あの空の下で.5コメント

1 みお id:dU/dwtY/

2011-12-20(火) 21:15:11 [削除依頼]


 あの空に向かって、走り出す君をいつまでも応援し続けます。
  • 2 みお id:dU/dwtY/

    2011-12-20(火) 21:23:16 [削除依頼]

     カキーン。
     そんな金属バッドの音で目が覚めた。ここは、どこだろう。
     私はなんでこんなところにいるのだろう。

     茜色に染まった教室で、一人。自分の席でもない場所に座って髪の毛が乱れてて。
     窓の外はとにかく眩しくて直視できない。

    「んー……」

     記憶をたどる。多分寝てたな、私。
     まだ眠気が残る瞼をこすって眠気を覚ませようとする。もちろん、そんなんじゃ覚めない。
     あくびは止まらないし、この席を立つ気もない。ただ、時間は過ぎていく。

     段々と西に傾いて行く太陽。茜色を放っていた明るさはどこかへと沈んでいく。
     このままの勢いでいたら私一日この場所で過ごしちゃうかも。誰かが立たせてくれないとまた寝てしまいそう。
     誰もいないからいいや、と思って口もおさえずにふわーと大きなあくびをした、その瞬間。

     ガラ、バリ。
     クラスのドアからそんな不協和音が聞こえた。
  • 3 みお id:dU/dwtY/

    2011-12-20(火) 21:35:15 [削除依頼]

     一瞬で眠気はどっかに飛んで行った。そしてすぐに体を起き上がらせてドアへと振り向く。
     そこにいたのは、野球の練習着を身につけた――

    「あー蒼、じゃん」

     泥や汗で汚れた練習着を身につけている蒼。そんな蒼は懸命に教室のドアを持っていた。
     そんなに一生懸命ドアを持たなくても……て、持たなくても?

    「ちょ、蒼なにドア外してんの!?」
    「知らねーって、まじで! ドア普通に開けたらとれたんだよ!」

     誰の席か分からないのに何時間も顔を伏せていた机をジャージでさっと拭いてから立ちあがった。
     ドアに向かうと蒼が自分の背丈よりも高い外れてしまったドアを懸命にはめようとしているが、はまらない。
     ガラス越しに視線が交差すると口ではなくて蒼は目で手伝えよ、と訴えてくる。

    「はー、本当頼むよー! さー、くー、らー、だー!」

     蒼はドアをばたばたとさせながら私に手伝いを求める。
     このまま無視したらうるさいであろう蒼を無視するわけにもいかない。

    「はいはい、もうわーかったから。何したらいい?」
    「サンキュッ!」

     蒼は小さく声を出しながらニコっと笑った。
     
  • 4 みお id:dU/dwtY/

    2011-12-20(火) 21:48:42 [削除依頼]

     蒼に言われるままに私は反対側を持ってドアを直した。二人で直せば、十分もかからない簡単な作業だった。
     ドアが元通りになると、蒼はちょっと待っててと言い残して廊下を駆けて行。く
     どんどんと小さくなる蒼が階段で曲がると完全に姿が見えなくなった。
     野球部の練習着はいつも、お尻が汚れている。

     窓の外は街灯の明かりが校庭を照らしていた。街灯がなければ真っ暗に近いような外は、もう人気がない。
     冬は日が暮れるのが早い。そして寒い。
     教室内でさえもはーっと息を吐くと白く染まる。
     手に息をかけながら何度もこする。摩擦で熱くなる訳はないけど、こする。

     ガラッ。
     今度こそ正しいドアが開く音が私しかいない教室に響いた。

    「ただいま」
    「おかえり、どこ行ってたん?」
    「あ、これ買ってきた。下の自販で。ほいっ」

     そう言って蒼は暖かそうなココアを私に投げた。
     ちょ、野球部だからって何でも投げないでよ! そう思いながら思わず手を伸ばしたのと目を閉じたのは同時だった。
     そして恐る恐る目を開いた時、奇跡的に手の上にはココアが乗っていた。

    「ナイスキャッチ、これさっきのドアのお礼な」
    「おーありがとう! 私ココアめっちゃ好きなんだけど」

     蒼の笑顔につられて私もニコっと笑った。
     自然と笑っちゃうけど、あんまり好きじゃないんだよなあ自分の笑顔。
     笑っているときにふとそう思ってしまった。

    -
  • 5 みお id:8.JukpD/

    2011-12-21(水) 21:42:38 [削除依頼]

     両手でココアを包みながら手を温める私の前に、蒼が座る。

    「桜田はなんで教室にいたの?」
    「あー……いやあ、うん……」

     カチッという音を立てながらココアを開けながら答えに戸惑う。
     寝てた、けどなんか寝てたなんて言えなくて。ただ言えばいいだけなのに、なんか言えない。
     十五歳にもなって今気付いた変なプライド。
     気まずいような、気まずくないような、そんな時間がほんの少しだけ流れる。
     

    「ま、いーよ」

     そう言って笑いながら短く答えると蒼は座ったばかりの席から立ち上がり、窓の外を見つめた。
     真っ暗な中に所々差し込んでくる電気の明かり。
     学校の前のマンションから綺麗な黄色い電気が見える。

    「野球部、今日は何してたの」
    「あー暗くてボール見えないからずっと走ってた。まじでありえねーよ、校庭多周り二十周」
    「うっわ、キツ! うちら走っても十周だよ」
    「バレー部……楽そうでいーな」
    「はー!? 楽? なに言ってんの!?」

     バレーボール部に所属する私、桜田瑞穂は楽だと言われてついムキになって答えた。
     すると一瞬沈黙のあとで蒼がブッと笑いだす。
     本当に蒼は、よく笑うんだ。それも綺麗な笑顔で。
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