ただ、どうしようもなくて23コメント

1 なゆ id:RuNNzFH0

2012-01-13(金) 20:23:28 [削除依頼]
君がまだ5歳だった夏。

無邪気な笑顔を私に向ける姿はとても眩しくて、いつまでもこのままであってと願った。

12歳だった私には弟のような存在でしかなくて。

それは、今でも変わらないはずで。
  • 4 なゆ id:RuNNzFH0

    2012-01-13(金) 22:44:28 [削除依頼]
    だいーぶ駄文になったところで、主要人物紹介します 笑

    田宮舞子(24)

    駿と幼馴染。
    社会人になって大分慣れてきた頃。


    井川駿(17)

    高校2年生。
    長い間疎遠だった舞子を探していた。
  • 5 なゆ id:RuNNzFH0

    2012-01-13(金) 23:16:01 [削除依頼]
    「ぎっりぎりセーフ!!」
    会社にギリギリ到着。残り1分。入った者勝ちだ。
    「おはようございます」
    入社2年目の舞子にとってまだまだ慣れないことは沢山ある。
    最初に比べれば動きも仕事の速さも上達したがほとんどはまだ慣れないままである。
    自分の席についてカバンを置くと同時に同期の可奈美に声を掛けられた。
    「遅かったね、今日。なんかあった?」
    「あ、いや…」
    無かったと言えば嘘になるのだが、説明することでもないかと思いなんでもないと振る舞うと可奈美は「あ、そう」と自分の机に戻った。
    出版会社であるため、朝から取材だなんだと半数は出回っている。
    そのため少し広く感じられるオフィスを見渡し、さっきのメモ帳を再び開く。
    連絡した方がいいのだろうか。でも今は仕事中だし…。
    様々な思いが舞子の頭の中を巡る。
    結局メモ帳は机の引き出しにしまわれた。

    いつものごとく、通常通り終わり何事も無く昼食をとる。
    すると一緒に昼食をとっていた可奈美が舞子の顔を覗き込んできた。
    「なに…突然」
    「んー、何か良いことあった?」
    図星をつかれたような変な感覚に襲われた。
    あれは、嬉しかったのだろうか。あまりに突然で喜びになど浸ってはいられなかった。
    「いや、ずっと疎遠だった『知り合い』と今朝再開してさ」
    なんでもないように話しているつもりだった。
    「ふうん、それで?」
    サンドウィッチを口に運びながら期待の視線を舞子に向けながら可奈美は聞いてきた。
    「いや、連絡先渡されたから…それだけ…だけど」
    さっきまで丸々1つあったサンドウィッチをすべてたいらげ、鋭い目で舞子を見た可奈美が言い放った。
    「男の方?」
    「うん、高校生」
    その返答に少し驚いた様で、目を可奈美は丸くした。
    『知り合い』と表現したのがいけなかったのだろうか。
    まあ、今時社会人女性が高校生の知り合いと再開などだれがどんな想像を抱くかは大体舞子にも想像がついた。
    そして可奈美はその通りの発想でキラキラとした目でこう言った。
    「今すぐ連絡しなって!」
    「…は?」
    ペットボトルキャップが地面に転がり落ちた。
  • 6 なゆ id:4i3IJ/V1

