者全員を一度、卸したってことか。
    かなり強いな。
    父があの様だ。相当だな。

    朝姐がいれば、調査を頼みたいが今いるのは、青葉・・・。
    こいつのことは、まだ信用していないから下手に仕事は頼めない。

    「バビリー。組織の本部の場所。分かるか。」

    バビリーは、意地悪く微笑み、答えた。

    「さぁね。常に場所を変えてるから。あいつら。」

    「”常に”か・・・。」

    私は、バビリーにお礼を言って、ひとまず外に出ることにした。

    先程までの会話を推理してると後ろから青葉が話しかけてきた。

    「姉上。私に出来る事がありましたらー・・・」

    「お前は私を守ればそれでいい。信頼しない者に大事な仕事を託すほど私は、愚かではない・・・。」

    目線は前のまま、吐き捨てる。

    「姉上・・・。」

    「すまない。お前は、何も悪くない。私が弱いせいだ。関係のない者を巻き込みたくない・・・!」

    小さかった私の弱さ故に祖母は、死んだんだ。
    守れないくせに人を巻き込むなんて。無責任過ぎる。

    青葉は、口を開かない。
    私の怯える姿に幻滅したか。まぁ無理もないー・・・。

    ザッ・・・!

    気づかぬうちに目を閉じていた私は、目の前の音に反応し、反射的に目を開ける。

    そこには、私にひざまづく青葉の姿。

    「私を守るなどという無駄な考えなどお止めください。自分の身くらい自分で守ります。もちろん、姉上の生命もー・・・。」

    今日、会ったばかりなのに。
    どこにいるか分からない同じ母親から生まれた。私達はやはり姉弟なのだな。
    直感を信じた事など一度もないがー・・・。

    「お前を信じてもいいのか。」

    「勿論でございます。」

    顔を上げた青葉は、笑っていた。

    だが・・・。

    ザザッ!!!

    もの凄い風が私達を襲ったのだ!

    思わず顔を逸らし、戻した時には、すでに先程いた場所とは別世界。

    目の前には、金色に光る壁。

    周りは”闇”だ。

    「青葉!!」

    はっと思い出し、その名を呼ぶ。

    ザッ!

    「居りますよ。姉上。」

    私の前に飛び出し、壁の上にいる不審者を警戒していた。

    その不審者は、手を広げる。
    壁が高すぎて、そいつの様子があまり、伺えない。

    「「レディース!アーンド!ジェントルマーン!」」

    遠くであまり見えないのに声だけは、目の前で喋ってるかのようによく聞こえる。

    「青葉。気をつけろ。」

    「えぇ。」

    2人とも攻撃に備える。

    その不審者は、高く舞い上がり、そのまま落下。華麗に降り立つ。私達との距離は15mもない。
    その姿はとても派手なものだった。緑色の長い布を体に巻いたような。そのため、露出率が高い。男だから許されるんだろうな。
    アクセサリーは、うっとうしいくらいに付いている。

    「待ちかねたよ。緒茅羽!」

    慣れ慣れしく私の名を呼ぶ。

    「フッ!私は、お前など知らないが。」

    青葉は相変わらずいつでも攻撃できる態勢だ。

    「いやだなぁ!僕が知ってるからいんだよ。」

    見かねた青葉が口を開く。

    「一方的な気持ちの押し付けは、関心しませんね。」

    笑い混じりの声には余裕が満ちていた。

    「ヤダなぁ。今日は何もしないよ。ただの挨拶っ。”今日は”ね・・・。」
  • 10 友 id:OqZT9ec1

    2012-02-04(土) 11:02:56 [削除依頼]
    不審者は、緑色の背中まで伸びた髪を束ね、前に流している。
    それをいじりながらまた口を開く。

    「そんなに警戒なさんなよ。今日は、何もしないって言ってるじゃん。」

    「名は。」

    顔を上げて、にっこり笑顔で答える。

    「”アルバ”。守護神動物はねぇ〜・・・。」

    そこまで言うとアルバという男は、光を身にまとったと思えば光はすぐに消え、そこに男の姿はなかった。

    「ここだよ。」

    すぐ後ろで声がして、すぐに振り返る!

    くッ・・・!いつのまに!

    振り返りざまに回し蹴りを繰り出したがアルバは、地面を軽く蹴り。それを避ける。

    青葉は・・・!

    そう思い、振り返るが青葉の姿はない。

    「あまり姉上に近づいて欲しくないのですが・・・?」

    青葉は、すでにアルバの背後に回り、首にナイフを突き立てていた。

    「お前!いつの間に。」

    驚いたのは、私だけで、アルバには、まだ笑みが残っていた。

    「おぉ。あなたの方が一枚上手でしたか。ゾクゾクしますね・・・。」

    すると、アルバの姿は、消え、さっきと同じ位置に戻る。

    「そう。僕の守護神動物は、”チーター”。速さなら誰にも負けないよ。ミアキスを宿す君とは、親戚にあたるね。」

    「お前と親戚なんて御免だな。で。なにが目的でこんなことをする。」

    「君たちの前に現れたのは、この壁について説明するため。」

    「”壁”・・・?」

    もう一度壁を見ても光っていること以外、なんら変わった壁ではない。

    「これは、終わりの壁。”終壁〜ENDWALL〜”。」

    「なんだ。それは。」

    アルバは、二ッと笑い、話を続ける。

    「この壁の奥には、僕が手懐けた猛獣達が待ってるよ。こいつ等は、僕の言うことしか聞かなくてね。」

    「何が言いたい。」

    「猛獣たちに『壁を壊して出て来い。』と言えばすぐにでも出てくるだろう。そして、こう命令するー・・・。」

    一息置き、アルバは、不気味な程に口角を上げ、こう言うのだ。

    「『獅子者、人間をひとり残らず食い尽くせ』と・・・!」
  • 11 友 id:2GAG.jF.

    2012-02-07(火) 21:00:32 [削除依頼]
    「ふっ。動物ごとき、私が叩き切ってやるわ。」

    すると、アルバは、大きくため息をつく。

    「親子だねぇ。あのおじさんと全く同じこと言うんだぁ。」

    父がここに来たのか・・・?

    「どうゆうことだ。」

    「お前達の前のお客さんは、緒茅羽ちゃんのパパさんだよ。」

    私は、父の傷を思い出す。

    「君と同じ事を言うから一匹だけ出して、戦わせたんだよ。当然、おじさんはボロボロだ。」

    すると、青葉が私と壁の間に回る。

    「弱っちいのえらんだのにねぇ・・・。」

    意地悪な笑みを浮かべ、片手を挙げ、パチンッと指を鳴らす。

    すると、獣の唸り声が響く・・・!
    耳を覆いたくなるほどの大きさ。

    壁に目をやると真ん中に真っ直ぐ亀裂が入っている。

    まさか・・・。

    亀裂は端まで行き、扉のように内側に少しずつ開く。

    ガガガガガガガガガガガガガッ

    前回になると、光の中から高さは80mくらいあると思われる、兎が現れた。
    興奮しているかのように目を真っ赤にさせ、ゆっくりと前進。

    「姉上。こいつを私にお任せして頂けないでしょうか。」

    青葉の顔を見ると笑っていた。
    コイツは・・・何なんだ。
    まぁ実力をみる良いチャンスだ。

    「好きにやれ。」

    「ありがとうございます。」

    青葉はまるでおもちゃを見るような目で目の前の怪物を見ていた。
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