    2012-01-14(土) 01:14:47 [削除依頼]
    転がったペットボトルキャップが隣の椅子の下で止まった。
    目の前には目を輝かせた可奈美が顔を舞子の目の前に突き出している。
    「いやいやいや…い、今?」
    縦に大きく2回頷可奈美を舞子は困ったように見る。
    今は1時30分を回ったところだし、駿もお昼くらいだろうか。
    それとも、もう終わっているのだろうか。
    今、連絡したら困るのではないか。
    1度考え出すとキリが無かった。
    「でも、相手は高校生だし…今連絡したら迷惑なんじゃ…」
    「そんなことない!!絶対にない!!ありえない!!」
    そこまで言わなくても…。
    テーブルを大げさに手で叩き、それはもう真っ向から舞子の意見を否定した。
    せっかくの昼食が台無しである。
    「わかった、わかったから!もうお店出よう?ね?」
    周りの視線が痛々しくて早くこの店から出たかったが、可奈美は違った。
    「嫌よ、まだお昼休み15分残ってるし。ランチ元取りたいし」
    お金のない平社員は必死である。
    その一言でさらに視線を集めてしまい。舞子は大きくため息をついた。
    アイスティーを一気に飲み干した可奈美は真剣な表情で語り始めた。
    「いい?大体ね、連絡先渡してるんだから連絡しないと!それに、高校生よ!?高校生!!」
    「それが…どうかしたの?」
    高校生なんて舞子たちからしたら子供である。
    「上手くいけば…上手くいけばよ?そういうこともありえるじゃない!」
    「そういうことって…」
    自分で想像して頭が爆発しそうになった。
    「な、なな…何言って!?」
    可奈美は悪戯っぽく笑っている。
    他人事だ…完全にそうだ…。
    心の整理がつかないまま、携帯電話を握らされていた。
  • 7 なゆ id:4i3IJ/V1

    2012-01-14(土) 01:36:50 [削除依頼]
    「さあ!どうぞ!!」
    「どうぞって…」
    携帯を握らされ、目の前の可奈美が目をキラキラさせている。
    断りにくい…。
    でも、こうなったら連絡するしかない。
    駿から貰ったメモ帳を出そうとポケットに手を入れたところで気づく。
    「あ…」
    可奈美が不思議そうに舞子の顔を覗き込む。
    「どうしたの?」
    朝に机の引き出しに突っ込んだままだ。
    「会社だ…」
    「えー、つまんなーい!じゃあ早く帰ろう!」
    さっきまで元を取るだのなんだの言ってたじゃないか。
    その態度は打って変わってさっきとは真逆である。
    意気揚々とお勘定をレジまで持っていき、手招きまでしている。
    全く持って色々な面で単純で自分勝手である。
    舞子は小走りで張り切る可奈美に付いて行くのが精一杯だった。


    会社に戻ると、「早く早く」と可奈美が急かした。
    急いで机の引き出しからメモ帳を取り出す。
    「あったー?」
    可奈美が横から顔を出す。
    野次馬め。
    「うん、あった。はあ、何て連絡しようかな…」
    約6年ぶりの再会だった。聞きたいことは沢山ある。
    でも、それをこの携帯の画面に詰め込むには小さすぎる。
    伝えたいことだけ、それだけ打とう。
    指が文字を記し始める。
    可奈美が覗き込もうとしたのでかわすと、「うぅ、ケチ」と言って自分の机でつまらなそうに雑誌のチェックをしていた。
    打つのに何だか緊張した。1つ1つ言葉を選びながらたどたどしくならないように文章を繋いだ。
    これで大丈夫だろうか。
    何度も何度も読み返して、送信ボタンを押した。
    ただ数行のメールを打つのに20分もかけた自分を馬鹿だと思った。
  • 8 なゆ id:4i3IJ/V1

    2012-01-14(土) 19:59:50 [削除依頼]
    やっと送ったメールにほっと胸を撫で下ろし、携帯を折りたたんだ。
    届くだろうか…。
    変な心配が胸をよぎった。
    「送った?」
    興味津々の顔で可奈美が顔を覗き込んできた。
    「う、うん」
    「何て送ったの?」
    「それは…」
    何となく教えるのが嫌だった。
    「秘密」
    「えー」
    不満そうな可奈美の声が耳を通り過ぎた。
    しかし、そんな様子の可奈美を無視して舞子は仕事に戻った。


    メールを送ってから数時間経ち、仕事も定時の時間に近くなり送ったメールの存在を軽く忘れた頃、舞子の携帯のバイブが音を立てた。
    一瞬驚き、見たことの無いアドレスがディスプレイに表示される。
    誰だろう…。
    さっき駿に向けて送ったメールのことをすっかり忘れていた舞子はいつも通り携帯の受信ボックスを開いた。
    件名は無い。
    メールを開き、中身を確認する。
    すると、そこには短い簡潔な文章でこう記されていた。
    『メールありがとう
     俺は学校あるから休日しか空いてないけど、会えるなら会いたい
          
                                  駿』

    最後に書いてある名前を見て舞子はようやくさっきのメールを思い出した。
    「本当に返ってきた…」
    当たり前のことに本気で驚いた。
    でも、なんだか嬉しくて1人顔が緩んだ。
    『会いたい』の文字に胸が少し高鳴る。
    「何?返信?みしてみして!」
    可奈美がすかさず携帯を覗こうする。
    「ちょっと、やめてよ」
    急いで携帯の画面を待ちうけ画面に変えると、可奈美はつまらなそうに口を尖らせた。
    「えー、ケチぃ。で、なんて書いてあったの?」
    「え、いや…別に…」
    「何でよー!教えてよー!」
    「秘密!!」
    人に教えるには、何だかもったいなくてさっきの文章を思い出しては顔が緩んだ。
  • 9 なゆ id:4i3IJ/V1

    2012-01-14(土) 20:10:10 [削除依頼]
    定時に会社を出て、反対方向の駅に向かうため可奈美と分かれた。
    そして、さっきのメールを開く。

    『会いたい』

    私も、会いたいな…。
    今日の朝はあまりにも唐突すぎた。
    再開の余韻に浸る暇だってなかったし、それにもう少しだけ駿をこの目に焼き付けたかった。
    あの時の小さなままの駿じゃなかった。
    そう考えると、勝手に返信のメールを指が打っていた。

    『私も、会いたい
     明後日の日曜なら空いてるから連絡して
                     舞子』

    そう打つと、送信ボタンを押していた。
  • 10 なゆ id:4i3IJ/V1

    2012-01-14(土) 23:15:36 [削除依頼]
    送信ボタンを押してから5分も経たないうちに駿からの返信が来た。
    駅のホームで電車の来る時間を確認し、携帯の受信ボックスを開く。
    メールが1件。駿からである。

    『日曜なら空いてるから会えるよ
     どこで会う?
     あの時の公園で会いたいんだけど、平気?
                       駿』

    『あの時の公園』とは、きっと昔駿と舞子がよく2人で遊んだ公園のことだろう。
    住宅街の中にあるブランコと砂場しかない小さな公園で、子供10人入ればいっぱいいっぱいの公園。
    そんなところで会うとは、少しおかしい気もするが別に嫌ではなかった。
    すぐに返信を打つ。

    『わかった
     あの時の公園にしよう
     時間はどうする?
     私はいつでもいいから、駿が決めて
                    舞子』

    短い文を打ち終わって、送信ボタンを押す。
    電車が到着するアナウンスが流れる。
    帰りの学生と会社員で電車は超満員だった。
    押し込まれるように電車に乗ると、携帯がバイブでメール受信を知らせた。
    しかし、こんなに人が多くては動くこともできない。携帯を取り出すなど不可能である。
    着いてからにしよう。
    そう思い、人ごみに揉まれながら舞子の乗った電車は発車した。
  • 11 なゆ id:4i3IJ/V1

    2012-01-14(土) 23:36:59 [削除依頼]
    駅に到着し、押し出されるようにホームに足をつけた。
    人ごみが苦手な舞子にとっては朝と帰りは地獄である。
    新鮮な空気を一杯に吸い込み、改札を通り外に出てすぐに携帯を開く。
    メールを確認する。

    『じゃあ、11時に公園でがいいかな
     それで良かったら11時で
     駄目だったら違う時間でも大丈夫だから
                      駿』

    こっちはいつでも平気と言っているのにいちいち気を使う性格は変わっていない様だ。
    昔からそうだった。やんちゃで悪戯が好きで、明るくて舞子を困らせては楽しそうな笑顔を浮かべていた。
    でも、1度嫌だと言った事はもう2度しなかったし舞子が困っている時は気を使って年下なのに優しくしてくれた。
    変わってないなあ…。
    なんだか嬉しかった。
    外見はすっかり変わってしまったけど、中身は舞子の知っている『駿』のままだった。
    すぐに返信のメールを作る。

    『大丈夫
     じゃあ11時にしようか
     楽しみにしてるね
     それじゃあ、また明日
              舞子』

    その後、返信が来ることはなかった。
  • 12 なゆ id:4i3IJ/V1

    2012-01-14(土) 23:42:30 [削除依頼]
    恋愛ものは難しいですな…うーむ
    文章うかばなっしんぐ 笑
    あと、ミスりました←え
    『明日』じゃないっすね、『明後日』ですね…
    すんませんでしたっ!!!
  • 13 なゆ id:QOzY739/

    2012-01-15(日) 20:58:44 [削除依頼]
    「それにしてもデートまで早かったね、おめでとう」
    そう言って勝手に話を進める可奈美。
    「いや、デートじゃないから」
    「でも連絡して数日でデートとはねえ…なかなかやるなあ」
    だから違うっつの…。
    舞子の話を完全に無視してどんどん話を進めていく可奈美。
    昨日のメールのことを全て話すとこの様である。
    話すんじゃなかった…。
    舞子は後悔したが、すぐに可奈美がそんなことをよそに口を出してきた。
    「でも高校生かぁ…年下が好みだったなんてね」
    本当に人の話を聞かない奴だな。
    舞子はすぐにそれを否定した。
    「だから、今回はただ会うだけであってデートとかそんなんじゃないから」
    「えーでもぉ」
    口を尖らせてアイスコーヒーを1口飲むとつまらなそうに舞子を見た。
    舞子はそんな可奈美を無視して時計を見る。
    「ほら、もうお昼休み終わり。会社戻るよ」
    「えー」
    嫌がる可奈美を引っ張るように店を出た。
  • 14 なゆ id:9kh1ydL/

    2012-01-16(月) 21:21:00 [削除依頼]
    今日は1日が過ぎるのが早く感じた。
    可奈美に色々と聞かれ、仕事もろくにできずはかどらなかった。
    これで給料が下がったらどうしてくれるんだ。
    でも、明日のことを思い浮かべるのがなんだか嬉しくて楽しかった。
    帰り道で1人笑顔の自分がなんだか気持ち悪かったが、明日の事を考えたらもうなんでもよかった。
    楽しみだな…駿はどう変わってるのかな。
    本当に弟の成長が楽しみなような感覚で、その気持ちはお互い一緒だと舞子は思っていた。
  • 15 なゆ id:9kh1ydL/

    2012-01-16(月) 21:34:05 [削除依頼]
    朝。携帯のアラームが鳴った。
    起きるのが辛くて、布団に入ったまま携帯を探る。
    やっとの思いで携帯を手に取り、アラームを止め時間を確認する。
    表示された時間は10時30分。
    「10時…30分!?」
    急いで布団を出て着替えをしようとタンスから衣類をやみくもに取り出し、床に投げた。
    待ち合わせまであと30分。
    準備をしている時間も合わせると20分しかない。いや、それより掛かる恐れもある。
    適当に出かける時に着る少しオシャレな服を着てすぐに化粧をしようと鏡を持った瞬間に携帯が鳴った。
    ヤバイ。
    急いで携帯を取って通話ボタンを押す。
    「ごめん!!今準備してて遅れるから!!」
    相手が喋りだす前に言葉を発してしまった。
    相手が誰かもわからずに。
    「え、ああ…」
    もぞもぞと携帯の向こう側で喋っているのが、舞子には誰だかすぐにわかった。
    「だから、悪いけど駿は公園で待ってて。あ、でも嫌だったら…」
    「いつも」
    「え?」
    続けて言おうと思っていた言葉を遮られた。
    「いつも、そうやって気使うよな。いいよ、待ってるから」
    そう言って電話は切れた。
    気を使ってるのはどっちよ…。
    自分の思っていることをそっくりそのまま返されたような気持ちで少し恥ずかしかった。
  • 16 なゆ id:9kh1ydL/

    2012-01-16(月) 21:53:09 [削除依頼]
    11時になって家を出た。
    大遅刻だ。
    あんなこと言ってたけど、怒ってるだろうな…。
    舞子は早足で待ち合わせ場所を急いだ。


    見慣れた懐かしい公園が姿を現した。
    懐かしいなぁ…。
    その前に、1人の少年が手すりに腰掛けているのを見て舞子は駿だとわかった。
    近づいて話しかける。
    「駿…?」
    イヤホンをしていて聞こえないのか、反応がない。
    肩を少し叩くと、顔をあげ、驚いたように目を丸くした。
    すぐにイヤホンを外し、舞子の顔をじっと見つめた。
    その大きな瞳でみつめられ、少し緊張したが、すぐにその顔は笑顔に変わった。
    「おはよう」
    「お、おはよう」
    ふいに見せた笑顔に動揺してしまった。
    腰掛けていた手すりから離れ、駿が立ち上がる。
    すると、さっきまでとは違い背の高さがはっきりとわかった。
    舞子が見上げる形で駿を見た。
    すると、それに気づいたのか、駿が笑いながら話す。
    「昔は俺が見上げてたのにね」
    その笑顔は昔と変わらないままだった。
    舞子は黙って頷くことしか出来ず、なんて言葉を返したらいいのかわからなかった。
    自分の知っている駿はどこにいるんだろう。
    すっかり大人びてしまった駿が、遠い存在のような気がした。
  • 17 なゆ id:9kh1ydL/

    2012-01-16(月) 22:17:33 [削除依頼]
    目的も無く、話しながら歩いていると大きく舞子のお腹が鳴った。
    駿が舞子を覗き込むようにして聞いた。
    「朝、もしかして何もたべてないの?」
    「あ、うん…」
    恥ずかしい。
    年下に心配され、お腹も鳴って…。
    「じゃあ、ファミレス入ろう」
    駿は舞子の手を取って歩き出した。
    昔は、私が駿の手を握って歩いていたのに…。
    昔とは違う大きな手で、男の人の手で。
    小さかった子供の手はどこにもなかった。
    強く握り締められた手を、舞子もきつく握り返していた。
    周りから見たら恋人同士にみえるのかな…。
    などと変なことを考えてしまった自分が馬鹿馬鹿しいと、すぐに考えるのをやめた。
    さっきまでの住宅街を少し出て、飲食店街に出た。
    近くにあったファミレスに入る。
    早い時間だからか、人が少なくすぐに席を用意してくれた。
    席に座り、朝をとったという駿は飲み物だけ頼み、舞子だけ遅めの朝食を取ることになった。
    注文してからすぐに品物が運ばれ、舞子は頼んだうどんを頬張る。
    「それだけでいいの?」
    駿が心配そうに聞く。
    「うん、朝はもともとあんまり入らないし。ダイエットしてるし」
    駿はすぐに、
    「ダイエットなんかしなくてもいいじゃん。十分だよ」
    と、言ってくれた。
    少し恥ずかしかった。
    やっぱり、優しいままの駿だった。
    昔と変わっていない。
    そして、舞子は1番聞きたかったことを駿に聞いた。
    「いつこっちに帰ってきたの?ずっと福岡にいるのかと思った」
    駿の父親の転勤で、駿は12歳のときに福岡に行ってしまった。
    舞子が19歳の時だ。
    「親父はまだ福岡。俺と母さんだけ帰ってきた。しばらくは親父福岡にいなくちゃいけなくて、俺と母さんだけは帰ってもいいって。福岡の高校も辞めてこっちに転入した」
    色々と事情はありそうだが、こういうことは聞かないでおこう。
    舞子はそれからもう1つ聞きたいことを聞いた。
    「あと、何であの日私のことわかったの?」
    あの日の朝。突然現れた駿に舞子は全く気づかなかった。
    どうして駿には舞子がわかったのか、それが聞きたくてしょうがなかった。
    「何でって…それは…」
    下を向いて少し恥ずかしそうにつぶやく。
    「舞子のこと、ずっと見てたから」
    それがどんな意味なのか、舞子にはまだわからなかった。
  • 18 なゆ id:9kh1ydL/

    2012-01-16(月) 22:35:13 [削除依頼]
    「そうだよね、駿はいつも私にくっついて歩いてたもんね」
    意味を履き違えていた。
    「いや、そういうんじゃなくって…」
    「あ、それにしても駿。背高くなったよね、モテるでしょ?」
    駿の顔が悲しげに見えた。
    「そんなこと、ないよ」
    「嘘だよー、かっこよくなってるもん」
    一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐにまた下を向いた。
    何か変なこと言ったかな…。
    「舞子は、付き合ってる人とかいないの?」
    逆に聞かれてしまった。
    1年前まで、同じ部署で働く同期に恋人がいたが、相手の移動で別れてしまった。
    それ以降はずっと1人である。
    「いないよ、駿は?」
    「いない」
    「そっか…」
    沈黙した空気が気まずくて、お勘定を手に取ろうとしたとき、駿の声が重なる。
    「あの、さ…」
    「なに?」
    目を見ないで話そうとする駿が、なんだかおかしかった。
    「なんでもない…ごめん」
    何を言おうとしたのか気になったが、それ以上にどうしてさっきみたいに目を合わせてくれないのかが1番気になった。
  • 19 なゆ id:GpVO0B//

    2012-01-17(火) 21:59:37 [削除依頼]
    店を出て、しばらく歩いた。
    駅前の繁華街に出ると、いつもよりも休日だからか人が多く、賑わっていた。
    すれ違う人には家族連れやカップルなど様々だったが、舞子のそばを小さな男の子とお母さんが通った。
    その男の子の後姿が昔の駿の姿と重なる。
    「駿もあんなだったよね」
    笑いながら話すと、駿はやっぱり少し悲しそうな顔をした。
    「どうしたの?」
    「いや、何でもない」
    すると、舞子の後ろにいた大柄の男と舞子がぶつかった。
    「あ、ごめんなさい…」
    男は少し迷惑そうに睨み、歩いていった。
    舞子が少し唖然としていると駿が手を握り締めた。
    「人、多いから」
    その横顔が舞子には少し照れているように見えた。
    その姿が何だか微笑ましかった。
  • 20 なゆ id:GpVO0B//

    2012-01-17(火) 22:29:42 [削除依頼]
    強く手を握られたまま、舞子は引っ張られるように歩く。
    「あの、駿…どこ行くの?そっち路地だよね?」
    人が徐々に少なくなっていることに気づく。
    駿が向かっているのは明らかに住宅街の路地裏である。
    人影の無い路地の死角に追い込まれる。
    「え、なに…?」
    大きな駿の体が逃げようとする舞子の行く手を阻む。
    舞子の細い腕を駿の大きな手が捕まえる。
    「舞子は、昔の俺しか見えないの?」
    「え?」
    またさっきと同じ悲しそうな顔で舞子を見る。
    「俺、こんなに変わったのに。舞子には今の俺を見てほしい」
    駿の手に力がこもる。
    そして、舞子をきつく抱きしめた。
    「ちょ…駿っ…」
    痛いくらいに強く抱きしめる。
    駿の体が覆いかぶさるようになってくる。
    「誰か…来たら…っ」
    引き剥がそうと、舞子なりに力一杯抵抗しようと駿の胸を押す。
    しかし、抵抗も空しく両手首を掴まれ、壁に押し付けられる。
    駿の顔が近づいてくる。
    「いやっ…!!」
    顔を背け、駿から目を逸らす。
    怖くて肩が震えた。
    すると、頬に触れる優しい感触を舞子は感じた。
    駿の唇が、舞子の頬に触れた。
  • 21 なゆ id:FTjWWe//

    2012-01-18(水) 22:22:13 [削除依頼]
    展開早すぎたかも…w
  • 22 なゆ id:K/oOtCu/

    2012-02-11(土) 23:52:18 [削除依頼]
    しばらく更新できません…
    うわーん
  • 23 なゆ id:BnsPxOs.

    2012-07-08(日) 15:01:09 [削除依頼]
    「え・・・?」
    それが何か舞子はわからず、駿を見た。
    駿も舞子をじっと見つめ返す。
    それは、昔の小さい駿じゃない。
    目の前にいるのは、1人の男性になった駿だ。
    舞子は何も言葉にできず、ただ駿を見る。
    「俺、」
    駿が舞子の目を見つめたまま口を開いた。
    「・・・無理やりして、ごめん」
    何かを言おうとしたその口は、固く結ばれ、謝罪の弁が出てきた。
    舞子は何がなんだかわからなくて、ただ呆然と立ち尽くすだけだった。
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